ヒロシーさんの映画レビュー・感想・評価

ヒロシー

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映画(781)
ドラマ(114)

スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

傑作。この映画に出てくるメインの男性、高橋一生と東出昌大は、お世辞にも演技が全く上手くない(それ故に蒼井優がめちゃくちゃ上手く見える。実際に上手い)。どちらも纏う雰囲気で勝負するタイプの役者である。特>>続きを読む

レベッカ(1940年製作の映画)

4.0

予習。光と影の映画であり、いつまでも付き纏うレベッカという影を表す西側の部屋の一連のショットは王道ながら引き込まれる。やっぱりヒッチコックは教科書だ。ただ、どうしてもミソジニー的な価値観が隠せておらず>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

3.5

原作を読んだ人、もしくは多少なりともフェミニズムに興味を持っている人なら、『82年生まれ、キム・ジヨン』の映画化がいかに難しいかは分かるだろう。同じく家父長制に苦しめられた女性が憑依する恐怖、精神科の>>続きを読む

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

3.5

奪われたものを取り返そうとする青年、決して失われない瞬間を描こうとする青年、二人の苦しくもどこか暖かい奔走っぷりを追いかける。冒頭、スケボーで移動する二人を追いかけて背景の市政の人々を写す移動カメラは>>続きを読む

ヒットマン エージェント:ジュン(2020年製作の映画)

3.0

プロットからして絶対韓国なら面白くしてくれると確信できるし、勿論面白い。ギャグを次から次に放り込むのも微笑ましい。一方で、さすがに各ギャグが単発単発気味、無理やり詰め込んだ感じも否めなく、映画ならでは>>続きを読む

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.0

ここまで「え、結局何がしたかったの?」と思う映画はなかなかない。自分勝手でスケベで現代の価値観的に完全アウトで、おまけに勝手な想像で娘散々振り回した親父は、最後に「もう俺は必要ないだろう」「私と会いた>>続きを読む

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)

3.5

3時間あるし、小難しい内容なんだろうと敬遠されちゃいそうだけど、思ったより大衆よりで難解さを排除した作品。絶対そこは要らんだろぐらい丁寧なフラッシュバック、溜めに溜めたせいで思ったより感動しないラスト>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

4.0

一体誰が隠している真実を明らかにしてしまうのか、というスリルをずっと観客は心のどこかに抱きながら観ている訳だが、この映画で味わうべきはそこではないと気づいた時にはエンドロールを迎えている。つまり、『T>>続きを読む

マーティン・エデン(2019年製作の映画)

4.5

伝記映画ではなく、自伝的小説の映画化。でも原作者の思想や経験が色濃く出ており、それを全面に押し出す為にあらゆる映画的演出を用いて、さらにそれがことごとく成功しているという珍しい傑作。プロット自体は時自>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.0

これは中国ノワール版バーフバリでは?と少しだが思ってしまうほど、キメ、キメ、キメ!という画が続く。冒頭、一人の女を目で追う男、その男の前に姿を現す別の女、といういかにも中国ノワール映画だという始まり方>>続きを読む

エノーラ・ホームズの事件簿(2020年製作の映画)

4.0

誰もが楽しめる娯楽映画として本当にちゃんとしていて、かつ容赦ない家父長制やエリート第一主義への批判をドストレートにぶち込む素晴らしい良作。もはや大物の貫禄あるミリー・ボビー・ブラウン(お姉さんと一緒に>>続きを読む

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.0

この映画を4.0にしたのは訳があって、本作は今の日本のアニメーション、少なくともジブリ以降の作品の中で、基準となるべき優れた演出と脚本が備わっているからです。逆に言えば本作以下の作品は別にいいよってな>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

映画館にたくさんの観客が訪れて、しかも大きなスクリーンほど人が多くて、TLでその映画についてあーだこーだと感想が飛び交うなんていつ以来だろう。それだけで泣きたくなったし、それだけで満点つけちゃいたくな>>続きを読む

#生きている(2020年製作の映画)

3.5

コロナ禍で閉まっていた韓国の映画館の復活の狼煙となった本作ですが、そのテーマが家から出ずに(ゾンビ)パンデミックを生き残るというのもなかなか風刺が効いているじゃないですか。勿論撮影はコロナ以前だろうけ>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.0

絶対に『mid90s ミッドナインティーズ』と見るべき傑作ドキュメンタリー。メイン3人の被写体と監督、それぞれの距離感が絶妙に作品に生きていて、それぞれに人種とか微妙なカーストの差とかがあり、それが彼>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.5

『ワイルドライフ』のポール・ダノ、『未成年』のキム・ユンソク、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のオリヴィア・ワイルドなど、俳優が監督として(長編を)初監督したこれらの作品にはいずれも「>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

3.5

映画好きなら絶対観たほうがいい。むしろ、この映画を映画館で観ない選択肢はできる限り排除したほうがいい。映画館における「音」が辿った道を歴史的名作と名監督、それを支えた名エンジニア達の証言から振り返る。>>続きを読む

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

4.0

この映画のタイトルが『生れてはみたけれど』って凄いな。一悶着あった後に寝静まった子供達に父親が話しかけるシーンといい、ただのコメディではなく、格差社会の悲恋もバッチリ仕込まれている。貧富の差の表現が台>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

4.0

幾ら原作未読でも、自分は一体何割この映画を理解しているのだろうかと首をかしげざるを得ない。デヴィッド・リンチの映画を観ていなかったら途中で諦めていただろう。ただ、この映画はシュルレアリスムとは違うと思>>続きを読む

凱里ブルース(2015年製作の映画)

3.5

『ロング・デイズ・ジャーニー』を先に見てしまうと、その原型だという感が否めないのは確かではある。こっちのほうが「え、結局何の話だったの?」という思いも強いし、最後の長回しも明らかに進化前。だけど前半で>>続きを読む

おとうと(1960年製作の映画)

5.0

黒澤明、溝口健二、伊藤大輔、小津安二郎、そして市川崑という数多の名監督の撮影を手がけた巨匠・宮川一夫の偉大なる発明、銀残し。大正時代の街を再現するための手法で、今や世界中で使われているものではあるが、>>続きを読む

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.5

結構フレッド・ロジャースを知っていることが前提の作り方になっていると思うので、プライムビデオ特典の『ミスター・ロジャースのご近所さんになろう』は絶対に見てからのほうがいいです。あの映画で見られたロジャ>>続きを読む

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

4.0

びっくりするぐらい鈍重。悪事に手を染める、いわゆる『ブレイキング・バッド』パターンなんだけど(正直元々かなり悪い奴らだけど)、延々と続く地道な張り込みを、汚い咀嚼音付きの食事シーンまでカットせずに見せ>>続きを読む

ミスター・ロジャースのご近所さんになろう(2018年製作の映画)

3.5

予習。いとこの子供とかがぐずり出しても、アンパンマンとかEテレの番組とかを見るとすぐに泣き止むのを見ていて、やっぱり子供向けの番組というのはよく出来ているなぁと感心したことがあったけど、そんな経験があ>>続きを読む

楢山節考(1958年製作の映画)

5.0

映画全編を通して伝わる気迫に圧倒され、震えながら観ていた。姥捨を歴史的事実として忠実に描くというよりも民間伝承として残っているものと位置付け、そのために一つの架空のムラ社会を全てセットで作り上げるとい>>続きを読む

詩人の生涯(1974年製作の映画)

4.0

安部公房の原作への依存度は高いが、今の深夜アニメの数百倍は見る価値がある作品。特に前半、プロレタリア文学的な風景の描き方、そしてあの糸車のアニメーションは本当にすごい。今の時代でも昔でも、「困る気がす>>続きを読む

道成寺(1976年製作の映画)

4.5

圧巻。本作は縦横、奥行きなどの構図からして見事。どこにカメラを置くかという問題は、人形アニメでも、だからこそ重要である。蛇と化した女が鐘にぐるぐると巻きついていく場面は本当に恐ろしかった。背景の桜が様>>続きを読む

(1972年製作の映画)

3.5

音楽と人形の動きが合わさった瞬間にぐぐっと惹き込まれる。今昔物語を監督独自に解釈した、悲劇の中にも愛情を垣間見える作品。

花折り(1968年製作の映画)

3.5

川本喜八郎、生誕95周年と没後10年記念でyoutubeで公開されていたので鑑賞。本日23時までです。

コミカルな動きを人形で見事に表現しているのがすごい。数珠に浸して酒を舐めるというぶっ飛んでいる
>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

4.5

京マチ子の恐ろしさは、ただ単に怪奇的な怖さだけではなく、ほかの2人の妻の怒りをも引き継いでいるからであり、そう見せる構成が非常に上手い。舟を漕ぐシーン、屋敷に入っていくシーン、刺されてふらつく田中絹代>>続きを読む

2分の1の魔法(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

アメリカではコロナ前に上映されていて、多くの映画ファンが、「え、このあらすじでRotten tometoes88%!?」と驚いているのをなんとなくTLで見ていて、すごく分かるなと思ってしまった。日本の>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.0

初監督作品らしい瑞々しさは満載ながら、絶対に賢い監督でないと撮れない青春映画となっている。フェミニストでルース・ベイダー・ギンズバーグの写真が部屋にあるような女の子が主人公で、滅茶苦茶勉強してきた以上>>続きを読む

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

4.0

リンチは『ツイン・ピークス The Return』において、キャスト陣にのろのろと喋らせることを意識的に演出していたというが、彼は本当に老人を撮ることに関心が強いんだなぁと思う。『ツイン・ピークス』の>>続きを読む

ションベン・ライダー(1983年製作の映画)

4.0

凄い撮影しかない。例えば冒頭の長回しなんて、どうやって撮っているか手法を聞いても理解できないほど凄い。相米慎二お得意と言われているロングショットの長回しは全て恐ろしいぐらい中毒性があり、ショットに美し>>続きを読む

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.0

信仰への高い批評性を、すごーく地味な演出と主演二人の素晴らしすぎる演技によって強く惹きつける芸術的映画に昇華されている力作。カンヌで女優賞を獲ったチョン・ドヨンも、無神経でどうしようもないのにすごく可>>続きを読む

アザーズ(2001年製作の映画)

3.5

メッセージ性以上に映画的な面白さを追求した、意外に珍しい作品。例えば子供達の光に対するアレルギーは完全にカーテンが閉まった不気味な館の内部を撮りたいだけの設定にしか思えない。でも最後には、それがしっか>>続きを読む

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