akiakaneさんの映画レビュー・感想・評価

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ナチ刑法175条/刑法175条(1999年製作の映画)

3.4

「ナチス政権下の同性愛者の証言」と一口に言っても、その内容は様々だ。

同性愛者の聖地だったという1920年代のベルリンの様子や、どんな相手と恋をし愛を交わしたかを語る証言者の姿からは、やや軽薄に感じ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.6

日本の法廷ドラマにありがちな展開を期待して見ると、どこまでも曖昧で確定事項の無い法廷劇に退屈さを覚えるかもしれない。
ちなみに自分は、息子のダニエルが「視覚障害者ならでは」の感性で事件の証拠に気づき、
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アリラン ラプソディ〜海を越えたハルモニたち〜(2023年製作の映画)

3.7

戦争を体験し、戦後朝鮮半島に帰れず、就職は朝鮮人だからと門前払いされ、貧困と差別に苦しみながらたどり着いた神奈川県川崎市。
ハルモニたちは人生の終盤に地域の人や仲間のハルモニたちと日常を生きている。
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成功したオタク(2021年製作の映画)

3.9

本作は罪を犯したアイドルの推し活をしていた監督と、その友人や家族といった狭い内輪の会話が主である。社会学的な分析やジャーナリズム性はなく、諸問題に対する鋭い意見や解決策が提示されるわけでもない為、そう>>続きを読む

NO選挙,NO LIFE(2023年製作の映画)

4.3

「選挙」ってなんだか遠い存在だ。特に立候補する人は、既存政党に属する人、もしくはかなりの目立ちたがり屋か奇特な人というイメージがある。生まれてこの方一度も棄権・白紙投票をしたことのない自分ですらそう思>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.6

「空き缶レディ」やココナッツを使った名物料理といったサモアならではの比喩、初ゴールの一戦の様子を古くから島に伝わる神々の歴史のように火の前で説く語り部など、地域性を混ぜながら「ちょっと盛ってる」コメデ>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.8

北朝鮮での生活と自身の脱北の経験を発信する女性。
脱北を試みる二人のこどもと高齢者を含む5人家族。
国に残した息子を脱北させようと奔走する、かつて脱北した母親。
北朝鮮の実情と脱北の様子を伝える複数の
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カラーパープル(2023年製作の映画)

3.6

人種差別、性差別、貧困、ルッキズム…主人公セリーに降りかかる現実はあまりにも過酷だ。ただ、タイプの異なる女たちが手を取り励まし合うシスターフッドと、軽快でパワフルな歌とダンスによって深刻になり過ぎず彼>>続きを読む

カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~(2024年製作の映画)

3.7

鮮やかないちご色の本棚にはたくさんの絵本や小物。
ガラスの飾り棚には人形や小物がぎっしり。
気に入った生地で仕立ててもらうという全て同じ型のAラインワンピース。
1冊書き上げるごとにご褒美で買うカラフ
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.9

全盲なら「見えない」世界でどうやって生きるかの工夫ばかりが焦点になるところだが、敢えて「見ない」という選択ができる主人公の巧みな設定のおかげで、1645年の朝鮮王朝を舞台にしながら現代に置き換えても違>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.5

テンポ良くサクサク進むストーリー、前作より直接的な撲殺・刺殺・流血シーン少なめでバイオレンス感はマイルド。
「※この人お巡りさんです。(17回目5分ぶり)」くらいの頻度で、とにかくいっぱい殴るマ・ドン
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母なる勇気(1998年製作の映画)

3.0

「ペルー映画祭vol.2」にて。失業、インフレ、飢餓が蔓延る経済危機の中、独自の革命理論に従わない住民の殺害や施設の爆破を繰り返す極左テロ組織「センデロ・ルミノソ」に脅迫と悪評の流布などの妨害を受け続>>続きを読む

私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?(2022年製作の映画)

3.8

モーリーンを大企業に立ち向かう正義感を持った、皆から愛される「良い主人公」として描けば、勧善懲悪の爽快感のあるストーリーにできたかもしれない。
しかし本作では彼女を頑固で負けず嫌い、労働者代表の座に執
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

-

曲はおろかトーキング・ヘッズを知らない。
というか洋楽を聞かない。
そもそもどんなに好きなミュージシャンのライブでも人混み・アドリブ・コール&レスポンスなどが嫌いで行けない…。
という二重三重四重に「
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僕が宇宙に行った理由(2023年製作の映画)

2.0

自分自身、誰かの稀有な体験や努力を描いたドキュメンタリー作品を見て、感動や希望を抱いた多くの人々の一人である。
前澤の日本人初の民間人による宇宙旅行は注目を集めたし、彼のリアルタイムでの中継や本作を観
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映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

3.6

「杉並ができたことはどこでもできるんです。特別なことやったわけじゃありませんから。だから、ぜひ皆さんで観てね、何かの知恵になったら良いなと思います。(小関啓子さん)」

僅か187票差で結実した稀有な
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宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました(2022年製作の映画)

3.9

1954年にアメリカの社会心理学者シェリフらが行った『泥棒洞窟実験』を思い出した。

※『泥棒洞窟実験』
9歳から11歳までの少年を2つのグループに分け、互いの存在を知らせずに泥棒洞窟(※キャンプ地の
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カレーライスを一から作る(2016年製作の映画)

4.0

簡単においしいきれいな食材が手に入る、コスパ・タイパが持て囃される時代の視点から見れば、一貫した無駄と非効率の連続だ。
その上、この授業は単位にならない。9か月も休日返上で朝から田畑と鶏の世話をして、
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旅するローマ教皇(2022年製作の映画)

3.1

約800時間ものアーカイブ映像をもとに作成されたという本作中、フランシスコ・ローマ教皇は広場で、議会で、ラジオ番組で、ハリケーン被災地で、ヒロシマで、難民キャンプで、ときに受刑者たちの手を握りながら世>>続きを読む

夢みる校長先生 子どもファーストな公立学校の作り方(2023年製作の映画)

3.0

こんな学校なら行きたかった。そんな人がたくさんいそうだ。

2022年10月に文部科学省が発表した小中学生の不登校は24万人余り、2021年度から約4万9千人(25%)増えて過去最多を更新。
全国の「
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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.1

イラン政府から出国を禁止されているジャファル・パナヒ監督(ジャファル・パナヒ)は、トルコとの国境に近いイランの小さな村で部屋を借り、ノートパソコンとWi-Fiを使ってトルコにいる助監督のレザ(レザ・ヘ>>続きを読む

国葬の日(2023年製作の映画)

3.8

「航海の最中に沈みだした豪華客船で、船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込むよう指示をした。船長はそれぞれの外国人乗客にこう言った」というジョークがある。
日本人にはこう言えば良いと言う。
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.7

関西弁で軽快によく喋りよく笑い、亡き夫と仲良く、娘の婚約者に気さくにいそいそと自慢の参鶏湯を振る舞い、レシピを伝授しようと共に台所に立つ素敵な「オモニ」。
その姿が、監督の兄3人を帰国事業で北朝鮮へ送
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6月0日 アイヒマンが処刑された日(2022年製作の映画)

3.4

本作監督・脚本のジェイク・パルトロウは死刑が廃止され、火葬が行われないはずのイスラエルでアイヒマンが火葬された史実と矛盾に興味を持ち、イスラエルでリサーチを行ったとのこと。
彼の史実に対する疑問は大変
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サルカール 1票の革命(2018年製作の映画)

3.5

「〇〇に政治を持ち込むな」
「〇〇の政治利用だ」
俳優や歌手、漫画家、小説家、スポーツ選手といった著名人が政権を批判するとこんなコメントがSNSに現れる。
そもそも創作者が作品にメッセージを込めること
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ジャイ・ビーム -万歳ビームラーオ/ジャイ・ビーム(2021年製作の映画)

4.7

正義は勝つ。
正義が成された法廷で、引導を渡される判事が吐き捨てた「歴史の授業か」という見苦しいあがきにチャンドルは「歴史こそが重要だ」と返す。

属性によって傷つけ、傷つけられた歴史は事細かに査定さ
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ミャンマー・ダイアリーズ(2022年製作の映画)

3.8

2023年8月31日までに『ミャンマー・ダイアリーズ』制作チームに寄付したいと思った方は下記リンクから「投げ銭」を。ミャンマーとフランスの女性映画作家の往還を綴る本作の前日譚的ドキュメンタリー『2月1>>続きを読む

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