mareさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

とにかくカウリスマキ帰ってきてくれてありがとうの一言に尽きる。マジでカウリスマキの映画は不変でハズレがない。人生のほんの一瞬を切り取った束の間の切なさ、孤独同士が寄り添い合う親密さ、そしてこのコンパク>>続きを読む

ピノキオ√964(1991年製作の映画)

3.0

見ての通りヤバさしか伝わらないジャケットで、トランス状態で作られたとしか思えない法を破りまくったような強烈な自主制作感が蔓延してる。画面に映るもの全てが劇薬のようであり、ダークウェブに落ちている映像を>>続きを読む

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)

4.0

デスゲームものの先駆けであり言うまでもない影響力があるし、原点にして頂点と言ってもいいほどに今なお革新性がある。まさしくゲームチェンジャー。殺し合いで全てを解決しようとする世紀末感、漫画のようなめちゃ>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

とてつもない上映時間を過ごすことになるが、決して蛇足ではなく、欲に蔓延した闇の歴史を丁寧に描き切る。裏の裏まで徹底して仕組まれた謀、悪に染まった白人の行いが凄惨なドラマとして再現される。陰謀の加担者と>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

アウトレイジ以降はエンターテイメントとして仕上げ、初期の作風からは距離を置いているようにも見えるが、予測を立てる前にことが終わるリズムと切れ味は一貫して衰えない。ドラマのように戦国時代を美化しないたけ>>続きを読む

デ・ジャ・ヴュ(1987年製作の映画)

3.5

むずくてあまり本質を享受できなかったのだが、オカルトな題材かつシュミットの画面構成と妖しげな映像美は相変わらず良かった。シュミット作品の映像美こそBlu-rayで味わいたいのでどうか出て欲しい。現実と>>続きを読む

ホームシック(2020年製作の映画)

3.5

誰一人いない街並み、サッカー場、飲食店、駅のホームなどを淡々と映し、そこに人々の賑わいを音声で後付けする。それだけで寂れた街並みはまるで活気を取り戻したかのように映り、彩りを取り戻し、そこにないはずの>>続きを読む

バリエラ(1966年製作の映画)

4.0

自由すぎる画面の作り込みと脈絡なく紡がれる会話に、多層化された静かなる反逆精神がどうしようもなく溢れてしまっているのだけは辛うじて分かるが、イメージの羅列と化したこの映画を読み解くのはあまりに困難。優>>続きを読む

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.0

頭からお尻まで隙のないストーリー展開、状況が刻一刻と変化し、ダレる瞬間が全くなく半端なく面白い。内田けんじの脚本力恐るべし。堺雅人と香川照之の演技合戦ともいえる騙し騙されの最高のエンターテイメントで、>>続きを読む

ヒルコ/妖怪ハンター レストア&リマスター版(1991年製作の映画)

3.5

Jホラーとスプラッターホラーを1:1で掛け合わせて、塚本晋也お得意の人体破壊、肉体の追求を盛り込んだやりたい放題してる初期作で最高。そしてクリーチャーデザインが割と本当に気持ち悪いし、程よくグロい。ジ>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.0

血生臭く終わりの見えない広島ヤクザの死闘。こんなにも熱量を帯びた実録感のあるヤクザ映画はこの時代の俳優たちでしか撮れないだろう。ギラギラした圧倒的な目力、眉間のシワの寄り方、ドスの効いた広島弁、銃殺シ>>続きを読む

男はつらいよ(1969年製作の映画)

4.0

口が達者で能天気で、でもやることが裏目に出て喧嘩っ早く頑固で不器用な、そんな寅さんの人間味がこれでもかと味わえるこの上ない喜劇。言うまでもなく役者陣が最高で笠智衆と志村喬が出てるだけで興奮だし、若かり>>続きを読む

いますぐ抱きしめたい(1988年製作の映画)

3.0

デビュー作だけあってウォン・カーウァイ覚醒前という具合の質感。タイトルとジャケットのイメージだけだとどうしてもラブロマンスを想像しちゃうけど、れっきとしたギャングのアクション映画でちょっとビックリ。男>>続きを読む

アン・ラシャシャン(1982年製作の映画)

3.0

選択の意志を表明する子どもが義務を強要する立場の大人に対してひたすら反抗的な態度を取り続ける様は、側から観ている分には愉快なやり取りにすら見えてしまい面白い。映画における十八番の一つだろう。ストローブ>>続きを読む

早すぎる、遅すぎる、(1982年製作の映画)

2.5

俺には早すぎた。ストローブ=ユイレによる歴史的なレポート、授業というような見心地で、風景に遊びを与えている分、観光映画としての側面も併せ持つ。フランスからエジプトへ主題は二部構成で展開され、その土地を>>続きを読む

こおろぎ(2006年製作の映画)

3.5

その土地の伝承と依存関係にある男女の言葉なき奇妙な絡みが他に例えようもない雰囲気を醸し出している。最小の登場人物でいかにも壮大にそれっぽく世界観を構築するこの青山真治らしさが非常に刺さる。食事シーンの>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

これまでよりも派手さを抑えた硬派な作りであるが、その一方でかなり遊びが見え隠れする二面性がいつものフィンチャーから外れていて気持ちよかった。入念な準備、証拠隠滅と仕事のシーンがほとんどを占め、淡々とし>>続きを読む

陽は昇る(1939年製作の映画)

3.0

頭から結末を提示してどうしてそうなるかに至ったかを辿っていく手法で、男女の愛憎劇を描く。愛憎劇といっても不倫みたくドロドロした見せ方ではなく時代的なところもありさっぱりと見える。性質の違う2人の女性に>>続きを読む

囚われの女(1968年製作の映画)

3.5

惹かれることによって見失っていく迷宮感、溺れるほどに増幅していく妖しさ、こうした不条理のビジュアルの見せ方はアルトマンのホラーテイストにも近しい。それらしさを感じさせるクローズアップに、片目ずつで変わ>>続きを読む

マイセン幻影(1992年製作の映画)

3.0

マイセンコレクターの生き様、マニアたるもの愛してやまない嗜好品と生活に寄り添い、己を全うするまで同じ空気を共有する。ちなみにマイセンとは陶磁器のことである。収集癖がある人間に付き纏う命題に真摯に向き合>>続きを読む

グッドモーニング・バビロン!(1987年製作の映画)

4.0

なんともドラマティックな兄弟愛の映画ともいえるし、映画を語る映画でもあるし、やり切れない世相を反映する映画でもある。いずれも強靭なニュアンスを持っているため、タヴィアーニ兄弟の映画はどこを切り取っても>>続きを読む

ブラックボード 背負う人(2000年製作の映画)

3.0

とにかくみんなが生きていくことに必死だなというのが強烈に伝わってくる映画で、命懸けで生活に縋り付く難民たちと生活の糧を手に入れるために先生としての使命を何としても叶えようとする男のひりつくようなドラマ>>続きを読む

サイレンス(1998年製作の映画)

4.0

盲目の少年が主人公、最初は身の回りの音を全てシャットアウトするも最終的には音を支配し指揮する存在になるという一つの神の誕生を目の当たりにした感覚に陥った。耳しか頼りにならない少年の佇まいは、目よりも鋭>>続きを読む

海辺にて(1992年製作の映画)

4.5

アンビエント、ドローン、ニューエイジとこの手の音楽が好きな人からしたらたまらなく極上なイメージの洪水。海の映像に合わせて音も揺れ動くというそれだけの内容だが、感覚的にひたすら恍惚にさせられる体験でこの>>続きを読む

ミミ(1996年製作の映画)

3.0

ルシール・アザリロヴィックのデビュー作というだけあって、編集に着目すると夫ギャスパー・ノエの痕跡が確かに感じられる。50分ちょっとで描かれる少女の闇。母親が入院したためおばさんに引き取られるが、ミミは>>続きを読む

ショコラ(1988年製作の映画)

3.0

埋まることのない白人と黒人の溝を意識させられ、カメルーンで唯一の親密な関係であったはずだが、それぞれに痛み、孤独を背負っている。子どもと大人、共有している空間、景色は同じでもそれぞれの心象にはギャップ>>続きを読む

ツバル(1999年製作の映画)

4.0

主人公が外の世界を知らないというどこかで聞いたことのあるSF設定、突然出会ったヒロインとのラブストーリーを軸に進行し、セリフも文化的知識も必要としない感性のみに委ねられる宝物のような輝きを放つどこまで>>続きを読む

アナザー・デイ・イン・パラダイス(1998年製作の映画)

3.5

SEXとドラッグに溺れる少年少女という相変わらずのラリー・クラーク節は健在だが、本作にはドキュメント性はあまりなく、ストーリーラインがしっかりと敷かれている印象。どうしようもなく堕落していく、因果応報>>続きを読む

ペサックの薔薇の乙女79(1979年製作の映画)

3.0

11年前に捉えた光景をユスターシュは再現する。白黒からカラーになったこと以外は前作のドキュメンタリーとプロットや起承転結に至るまでほとんど一緒だが、反復や繰り返しを積み上げる彼の作家性と共鳴し、継続す>>続きを読む

ペサックの薔薇の乙女(1968年製作の映画)

3.0

ユスターシュは故郷ペサックに立ち帰り、その地に伝わる風習を混じり気のない視線で真摯に見つめている。毎年薔薇の乙女に相応しい一人を投票で決めるというもので、その年のアイコンになった者を称え、幸福を祈る。>>続きを読む

ラブ・セレナーデ(1996年製作の映画)

3.0

シャレオツなラブストーリーを期待していたが蓋を開けてみたらかなり変な映画だった。二人の姉妹の家の隣に名の知れたラジオDJが引っ越してきて基本的にその三人のみでストーリーが進行する。その男に妙に惹かれる>>続きを読む

ジャグラー/ニューヨーク25時(1980年製作の映画)

4.0

元警官の男が誘拐された娘を助けに行くだけのストーリーだが、序盤からいきなりカーチェイスでぶっ放し、その後も基本場所が変わっていくたびに暴力でその場を乗り切っていく動きの連鎖がたまらなく気持ちいい快作。>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

2.5

あらゆるメタが反映されまくった豪華すぎるごった煮映画なので今作も例に漏れず情報量に呑み込まれるわけだが、今作に関しては完全に白旗を上げる。ワンシチュエーション且つ劇中劇を強調する多層的なつくりが恐らく>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.5

90分台の尺でこういう頭の使わないB級映画はやはり痛快。実話に基づくとのことで多少なりとも誇張表現をしているのかと邪推してしまうが、基本コメディでグロさもしっかりありつつ、さまざまな人物の視点からクマ>>続きを読む

ネイキッド(1993年製作の映画)

3.0

欲望のままにというのもあると思うが、それ以上に行き当たりばったりの人々との出会いや意味もなく積み立てられる会話に虚しさが込められていたりして自暴自棄な印象が大きい。健全さであったり目標というものが欠如>>続きを読む

アリックスの写真(1980年製作の映画)

3.5

アリックスの写真を次々にめくり、作品ごとの思惑、バックボーンについて語り、考察を重ねていく。写真という一枚のイメージに封じ込められたストーリー、反映された作者の心理描写、鑑賞する各々が思いに耽ること、>>続きを読む