B5版さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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シングルマン(2009年製作の映画)

3.6

世界的に有名な化粧品の創設者トムフォードの初監督作品。
全編通して詩的な表現と映像にうっとりする、フォントやショットも須く美しい。
映える美男美女しか出てこないところにも監督の美と世界観への拘りの高さ
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.0

期待以上だった!
主役の非道徳的でありながら魅力的な人物造形や、仕込まれた導火線が徐々展開し鮮やかに起爆するラストまでの構成力が見事。

主人公はロビイスト(議員や政治家に裏方から働きかける職業)であ
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

4.0

何度見ても素敵。
淡く沈んだ色彩に囲まれた大自然。
雄大なそれに魅せられるも、なぜかそこには閉塞感がつきまとう。

お話は耽美な御伽噺の膜にくるまれていて実際そこも素晴らしいのだが、終盤に漂うのは吸血
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来る(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

アマプラで鑑賞。
中島監督作品、エキセントリックで強烈な映像とその鮮烈さに滲む人間の薄暗い歪みのコントラストが相変わらず効いてる。
息切れせず突っ走る、最後まで鑑賞させる求心力みたいなものはすごいです
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

前作フレンチアルプスより容赦が無い!

人々が自分自身を普段いかに理想化しているかを前作に続いてみせつけてきます。
オストルンド監督は多分サディストの気がある。

いやしかし自分の性根は自己認識よりも
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あなたを見送る7日間(2014年製作の映画)

3.0

アダム・ドライバー目当ての鑑賞。
結構過激な下ネタもありなホームコメディ。
片田舎でも都会でもすごい密度で人間関係がドロドロしてて笑う。
アメリカのティーンドラマのパロなのか?

主人公がお人好し&優
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ナイル殺人事件(1978年製作の映画)

3.1

映画館自粛が続いてるため旧作を鑑賞。

デジタルリマスターの映像というのはやっぱりいいなぁ。
絵の具の様に鮮烈で透明な青色。

新作「オリエント急行」から続くケネス・ブラナーのポアロは神経質な紳士寄り
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.2

オンライン試写会にて鑑賞。

幼少期に事故にあった事によりら頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれた主人公の物語。
まず設定が常軌を逸している。
自分からは絶対観ることのない映画との出会いは貴重ですね。
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異端の鳥(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ポスターがかなりのインパクト。
戦時下が吐き出す悪意によりピラミッドの下層に位置する命が飲み込まれるえげつない「炎628」系統かと思ったら、また違うテイスト。
白黒の光景に当時の空気感を感じようと試み
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希望のかなた(2017年製作の映画)

3.6

アキ・カウリスマキ監督は初鑑賞。
感情の抑揚が少ない役者陣とたまにくるシュール展開、総じて楽しめた。

主人公は新しくレストラン事業に取り組み始めた老年の男性。
ある日、難民申請を跳ね除けられ、強制送
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それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

3.3

闇の中で爛々輝く目が記憶に残る。
怯え、絶望、悲しみ、すぐそこに在る死の気配に身を竦めてやり過ごす幾多の夜にやり込められ、うちうちに無力感を年輪のように幾十にも内包されて、絶望だけが雄弁な闇の濃い気配
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.0

原作者は映画化常連の著者とのことで、世界観の面白さは納得の出来。
犯罪予知により殺人を予防する物語の根幹プリコフというシステムだけでなく、画面の端端で活躍するひみつ道具のようなアイテム、デジタル社会に
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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.3

結構面白かった。
マネーショートの脚本家と言われて納得。
社会問題を実写を交えてエンタメへ転身させるのが上手な人。
そして余韻が痛快、という訳でないのもまた持ち味ですね。
100分という最近では比較的
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.2

シリアルキラーの語源になったアメリカの連続殺人犯テッド・バンディ。
涼やかな流し目と精悍な顔つき、品行方正な好青年の皮をフル活用する連続犯罪者と、その恋人であった女性のお話。 

Wikipediaを
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.4

現場と離れた地点からの捜査展開と聞いて「search」の亜種?と期待して鑑賞。
オチは薄々読めたものの、かなり見応えがある良作でした。
一つの部屋で展開する中で、これだけの緊張感を持続させる魅せ方に拍
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ランティモス監督の初期作。
やはり監督の世界観はぶっ飛んでいて好きだなぁ。
しかしモザイクだらけの滑稽さには笑ってしまう。映倫!

笑顔溢れる和気藹々の場で起こる光景。
一つの家族の内側で起こる異常は
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悪なき殺人(2019年製作の映画)

3.0

オンライン試写会にて。
章ごとに散りばめられた違和感の断片が綺麗に揃っていく快感、ラストのピースには思わず嘆息をついた。構成に無駄が無い。

閉ざされた街の空虚と孤独は在らぬ方向に人を追い立て、純心の
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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

3.3

ボードゲームなんて今日日流行らない。
懐古趣味の枠組に置かれた遺物なんて、今時のティーンが目を輝かすメインストリームにはけして置かれないのだ!
ならばゲームだ!カセットに変身だ!
この潔い力業に笑った
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未来を花束にして(2015年製作の映画)

3.4

ある日心に芽生えた疑問が、人生を変えた。
「もしかして今、私は損なわれてるのではないか?」

女性参政権の活動家となった女性達を描いた本作。選挙の日なので鑑賞。

女であるがゆえ受けた差別を理解した瞬
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新聞記者(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

予想以上に面白かった。
というより、求心力の大半は役者の演技にある映画だった。満足。
シムウンギョンさん素晴らしかった。
松坂桃李君もいい俳優になったなぁ…と

脚本については、どんな暗所でいかにもな
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.6

必要最小限しか見せない構成。
人々が交わす会話も少なく全編通して耳に痛いほど静か。なのにとても雄弁な映画。
時々の心情をモノクロームの景色の中で個々の在り方によって魅せる撮り方にとても品を感じる。動と
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独裁者(1940年製作の映画)

3.6

架空の国の床屋と独裁者。
瓜二つの二人がひょんなことから入れ替わることで起きるドタバタ劇が織りなす、あまりにも有名な反戦映画。
2人の男に対する演じ分けはあまりない。居丈高に振る舞う男と気の小さい一個
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ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

2.0

このメインビジュアルでゴッホ要素0なのはナゼ?って感じ。
悪い意味の邦画的なサムさ。

めくりめく現れる偉人のルックスはよく似ていて外側の作り込みは素敵だと思うが、全体的にみると電車の広告でたまに見る
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劇場版 黒子のバスケ LAST GAME(2017年製作の映画)

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ファン映画って案外難しいジャンルで、既に人気の下地が出来てる分、万人が納得する目配せ的場面が必須になる。つまりファンサ。

キセキの世代に焦点を当てた今回、彼らのファンがまた見たいと願った中学時代の再
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鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「劇場型犯罪には気をつけるのよおじいちゃん。」
言ってしまえばこれだけのお話なのですが、物語から与えられる感情の起伏にあてられ目眩がする。
構成に粗がないと言えば嘘になるけれど、そこを差し置いてもラス
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ミスト(2007年製作の映画)

3.5

最近白黒版で観たので今更ですがレビュー。
衝撃と言われすぎたせいか、ネタバレが多く出回ってるので作品としてはなんだか可哀想な本作。
まあ胸糞映画代表とあっては一定数のネタバレもやむなしなのかなぁ…
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.4

そこはかとなく愛嬌と魔物性が同居したほんのり怖いポスタービジュアル。
『キャスパー』を更に写実的にしたコミカル路線のお話かと思いきや、大分哲学的な魂の話でした。

長回しがとにかく多い。
ベットで夫婦
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ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

坂道を転がり落ちる展開にある意味納得。
破滅は織り込み済みで観れてしまう今作、ジャンルはサイコスリラー、それともブラックコメディ?

前作vol.1は幼少期から青年期の回顧録から始まり、vol.2では
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

白昼夢のような摩訶不思議新感覚ホラー。
目も眩む演出の連鎖に胃液がせり上がり、ラストまで淀みなく虫唾が走り続けます!(勿論褒め言葉)
地獄も案外こんなカラッとした場所なのかもしれないな〜。

ホルガ村
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

3.2

いいですね、こういうの。
単純明快、あまり怖くないカラッとしたホラーサスペンス。
要所要所に出てくるキーワードやアイテムが最終的に伏線として綺麗にラストに集結する、起承転結の優等生!

主人公は敵の多
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残酷で異常(2014年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

漂う低予算感全開のジャケットとそれに反する高い評価が気になって鑑賞。
罪の階層的に、自殺と殺人が同じカテゴリで扱われるのは気の毒ではと感じたが、カトリック視点では自然なことなのだろうか。

作中、ルー
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イエスタデイ(1979年製作の映画)

2.9

音楽ファン向けのラブコメ映画。
主人公がもっとどんでん返してくるのかと思いきや、案外優しい世界観で期待から外れた。

序盤で「私この映画の純粋な客層でないんだわ」ことに気づいたが、
ビートルズファンは
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さまよう刃(2014年製作の映画)

3.2

さまよう刃悲しい事件が起こった時、加害者と被害者の人権を比べて、
まるで前者のそれが勝るかのような判決が多いのはなぜなんでしょうね。
加害者の人格形成の礎として、別の尊い個人が消費される矛盾。

今作
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

体制側坊ちゃんと被害者側の純朴な青年のふれあいをもとに育まれる友情物語、または、人間が人間を搾取する社会構造を告発する史実風味の作品かと思いきや。

今作はラザロという風変わりな青年と、その周囲を不思
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デイ・アフター・トゥモロー(2004年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

地上波でやっていて、懐かしくて鑑賞。

世界中でおきた気候パニックによりアメリカに巨大な危機が迫る中、気候変動の第一人者の主人公が息子を救い出しにいくストーリー。
今観てもCGが結構頑張っていて、自由
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ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)

3.6

見渡す限り、どこまでも広がるデンマークの美しい海岸線。
誰しもうっとりする楽園のような光景は戦時下、悪意によって塗り替えられ、そして誰かにとっての地獄となった。

第二次世界大戦直後、およそ4万5千も
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