極めてヒッチコック的なヒッチコック映画。
イギリスを舞台にした猟奇殺人と間違えられた男、緊張感を煽るサスペンスとその合間のユーモアなどヒッチコックの作家性がわかりやすく詰め込まれた作品になっている。>>続きを読む
前作に続いて冷戦スパイ映画なのだけれど本作はどちらかというとリアル志向の大人向けのスパイ映画に仕上げようという意図か感じられる。
亡命してきたロシア高官の証言の裏を取ることを命じられたCIAエージェン>>続きを読む
冷戦を舞台にしたスパイもの。敵地への侵入と脱出というサスペンスの王道的な話なのだが出来はあまりよくないと感じる。
個々のシーンのテンションにあまり振れ幅がなく、同じくらいのスリルの展開が断続的に発生す>>続きを読む
ロバートエガ―ス監督によるノルディックファンタジー。
建付けとしてはファンタジー映画なのだと思うけれどファンタジー要素は結構注意深く現実と切り分けられてあるのでほぼほぼ純粋な歴史もの、時代劇としてみる>>続きを読む
ヒッチコックは同じような主題や手法を別の映画で何度か繰り返し使って洗練させていくというやり方をとることが多いのだが、この映画も割とそのパターンで過去に『白い恐怖』でやったような過去のトラウマと心理療法>>続きを読む
動物パニック映画の始祖ともいわれるような高名な作品なのだけれどかなり特異な作品であることは否めない。
序盤は普通の映画として始めり、いわゆるメロドラマ的な主人公2人の恋愛関係の発展を軸に母親との微妙な>>続きを読む
ヒッチコックによるサイコスリラーの古典的名作。とにかく四方八方いたるところで真似された本作の技法は数多のエピゴーネンとともに映画史の中に溶け込んでスタンダードなものとなっているように思う。
序盤は明確>>続きを読む
ヒッチコックによるスパイスリラー路線の集大成的な作品。
『三十九夜』や『逃走迷路』と比べてみるとトラブルを切り抜ける時の小技やクライマックスの見せ場などが整然としていてノウハウの蓄積を感じる。飛行機に>>続きを読む
1960年代後半から1970年代アメリカのブラックパワームーブメントに関するドキュメンタリー映画。
キング牧師の主導した非暴力主義による公民権運動と対されるような形で急進的あるいは過激なとも言われるブ>>続きを読む
傑作。
人目を惹く奇抜な演出の数々と練りこまれたビターなストーリーが高いレベルで組み合わさっている。
サイコスリラーの中に一種呪術的なモチーフを巧妙に用いた作品であり、無念の自死をとげた女性の呪いを装>>続きを読む
いきなりヒッチコックご本人の登場でかなり大上段に構えた前口上が披露されるが内容はただ強盗犯に間違えられてしまった男を描くというそれだけの話。しかしただそれだけの話をここまで重厚に仕上げてくるのはまさに>>続きを読む
1934年の『暗殺者の家』のセルフリメイク作品。
大まかなストーリーはそのままで20年後の技術でブラッシュアップしたという印象。全体的にムラのあったトーンが統一されていて見せ場は派手にスケールアップし>>続きを読む
始まってすぐ独り言で状況を説明しまくる男が現れてこの映画の先行きが不安になる。
基本的には死体を埋めて掘り返すということを繰り返すだけの話でその繰り返しにうまく話しの面白さが乗っていないので徒労感が強>>続きを読む
ほぼワンシチュエーションで構成された前作『裏窓』から一転してフランスのリゾート地を動き回り景観をこれ見よがしに映す派手な映画になっている。しかしどうにも見せたいシーンありきで展開を作っているような感じ>>続きを読む
足を怪我した男が療養中に向かいのアパートを窃視するその姿を観客が見るという一種の入れ子構造を持った映画であり他人の生活や人生を見物したいという欲望を戯画化した作品であると思う。
それぞれの窓をスクリー>>続きを読む
ヒッチコックのこれまでの作品の中でも特にミステリーに寄ったつくりでジャンルものとしても上等な部類の出来であると思う。
杜撰に組み上げられたパズルのピースが一段ずれたことによって綺麗にかみ合ってしまうと>>続きを読む
殺人の告解とその守秘義務によって生じるサスペンスを描く映画。
よくある人々の罪を背負って十字架にかけられるキリストをモチーフとした話だと思うのだけれどそれをうまくサスペンスに落とし込んでいるところに素>>続きを読む
たまたま同じ列車に乗り合わせた見知らぬ男から交換殺人を強要されるという奇抜な設定のサスペンス映画。
序盤は勝手に交換殺人を持ちかけて実行してしまうという異常な状況が冴えわたった演出で描かれ面白い。ホラ>>続きを読む
序盤からあまり緊張感のない雰囲気でユーモアの比重が大きいタイプのサスペンスかと思いきや、終盤に大きな仕掛けがあり一気に凄惨なラストシーンで終わる。所謂「信用できない語り手」的な手法を用いており、それに>>続きを読む
入植初期のオーストラリアを舞台にした愛憎劇。
大事なことをセリフで説明しすぎていてあまり映画的ではないところもあるが話は面白いと思う。序盤に感じる違和感が物語の構造が明らかになるにつれて納得できるもの>>続きを読む
ヒッチコック初のカラー作品。
全編がワンシーンに見える撮影という実験的な手法が用いられた映画だが奇を衒ったというよりもミニマルなシチュエーションと芝居で魅せる古典的な舞台劇に回帰した印象がある。
もう>>続きを読む
映像の総合力では公開から十数年たった現在でも依然トップレベルでクオリティの高さを再確認する。
キャメロン監督のやりたいことをとことん追求する作家的エゴイズムとクレバーに大衆受けを狙う興行師としての側面>>続きを読む
3Dで3時間越えの上映時間、見終わった後の眼精疲労で頭痛と肩こりがひどい。
それは仕方ないが映像はやはりすごいと思う。何がすごいかというと全部がすごい。普通の映画だと映像的に力を入れるところとそうでも>>続きを読む
目の不自由な大富豪パラダインが殺害されその若き妻が殺人容疑で逮捕される。パラダイン夫人の弁護を担当することになった敏腕弁護士である主人公は夫人に魅了されながら事件にのめりこんでいくことになる。
ヒッチ>>続きを読む
ナチスの協力者にハニートラップを仕掛ける女性とアメリカ諜報員のスパイ映画。これまでのヒッチコックの映画と比較するとラブロマンスの比重が大きく諜報活動の進行と主人公二人の恋愛関係のもつれがうまく組み合わ>>続きを読む
殺人の嫌疑をかけられた記憶喪失の男と精神科医の主人公が事件の真相を追うサスペンス映画。
記憶喪失と精神分析が主要なテーマとなっているがこの映画の精神分析は現代の科学的には怪しいフロイト心理学をさらに大>>続きを読む
ドイツ軍の攻撃により沈没した船の救命艇に乗り合わせた人々の密室劇。
救命艇に一人のドイツ兵が救助されたことから物語が始まっていくのだが、面白いのは救命艇に乗る人物配置が当時の現実社会の縮図のように思え>>続きを読む
アレックス・ガーランド監督によるホラー映画。
とにかく絵作りというか構図や色彩が極めて洗練さた美しさで、そこにロリー・キニア演じる男たちの不穏さ、不気味さ、汚らわしさなどが随所に挿入されることによって>>続きを読む
ある平凡の家族のもとに実は殺人鬼である叔父が滞在することになり、長女チャーリーだけがその正体に気づいていくというシンプルな筋書きながら意外に話がどう転がっていくか読めない面白さがあった。
基本的にはサ>>続きを読む
世の中には特殊な条件がそろわないと成立しない特殊な映画というものがあってこの作品はまさにそういう映画であると感じた。
バスケットボールという展開の早いスポーツの一試合をかなりリアルなタイム感で描きなが>>続きを読む
軍需工場の破壊工作の濡れ衣を着せられた主人公が逃亡しながら真の犯人を追うという定番の流れ。本作は全体にちょっとヒロイックな感じが強く民主主義を強調するような場面もみられるなど戦時下の影響を感じる。逃走>>続きを読む
あるいわくありげな男と恋に落ち結婚した富豪の娘。結婚生活の中で夫には数々の金銭トラブルが発覚し妻は夫への不信を募らせていく。
とにかく序盤から非常にゆっくり丁寧に話が進み、二人の出会いから結婚生活、様>>続きを読む
難民映画祭2022にて視聴。
ある一人の難民の回想録をアニメーション形式で描いたドキュメンタリー映画。
アニメーションによるドキュメンタリーというとアリ・フォルマン監督による『戦場でワルツを』が印象に>>続きを読む
オンラインで開催された難民映画祭2022という企画で視聴。チケットを購入すると6作品が見られオプションで難民への寄付もできるという仕組みになっている。
本作は日本で育ったクルド人少女が直面する現実と>>続きを読む
映画としての出来以前の問題で作中の価値観が結構現代的な感覚とずれていてしんどさを感じるところが多かった。コメディは他のジャンルに比べて時代の影響によって風化しやすいと思うし日常生活を中心に描くので細か>>続きを読む
アメリカの新聞社の海外特派員である主人公が取材の過程で大きな陰謀に巻き込まれるというサスペンス。
第二次世界大戦の直前の話で戦争を止められるかどうかというシリアスな駆け引きが描かれるが、序盤は割と軽快>>続きを読む