mareさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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未来は今(1994年製作の映画)

3.5

変わった角度から仕掛けるコーエン兄弟の風変わりなコメディ。大企業内外で交わされる取引や陰謀の数々、それらが恐ろしいスピードで蠢く作風でセリフが目まぐるしく多い。急激に訪れたチャンスは裏を返せば、誰かが>>続きを読む

赤ちゃん泥棒(1987年製作の映画)

3.5

コーエン兄弟のゆるくて爆発力のあるコメディにひたすら可愛い赤ちゃんのキュートさが押し寄せるだけでもう満足。そこにコメディ主体のアクションと赤ちゃんを巡る大人のエゴや欲望が渾然一体となってカオスな絵面が>>続きを読む

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

4.0

スコセッシの中ではマイナーな位置付けだけど、シュールな不条理映画というだけで好きになれる。一夜にしてさまざまな怪事件が立て続けに起きるスリリングさに、自由気ままでクレイジーな多数の登場人物はまるでリン>>続きを読む

王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987年製作の映画)

3.0

GAINAXの初めての劇場アニメということで本格SFかなと思ったら、ifの世界線での王国の物語でむしろ宇宙に向かうまでの道筋を描いていた。覇気のない生活から脱却するための男の姿に感化される周囲の人々、>>続きを読む

鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)

3.5

対価や犠牲を必要とするリアリティを一つの街に封じ込めて、正しいことだけじゃ生き延びることができない窮屈さをクロとシロが体現している。街並みを一望できる場所に立って実感できる原風景への愛着、そしてこの街>>続きを読む

地下幻燈劇画 少女椿(1992年製作の映画)

3.0

グロくてド鬱でどん底に突き落とされるガロ系の源泉。過激な表現に目を瞑ることなく突き詰めた作風はカルトアニメの中でも異彩を放っており、視覚的にもメンタル的にも気持ち悪くなるものである。止め絵をベースにし>>続きを読む

ミッシェル・ガン・エレファント “THEE MOVIE” -LAST HEAVEN 031011-(2009年製作の映画)

5.0

高校の頃、ミッシェルが観れる時代に青春を過ごしたかったと散々妄想してた青い自分を思い出した。あの頃の自分が耳にした原体験は一生寄り添い続けることになるのだろう。おかげで今も狂わされてる。彼らほどロック>>続きを読む

質屋(1964年製作の映画)

4.0

感情を失ってしまった質屋の男の心理スリラーともいえるドラマで会話劇の緊張感が持続する作風がたまらない。人物の細かい所作や情景からサブリミナル的に脳裏に蘇る忌まわしき記憶、トラウマが徐々に平常心を蝕んで>>続きを読む

COWBOY BEBOP 天国の扉(2001年製作の映画)

4.0

全く無駄がないし、この2時間アニメシリーズと変わらぬテンションでクールで美味しいところを詰め込んでいて最高すぎる。アクション、セリフ、劇伴のバラエティ、足を踏み入れてはいけないヤバい事件の匂い、背景が>>続きを読む

果てなき路(2010年製作の映画)

3.5

モンテ・ヘルマン21年ぶりの監督作品にして最後の映画となった本作は複雑怪奇なプロットで進行する映画内映画とも呼べるある種の到達点。ただの映画撮影の裏側のドラマかと思いきや怪しい影が立ち昇る映画であるが>>続きを読む

H story(2001年製作の映画)

3.5

ヒロシマモナムールの大胆すぎる解釈。役に誠実に向き合おうとするベアトリスの苦悩や表現することへの重み。果敢な挑戦は遂には完成形を迎えることはなく、ドキュメンタリーとしての文脈に呑まれ、ドラマなのかメイ>>続きを読む

ウェルカム・ドールハウス(1995年製作の映画)

3.0

学校ではいじめられ、家庭では優秀な兄と寵愛される妹に挟まれる散々な日々をおくる思春期の闇。ヘイトの溜まるストーリーだが、どこかカラッとしたインディー味があり、思わぬ方向から陰キャの可能性や逃げ道を感じ>>続きを読む

スリーパー(1973年製作の映画)

3.5

冷凍睡眠から200年ぶりに目覚めたウディ・アレンが訳もわからぬうちにお尋ね者にされてしまう初っ端からドタバタなコメディでかなり笑える。近未来を意識したセットの一つ一つがとてもチャーミングで建物やドーム>>続きを読む

銃撃(1967年製作の映画)

3.5

西部劇なんだけど血生臭い感じは全くせず、むしろミステリー要素が大半を占めて多くを語らない異質な作品。キーパーソンとなる謎の女の名前や目的が一切不明で、誰も本当のことがわからない主人公目線でひたすらに荒>>続きを読む

偽りなき者(2012年製作の映画)

4.5

人間生きていくためにはコミュニティは避けられないものであるという事実が怖くなる。無垢な子どもが発した言葉は恐ろしいスピードで真実味を帯び、共通認識で標的にされた途端に太刀打ちできないような力で排除され>>続きを読む

ウェディング・バンケット(1993年製作の映画)

4.0

一つの嘘が大ごとになっていく偽装結婚の映画で、基本は怒涛のスクリューボールコメディで展開するが、中盤以降の深刻化していくシリアスさとの二面性がかなり上手い。側から見たら笑える状況、企画した当の本人たち>>続きを読む

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)

4.0

偶然にも自動車事故に遭遇し、怪我を負った女を救出、事故として処理しようとする警察の動きは不穏さを残し、興味本位で独自に謎解きをしていくサスペンスで非常に良い。デ・パルマの映画の中だとかなり面白い部類だ>>続きを読む

バンパイアハンターD(2000年製作の映画)

4.0

川尻善昭のアニメは妥協のないアクションと人物描写の丁寧さ、葛藤が表現されていて美しく惚れ惚れしてしまう。獣兵衛忍風帖の時代劇テイストから今作は西部劇テイストへと、さながら黒澤明からイーストウッドへのリ>>続きを読む

獣兵衛忍風帖(1993年製作の映画)

4.0

これまで観てきたアニメの中で最もバトルシーンがカッコ良かった作品。スタイリッシュな時代劇、容赦ないエログロ描写、アダルトな劇画が半端ない切れ味で動き回る鬼門八人衆との戦いの一つ一つが超面白い。いきなり>>続きを読む

鉄路の白薔薇(1922年製作の映画)

4.0

100年前のフランスのサイレント映画にして重厚なる古典。機関車の車輪のカット、逆光を生かした影のある顔のアップ、無数のモンタージュの運動が異常なまでにクール。今観ても古びることはなく芸術的な面でも相当>>続きを読む

ベレジーナ(1999年製作の映画)

3.5

いつものことながらシュミットなので掴みどころがなくあまりよくわからず。正直イリーナの美貌に浸っていただけでほとんど終わってしまった。今までどこか謎めいて神秘的な作風を撮っていたが、遺作にしてブラックユ>>続きを読む

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

4.0

キャッチーなキャラ造形とは対照的に取り返しのつかない鬱展開、最初に想像していた魔法少女像とはかけ離れていて、もっと人間の内面的な暗黒を突き詰めた作風にハマってしまうまどマギ。張り詰めたドラマと思春期特>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.0

普通の世の中を知らずに25年間生きてきた無邪気な青年、ブリグズビー・ベアだけが教えてくれた世界のルールとファンタジー、その原体験は屈託のない軌道を描いて周囲を巻き込んで創作へと突き進む。ベタにこういう>>続きを読む

愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.5

人生の折り返し地点で迎えるドロドロの三角関係。愛の純度を保ち続けることは男女にとって最高のハッピーエンドであるが、それ故に困難は多く、疑惑や綻びが生じると互いの信頼関係は濁ってしまい、深い沼に陥る。ド>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

やはりゴジラはスクリーンで味わなければいけない。あの暗闇で映し出される絶望はいつ観ても恐怖でしかないし、VFXの仕事の賜物だろうなと思う。紛れもない戦慄が身体を貫いた感覚は確かにあった。ただやっぱり山>>続きを読む

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)

3.5

渇いた苦痛の連続でありながらそれを痛がる様子もなくダウナーなムードが終始徹底されたアメリカンニューシネマ。ベトナム戦争下、捕虜としての体験が歯向かう闘志すらも削いでしまったように見えるドライな主人公の>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

2.0

個人的にケリー・ライカート作品はハマるハマらないがハッキリと分かれる。リバー・オブ・グラスとオールド・ジョイはかなり好きなんだけどね。一貫して流れるようなゆったりとした作風は初期から変わらないはずだが>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

この平山という男の質素ながらも日々変わらぬ充実を取り入れていくルーティンが非常に気持ちよくて、心の底から理想の生き方をしていて羨ましくなった。人生の一つの模範を見た気がする。映像のリフレインに予期せぬ>>続きを読む

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(1984年製作の映画)

4.0

星間戦争に次々と駆り出される無数の戦艦、文化の対立とその起源、ミンメイの歌が星々の中心でカルチャーの象徴として鳴り響く。全盛期のロボットアニメにアイドルのエッセンスを織り交ぜたエポックメイキングな古典>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

4.0

ホームドラマをベースにし、安易にグロに走らないクローネンバーグの秀作。平穏な日々に突如として訪れる暴力の影、家族のために立ち上がる男のヒロイックな美談かと思いきやそう一筋縄ではいかない。サム・ペキンパ>>続きを読む

スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

4.0

スクールカーストに埋もれてしまったようなイケてないバカ3人がイケてる女子をモノにするためにあれこれと必死に作戦を立てるものの、全然計画通りにいかなくてカオスな展開に巻き込まれていくのが痛快。思春期で全>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.5

OLのリアルな脳内がフルスロットルかつ異常なテンションで突き進むので、胃もたれしそうになったが、俺も普段頭の中はこんなもんか?と考えるとちょっとした共感に変わった。"なんかわかる"を散りばめた妄想と現>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

ギャスパー・ノエが見つめる老夫婦の迫り来る終末。スプリットスクリーンで二人の行動を同時に映し出す冷淡なカメラは、映画だからといって色付けされた訳ではないドライなリアリティがあった。不安定な人間の行動そ>>続きを読む

still dark(2019年製作の映画)

4.0

たった一つの純粋な動機で夢追い人になる若者。憧れだけではどうにもならない現実、チャンスはどこにでも転がっているわけではないけれど、最初の扉を叩くことくらいは誰もが持ち得る権利だと信じたい。課せられたタ>>続きを読む

注文の多い料理店(1993年製作の映画)

3.5

ドローイング調のアニメーションが生々しく、不穏な物音を伴って積み重なっていく不条理がシンプルに心地いい。子どもの頃に読んだ以来でなんとなく覚えているくらいの感じで観たけど、童話特有の想像上の怖さを久し>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

とにかくカウリスマキ帰ってきてくれてありがとうの一言に尽きる。マジでカウリスマキの映画は不変でハズレがない。人生のほんの一瞬を切り取った束の間の切なさ、孤独同士が寄り添い合う親密さ、そしてこのコンパク>>続きを読む