くろいひとさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

くろいひと

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駅馬車(1939年製作の映画)

4.0

旅をする乗合馬車で一緒になった、考え方も目的もそれぞれバラバラな乗客たち。
リンゴ・キッドの世界をベースにした西部劇だが、そのなかで人間の熱いドラマがえがかれている。

若き日のジョン・ウェイン、娼婦
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第三の男(1949年製作の映画)

4.0

効果的に使われた光と影、疑惑や不安の表現としてカメラそのものが斜めになって被写体を撮るなど、随所に意欲的な工夫が見られる。

わずかな出番で圧倒的な存在感を残すオーソン・ウェルズ。
ジョセフ・コットン
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紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

3.3

やはり一流のスター性を持つマリリン・モンローがいかにも彼女のイメージといった役柄で出ているが、むしろジェーン・ラッセルのていねいな芝居が印象に残る。

『モンキー・ビジネス』でも存在感をしめした名脇役
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モンキー・ビジネス(1952年製作の映画)

3.5

テンポのよいドタバタコメディ。

展開はよくある典型をはずれないが、そこに猿がからんでいることでぐっと面白さが増している。
そして、その猿(じつはチンパンジー)がなかなかうまい芝居を見せている。

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脱出(1944年製作の映画)

3.0

評価の高い一本たが、名作『カサブランカ』の焼き直しという印象は否めない。
たしかにこちらのほうが「わかりやすい」ストーリーにまとめられてはいるのだが。

ハンフリー・ボガートはより自由に演じているよう
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ヒット・パレード(1948年製作の映画)

3.7

おなじくホークスとワイルダーのコンビによる『教授と美女』のリメイク。
かなりの部分において、セリフや俳優の動きにいたるまで前作を徹底して模しているのがまず笑える。
そういう意味では『教授と美女』となら
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教授と美女(1941年製作の映画)

3.9

世間知らずの学者たちが、流行の最先端の言語を学ぼうとするところからはじまるコメディ。
ホークスの演出もだが、なんといってもビリー・ワイルダーのすきのない脚本が素晴らしく、勢いだけではない緻密なコメディ
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赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

3.5

振り回される男ケイリー・グラントと振り回す女キャサリン・ヘップバーンによるスクリューボールコメディの名作。
このジャンルの名作はあまたあれど、なかなかここまで「あぶない」女はいないだろう。

「赤ちゃ
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特急二十世紀(1934年製作の映画)

3.6

ジョン・バリモアとロンバードがマシンガンのようなセリフの応酬を聞かせ、ひとときも見るものを休ませない。
すこし休ませてほしいと思うほどつづくそのあまりの狂気とテンションにもかかわらず作品が破綻しないの
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暗黒街の顔役(1932年製作の映画)

3.7

いまでも色褪せないスピード感。
内面のはがれ落ちた男たちが見せる、徹底した暴力と、ポール・ムニ演じるカモンテの妹へのねじれた愛情。

感傷や感情移入といったものをいっさい許さない、ストイックな傑作であ
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光に叛く者(1931年製作の映画)

2.5

刑務所ものたが、全体に低調。
囚人のボリス・カーロフの存在感はさすが。

港々に女あり(1928年製作の映画)

3.5

ハワード・ホークスのサイレント時代の秀作。

ヴィクター・マクラグレン演じるスパイクの底抜けな「気のいいやつ」ぶりがスクリーン全面にあふれていて気持ちがいい。

高所からの飛び込みと、飛び散る水しぶき
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過去を逃れて(1947年製作の映画)

3.8

いわゆるフィルム・ノワールの典型中の典型とも言うべき作品。
また、ジェーン・グリア演じるキャシーもまた、ファム・ファタールの典型中の典型。

時間と場所のいささか込み入った構成も自然で、全編にわたって
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キャット・ピープル(1942年製作の映画)

2.8

古典的なホラーサスペンス。

夜の道やプールでの迫り来る恐怖の表現や、黒豹の出現シーンの現実と妄想のシームレスな構成など、シーンによっては面白い工夫も見られるが、全体的には低調。
それは表現方法がすで
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毒薬と老嬢(1944年製作の映画)

3.6

全編にわたってとどまることのないドタバタに貫かれたブラック・コメディの傑作。

スクリーンにうつる何人もの「おかしなやつら」のナチュラルさと、それに振りまわされるケイリー・グラントの異様なテンションの
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.0

あまたあるコメディの原型とも言うべき典型が散りばめられたスクリューボールコメディの古典的傑作。
「笑い」の要素は時とともに風化していきやすいが、偉大なるこの作品は古典でありながらいささかも古びておらず
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カサブランカ(1942年製作の映画)

3.4

ハンフリー・ボガートのよさが最高に発揮された古典的名作。
顔には出さずとも(ボギーはもともと顔に出ない)リックのイルザへの複雑な想いにあふれていて、じつに人間くさいところが共感を呼ぶ。

これほどヨレ
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マルタの鷹(1941年製作の映画)

2.9

「マルタの鷹」をめぐってのやや複雑な人物関係が錯綜したハードボイルド。

理屈抜きにハンフリー・ボガートのニヒルな演技を楽しめばよいのだが、ハードボイルドの主人公にしてはよく喋る。

シドニー・グリー
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ベン・ハー(1959年製作の映画)

4.3

長大な本作が見るものを飽きさせないのは、一本の映画がベン・ハーをめぐる三部作のような構成になっており、それぞれの部分に圧倒的に面白いクライマックスがあるためだろう。

とくに福音書の世界とまじわる最後
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ローマの休日(1953年製作の映画)

4.2

どんなに繰り返し観ても飽きることのない不滅のラブコメディ。
いずれへ歩いても見応えある観光スポットに出会うローマの街のごとく、本作もまたどこを切っても忘れられない名シーンばかり。

ラストショットに満
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十戒(1956年製作の映画)

3.8

有名なモーセが海をわけるシーンや、シナイ山上で神と出会うシーンなどは、いまとなってはさすがに古びて見えるが、それでもやはり作品全体のスケール感は圧倒的。

チャールトン・ヘストンのモーセ、ユル・ブリン
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地上最大のショウ(1952年製作の映画)

3.1

豪華なサーカスのショウも、そのわくわくするような舞台裏も、いまとなっては古びてしまっていることは否めない。
ヒロインの立ち位置の節操のなさもいささか説得力に欠ける。

それでもなおこの映画に観る価値が
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オズの魔法使(1939年製作の映画)

3.7

わかってはいても、なんど見ても驚かされる「白黒/カラー」の切り替え。
ミュージカル映画であることを忘れさせるほど自然な音楽と芝居の融合。

ヒロインのジュディ・ガーランドはもちろん、案山子のレイ・ボル
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風と共に去りぬ(1939年製作の映画)

3.9

その上映時間にしてまったく長さを感じさせず、その制作年代にしていまだに古さを感じさせない傑作。

これまた長大な原作にくらべ、大河ドラマの総集編のごとくいきなりエピソードが飛んでいくのは仕方がないが、
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(1963年製作の映画)

3.6

ヒッチコックがそのテクニックを用いて、いままで撮らなかったタイプのサスペンス映画を撮った、というべきか。

見るものがストーリー云々を追うことを拒否するかのような展開。
枝分かれした伏線も回収されるこ
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サイコ(1960年製作の映画)

4.3

すべてにおいてヒッチコックの最高傑作といって間違いない名作。

重要なシーンでアップで映される「眼」が象徴するように、彼らがなにを見ているのか。そして観客はなにを見せられているのか。
しだいにわたした
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北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

3.7

ストーリーの展開、なかなか明かされない秘密、主人公とヒロインとのすれ違う関係、スケールのおおきい逃走劇、敵のアジトへの侵入…

典型的なスパイ映画の要素をこれでもかと盛り込んでいる本作は、ヒッチコック
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めまい(1958年製作の映画)

4.3

ヒッチコックの映画のなかでも一、ニをあらそう傑作。

ひとは目に見えているものを見ているのでなく、見たいものを見ているのだという典型を見事に映像化した作品である。

高所恐怖症というだけではなく、別の
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間違えられた男(1956年製作の映画)

2.8

はじめにヒッチコックが「これは実話です」と前口上を述べるが、なんともスッキリしない、いやな印象ばかりが残る。  

そもそも、ヒッチコックの映画の大半は「間違えられた男」の話なのだが、本作ほど救いのな
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知りすぎていた男(1956年製作の映画)

3.0

あまりに有名な劇中歌である「ケ・セラ・セラ」を歌うドリス・デイがなかなかの名演。

そんなにたいして「知りすぎて」もいない主人公親子が巻き込まれる、ややテンポ感の悪い展開のなかで、その曲が活躍するクラ
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ハリーの災難(1955年製作の映画)

3.3

なんの説明もなく野原に転がる死体。
このハリーこそがもの言わぬ本作の主人公である。

解くべき謎も、逃げるべき敵もいない、気楽に眺めていられるコメディ。

シャーリー・マクレーンの可愛さ。

泥棒成金(1954年製作の映画)

2.9

グレース・ケリーとケイリー・グラントのラブコメを安心して見ていられるという点以外は、いささか退屈な作品。

真犯人の正体は意外といえば意外だが、予想できる範囲である。

裏窓(1954年製作の映画)

3.5

カメラの「視点」について繰り返し批評家たちの分析の対象にされてきた本作。
ヒッチコックの演出についてはひじょうに多くの面白い点がある秀作。

しかし、見るものの大方の予想通りの事実をなぞるだけの展開に
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

4.1

いま見ても古さを感じさせないのは、緻密なプロットのおかげ。

犯行ので重要な役割をはたす「あるもの」が、そのまま犯人が追いつめられる小道具になる巧妙な構成。

グレース・ケリーの魅力もさることながら、
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私は告白する(1953年製作の映画)

3.6

告解をうけた神父がそれを他言できないということを利用したサスペンス。
あまり神父に見えないモンゴメリー・クリフトだが、それがかえって彼の過去の秘密にリアリティをあたえているようだ。

神父を追い詰める
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

3.9

列車で乗り合わせた「見知らぬ乗客」から交換殺人を持ちかけられるという、その導入から引き込まれる、スピード感ある傑作。

ブルーノの演じるロバート・ウォーカーのサイコパス具合が、ガイを演じるファーリー・
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