ヒロシーさんの映画レビュー・感想・評価 - 22ページ目

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.5

凄すぎる。脚本があまりにも凄すぎる。『スリー・ビルボード』や『ゲット・アウト』、今話題の『カメラを止めるな!』のような巧みな脚本ではなく、むしろ2017オスカー脚本賞の『マンチェスター・バイ・ザ・シー>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

2.5

結構絶賛の声が多いですが、個人的には微妙…かなりモヤる所がありました。ちょっと前なら、「日本青春映画としては良い出来」という言葉を贈ったかもしれませんが、動画配信サービスが発展し、海外の素晴らしい青春>>続きを読む

最後の追跡(2016年製作の映画)

4.0

ウインド・リバー予習。アカデミー賞作品賞・脚本賞ノミネートも納得の傑作。粋な台詞満載だけど決して気取っていない西部劇。二組のコンビの断片的な会話だけで、何故このような時代になってしまったのか、何が正解>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.5

とんでもない傑作を観てしまった。人を愛するということと、人を支配するということと、人が常軌を逸脱してしまうこと。全て同一線上にしてしまう恐ろしいフィルム。考えれば考えるほど気が滅入る主題を、見れば見る>>続きを読む

REVENGE リベンジ(2017年製作の映画)

3.0

観て良かった。スクリーンに映っているのは目を覆いたくなる悲劇、グロテスクな映像、醜い男三人組、そして…復讐に燃える女。相変わらず「美しすぎる復讐の女神」とか安っぽいキャッチフレーズがついていますが、確>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.0

町山智浩氏の評「三谷幸喜を真似したら三谷幸喜よりも面白くなってしまった事故のような映画」がまさにピッタリ。三谷幸喜が『ラヂオの時間』『王様のレストラン』でやっていた事、今では全く出来なくなってしまった>>続きを読む

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

4.5

レインボー・リール東京にて鑑賞。満員でした。ギャグシーンでは笑いも起きていました。非常に良い体験でした。来場者はきっとLGBT関係なく、素晴らしい映画を観に来た人達だと思います。確実に時代は変わって来>>続きを読む

バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画)

3.5

非常に良かった! アメリカ映画で『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』『ゲティ家の身代金』と実話をもとにした映画の傑作が続いていますが、それらは全て、何故>>続きを読む

パンク侍、斬られて候(2018年製作の映画)

3.0

マイ・フェイバリット・ノベルの一つ『告白』の著者である町田康大先生の代表作の映画化。実は原作未読。映画を観てから読みたかった。いつも逆だから、たまにはね。あと先に小説を読んでから映画を観て、良かったっ>>続きを読む

ガザの美容室(2015年製作の映画)

3.0

期待していたものをどちらの意味でも裏切る、目を覆いたくなる惨状を見せつけてくれました。「たわいないおしゃべりを、たわいない毎日を送る。」というポスターの文面は全く偽りではない。日常が穏やかなものである>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

3.5

観て良かった! これは面白い…し、特殊な映画だと思う。物語論とも取れるし、誘拐された子供の悲劇とも取れるし、全て馬鹿馬鹿しいコメディとも取れる。『サタデー・ナイト・ライブ』のスタッフが制作しているとい>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

2.5

びっくりするぐらい悪評しか聞かなかったからどうしよう…と思ってたけど、ちゃんと面白いじゃありませんか。ディズニー騒ぎすぎなんだよ。一回コケたぐらいでへこたれないロッキーやターミネーターを見習えよ。…と>>続きを読む

ブレッドウィナー/生きのびるために(2017年製作の映画)

3.5

傑作。優しく、辛く、暖かい物語。カートゥーン・サルーンの前作である『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』で語られる「あなたの話や歌の中に私はいる」という強いメッセージの、まさに延長線上であり、それを現実>>続きを読む

ニンジャバットマン(2018年製作の映画)

3.0

色々言いたい事はあるけど、真面目に作った所はてんで駄目で、ふざけて作った所はハマっている気がする。これを「ツッコミどころ満載のハチャメチャ映画!」‬って評するのは、本当のハチャメチャ映画に失礼だと思う>>続きを読む

モーリス(1987年製作の映画)

3.5

待望の4K鑑賞。このあまりにも悲劇的で、耽美で、美しい映画が映し出した過去を人類は受け止め、嘆き、30年後に『ムーンライト』『君の名前で僕を呼んで』を産み出す事になるのです。同性愛を否定する連中は本当>>続きを読む

それから(2017年製作の映画)

4.0

な、何なんだこの映画は。メイン4人以外は徹底的に排除されたキャスト、91分のうち殆どを占めている机を挟んだ会話の画、白黒でどこか幻想的な撮影、タクシーから雪を眺めるシーンなんて、あそこだけならクリスマ>>続きを読む

30年後の同窓会(2017年製作の映画)

3.0

プロットを見たらシンプルな映画に見えるし、三人の心から寂しさや悲しみや罪悪感を取り払っていく…という宣伝文句も全然間違ってないんだけど、いやいや、流石リチャード・リンクレイター、そんな単純な映画じゃな>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

3.5

感無量。是枝映画初体験で、恐らく集大成と言える充実感を味わった。パルム・ドール超納得。今年日本で上映された、昨年のカンヌ・コンペティション受賞作品…『ザ・スクエア 思いやりの聖域』『BPM ビート・パ>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.0

初監督作品とは思えないぐらい、抜群のテンポとかっちりハマった演出、そして絶妙な台詞や小道具の配置。ロナルド・レーガンのポスターが貼ってあるだけで保守的な家族である事を観客に分からせる、という考察を見て>>続きを読む

デッドプール2(2018年製作の映画)

4.5

俺ちゃん最高! 正直1作目は微妙だったんだが、メタ演出も各キャラの魅力も何もかも桁違い! 冒頭ではっきりと「ファミリー映画だ」と断言しながらもFワードとグロテスクな殺戮を繰り返していくデップー。だが我>>続きを読む

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

3.5

最高にスリリングな音楽が常に後ろで鳴り響く。ele-kingの木津毅氏のレビュー(http://www.ele-king.net/review/film/006312/)が、『グッド・タイム』における>>続きを読む

バーフバリ 王の凱旋 ≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫(2017年製作の映画)

4.5

終始大興奮の完全版でした。初公開のシーンどれもこれも最高で、特にデーヴァセーナの子守唄は、それを見守るバーフバリとカッタッパの顔も含めて本当に癒やされました。気高き彼女があぁいう姿を…の過程はシブドゥ>>続きを読む

ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984年製作の映画)

3.5

藤子・F・不二雄先生のSF短編を読んで、そのあまりにも革新的な作品の数々に打ちのめされ、先生が携わったドラえもん映画をいくつか観てみる事にしました。その中でも評価の高い本作は、伏線回収の巧みさ、細かい>>続きを読む

さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅-(1981年製作の映画)

2.0

前編と比べて超絶劣化。鉄郎の為に多くの人が自らの命を投げ出すのだけど、それが限りある命の使い方として正しいのか説得力に欠ける。その結果、本作のテーマであるべきだった「機械人間としての生き方」が全く見え>>続きを読む

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

4.0

超絶・ド傑作映画とでも言うべきでしょうか。とにかく最高にスリリングで、最高に面白くて、最高に痺れました。マジ、映画って、かくあるべきだよ。本当に。

まず回想の挟み方が見事で、前半に最低限でありながら
>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.5

日本へのリスペクト満載! 日本スゲェ映画では決してない! しかも正確に日本文化を再現している映画でもない! つまりPC的にどうとかこうとか一切考えず、不穏だけどクセになる不気味な、ウェス・アンダーソン>>続きを読む

ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

3.0

「殉死」という言葉を高らかに叫びながら人質を拳銃で撃つ子供は日大ラグビー部と、「移民糞食らえ」の言葉と共に中指を立てるドイツの若者は最近YouTube凍結を食らった学者と、強く戦いの姿勢を表した後に震>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

4.0

ポール・トーマス・アンダーソン初体験。劇場でたっぷり味わってきました。純文学映画監督と言われるだけあって非常に繊細で、曖昧で、そして美しい。レイノルズがアルマに初めてドレスを着せていく諸所の動作をも美>>続きを読む

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

4.0

カートゥーン・ネットワークで『アドベンチャー・タイム』を観てるんだけど、小林清志がちょい役で吹替しててビビった。それでルパンを観たくなったけど、今やってるPART5が全然面白くないので、何となくこっち>>続きを読む

ピーターラビット(2018年製作の映画)

3.0

字幕版。生き生きと動くピーター達を見ているのは楽しい。コメディ・タッチな画も考えられていると思うし、ドーナル・グリーソンはハマっている。だけど、トーマスよりも明らかに酷い目にあっているミアの優しさに解>>続きを読む

銀河鉄道999(1979年製作の映画)

3.5

実写化(しかも生放送)のニュースが入ってきて、何だか無性に見たくなった。約40年前…。しかし何でしょうな、この色褪せない名作は。「出会いと別れ」という単純なテーマ、各々出番は短くても見せ場があって決し>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.0

ヘイリーのあまりにも無邪気な笑顔、子供との接し方を見ていると、彼女の親なのか夫なのか、はたまた幼少の環境なのか、一体どこから間違っていたのか分からなくなってくる。というよりそもそも間違っていたのか? >>続きを読む

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

3.5

町山智浩氏のコメント。「日本のコメディアンが顔を黒く塗って黒人を演じることが問題なのではない。黒人に何があったのか、何が起こっているのか、気にもしないことが問題なのだ。」…非常に的確な言葉。そもそもア>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

3.5

現時点で今年No. 1の「素敵」な映画でした。終盤、何でそんな事になってしまうんだ…って誰もが思う事になるでしょうが、後々考えたら『ロブスター』のラストみたいな、現在のヨーロッパ映画が大好きなブラック>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.0

最初から最後までドン引きの映画。母親に、元夫に、デブに、審査員に、そしてトーニャにも…? 観ている間にどんどんトーニャに対する感情は複雑になっていく。ひたすら可哀想なんだけど、カメラの前で語る彼女を観>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.0

笑い疲れ? いやいや、あまりにも居心地の悪さに疲れました。前作「フレンチアルプスで起きたこと」では、部屋の中の夫婦の気まずい雰囲気を眺めながら笑っているような体験でしたが、今回はあたかも美術館のワーク>>続きを読む