Kachiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

Kachi

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紅の豚(1992年製作の映画)

4.2

【人間の醜さと向き合う秀作】

「飛ばない豚はただの豚」という言葉があまりにも有名な作品。

ただ、本作は、イタリアファシスト政党の台頭の時代に、戦争のためではなく己が信念のために飛ぶ生き方を選ぶ、ポ
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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

4.8

【2023年は灰原哀の年!】

昨年の予告からずっと待ち侘びていた本作。まさかの公開日に体調を崩し、ようやく劇場へ…!

今回はコナン映画の様式美を守り、「アクション×推理×ドラマ」を緩急織り交ぜて見
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そして父になる(2013年製作の映画)

3.5

【遺伝か環境か…】

少し前に遺伝に関する本を数冊読んでいたこともあり、その上での感想。

本作は、典型的な対比構造で異なる二つの家族観を描いている。一方には、裕福で世間一般的には成功している家族。他
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AIR/エア(2023年製作の映画)

4.2

【NIKEの企業内再起業物語】

数年前にブームになった"Shoe Dog"で、本作にも出てくるPhil KnightがNIKEを立ち上げるまでの話は何となく記憶に残っていた。

あの本を前編とするな
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シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

4.0

【最近観た中で一番軽いヒーロー系】

DCコミックス系も、マーベルに対抗してユニバース作りをしているけれど、どこか二番煎じになっている感が否めず…

というより、日本でのプロモーションという点ではマー
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思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

3.5

【浜辺美波と福本莉子の眼福感】

高校生の眩しい青春映画を観て心動かされるような年齢ではないものの、少女マンガもだいぶ変わったのだと感じた。

いわゆる一昔前なら、単なる未熟さゆえの感情のぶつけ合いで
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.2

【今回はこれ以上のキャッチフレーズが付けられない…最期を知り、人生が輝く】

黒澤明監督の「生きる」を戦後復興期のイギリスを舞台にカズオ・イシグロが脚色をした本作。余命宣告された人物が、破天荒な余生を
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風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.0

【風は吹くまま、気の向くまま】

少し気が早いが「君たちはどう生きるか」の予習として再鑑賞。少年期から始まった物語は、関東大震災から太平洋戦争、終戦までを描く点で他のジブリ作品と比べ長い時間軸をとった
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Winny(2023年製作の映画)

4.5

【YouTubeは日本発で出来たかもしれない…】

事件発生当時は、中学生くらいだったため、Winnyの名前は微かに記憶にあるくらい。DXを耳がタコになるくらい聞く昨今、金子勇氏の名前も見るようになっ
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

3.7

【戦後復興のノスタルジー】

貧しいけど豊かだった、などとよく形容される昭和の戦後高度経済成長期。まだ戦争の傷跡が残る中、青春を謳歌せんとする家族想いの松崎海と学校で何かと目立つ風間俊を基軸とした物語
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リリーのすべて(2015年製作の映画)

4.5

【容れ物としての身体を再考する】

一度映画館で鑑賞。今回、定期的に開催してる勉強会で「LGBTQ+を考える」をテーマとして、その課題作品に選んだことから改めて鑑賞した。

公開当時は、アイナー&リリ
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.4

【飽きることなき2時間】

3/18 18:00から全国一斉最速上映ということで、主演の池松壮亮&浜辺美波に加えて、柄本佑や西野七瀬が挨拶するなど豪華な幕開けだった。(あともうお二人いたが、ちょい役な
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.6

【エルヴィスを知る一助に】

エルヴィス・プレスリーの名前はもちろん知っているが、彼がどのような人生を送っていたかはほとんど知らなかった。そのため、伝記作品として本作を観ると大変勉強になった。

一方
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

【優しい再生の物語】

映画館を舞台にした映画を観続けてきたが、本作の「エンパイア劇場」はあくまでも物語の舞台装置であり続け、過剰な演出はない。

精神疾患を抱えるヒラリーと黒人差別に苦しむ青年スティ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

【情報の洪水に埋もれて…】

話題作ということで期待大で行ったが、他の鑑賞者が途中退室したり、眠りに落ちたりしており、本作の新しさと難しさを感じた。

MCU作品でマルチバースの設定に慣れておけば問題
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バビロン(2021年製作の映画)

4.2

【銀幕世界の無常描く】

無声映画から有声映画へと移り変わる時代に翻弄された5人(映画の告知文では3人となっているが、トランペットの彼も含めるべきだし、中国系の彼女も含めるべきだと思う)の人間模様を描
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.8

タイトルで騙されたと思いきや、最後はポンポさんの掌の上で転がされていたと思わずにはいられなかった本作。

何か元ネタがあってのパロディ(ニャリウッドなんてどう考えてもB級映画で付けそうな名称だ)映画な
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.5

【すごいものを観てしまった…】

ティーネイジャーの自分探しのためのロードムービー。このように切り出したら普通の話であろうが、本作世界には「人喰い」と普通の人という二つの人種がいることで、かつてないテ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

【スピルバーグ作品を理解する上での必須科目的作品】

Filmarksの試写会にて
スピルバーグ作品は、これまで沢山観てきており、その度に心躍る展開や人生の教訓みたいなものを勝手に学んだつもりになって
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.2

【ちひろさんという容れ物】

冒頭から有村架純の空気に包まれ、勢いそのままに彼女を見つめ続けた2時間だった。元風俗嬢役の妖艶さも、弁当屋としての素朴さも、どちらも余すことなく演じ切っていた。

本作の
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マチルダ・ザ・ミュージカル(2022年製作の映画)

3.7

度々、演劇で公演されているマチルダのミュージカル版ということで、今回初めてしっかりと鑑賞。

賢いマチルダが、ハリーポッターシリーズのハーマイオニーと重なった。ミュージカル映画の割には、これといって耳
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.7

【鳥肌立つ、ジャズライブ】

原作は未読だが、こんなに映画館でノッたのは久しぶりだった。それもそのはずで、ジャズ素人の私でも知っている上原ひろみさんをはじめ、調べてみれば錚々たる演奏家が、渾身の演奏で
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.5

【観た人たちが本作の余白に何を埋めるか…】

冒頭から一気に作品世界に引き込まれる。欧米諸国では一部ですでに議論が進んでいる(と言われている)尊厳死について考えるのに、これ以上ない材料を提供してくれる
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

4.2

【Phase5のはじまりはじまり】

エンドゲームで役割を終えたキャラクターの退場と新キャラクターの紹介に終始したPhase4は、結局何だったのか?という終わり方をしてしまったので、これで見納めかどう
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.2

【フォレスト・ガンプを語り部として観た戦後アメリカ史】

初回で観た時は、あまり良さが分からなかった本作。それはジェニーのフォレストに対する扱いがぞんざいで、発達障害のある人間に対する当時の(そして今
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タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター(2023年製作の映画)

4.8

公開当時は小学生だったため劇場には行っておらず…今回、大画面かつ3Dリマスターでの鑑賞が叶い感無量。

まごうことなき傑作であるため、私から野暮ったく感想を書くことは避けたいが、それでも色々書きたい。
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金の国 水の国(2023年製作の映画)

3.9

【オーソドックスな展開も丁寧な描写で良作に】

原作未読。
にも関わらず、中盤からはすっかり作品世界に惚れ込んでしまっていた。

冒頭ー
両国の歴史があまりにも突拍子もなかった
ため、観る映画を間違え
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

3.8

【発て、学べ】

「ニューシネマ・パラダイス」と比較したくなる物語だが、切り口や作品全体を纏う雰囲気、メッセージに至るまで、本作独自の世界観があり、最後まで楽しく鑑賞できた。

少年は色とりどりの映画
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.8

【ノンフィクションの強さ顕在】

ジャーナリズムの真髄を垣間見るノンフィクション作品の中でも、本作は一級品である。#MeToo運動に繋がるNYTimesの記事を世に出した記者とデスクの闘いの一部始終は
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

【語りたくなる作品】

閉鎖的なアイルランドの離島。人々は、退屈さを持て余しながら、本土で繰り広げられている内戦を少しばかり気に掛けつつ、日がな一日過ごす。

このように書くと牧歌的な世界観が出てきそ
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

3.0

技巧に凝ったあまり、中身が乏しい作品となってしまっているように思われ、これがアカデミー賞4冠だという事実に驚かされる。

たしかに、長回しのワンテイクで視点が様々に変わり、テンポもよく、世界観自体は狭
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レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

4.0

【新解釈 信長の一つ】

東映70周年記念作品ということで、素通りするわけには行かず劇場へ。

大河ドラマを中心に信長が出てくる作品は数多く観てきたけれど、また違った解釈の織田信長であると理解した。後
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.0

【エンドロール後も見逃すな】

冒頭、うまくハマることが出来ず観るのを後悔しかけたが、途中から夢中になった。アニメで育った多くの私たち必見の邦画だと思う。

辻村深月先生原作ということもあり、安心のス
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Mr.Children 「GIFT for you」(2022年製作の映画)

4.5

"Mr.Childrenというプロジェクトの通過点"

仕事の憂さ晴らしで劇場に駆け込んで、帰る頃には前を向いて歩けていた。

ライブ映像と老若男女様々なファンのモノローグを組み合わせた構成は、終盤で
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アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)

3.8

映し出される何気ない描写から何を読み取るかは、鑑賞者側に委ねられているようなドキュメンタリーだった。

アメリカ人の立場でこの映画を観れば、かつての「アメリカン・ドリーム」を見られた時代はとうの昔に過
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さがす(2022年製作の映画)

3.9

座間の連続9人殺人事件を彷彿とさせる作品。扱っているテーマは重い。もう一度観たいかと言われれば微妙だが、やり場のない感情が沸々と湧いてきた。

父親の失踪の謎をめぐる一連のやり取りの中で、Twitte
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