裕次郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

裕次郎

裕次郎

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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.8

ストーリーはとても面白かった。

監督が執筆やTV畑からのデビュー作ゆえにTV映画の作りなので、アカデミーで作品賞を争うには映像のパンチが弱い。

監督賞の方にはノミネートされてないしそこは最初から割
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

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厚木で鑑賞。

上映時間20分、料金1,000円。
観客は7人!

ゴダール映画術を凝縮したようなテクストとソニマージュが解け合い、また離れ、そして訪れる沈黙、あの余韻。

このまま90分続いても見て
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バード(1988年製作の映画)

3.8

イーストウッドが撮ったチャーリー・パーカーの伝記物。

他の方のレビュー読むとやはり長尺と平坦さと時系列ジャンプの難解さにやられている。私も何か見疲れて、中断しながら日を置いて鑑賞。

事実婚のチャン
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.7

タイトルはボーなのに、作中呼び名がボウなのがまず違和感。

最初の方は、世にも奇妙な物語みたいで面白い。

森から明らかに失速というか、陳腐な物語性が顔を出し始める。

母親とのこういう(抑圧)関係が
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スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

2.6

ロウ・イエ作品は初めて。
これの前の「天安門、恋人たち」を観たいが機会がない。

天安門を描いて映画製作禁止令が下るなかゲリラ撮影を敢行した本作。

そのチャレンジ魂は素晴らしいが。
なんか薄っぺらい
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長屋紳士録(1947年製作の映画)

4.2

小津は「晩春」以降ほぼ観てるが、「晩春」以前はほぼ観てないという恥ずかしさにそろそろ向き合わねば、と。

この戦後第一作から、戦前戦後を行きつ戻りつしながら小津のフィルモグラフィを追って行こうと思う。
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神の道化師、フランチェスコ デジタル・リマスター版(1950年製作の映画)

5.0

リアル修道士を集団で起用してこんな作品作っちゃうわけですから。

リアル修道士を暴力的集団に投げ込んで手足掴ませ思い切り宙に舞う肉体で縄跳びとかさせちゃうわけですから。

行く先先で散々な目に遭ってそ
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ビリーバーズ(2022年製作の映画)

4.2

形がよくて綺麗で大きな、ビーチ映えする美乳。

左右にアンバランスなのがまた、無人島で性欲を管理しようとする洗脳された男たちの睾丸への危険な材料として作用する。

オペレーターさんがサ道の人なの最後の
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.5

やはりイングロよりこっちが好きかな。

クリストフ対ディカプリオ(白人対白人)を中盤に挟んでジェイミー対サミュエル(黒人対黒人)の終局を描く入れ子構造が見事すぎる。

テーブルを叩いて本当に拳から出血
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イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

4.2

観るの二回目。タランティーノの最高傑作と言えそうでなんか惜しい。

中盤のマイケル・ファスビンダー、ダイアン・クルーガーらの緊迫したやりとりはパルプやトゥルーロマンス(この名作なぜ観れない)のベストシ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

2.9

フォークナーや幸田文を読み、カセットでヴァン・モリソンやパティ・スミスを聴き、境界知能みたいな後輩にも優しく、目の前で着替えようとする十代の可愛い姪と裕福そうな妹がいて、狭いながらも隅田川近くの幽玄な>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.9

序盤から漂うエログロナンセンスの中二病特盛り感。勢いはすごいがこれで2.5時間もやられたらたまらん、という不安はきっちり拭ってくれた。

段々良くなってくというか、あえて悪趣味なOPでスタートする意図
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.8

「哀れなるものたち」のランティモス監督の予習#2。

嫌〜な映画つくるなー。
ギリシャ人監督だけあって、ギリシャ神話みたいだなと思ったら本当にギリシャ神話ベース。

逆に言うとそれ以上の深掘り要素はな
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キャタピラー(2010年製作の映画)

2.8

うーん。

原作の乱歩的倒錯世界に吹っ切るか、戦争の愚かしさを描くか、なんかどっちつかずで。

戦争の雰囲気オブラートを纏って変に生真面目に薄っぺらいエロを描いていて、堂々としたピンクの方がずっと面白
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.8

新作「哀れなるものたち」公開間近のランティモス監督を予習。

久しぶりにヨーロッパ映画だなー、という作品を観た気になる。シニカルな脚本、抑制の効いた絵作り。

ハイウェイ脇をドレスアップした男女が歩い
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テルマエ・ロマエ(2012年製作の映画)

3.0

正月映画マラソンの箸休めまで。

映画に並ぶ趣味がスパなので。とか言って、これまで観ようとも思わなかったが。

阿部寛は好きだけど後半の真面目なだけのキャラになると活きないな。

妻たちの性体験 夫の眼の前で、今・・・(1980年製作の映画)

4.0

タイトルが変だけど中身の濃い作品。

年の離れた夫婦だとこういう願望あるんだろうな、と思わせる妄想喚起力。

AVスレスレのラインに寄せながら最後はしっかり愛の物語を堪能させてくれる、日活ロマンポルノ
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悲愁物語(1977年製作の映画)

4.3

「殺しの烙印」で日活から干された清順のカムバック作品。

江波杏子が怖すぎる。不気味な三連横パンの登場から背筋ゾワっとするし、狂気を近隣の住民に感染させていく後半の支配力。

主役の女性は素人女優なの
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.6

中盤の、映画館の前でお互いの名前も知らない二人が惹かれあって、しかしその後なかなか会えないという一連のショットをどう撮るか。ここにカウリスマキ映画術の真骨頂を見た。

映画館ではジャームッシュがかかっ
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用心棒(1961年製作の映画)

4.5

だいぶ久しぶりに鑑賞。

記憶ではひたすらカッコいい三船の印象が刷り込まれていたけど、中盤からカッコ悪い姿も見せるんだな、と。

そして山田五十鈴の貫禄たっぷりの悪女、東野英治郎の権爺とか、若い時に観
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.2

渋い、地味な、しかし何とも味わい深い作品。

タグライン付けるの難しかったろうな。

感想書くのも難しいが、どんな映画かというと乳搾りと友情を今時4:3の画角で描いたマイナー西部劇。

リリー・グラッ
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地獄のバスターズ(1976年製作の映画)

3.4

英題”The Inglorious Bastards”.
タランティーノの”Inglourious Basterds”はTheなしで二文字違い。

タラがオマージュで挙げる70sの作品はそこそこまでは
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忍者武芸帖 百地三太夫(1980年製作の映画)

3.5

カンフー寄りの忍者モノ。

アクションは千葉真一節全開。

戦国時代ムードの皆無な80s特有の間延びした音楽。

荒唐無稽なB級時代劇だが、いくつかのシーン見て、もしやあの北野武の「首」も参考にしてる
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男はつらいよ 純情篇(1971年製作の映画)

4.0

正月恒例、寅さんでスタート。

若尾文子は間違いない。

とあるシーンで倍賞千恵子が「そんないに、犬いらないわよ」って噛むのだが、それをNGにしない当時というか山田組の大らかさ。

夕ぐれ族(1984年製作の映画)

3.7

2023おそらく最後に観る映画がこれか。

いや、2024で公開40年目を迎えるにあたりちょうどいいのかも。

パパ活、港区女子、SNSインフルエンサーと承認欲求、ジャニーズや吉○によるエンタメ業界の
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ロビンソンの庭(1987年製作の映画)

2.5

世界観(雰囲気)とポエティックな絵作りはいいけどそれだけ。30分で耐えられず投げた。

山本さんの作品自体は好きなものが多いが、個人的にこれはキツい。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4

IMAX鑑賞。総じていい映画だが、、あえて愛を持って-1.0分のダメ出しを。

・まず肝心のゴジラさんが4回目の登場で明らかなモチベダウンで、「適当に首と手足振っときゃいーんでしょ?」モード突入。(何
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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2015年製作の映画)

4.2

面白かった。

永井豪の漫画を下地にしたイタリアンヒーロー。どれだけ好きなんだよ、っていうぐらいの永井愛が伝わる。

イタリアンギャングの対立構図を絡ませたプロットが上手く、退屈しない。

芸のないア
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ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.8

そういやオランダ映画ってほぼ観たことなかったけど、キューブリックが賞賛したということでウォッチリストに入れていた本作をついに観る。

面白いけど後味はかなり悪い。後味悪い作品って、見なければ良かったと
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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010年製作の映画)

4.1

アメリカのバカ大学生達がヒドい目に合うイーライ・ロス作品のゴアポルノ的快楽に、ショーン・オブ・ザ・デッドのバディムービー感を足した良作。

能天気なノリ展開なんだけどクドくならないように緩急つけていて
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ドランク・モンキー/酔拳(1978年製作の映画)

4.2

酒飲みながら観るのに最高。

初期ドラゴンボールのリアル版みたいなアクションすごい。

冒頭でオバハンにコテンパンにのされたのが八酔拳の伏線になってるのがいい。

異邦人 デジタル復元版(1967年製作の映画)

3.5

ゴダール作品以外で観るアンナ・カリーナがちょっと新鮮。乳房が一瞬映る。

アルジェのうだる暑さの描写がすごいけど、マルチェロのアクが強すぎてカミュっぽさが削がれている気がする。

嵐を呼ぶ男(1957年製作の映画)

3.5

裕次郎はカッコいいけど、作品としてはモヤモヤする。全ては母親からの承認と和解といううっすい主題のためなのかと。しかしそこは66年前の大衆映画だから仕方なし、作品総体のクオリティより断片を慈しむのが正し>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.8

戦国映画の暴力的脱構築。

本能寺の変のあっさり感、変に盛り上げない北野節がいい。

そして脇役がパラレルに動いていく描写、というか脇役って概念があまりない。誰もが狙う下剋上という視点。

こないだ観
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西成ゴローの四億円(2021年製作の映画)

3.0

大阪を舞台にした映画が観たくなり、何となくチョイス。

Vシネマクオリティだが、悪くない。

プロデューサーは奥山和由。

奥山さんプロデュースの暴力映画ということで、こういうの見ると改めて、北野武の
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.3

ウェス・アンダーソンはライフ・アクアティックかダージリン急行までがピークで、後は焼き直しと思ってたけどこれは良かった。

最近流行りのスムーズなトランジションを特色とする映画の対極をいくような、機械仕
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