シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価

シャチ状球体

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エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)

3.6

まず、内容についてはいつものフェデ・アルバレス監督作品と殆ど変わらない。舞台と登場人物とクリーチャーが違うだけで、演出も展開も他の2作と変わらないということを前提にして、その上で他2作よりもマシになっ>>続きを読む

マローナの素晴らしき旅/マロナの幻想的な物語り(2019年製作の映画)

4.5

犬の長い走馬灯。

世界がSFか絵画のように捉えどころの難しいものとして描かれ、その中で9、またはアナ、あるいはサラ、もしくはマロナは人間との関係を続けたり終わらせたりしながら人生を歩んでいく。

3
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死霊のはらわた(2013年製作の映画)

3.4

同監督の『ドント・ブリーズ』より明らかに(前の作品なのに)気合が入ってる映画。

やっぱり、ホラー映画としてキャラクターに痛みを与えてくるのは人間より死霊だよね(?)……ということで、多少の脚本の粗も
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レベル・リッジ(2024年製作の映画)

4.6

田舎の人気のない道で警官に絡まれて……って、完全に『ランボー』。

レイシストで押収金の着服までしている悪徳警官に車ではねられた挙句いとこの語釈金を奪われたテリー。
権力のある警官が銃を撃ちたい人間だ
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ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.2

フェデ・アルバレス監督の過去作を再視聴。

2010年代のティーン向けドラマや映画には、ルーカス・ヘッジズとディラン・ミネットのどちらかが80%くらいの割合で出てたような気がする。

空き家だらけで未
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.9

長髪でヒゲを生やした三浦友和、脱税をしてる会社社長かと思ったら水墨画のプロだった。

横浜流星も清原果耶もどちらかと言えば内向的に見えるので、一人でじっくりと描く水墨画家としてとてもはまり役。

水墨
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トスカーナの幸せレシピ(2018年製作の映画)

2.7

『世界にひとつのプレイブック』みたいに怒りを抑えるのが難しいアルトゥーロが、日本で言う就労継続支援B型っぽい施設で奉仕活動をする話。

アルトゥーロは控えめに表現すると最悪な状態で、酔った状態で出勤す
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エイリアン(1979年製作の映画)

5.0

来週鑑賞予定の新作に向けて(もう一度試してみたら今度はBlu-rayが読み込めたので)劇場公開版を視聴。ディレクターズ・カットより何故か1分長い……。

ディレクターズ・カット版のレビューでも書いたこ
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メシア・オブ・ザ・デッド/メサイア・オブ・デッド(1973年製作の映画)

3.6

前から気になってたやつ。

まず、オープニングの衝撃度が半端じゃない。説明も理由も伏線も台詞もない殺人シーンは『エクソシスト3』並のインパクトがある。

タイトルに"オブ・ザ・デッド"が入っているので
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パリタクシー(2022年製作の映画)

3.3

全てに疲れて常に精神的な余裕のなかったシャルルが、マドレーヌとの出会いで少しずつ尊厳を取り戻していく。

構成としては3分の1くらいがマドレーヌの回想で占められており、1950年代のフランス(世界中も
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ランユー 4Kリマスター版(2001年製作の映画)

3.8

前半、ハントンがランユーに対してこれ以上ないくらい優しく接するんだけど、それは関係を長く続ける気が無いからなんだよね……。
そこから悲恋の話になるのかと思ったら、予想より複雑な展開だった。

ハントン
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ミツバチと私(2023年製作の映画)

4.6

ルシアがジェンダー・アイデンティティを獲得するまでを描いた映画。

出生時の性別を絶対視する大人に囲まれて存在を否定されるルシアの姿がとても辛い。
性別なんて関係ない……わけはなく、実際は性別が強力な
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ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ(2023年製作の映画)

2.7

原作ゲームと異なり、主人公が夜勤の仕事をせざるを得ない背景が最初に説明されるので導入が自然なのが本作の唯一良い点。
主人公一人だと間が持たないので、親権の話や他の登場人物達が尺稼ぎのために挟まれてます
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.1

マッチョイムズは確実に精神を蝕んでいく。強くあることを称賛することは、逆説的に強くなければ存在を肯定されないということ。だから、永遠に立ち止まることも軌道修正することも弱音を吐くことも許されない。>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.0

カーラの周りで深刻なことばかりが起こるけど、頻発しすぎて実際は殆どコメディ。

抑圧された大人が子どもを抑圧し、その子どもは態度で抑圧を表出させる。その連鎖のしわ寄せを諸に受けるのが立場の弱い子ども達
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エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

3.7

『エイリアン:ロムルス』の日本公開まで1週間を切ったので初代を……と思ったらBlu-rayが再生できなかったので、代わりに未レビューだったこちらを視聴。

監督の演出と脚本が全くかみ合っていない『プロ
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クロ子(2024年製作の映画)

3.0

U-NEXTで大量に配信された短編映画の一つ(殆どの作品がFilmarksにページが存在しなかったので、珍しくあったこれから視聴)。

ワニのクロ子がバス停のベンチで人間と交流するほのぼのストーリー…
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ヘル・オブ・ザ・リビングデッド 4Kリマスター版(1980年製作の映画)

2.4

未見で絶対つまらないと分かっているのに、『ゾンビ』や『エイリアンドローム』から使い回しているゴブリンの音楽目当てに約6200円でBlu-rayを買ってしまった映画。このお金があったら、一般料金で『エイ>>続きを読む

穢れなき王国(2024年製作の映画)

3.0

劇中でシャビエルとジェラルドが起こす犯罪は自作自演だけど、メキシコでは激しい貧富の格差やカルテルの支配によって実際に誘拐殺人や強盗が日常の光景であり得る環境なので、二人の行動には非常に狡猾かつ極限の悪>>続きを読む

本陣殺人事件(1975年製作の映画)

3.0

ATGが制作に関わっているからなのか、街ロケがあったり重要な場面で全くの無音になるといった前衛的な演出が多い。

中尾彬の金田一耕助は意外と(?)似合っていて、当時の現代的な服装に腕時計やサングラスま
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メアリと魔女の花(2017年製作の映画)

3.6

魔女とは血筋で決まるものでも選ばれし者がなるわけでもなく、選択するものなのだという概念を提示している映画。

今作における魔法とは武器や原子力のメタファーであり、扱う人間の用途によってどのような効果を
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八甲田山(1977年製作の映画)

3.5

登場人物がかなり多いこともあり、人物描写が丁寧に出来ているかというと微妙。高倉健の舞台の行軍風景はカットしても良かった気がする。
芥川也寸志の音楽で悲劇性が強調されているけど、亡くなった兵士を美化する
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クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)

2.8

この映画を一言で言い表すなら、"とことん現場主義"。

日航機墜落事故の際に北関東新聞の記者達も戦ってたんだよ……という話で、まず記者を兵隊とか、他社との競争を戦争とか、そういう戦いごっこが蔓延するマ
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八つ墓村(1977年製作の映画)

3.5

金田一が中心人物として、毎回起こる事件の登場人物が外部の人間として描かれていた市川崑の金田一シリーズと違い、野村芳太郎の今作は金田一耕助が最初の30分くらいは登場せず、主人公でもないので寺田辰弥の出生>>続きを読む

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.6

オープニングとそれ以降で時間軸が6年間も移動することで、その空白を想像させる作りが巧い。レスリーが宝くじで当てた何億円もの大金がどう失われたのか、息子との関係はどう変化したのか。レスリーの日常から少し>>続きを読む

ナイスガールズ in ニース(2024年製作の映画)

4.0

環境活動家の運動がきちんと肯定される、超真っ当なアクション脱力コメディ。
I have a black friend構文も出てきます。悪い意味でブラックという言葉を使うことを自省する台詞も完備。

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獄門島(1977年製作の映画)

3.4

小林昭二もピーターも加藤武も大滝秀治も坂口良子も、仁義なき戦いシリーズ方式で毎回違う役で出演してます。これが本当のマルチバース。

金田一耕助、身なりも気を使ってないしお風呂にも入ってないっぽいし、こ
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ツイスター(1996年製作の映画)

3.4

人間の力では抗うことのできない竜巻と、やたらと多い登場人物達の相関図が必要そうな関係性。
竜巻から逃げるのが目的ではなく、父を竜巻で亡くしたジョーが竜巻のメカニズムを解明しようとするアドベンチャー映画
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悪魔の手毬唄(1977年製作の映画)

3.6

金田一の映画シリーズ第2弾。

人里離れた山村、20年前の事件、底なし沼の謎。
解き明かしてほしいと言わんばかりの迷宮事件の見せ方もそうだし、村出身の人気歌手が帰郷するところから始まる導入と新たな殺人
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スラムドッグス(2023年製作の映画)

2.9

犬の言動を擬人化しているのと、結構ストレートな下ネタが連発されるのが辛い。

人間に飼われるより野良の方が自由というのも、それは自由というより無法地帯に近いのではないかと思う。
レジーの飼い主のダグが
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太陽の下の18才(1962年製作の映画)

2.6

エンニオ・モリコーネが楽曲を提供している映画マラソン(ゴールは10年後くらい)がしたくなったので視聴。

オープニングの壮大さに反し、本編はニコラ達が夏休みにナンパをしたりTV番組クラスのギャグを連発
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.7

全ての作品は作者の意図や思想が含有されている。
この映画は"現在"より劇中劇や過去の回想の方が多いという珍しい構成で、同時にフィクションと作者の関係がテーマになっている。

エドワードの書いた暴力的な
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犬神家の一族(1976年製作の映画)

3.6

有名だけど今まで触れてこなかった映画。

重要な場面での音楽やスローモーションの使い方が神がかっていて、シーン単位の完成度が一々高い。
全員が殺人の動機を持つ犬神家の面々は一癖も二癖もあって観客を惑わ
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教えて? イヌのココロ(2024年製作の映画)

3.7

まだ研究途中だと片づけられることの多かったネコのココロ版に比べて明らかに情報量が多い。

においによって頭の中に3D空間図を作ってるとか、がんや糖尿病のにおいを嗅ぎ分けてるとか、災害救助や人間の生活補
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ユンボギの日記(1965年製作の映画)

3.5

大島渚の短編。

モノクロの静止画とナレーションでストーリーが語られるので、映画というよりは歴史ドキュメントを見ている気になってくる。

若い人は徴兵されるか大学に行って、ユンボギの住む場所には子ども
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教えて? ネコのココロ(2022年製作の映画)

3.6

ネコの体の仕組みから社会性まで、様々な研究者が見解を述べていくドキュメンタリー。
指差しの方向とか人に対する愛着とか、実験結果として猫が人に愛情を持つことを表明しているのが全世界の猫好きを猫マニアへと
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