千利休さんの映画レビュー・感想・評価 - 41ページ目

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)

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キャストとの相性のせいなのかどうしても内容に入っていけなかった。従来型の恋愛の重視への嫌悪と閉鎖的コミュニティへの反発心は、それ自体が監督が日々抱いているものなのかは分からないが、良いテーマだとは思う>>続きを読む

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.0

〈誰も死なない死の映画〉
絶望的な死の中から逆説的に死を輝かせるというのは半ば定番の手法であるが、イーストウッド監督は誰も殺さずにそれをやってのけている。そしてポスト9・11の米国における最大の希望を
>>続きを読む

スペース カウボーイ(2000年製作の映画)

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90年代宇宙モノの、不可能に立ち向かっていくスケールの大きさとイーストウッド監督の王道かつ繊細なストーリーメイキングが組み合わさった本作。彼の偉大な作品群の中で、本作が傑作であるとはなかなか言い難いが>>続きを読む

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

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〈ブラジル版「グッドフェローズ」〉
こういう引き金が軽いクライムモノで真面目な主人公が登場する話は大体ハズレなし。サドンデス的状況がより興奮を生み出していた。傑作。

評決のとき(1996年製作の映画)

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本作には逆転裁判型のカタルシスも無ければ、感情の機微もあまり捉えられていない。そんな本作であるが決して駄作だということはない。愚直なまでにふざけたカットが無いゆえ、本作は最後まで真剣な裁判モノとして楽>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

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本作を韓国映画の入口にしなかったせいなのか、はたまた前半部のコメディさに引き摺られたせいなのか分からないが、「チェイサー」のような猟奇的な作品を求めていた自分にはそこまで感動はなかった。しかし本作が韓>>続きを読む

愛のコリーダ(1976年製作の映画)

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大島監督の美的感覚が好きなので本作も楽しめると思ったのだが、まだ自分には100分間他人の性行為を見続けるのはキツかった。しかしそこらの日活ロマンポルノ作品と比べて(とは言っても一作品くらいしか鑑賞して>>続きを読む

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

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二作目までが良かったのはズバリ性の描写無しに、ひたすらに言葉でロマンを創りあげているからである。それらの残滓で無理やり作り出したような本作は、なんの躊躇いもなく雰囲気の恋愛映画へと成り下がっている。ど>>続きを読む

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.0

個人的に前作よりも気に入った。9年の年月を経て変わったものや変わらないものが愛おしく伝わってきた。次作も楽しみだ。

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.0

哲学的な会話をしていた二人も、別れが近づくと結局人目を憚らずに愛を伝えあっているのがなんとも愛おしい。現代の二人の男女の大学生が異国の地で会ってもこのようなことにはならないだろう。90年代へのノスタル>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.2

列車で辿る二時間の走馬灯。儚くも描かれる不在の存在は人生の本質なのかもしれない。さて、イ・チャンドン監督二作目にしてコリアン・ニューウェーブの名作である本作。光州事件の後遺症が市民だけのものでないこと>>続きを読む

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

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離婚という目標に向かって二人の距離が縮まっていく感覚は独特。素朴だが心温まるストーリーであった。名作。

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

4.1

一般に芸能界と言われる界隈の極度の排他性、そしてそれを極度に崇める風習への嫌悪が間違いなくここにある。「タクシードライバー」と同様に、弱者の暴走を用いて絶対的構造の脆さを描くという皮肉はまさしくコメデ>>続きを読む

エサ(2015年製作の映画)

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鑑賞。韓国映画特有の不気味さが心地よい。

人生の特等席(2012年製作の映画)

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イーストウッド主演作品ではあるがイーストウッド監督作には程遠く。確かにこれといった欠点は無いものの、父親の目の病気のくだりも娘との軋轢の過去もイマイチ本筋に活かせていない。「グラン・トリノ」の偉大さを>>続きを読む

チェンジリング(2008年製作の映画)

4.6

"based on a true story"から始まる映画はいくつもあるが、本作の"a true story"という三語にはそれらとは比べ物にならないほどの重さがある。とにかく報われない。カタルシス>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

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掴みは完璧。オーストラリアへ行くまでの約40分間は素晴らしかった。インドの街並みはどこか冷たく、油断したら大変なことになりそうな雰囲気が上手に作り出されていて、鑑賞者もまぁまず帰れそうには思えないだろ>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

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「デトロイト」では勝てないし、「忖度・ブック」は意地でも作りたくない。そうすると本作が出来上がるのだろう。その気持ちもよく分かる。だが、やはり自分はスパイク・リー作品にそこまでの面白さを感じられない。>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.2

先日各誌のゼロ年代のベスト映画10を眺めていた。流石に「マルホランド・ドライブ」の一強だろうと思っていたが、本作もかなり高く評価されていた。さて、もはやホラー映画とすら言える本作が「シャイニング」の影>>続きを読む

ウォールフラワー(2012年製作の映画)

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テン年代特有のティーンの内省青春劇。「ワンダー 君は太陽」の監督作とのことでもっとポップな作風を期待していたが、予想よりも翳りのあるもので少々驚いた。とにかく終始丁寧に作られていてそこが好感だった。ラ>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.5

個人的にゾンビ映画には満たしてほしい最低条件がいくつかある。まずゾンビ側に力があること(=人間側が不利な状況にあること)。次に一回でも噛まれたら即感染というサドンデス設定が徹底されていること。最後>>続きを読む

ショート・ターム(2013年製作の映画)

4.0

ゼロ年代の邦ドラマに似た閉塞感。しかしそこには希望の光も差している。とにかく無駄な脚色が無いのが良い。直接的な虐待の描写をほとんど使わないのにも関わらず登場人物一人一人の"声"に説得力がある。どうとも>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

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舞台はパステルカラーのフロリダであるが、そこにはディズニーも魔法もない。子役の演技は「誰も知らない」から影響を受けているようだが、本作でも子供たちの何気ない発言が刺さる。まさしく彼女らを観る映画である>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

4.6

素晴らしい音楽とそれを支える教科書のようなイーストウッドの映画術。とにかく音楽の偉大さと尊さを再確認させる映画だった。ただアーティストへの愛を誇示するのではなく、最も魅力的な方法で彼らをはたまた彼らの>>続きを読む

友だちのパパが好き(2015年製作の映画)

4.0

岸井ゆきの目的で鑑賞。序盤からアホみたいな展開で半ば呆れていたいのだが、これが何故か嫌じゃない、てか面白い。下手なコントよりも何倍も面白くて終始爆笑してしまった(公園の自殺未遂のシーンはなかなか痛快)>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.2

全てのシーンが名映画の終盤のような。それでいてただの"泣ける映画"とは意地でも言わせない強度が本作にはある。そしてキャストが全員輝いていた。勿論、腑に落ちない点はあった。やはりこれほどの大衆向け映画で>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

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言わずと知れたテン年代を代表する作品である。Facebookの創始者という最強の男を使ってトレンドである"弱さ"を描いたのはこれはもうアイデアの勝利。本作でもフィンチャーらしさが爆発していたが、特に劇>>続きを読む

イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

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〈タランティーノ流・打倒黒歴史〉
正直退屈なシーンはかなり退屈なのだが、最大瞬間風速的にめちゃくちゃ面白いシーンが際立っているという特性ではタランティーノ作のなかでもトップクラスである本作。相変わらず
>>続きを読む

カジノ(1995年製作の映画)

4.1

"ワンハリ"や"ブギーナイツ"もそうなのだが、巨大産業の栄枯盛衰を描いた話は深みがあって面白い。相変わらずのキャストだが、今回のデ・ニーロはそこまで狂っておらず、代わりにシャロン・ストーンの悪女ぶりが>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

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ブラックジョーク満載でありながら圧倒的なポップさによりそれを意識しなくても鑑賞できてしまう凄さ。戦争映画でありながらビートルズの楽曲とともに幕開けてしまうあたりに監督の技量の高さが見える。踊りが鍵とな>>続きを読む

シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)

4.2

行き過ぎたエキゾチズム。だがそこに嘘偽りはない。印象的だったのは夜の砂漠の果てしなく深い青さ。そこにある欠けた月こそは本作の孤独さを象徴する。孤独だけを集めた走馬灯があるとしたらそれはきっと異国での無>>続きを読む

僕のワンダフル・ジャーニー(2019年製作の映画)

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前作に引き続き鑑賞。ちょっと無理な設定もあるのだが、裏返し的に前作よりも内容に深みが増している(と思っている)。素直に心温まってしまった自分がいた。ちなみに本作はラッセ・ハルストレム監督作ではないのだ>>続きを読む

セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997年製作の映画)

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ダライ・ラマの"新譜"で湧いている昨今、なかなか面白いと思う。さて本作はブラピ全盛期の作品である。登場人物のほとんどが英語を話しているのだが、作品の内容が内容なだけにキツさがある。百歩譲ってそれがハリ>>続きを読む

サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

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今まで苦手だと思っていた"ミュージカル"は日本語バイアスに拠るものなのではと思い始めた今日この頃。さて、本作の感想としてはアカデミー5冠も頷ける素晴らしさであった。本作はもっとミュージカルの演出に頼っ>>続きを読む