8637さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

瞳の中の訪問者(1977年製作の映画)

3.2

道徳の授業でブラック・ジャックについて学んだので、こちらも観てみた。

とはいえ、やはり大林宣彦の映像マジックの方に目がいってしまった。
監督作の中では珍しいシネスコサイズで語られる恐怖は「HOUSE
>>続きを読む

ザ・ファブル(2019年製作の映画)

3.5

新作を劇場で観るか大変迷っていたのでとりあえず観た。

"おもろいショット" "おもろい編集"が多くありたまに「ええやん」と思う事もあったけど、大阪弁で繰り広げられる笑い(製作側はそう主張しておられま
>>続きを読む

生きている(2020年製作の映画)

2.9

誰が誰を笑ってるかわからない。こう見えて関係性の恐怖を炙り出しまくってる作品。

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

"人は二度死ぬ"という言葉がある。人間の本当の死は、忘却。それを前にして、貴方は誰かの死を望めますか。
起承転結で表すならば、"結"は最良なものとは言えなかったかも知れない。ヤクザに人権を譲らない国は
>>続きを読む

授業の後で(2018年製作の映画)

3.2

15分の中で2回も「この展開は予想できなかった」が待つ映画。

「授業の後で」という題名から温かなものを想像しているあなた(ちょっと前の私)は、純真無垢な少女のちょっとした思い違いやあの展開をこれから
>>続きを読む

私は確信する(2018年製作の映画)

3.0

陪審員=ある意味の素人に対する説得は間接的な暴虐。
容疑者も弁護士も証人も、裁判では立場に見合う人間の価値すら問われている。
エンタメ性・映画的な沈黙・一人の女性と照らし合わせた"事実"など、誰でも観
>>続きを読む

11月1日(2019年製作の映画)

3.0

28年目の11月1日。罪人に頼り続けてきた日々が終わることに、本当は悲しみを感じていたのではないか。

死刑映画特有のトラウマ的緊張感を保ち続けながらも新たな視点で"蓄積された悪意"のようなものを描い
>>続きを読む

TUNE(2018年製作の映画)

2.8

語られているものこそ音楽だが、"映像詩"という感覚がした。自らの心の中に眠る温かな思い出を想起させるようなフィルム映像から、レコードの溝の件のような異次元さまで、、、それを繋ぐ曲もまた良い。

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

3.2

上には上がいて、そこに近づけるのは儚い夢の様に一瞬...
政治については自分の中で誤解があるかも知れないが、実際の政治問題を基にしたフィクションという扱いのためアクション・ノワール等の変色が加わり、映
>>続きを読む

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

3.0

モノクロの域すらも超えたような色彩が脳内を巡っている。
その上、ただのBGM以上でミュージカル未満な立ち位置の音楽に動かされた。

最後に、一番言いたい事を言わせてください。
「オヨヨ〜」

マーメイド・イン・パリ(2020年製作の映画)

3.2

夢とは言い難い。快楽以上の悪夢。"死ぬほどの愛"という言葉の裏には本当に死ぬ程の苦しみがあった。
だけどこれは暗い物語ではない。二人が愛し合うまでの純粋な気持ちと、その気持ちが見せる幻想的な景色。
>>続きを読む

ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画好きが自分のオールタイムベストの作品に懸ける思いは何よりも強いだろう。
この評論はめちゃくちゃに長文になる気がする。なにしろ、僕のオールタイムベストである。

オールタイムベストとTwitterの
>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

4.0

難解と楽園の二本立て。
異端児にしか考えられない発想を世に問える庵野秀明の脳内とは。
崩れた時系列がはまる爽快さ。私の想像すら見抜かれたかの様な人体学。トラウマというより創造の先。
これが日本の歴史の
>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.8

いろんな意味で、反戦映画。
イマジナリーフレンド、だけどヒトラー。だけど尊い(?)。しかし独裁者は独裁者。それに少し、恋の予感。

ジョジョは人から蔑まれる以上に、人に愛情を持ち、だからこそ人に愛され
>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.2

終映後に上白石萌歌さんが是非ハッシュタグ付きで感想挙げて下さいと言っていたのでつけてみた。

...それはともかく「尊い」の塊の様な映画だった。
沖田監督、いつも通りの会話劇とエモーショナルだけの真っ
>>続きを読む

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

3.5

最後、音楽による感情の昂らせ方が激しいのだが本当は、二人の出会い以外には何一つ変わらない、今まで通りの生活が続く予兆しかなかった。
このビジュアルと「オーバー・フェンス」というタイトルでは監獄の物語な
>>続きを読む

人数の町(2020年製作の映画)

4.3

その地獄は、自由すぎた...
誰もが「人数」になってしまう恐怖は語られるが、この映画は生きながらにして何も知らない僕らに"正解"を教えてくれる映画じゃない。
あまりに独創的すぎて追いつけないのもこの町
>>続きを読む

水曜日が消えた(2020年製作の映画)

3.7

2回目。
贅沢な生活じゃないか。一週間に一日であれ、彼らは問題なく充実している。
雰囲気は気持ちいいし、曜日に対する偏見と共に火曜日だけを映し出す前半の手法は面白いのだが、サスペンスとして考えると何か
>>続きを読む

玉城ティナは夢想する(2017年製作の映画)

3.7

何て素晴らしい。たった10分の映画とはいえ玉城ティナは、小松菜奈・唐田えりか・堀未央奈に並ぶ山戸結希監督のミューズだった。

女の場合は、「もし私が玉城ティナだったら」。
男の場合なら、「もし自分が玉
>>続きを読む

さよならドビュッシー(2013年製作の映画)

3.6

ここまで面白い作品を観たのは久々。ミステリーと共に一人の少女の成長物語が昇華していく様はミステリー映画として見事で、映画だからこそ、より陰湿なエンタメだった。そしてドビュッシーの旋律って、なんて悲しい>>続きを読む

葬式の名人(2019年製作の映画)

3.6

冒頭から少しずつ感じていた大林宣彦的映画イズムが思いっきり開花した瞬間の興奮たるや。
初めはただ単に会話劇やショットの画角の愉快さで好きだったのだが、、、展開の異常さのせいで駄作の汚名を着せられるのも
>>続きを読む

この世で俺/僕だけ(2014年製作の映画)

3.0

今更思い返すと考えさせられる映画だった。
あくまでも"作り込まれてない"映画として、諸地域で起こりうるイザコザに喝を入れた立派な映画だったと思う。ストーリーにも難がないし、佐野史郎が面白いし。

"作
>>続きを読む

Delivery Health(2019年製作の映画)

3.7

鑑賞後の快感が激しい。
陰湿なデリバリー・ヘルス×湿っぽいトラブルをただただ魅せるだけでない工夫がエロをひた隠しにし、どんな観客でも楽しい気持ちになる。男の欲には何も勝らないけど。
脚本が岩井秀人と聞
>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.7

本当に観たのかな、ってくらい記憶がないが、雰囲気だけでもとても面白い大作。

"泣けるホラー"と言われた前作を意識せずに自由に作った感はあるけれど「新感染」としてラストまでそれなりに頑張った。
全体的
>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.8

ゾンビも結局、元は人間なんだな。ただの感染済み人間。
この映画が真に描くのは人間の価値。自己中心な悪い大人たちは誰かを底に叩き落とすだけで不必要。スクリーンに映し出された不条理な人間の自我に、つい叫び
>>続きを読む

スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020年製作の映画)

3.2

「わかる」で構成されたアクション映画の断片たちを眺め、親から子に語り継がれるような女たちの栄談を聞く。
単純なものだと思ってた彼女達の人生を、"女性"という欠点が苦しめていた。それでもアクションは彼女
>>続きを読む

武曲 MUKOKU(2017年製作の映画)

3.6

酒が呼び起こす過去のトラウマの苦しさを共に味わうことができ、ラストシーンで彼らの白熱さに近い殺意を受け止めることができたのは、編集力の強さでもある。見逃さなくて良かった。

日本の映画という意味で至高
>>続きを読む

いまだったら言える気がする(2020年製作の映画)

2.9

関係を深くは汲み取れない微妙な関係性だが、中井貴一・二階堂ふみ共にミステリアスなのが逆に面白い。しかしシリーズの他の作品が一つ抜け出ていたので何かが足りない気も。

映画館にいく日(2020年製作の映画)

3.5

「オデッセイ」から「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」まで。映画を愛する者にしか分からない暗号が詰まった、"これ自体も映画"。17分でここまで引き込まれる映画もあまりない、と一映画ファンとして言いたい。>>続きを読む

パレード(2010年製作の映画)

3.2

行定勲の恋愛映画は、いつも一つ上をゆく。

一室に集まる人間が、外に飛び出すだけでこんなにも可笑しく甚だしいとは。

前半の小出恵介×貫地谷しほりの会話劇から何か違うものは感じていたが、ラストシーンの
>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.2

イーストウッドの不条理さは、こう言うのはあれだが、映画的に飽きない。

警察もマスコミも、それぞれの信念を持って動いている。それが誰かを傷つけているとも知らずに。

「違うと思うからはい終わり」で突然
>>続きを読む

ロマンスドール(2019年製作の映画)

4.0

初めてポルノを観た感覚がした。くすぐったかった。なのに、こんなにもセックスで泣けたのは何故なんだろう。よく映画の宣伝で聞く"愛の涯て"を、14にして初めて目撃した。

ラブドールも何もない人生を送って
>>続きを読む

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

3.6

サブタイトルに『ぼくが選ぶ未来』とあるが、今回は字幕版を鑑賞。わざわざ字幕版って言わせるくらいなら、分けろよって話だけどね。。

空を疑う。その後、街を疑う。そして自分の居場所を確かめる。そんな事も知
>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

3.3

子供という非常に無垢な存在は困惑でしかないが、その繊細さに気づいている彼らの素晴らしさは誠実だったんじゃないだろうか。
松本穂香と藤原季節が好きだった。

約束のネバーランド(2020年製作の映画)

3.7

とりあえず、何度も泣いた。
守るはずの子供を奴隷とした大人たちも、意地でも「脱獄」に屈さなかった子どもたちはどちらとも正しかったとは思えない。それでも、現実現代にありふれる"未成年であるが故のマイノリ
>>続きを読む

退屈な日々にさようならを(2016年製作の映画)

3.7

"愛が愛に最も近い瞬間"が見えた気がする。血まみれの浴槽に浮かんだ手と静かなマヒトゥ・ザ・ピーポーの音楽は何をものがたるのか。
自分勝手でも愛されたり、愛されてるから殺したり、殺したから自分勝手になっ
>>続きを読む