くろいひとさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

くろいひと

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ゲーム(1997年製作の映画)

3.9


なにがおきているのかわからない不安と緊張感を、全編にわたって主人公とともに体験できる傑作。

もちろん観終わったあとには突っ込みどころは満載で、リアリティを考えるとありえないことだらけなのだが、それ
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セブン(1995年製作の映画)

3.8


七つの大罪になぞらえた猟奇的連続殺人をあつかったサスペンス。

作品内のセリフにあるように、これは「異常者」の話ではなくわたしたちの「日常」の話だ。
それは人間のなかに潜みながら覆い隠されているもの
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危険な戯れ(1975年製作の映画)

3.7


ロブ=グリエらしいフェティシズムとわざとらしい虚構性にあふれた作品。

前年の『快楽の漸進的横滑り』の突き詰めた倒錯的世界の感覚的な美がおさえられ、そのかわりには(あきれるほど)わかりやすいプロット
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メダリオン(2003年製作の映画)

2.4


あっという間に観終わる気楽に楽しめるエンターテインメント。

古代から伝わる不思議な力でパワーアップするが、CGに頼らざるを得ないそのアクションがややチープ。
ふつうに見れば(いまだに)ワクワクする
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エクソシスト(1973年製作の映画)

3.7


ホラー映画の古典中の古典だが、いまとなっては古臭くなってしまったホラー的要素はむしろ脇役で、キリスト教的な「罪/赦し」のシリアスなものがたりとして捉えられるべきだろう。

きわめてていねいな映画とし
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配達されない三通の手紙(1979年製作の映画)

2.9


エラリー・クイーンの『厄災の町』の翻案。
豪華な出演陣がそろい、それぞれみごとなアンサンブルを魅せる。
片岡仁左衛門(当時は孝夫)の頼りないほどの若々しさがよい。

推理もの好きな野村芳太郎にしては
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ショウタイム(2002年製作の映画)

2.8


数多くの類似作を焼き直したかのような、典型的アクションコメディ。

しかし、エディ・マーフィのコミカルな演技と自然体で「ノリの悪い」デ・ニーロの存在のミスマッチが、凡庸になりかねない典型に絶妙にアク
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ダイ・ハード3(1995年製作の映画)

2.5


シリーズ3作目。

こんどはエリアがぐっと拡がって街中をかけまわる。
そのこともあってか、それぞれのアクションシーンをバラバラに羅列したという印象は拭えず、全編を観終わったあとの爽快感はいまひとつ。
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ダイ・ハード2(1990年製作の映画)

3.5


シリーズ2作目。
前作のタワービルから空港へ舞台を移しての受難。

主人公のライトなぼやきは健在。
アクションの派手さとスケールは前回より増してエンターテインメントとして楽しめるが、移動できる空間の
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ダイ・ハード(1988年製作の映画)

3.8


現代アクション映画のもはや古典的ともいうべき名作。

テロリストたちの手段や目的がシンプルなのがかえってよく、ブルース・ウィリスの軽口と無駄のないアクションシーンをテンポよく楽しめる。
それでいなが
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SHIBUYA TOKYO 16:30(2020年製作の映画)

1.9


クリエイティブな現場にかぎらず、さまざまな仕事でありうるパワハラ・セクハラ。
その実態というよりも、それを受けている被害者の心理をていねいにえがいている一本。

しかしながらそれだけではあまりにピュ
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同じ屋根の下で(2020年製作の映画)

2.7


ブルガリアのツォンチェフ監督によるショートムービー。

集合住宅にはつきものの問題をとりあげた、ちょっとした心理ドラマなのだが、そのとぼけた味わいが面白い。
ただ、質屋の女店主にまつわるリアルさがこ
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荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)

3.5


イーストウッドの監督2作目。

3人のならず者の復讐から街を守るという典型的西部劇のスタイルながら、勧善懲悪とはまったくことなる作品になっているのがよい。

裁かれるものははたして誰なのか。
また裁
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The Letter Room(原題)(2020年製作の映画)

3.4


これを100分の長編にしようと思えば、それはそれでいくらでも可能性はひろがるだろう。
はれを30分という尺のなかに過不足なく見事にまとめた秀作短編。

主人公の刑務官の人間性がじんわりと感じられて、
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ブロンコ・ビリー(1980年製作の映画)

1.7


コメディのセンスのない監督が、コメディに不向きな愛人の女優と共演するためにつくったとしか思えないほど、いたるところに穴のあるコメディにもシリアスにも中途半端な作品。

プレデター(1987年製作の映画)

1.8


戦争アクションものと思わせてからのエイリアンものという異色作。

設定がシンプルなのはよいが無理矢理感がただよい、そもそも弛緩したテンポと安易な演出にはため息をつくばかり。
シュワルツェネッガーも生
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ラスト・アクション・ヒーロー(1993年製作の映画)

1.9


登場人物と「第四の壁」を超えて交流するコメディ。
フィクションのなかのキャラクターがみずからのアイデンティティを問うことにもつながる、きわめて面白い設定とプロット。
さまざな名画のパロディに、豪華な
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さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

3.3


のんびりとしたテイストのなかで、素敵な「人生の老いかた」を見せる良作。

なんども捕まりながらも脱獄を繰り返し銀行強盗を楽しむ実在の主人公と、今作での引退を表明しているロバート・レッドフォード自身と
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愛怨峡(1937年製作の映画)

3.5


溝口健二初期の名作。

映像音声ともあまりに劣化した(そして欠落もある)不完全なかたちでしか残されていないものの、いつのまにかそれさえ忘れて引き込まれてしまう。
徹底した長回しがあるかと思えば、大
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雪夫人絵図(1950年製作の映画)

3.2


男の欲望とみずからの欲望とに振りまわされる女性をテーマにした作品だが、内容的にはどうしようもないメロドラマ。

ところどころに溝口ならではのハットさせるショットがあり、陰影を生かした夜の室内のシーン
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

3.1


観る年齢によってまったく感じ方がかわってくるだろう名作。
子供が大人になるすこし前の時期に「そばにいて」ほしい存在は、親でも兄弟でもなくたいせつな友人であることは、ずいぶん時間が経ってからわかること
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コマンドー(1985年製作の映画)

3.1


このうえなく単純なプロットで、撃たれても弾が当たりもしないヒーローが活躍する戦争アクションだが、それが痛快で面白い。

シュワルツェネッガーの身体がいかされたアクションがみごとなエンターテインメント
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トータル・リコール(1990年製作の映画)

3.1


フィリップ・K・ディックの小説をもと膨らましたSF作品。

美術や演出に時代を感じさせるが、エンターテインメントに徹して面白くつくられている。
物理的に矛盾やあきらかな誤謬も、笑って許せる範囲。
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メイキング・オブ・ドッグヴィル 〜告白〜/ドッグヴィルの告白(2003年製作の映画)

2.7


『ドッグヴィル』のメイクングドキュメンタリー。

良くも悪くもラース・フォン・トリアーの素の部分が見られて面白い。
ニコール・キッドマンのお説教も。
俳優たちの独白はある程度こちらがわを意識したもの
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ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)

2.3


ハッカーたちの騙し合いをえがいたサスペンス。

トリッキーなものがたりに最後には二転三転が待っているが、それを「売り」にしているほどの衝撃はない。
最後の数シーンはやや蛇足というか、盛りあがりという
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エターナルズ(2021年製作の映画)

3.2


MCUシリーズ第26作目。

アヴェンジャーズとはあまりにスケール感が異質なキャラクターたち。
さまざまな人種、セクシャルマイノリティー、聴覚障害者という、ある種のバランスがとられた彼らのアンサンブ
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黒水仙(1946年製作の映画)

3.7


どこを切り取っても美しい絵になるパウエル監督の秀作。
時代を考えると、とてつもなくていねいにつくられたカラー作品だと言える。

高地にある修道院を舞台に、環境やあらたに出会ったひとびとが思い出させる
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さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)

2.5


チャンドラーの原作をよくも90分にまとめたと思わせる、すっきりとした一本。

だが、ロバート・ミッチャムがやや老けすぎかつトロすぎるのが気になるのと、肝心のサプライズが映画ではどうしても効かないとい
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アーノルド・シュワルツェネッガーのSF超人ヘラクレス/アーノルド・シュワルツェネッガーのヘラクレス/アドヴェンチャー・オブ・ヒーロー(1970年製作の映画)

3.3


シュワルツェネッガーの映画デビュー作。

低予算ならではの雑さはいたる所に目につくのだが、それでもなぜか画面に見入って思わず笑ってしまう痛快コメディ。
チープな映像をよく見ていると、古典的ハリウッド
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ターミネーター4(2009年製作の映画)

3.1


シリーズ第4作目というよりも、前作までとはまったくテイストのことなる作品。

キャラクターものを脱してそれなりに面白く、ひとつの映画としてていねいに作られている。
だがそれなら、中途半端にお約束のネ
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ターミネーター3(2003年製作の映画)

2.0


シリーズ第3作だが、監督の交代もあってか、ネタ満載のキャラクターものに変貌をとげた。

CG技術の発達のおかげで特殊演出はこなれており、前作にくらべると格段に「破壊しまくる」アクションも派手で見応え
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ターミネーター2(1991年製作の映画)

3.1


シリーズ第2作。

前作の無駄のないシンプルな構成を捨ててまで取り入れた、機械との人間的な交流のドラマが成功している。
いろいろな意味で、より大衆むけエンターテインメントな要素がつよくなった。

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ターミネーター(1984年製作の映画)

3.2


シュワルツェネッガーの名声を決定的なものにしたシリーズ第1作。

プロットにいっさいの無駄がなく、映画としての構成がじつに見事。
(もっとも重要な伏線は早々とわかってしまうのだが)
もったいないのは
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サンタクロースになった少年(2007年製作の映画)

3.4


まるですてきな絵本を読んでいるような、やさしい雰囲気をまとったファンタジー。

これ以上でも以下でもないシンプルなものがたりが、細部まで統一感のある世界観のなかでセンスよくえがかれている。
ひとりと
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血を吸うカメラ(1960年製作の映画)

4.0


発表当時はその過激な内容により、パウエル監督の失脚につながった問題作。
だが、狂気となるニードルの性的なメタファー性をはじめ、当時の制約のなかで生み出されたアイディアはさすがとしか言いようがない。
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落下の王国(2006年製作の映画)

4.1


事故の怪我からたちなおれないスタントマンと、彼の語るものがたりに耳を傾ける少女との交流がつくりだす映像芸術。

スタイリッシュにも見えるスタイルのなかにあるのは、傷ついたもの(おそらく監督自身の精神
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