DSPECさんの映画レビュー・感想・評価

DSPEC

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17歳のカルテ(1999年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アンジェリーナ・ジョリー演じるリサの魅力が際立つ作品。自由奔放で、暴力的、支配欲が強く、患者でありながらセラピスト、権力に立ち向かう頼もしさも見せる。彼女は我々鑑賞者と登場人物達をも虜にする。


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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

頻繁に登場するイエローキャブや物語の設定からマーティン・スコセッシ監督 " タクシードライバー " へのオマージュを感じさせる。

都会的でハイセンスな映像美…

エッジの効いた尖ったサウンドトラック
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淵に立つ(2016年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます


キリスト教の教えでは天界から墜落した“ 天使 ” が “ 悪魔 " になるとされる。


物語の途中までは八坂は “ 天使 ” の役割を完璧にこなす。

物腰は柔らかく礼儀正しく蛍にも慕われ家族の
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エヴァ(2018年製作の映画)

3.4

劇中に説明を極力省いているので鑑賞者の力量が試される作品と思いきや、意味ありげな演出には大した意図や思惑などない。


一般的に魔性の女性に翻弄される男を描くストーリーの結末は、自分に惚れた男を利用し
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

現在のアメリカ誕生の成り立ちにはネイティブ・アメリカンの存在を外す事など出来ない。イギリスから大挙押し寄せた白人によるインディアン大量虐殺の暗黒の歴史。

力づくで土地を奪い…家族を奪い…彼等の尊厳を
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心と体と(2017年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

文学や音楽の世界で使い古された “ 夢で会いましょう ” という言い回しはこの映画の為に作られたセリフと錯覚してしまうくらいしっくりくる心地良さ。


夢は潜在意識の中にある思いが願望となって現れると
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.0

高名なキュレーターが賞賛して高尚な展示場に鎮座させればどんなガラクタでも高評価を得て、逆に貶せばどんな良い作品であっても酷評されるのが現代芸術。作品の良し悪しの境界線の曖昧さと特殊性が最大の命題。>>続きを読む

レッド・スパロー(2017年製作の映画)

3.7

シャワー室で全裸の男女が戯れる。スチームの蒸気で殆ど視界を遮られたそのシャワー室は密会の場としての役割を充分に満たす。バレリーナの職を奪ったこの男女に対して躊躇なく杖で殴打するシーンからこの映画のヒロ>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.6

Queenの楽曲は音とコーラスを何重にも重ねて録音するのが彼等のスタイル、当然ライブ演奏になるとスタジオでの音を再現するのが非常に難しくなる。

それを彼等のずば抜けた演奏技術と精錬された楽曲のアレン
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青い春(2001年製作の映画)

3.7


友達に九條の様なカリスマ性溢れる魅力的なファンタジスタが存在すれば、自分が凡庸で有れば有る程、 “ 憧れ ” と “ 嫉妬 ” が混在した感情が芽生えても不思議じゃない。

まさにツボミが花を咲かす
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イソップの思うツボ(2019年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

この作品を深読みすれば “ カメラを止めるな! ” をも伏線として利用したという事か???

あの “ カメ止め ” のクリエイター再集結と
いう情報で観客が身構えて目を皿のようにして観る事は百も承知
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

1964年の公民権法の制定で表面的に黒人は白人と平等という権利が保障されたがそれよりも2年前の物語である。

この当時は白人と黒人の区別はいたって普通の事で、大半の白人は黒人が憎いという感情すら無く差
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クラッシュ(2004年製作の映画)

4.4

多種多様な人種が共存するアメリカの普遍的なテーマを描く群像劇。ラストに空から降ってくる物こそ違うが “ マグノリア ”を思わせる細部にまで練られた脚本が素晴らしい。


それぞれのエピソードが全て良
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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶(2017年製作の映画)

3.5

西島秀俊扮する山形直太朗の料理人として立ち振る舞う動作や、包丁さばきは指先まで流麗で優雅に描かれ、本作の滝田洋二郎監督作品 “ おくりびと ” で本木雅弘が演じる納棺師の死人に接する美しい所作を思い出>>続きを読む

羊の木(2018年製作の映画)

4.1

6人の殺人者の “ 再生 ” の物語。

受刑者全員が “ 再生 ” してこの地に溶け込みクリーニング屋さんと田中泯の様な、ほっこりエピソードを単純に何個か放り込んでおけば、感動映画が大好きなfilm
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.2

難民問題を扱った映画に笑顔は不謹慎とでも言いたげに始終ニコリともしないキャスト達。

重い題材を笑いを交え描く事で思ったほどの悲壮感が感じられず、むしろ人の暖かさや温もりを感じる。決して笑かそうという
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祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ミステリーのプロットとしてはそれほど斬新さは感じられなかったが、そこに究極の親娘愛と加賀の母親のストーリーをリンクさせる事で、物語に厚みが出てミステリーの枠をはみ出し人間ドラマを観ているような錯覚を覚>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

3.9

冒頭の炎上する車。古く故障が絶えなかった役目の終わった車を自分自身に置き換えるドロシア。

かつては最先端の女性を自負していたが最近は老いゆく我が身と、時代と自分との感性のギャップで自信が持てない日々
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.2

オープニングの真っ暗な闇の中に強烈な光と共に次々投函される手紙。それをポストの中から撮影している不気味な映像。冒頭からファルハディ監督に難問を出題される。

旅行先の浜辺でエリが突然に姿を消す。これだ
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はじまりへの旅(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ベンの子供達に投げかける愛情は充分に溢れているのは感じられるが、非現実的な生活を課す父親に盲信する子供達の偏った考えや思想や偏見が非常に危険な匂いを漂わせる。

ベンが今迄の生活をいとも簡単に諦め、あ
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ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

4.0

冒頭の宅配のお兄さんの引き攣った笑いがこの映画の全て。お父さんの数々の奇怪な言動に登場人物の全てが始終、苦笑いという前代未聞の映画。

この映画を鑑賞するにはかなりの根気が必要である。辛抱強く鑑賞し、
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

予定調和に進行していく映画を観慣れているせいか、予想の展開をことごとく良い意味で裏切られ、物語が進むに連れて湧き立つ高揚感を抑えきれない。

何十年も放置されたのだろう。本来の意味を成さなくなった3つ
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間奏曲はパリで(2013年製作の映画)

3.5

不倫映画のくせに嫌悪感が皆無で、逆に爽やかで清々しさが感じられ不思議な感覚が味わえる。

固い絆で結ばれた夫婦はたとえ不倫現場を目撃してもそれを咎めず、自分にも非があることを認め、悪い所を改める余裕の
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チェンジリング(2008年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

映画が始まって僅か数分でクリスティンは頭が良く、機転が利き、困難に対して立ち向かう強い意思持った女性像を想像させ、この女性なら難なく敵をやり過ごし、うまく立ち回るのだろうと予感させる。

だが敵は予想
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パターソン(2016年製作の映画)

4.3

序盤から常にこの幸せそうなカップルに何か不幸が起こりそうな雰囲気を醸し出す。

既存の映画を観慣れたせいだろう。想像力を駆使して自分勝手なストーリーを組み立て、完全に身構えながらの鑑賞。

パターソン
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彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

陣治の始終していた不気味な咳は何だったのか?

終盤の回想シーンや陣治の説明の語りが必要以上にくどく表現され、それ自体が伏線になっているかのようで、逆に陣治の咳については意図的に触れず、深層部分に別の
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ガール・オン・ザ・トレイン(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

やけに赤ん坊が多い街アーズリオンハドソン

赤ちゃんが産めない悲しみから酒に溺れ、夫に浮気され離婚を余儀なくされたレイチェル。

赤ちゃんを17歳の時に産み、誤って死なせた過去を今だに引きずり、新たに
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SHINOBI(2005年製作の映画)

3.6

撮影地に行きたくなるくらい綺麗な自然の風景に魅了された。

演者の衣装も多種多様で中には忍者には似つかわしくないくらい派手な色使いもあったが無国籍な世界観で嫌いではない。

権力者に仕え、使い捨てにさ
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ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気(2015年製作の映画)

3.7

ジュリアン・ムーアという女優の凄みと、演技に関して決して妥協しない信念に魅了された。
死へのカウントダウンが始まり、登場シーンごとに違う演技プランを立て、それらは全て彼女の緻密な計算で成り立ち、少しず
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彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

4.0

リンコは本来、心の優しい人物なのだがトモに対して抱く感情は、愛情とか同情という概念ではなくて正真正銘の母性である。リンコが母親から受けた愛で溢れた母性をそのままトモに注ぐ。

荻上監督は多種多様な4人
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.3

この映画は2つのストーリーで物語が構成され進行して行く。

銃規制法案を通すのに必要な上院議員の賛成票を勝ち取る為に、ロビー活動を通して知略、戦略を使い奔走するリズと彼女のチームのストーリー。

以前
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セブン・シスターズ(2017年製作の映画)

3.8

事件が起こる前の7人それぞれの、外での日常生活をストーリーに入れ込んで欲しかった。7人の相反する人格が1人の人間を演じるのだから当然起こるであろう矛盾や綻びをいかに機転をきかして切り抜けて行くのか?>>続きを読む

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

3.8

“ 君のいない世界でできることは君の代わりを見つけること ”
冒頭の紙ナプキンに走り書きした葬儀の席で読まれることがなかった弔辞…

トムとタンゴを踊りながら夢を語るフランシス、母親を施設に入れて農場
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エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

3.9

記憶除去マシーンの特性からすれば、お互いの思い出の記憶の悪い部分だけを、消去することも理論上では可能なんじゃないかと。
その方が需要も多そうだし、関係者やご近所さんへの手紙も省け、面倒な切手貼りもやら
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アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)

3.7

パケ写に釣られて鑑賞

氷で満たされたバスタブの中の満身創痍で前身傷だらけな筋肉質の裸体を曝け出すシャーリーズ・セロン…
しなやかな指で氷を掴み無造作にグラスに放り込みウオッカを注ぐ…
バックで流れる
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ユリゴコロ(2017年製作の映画)

3.5

人を殺す事で得る感情の起伏を心の “ 拠り所 ” にしてる少女の設定が斬新で奇抜で非常に興味をそそられた。

過去に自分が犯した過ちにより、大切な存在である洋介を傷つけてしまった事で、新たな自我が芽生
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