Harukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

Haruki

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ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

4.3

ニューヨークに暮らす三姉妹の人生模様を、ユーモラスかつシニカルに描いた作品。

性格もそれぞれな三姉妹が織りなす物語は、人生の普遍的な種々相を映し出す。

ウディ・アレンらしいユーモアとペーソスの詰ま
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マイ ビューティフル ガーデン(2016年製作の映画)

3.8

ガーデニング大国イギリスを舞台に、几帳面で不器用な女性と頑固で偏屈な老人が、ガーデニングを通して心を通わすハートフルムービー。

おとぎ話のような空気感と現実的な空気感が、上手い具合に同居している。
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エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆(2022年製作の映画)

4.0

南インドで野生の象の世話をする夫婦の生活を捉えた短編ドキュメンタリー。

美しくも過酷な自然の中で、彼らが築く家族の絆には胸を打たれる。

ボムマンとベリーの夫婦は弱ったラグを助けて世話をしているが、
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バックマン家の人々(1989年製作の映画)

4.8

4世代にわたる家族のそれぞれの姿を描き、家族の在り方を温かくコミカルなタッチで描いたドラマ。

楽しく可笑しいユーモアと、なにより温かく優しい展開が満載な、ハートフルな作品。

それぞれが問題や悩みを
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.2

間もなく父になる男とその日暮らしを送る男が久々に再会し、旧交を温めながら山奥の温泉へ向かうロードムービー。

静かに淡々と、台詞も少ない中で2人の道行きを捉えていく。
色褪せた過去の輝きと、今を生きる
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アルバート氏の人生(2011年製作の映画)

3.8

19世紀のダブリンを舞台に、男性として生きることを強いられた女性の姿を静かに映し出したドラマ作品。

主人公アルバートだけではなく、さまざまな登場人物たちの人生を描いている群像劇でもある。

それぞれ
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.5

ロシアの反体制活動家アレクセイ・ナワリヌイが、自らの毒殺未遂事件の真相を追う姿を捉えたドキュメンタリー。

まさにスパイ映画のような緊迫感と驚愕の真実に、とてつもなく惹きつけられるし、なにより慄く。
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狩人の夜(1955年製作の映画)

4.0

父親が隠した大金を守る幼い兄妹と、それを狙う殺人鬼の対決を描いたフィルム・ノワール。

『情婦』などで知られる名優チャールズ・ロートンが監督した唯一の作品。

題材は恐ろしいが、メルヘン童話のような空
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.8

名探偵ブノワ・ブランの活躍を描いたミステリーの第2作。

前作はマナーハウスものだったが、今作は大富豪の所有する孤島を舞台にしており、古典ミステリーのような空気感が相変わらず楽しい。

それでいて、パ
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ウィンターズ・ボーン(2010年製作の映画)

4.6

ミズーリ州の高原に住む17歳の少女が、家と家族を守るために逞しく生きていく姿を描いたヒューマンサスペンス。

閉鎖的な社会の中で、家族を守りつつ父を探す主人公の姿からは静かな激情と葛藤が伝わってきて、
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プレイス・イン・ザ・ハート(1984年製作の映画)

4.1

20世紀初頭のアメリカの小さな町を舞台に、夫を突然亡くした女性が周りの人に支えられながら力強く生きる姿を描いた作品。

モーゼスやウィルと心を通わせていく姿は示唆に富んでいて、何よりも温かい。

厳し
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ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.5

母親の言われるままに美人コンテストに出場していた少女が、ローラーゲームに出会い自分の生き方と向き合うドラマ作品。

母親に合わせていた少女が自分のやりたいことに出会うというのは既視感のあるストーリーで
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ナニー(2022年製作の映画)

3.7

セネガルに息子を残したままニューヨークで働く黒人女性の幻覚と恐怖を描いたスリラー。

アメリカで暮らす移民が直面する恐怖や疎外感、苦痛、障壁をホラーとして描いている。

光と水の表現が豊かで印象的。
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バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

4.4

母国メキシコへ帰郷した著名なドキュメンタリー作家がたどる心の旅路を、夢幻的なストーリーと美しい映像で描いた作品。

一つひとつのシーンや会話をすべて理解できたわけではないが、この作品は"感じる"要素が
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夜の大捜査線(1967年製作の映画)

3.9

黒人差別の色濃く残る町で殺人事件の捜査をする白人署長と黒人刑事の姿を描いたサスペンスドラマ。

スリリングかつユーモラスな空気感が全体を包む。

殺人などの犯罪と人種差別に対する切り口は鋭く、この作品
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Our Friend/アワー・フレンド(2019年製作の映画)

4.1

末期ガンを患う妻ニコルと彼女を介護する夫マット、そしてそんな彼らを支え続けた親友デインの実話を基にした作品。

親友を交えた3人がニコルの病気に寄り添っていく物語かと思っていたが、実際はかなり違った。
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砂塵にさまよう(2003年製作の映画)

3.6

不本意に妻と離婚させられた青年が、砂漠で蛇を捕まえる仕事をしている男と出会う物語。

大好きな監督アスガー・ファルハディの長編デビュー作。

他の彼の作品には無いようなコミカルさが大きな特徴であり、こ
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美しい都市(2004年製作の映画)

3.8

死刑執行を待つ親友を救うため、彼の姉とともに被害者家族を説得しようと奔走する青年の姿を描いた作品。

大好きな監督アスガー・ファルハディの初期作。

まだ彼らしさは薄いが、イランという国の価値観や民族
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悪なき殺人(2019年製作の映画)

4.2

フランスの寒村で女性が失踪した事件をめぐって、さまざまな人の視点と人生が交錯し、真実が明らかにされていくスリラー。

『藪の中』のような巧みな構成で、上質なミステリーに仕上がっている。

それぞれが"
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こころに剣士を(2015年製作の映画)

4.5

第二次世界大戦後のエストニアを舞台に、ソ連の秘密警察から身を隠しながら生きる元フェンシング選手の教師と子どもたちとの絆を描いた実話作品。

時代に翻弄されながらも、エンデルと子どもたちがフェンシングを
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

5.0

ブリュッセルで息子と暮らす中年女性の日常に現れる綻びを描いた作品。

一見何も起こっていないジャンヌのルーティンを淡々と見せながら、彼女の空虚な心と静かな崩壊を描く。
その手法がまずカッコ良すぎるし、
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火祭り(2006年製作の映画)

4.8

夫の不倫を疑う妻とそんな妻に辟易する夫、そして2人の諍いに巻き込まれた家政婦の1日を描いたドラマ作品。

アスガー・ファルハディ監督は日常の小さな事件から人間の機微を豊かに描き出すのが本当にうまい。
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.5

誰もが知る物語を名匠ギレルモ・デル・トロが映画化したストップモーションアニメ。

デル・トロの真骨頂が発揮された魅惑的でファンタジック、少し不気味な画面が美しい。

ストーリーは大体わかっているにもか
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パーフェクト・ノーマル・ファミリー(2020年製作の映画)

4.3

父親から女性として生きていくと告白された少女が、傷つき当惑しながらも自分の気持ちを見つめていく姿を描いたドラマ作品。

既視感のある設定ではあるが、すごく繊細かつ温かいストーリーに仕上がっている。
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.8

自身が50年近く暮らしていたモンパルナスのダゲール通りを、アニエス・ヴァルダが温かくかつ冷静に捉えたドキュメンタリー。

人々に対する温かい眼差しと冷静な眼差しを併せ持っている。

小さな店の中で、ゆ
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アンテベラム(2020年製作の映画)

3.2

現代で満ち足りた生活を送る女性作家と、南北戦争期にプランテーションで奴隷として虐げられる黒人女性の人生が交錯するホラー作品。

ホラーの中に、アメリカが持つ負の歴史と現代にも通じる人種差別を入れ込もう
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チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

4.4

ロシア南部の連邦チェチェン共和国で行われる同性愛者の迫害と、彼らを国外へ避難させようと奮闘する活動家たちを捉えたドキュメンタリー。

LGBT+への根深い偏見と伝統的価値観の固執が、人々の残虐性を引き
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ブラック・ビューティー(2016年製作の映画)

4.0

女優としての成功を目指す2人の女性が、互いに嫉妬や憎悪、優越感や劣等感を抱きながらロッジで週末を過ごす姿を描いたスリラー映画。

他人の外見や才能に嫉妬し、自分の外見や才能に優越感を覚える。

"あの
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"Sr." ロバート・ダウニー・シニアの生涯(2022年製作の映画)

4.1

ロバート・ダウニー・Jrが父親ロバート・ダウニー・シニアを理解すべく、彼のキャリアや内面に迫ったドキュメンタリー。

映画制作者として時代と共に作品を作り続ける彼の、唯一無二な創造力と創作意欲が捉えら
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招かれざる客(1967年製作の映画)

4.0

黒人青年と白人女性の結婚をめぐる家族の葛藤を描いたドラマ作品。

登場人物それぞれの心が繊細に映し出される、優しさと奥深さの詰まった家族の物語。

善意のドラマになっている感は否めないが、この当時とし
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ザリファ・ガファリ 混沌の中の希望(2022年製作の映画)

3.7

アフガニスタン初の女性市長ザリファ・ガファリが身の危険を顧みずに、女性権利の向上と教育の普及に向かって奮闘する姿を追ったドキュメンタリー。

女性差別が色濃く、タリバンによる支配が苛烈なアフガニスタン
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キング・オブ・スタテンアイランド(2020年製作の映画)

4.0

消防士の父親が殉職して以来、自堕落な生活を送る青年の心の成長を描いた、主演ピート・デイヴィッドソンの半自伝的作品。

上映時間は長めで冗漫になってしまってはいるが、心のこもった脚本とデイヴィッドソンの
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恐怖の報酬(1953年製作の映画)

4.9

ウィリアム・フリードキン版も最高だったが、このオリジナル版はさらに上をいく。

ひりひりする緊張感と鋭い社会性が見事に融合し、最高のスリラーに仕上がっている。

そこまで抑揚のついた演出ではないのに、
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コララインとボタンの魔女(2009年製作の映画)

4.6

今や世界的なアニメーションスタジオとなったライカの長編1作目。

ストップモーションアニメらしさとヘンリー・セリック監督らしさが見事に融合して、絶妙に不気味で温かい作品になっている。

まずストーリー
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ドクター・ドリトル(2020年製作の映画)

2.9

ロフティングの有名な児童文学を映画化した作品。
評判があまり芳しくなく観る気が削がれてしまっていたけど、やっと鑑賞。

確かにファミリー映画としても満足感が高いとは言えない。

キャラクターのチャーミ
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自由を我等に(1931年製作の映画)

4.2

フランスの名匠ルネ・クレール監督が描く、大量消費社会への強烈な諷刺とアイロニー。

大量な生産と消費のサイクルの中で搾取される人々と搾取する人々の姿を通して、滑稽なまでの不条理な構図を描く。

チャッ
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