Harukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Haruki

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ホブスンの婿選び(1954年製作の映画)

3.9

自分勝手な理由で結婚に反対する父親と、それに対抗してなんとか結婚しようと画策する娘たちを描いたコメディ。

強かなマリーと彼女に振り回されるウィリーの関係がほほえましい。

家長である父親は金に執着し
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カラーパープル(2023年製作の映画)

4.3

アリス•ウォーカーによる原作を映画化したスピルバーグ版、そしてブロードウェイ版をリメイクした作品。

自由を奪われた黒人女性セリーの壮絶なドラマが、今の時代に合った形で再び誕生した。

型破りな生き方
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大恋愛(1969年製作の映画)

4.1

ブルジョワジーへの批判を交えながら、中年男の妄想たっぷりな恋を描いたコメディ。

幸せな結婚生活を送りながら、18歳の秘書に恋をしてしまう主人公。

そんな彼の恋と妄想をユーモラスに描きながら、特権に
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絶好調(1965年製作の映画)

3.9

キャンプを楽しんでいた男が強制収容所(キャンプ)のような場所に迷い込む短編コメディ。

前半のキャンプシーンはエテックスらしい、何をやっても上手くいかない可笑しさ。

後半は収容所のような生活がシニカ
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カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)

4.8

双子の兄妹が白黒ドラマの世界に迷い込み、騒動を巻き起こすファンタジーコメディ。

現実世界に生きるデイヴィッドとジェニファーがドラマの住人に影響を与えていき、彼ら自身もまた成長し新しい価値観を手に入れ
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健康でさえあれば(1966年製作の映画)

4.0

不条理な笑いの満ちた4編で構成されるオムニバスコメディ。

1編目『不眠症』は、なかなか寝つけない男が読む吸血鬼の話と周りの現実がオーバーラップしていく物語。
吸血鬼の話自体はオーソドックスながら、男
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.3

落ちぶれた元ポルノスターが人生の再起をかけるヒューマンドラマ。

ショーン•ベイカーらしい、イタくてビタースウィートな人生譚。

無一文となった主人公マイキーは、妻と義母に疎まれながも家に転がり込み、
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Pachyderme(原題)(2022年製作の映画)

4.7

第96回アカデミー賞のショートリストに選出された短編アニメーション。

9歳の少女が祖父母の家で休日を過ごす姿が、淡々と描かれていく。

語り口はゆったりしていて、アニメーションも絵本のように優しい。
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アシスタント(2019年製作の映画)

4.2

プロデューサーを夢見て就職した女性が、横行するハラスメントに直面し、葛藤を深めていく様を描いた作品。

夢を持って就職したのに、雑用ばかりやらされ、同僚からは対等な扱いを受けず、会長からは厳しい言葉で
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.5

財産を失った大富豪と女曲馬師、そして彼らの息子が織りなす人間模様をメランコリックに描いた喜劇。

チャップリンなどサイレント喜劇とサーカスへのオマージュにあふれている。

ノスタルジックな世界観の中、
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女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

3.8

恋に不器用な男が自分と結婚してくれる女性を探す姿を描いたコメディ。


結婚相手となる女性を見つけようと街にくりだし、ことごとく失敗するシーンは愉快。

冒頭の、男の爆発する妄想をユーモラスに映像化す
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

4.3

結婚記念日の食事に向かう男が騒動に巻き込まれる姿を描いた短編コメディ。

くだらなさと可愛さが凝縮した展開は、何も考えずにハッピーに見れる。

どんどんと遅延していく可笑しさが、ダサいかたちではなくス
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破局(1961年製作の映画)

3.7

恋人から破局を告げる手紙を受け取った男が、返事を書こうとしてもどうしても書けない姿を描いた短編コメディ。

台詞はなく、シンプルでナンセンスな笑いに満ちているが、美的センスが随所に光る。

ラストはア
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アタメ(1989年製作の映画)

3.9

大好きな監督ペドロ•アルモドバルの初期作。
一貫して愛を描いてきた彼による、ちょっとおかしかな純愛ストーリー。

初期らしい尖った設定とチャーミングなキャラクターが楽しい。

天涯孤独なリッキーがマリ
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世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方(2014年製作の映画)

3.6

世界一平均的な村で、普通を美徳とする大人たちに抵抗する問題児たちを描いたファミリー映画。

色彩豊かな画面とキャラの濃い登場人物たち。
『ムーンライズ•キングダム』みたいな、ウェスみを感じる。

チャ
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カラーパープル(1985年製作の映画)

3.8

20世紀初めのアメリカ南部を舞台に、夫に自由を奪われた黒人女性の苦悩と反抗を描いたヒューマンドラマ。

公開を控えるミュージカル版リメイクの予習。

ソフィアやシャグといった女性たちとの交流を軸に、主
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.6

黒澤明の名作『生きる』を第二次世界大戦後のイギリスを舞台にリメイクした作品。

カズオ•イシグロによる脚色は見事。

人生の終わりを知ることで、自分の成すべきことを見つめ直し、輝きを取り戻す。
オリジ
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シンプル・プラン(1998年製作の映画)

4.3

雪に覆われた町で暮らす男たちが、偶然手に入れた大金に翻弄される姿を描いたサスペンスドラマ。

男たちは欲望と疑心に搦めとられ、嘘と罪を重ねていく。

閉鎖的な町を舞台に、人の中に巣食う闇をサスペンスフ
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ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

4.1

感謝祭を過ごすためアパートの一室に集まった家族の風景が不穏に変化していくさまを描いた作品。

家族が久々に集まり、穏やかな時間を過ごしつつ、それぞれが抱える問題やお互いへの秘めた感情が見え隠れする。
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.4

友人の死を機にやるせなさと危機感を覚えた中年男たちの破天荒な放浪を描いたヒューマンドラマ。

演出にはカサヴェデスらしく即興性があり、一方で脚本には人間に対する緻密で鋭い洞察がある。

いわゆる中年の
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オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト(2023年製作の映画)

4.1

ミシシッピ川のほとりで慎ましく暮らす少女の姿を詩情豊かに描いた作品。

監督は詩人でもあり写真家でもあるらしい。
言われてみれば納得の、画面の美しさと台詞の奥深さ。

ストーリーには優美な余白の多く、
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フェルナンド・ボテロ 豊満な人生(2018年製作の映画)

3.7

昨年惜しくもこの世を去った、現代を代表する芸術家フェルナンド•ボテロの軌跡を追ったドキュメンタリー。

彼自身と彼の子どもたちのインタビューを中心に、彼のエネルギーや思想、作品がもたらした影響やパーソ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

天才外科医の手によって蘇生した若き女性が、未知の世界を知るべく大陸横断の旅に出る。

大好きな監督ヨルゴス•ランティモスの辣腕がこれでもかというまでに発揮されている。

主人公ベラは快楽と歓びを求めて
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甘い生活(1959年製作の映画)

4.5

1950年代のローマを舞台に、作家を目指しながらもパパラッチになりさがった男の姿を描いた作品。

主人公マルチェロの頽廃的な生活を通して、生きる指針やモラルを失った現代人の生き方を映し出している。
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.2

ケリー•ライカートがミシェル•ウィリアムズと4度目のタッグを組んだ最新作。

個展の開催をひかえた彫刻家が作品作りに悩みながら、周りの人たちと交流する姿を描く。

ほかのライカート作品と同様に、物語自
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ラスト・リペア・ショップ(2023年製作の映画)

4.5

楽器を無償で修理して生徒に提供する事業と、それを支える職人たちにスポットを当てた短編ドキュメンタリー。

楽器の持ち主である生徒たちは金銭的余裕がなかったり、心が不安定だったり。
職人たちはそれぞれ壮
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.1

ジャンヌ•ダルクの異端審問裁判とその後の火刑を扱ったサイレント作品。

ジャンヌ•ダルクを英雄視せず、記録から読み取れるひとりの若い女性として描いている。

軸となる裁判のシーンは表情のアップと会話字
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禁書のイロハ(2023年製作の映画)

4.0

アメリカで行われている学区での検閲について、生徒たちの言葉を通して問いかける短編ドキュメンタリー。

禁止されたり制限されたりしている本の中には、生徒たちを勇気づけるようなものや人種差別、LGBTQ+
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バービー(2023年製作の映画)

4.4

誰もが知る着せ替え人形バービーの世界を実写化した作品。

グレタ•ガーウィグらしく、脚本にはユーモアがあふれつつ、今を切り取った奥深さがある。

多様性の時代を迎えて、バービーはステレオタイプな女性像
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.7

病気の父親の介護と新しい恋との間で葛藤するシングルマザーの姿を描いたドラマ作品。

愛する父親を施設に入れざるを得ないやるせなさと、クレマンとの恋にのめり込んでいく気持ちで、サンドラの心は複雑に揺れ動
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

父娘のひと夏のバカンスを大人になった娘視点で振り返り、気づかなかった父の心に触れてゆく物語。

プールのきらきらした水面、アイスクリームの味、アフターサンクリームの手ざわり、父の手の感触。

まばゆく
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.9

AIの誤作動による核爆発が起きた近未来、人間とAIの戦争を描いたSF大作。

AIを殲滅しようとするアメリカとAIの開発を続けるニューアジアの戦争は、冷戦や北朝鮮との緊張を思わせる。

AIが発達した
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スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

4.3

砂漠のなかで静かに暮らす兄妹と、彼らのもとを訪れた訳ありな男との奇妙な交流を描いた作品。

兄フェリックスは空を飛ぶという妄想に取り憑かれ、妹ベティは偏執狂的に土地の平安を守ろうとする。
そして闖入者
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.8

ケネス•ブラナーによる『名探偵ポアロ』シリーズの第3作。

これは原作も知らなかったし、けっこう脚色しているらしい。
原作も読んでみたい。

降霊会で起きた不可解な殺人に挑むポアロの姿が描かれる。
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対峙(2021年製作の映画)

4.7

銃乱射事件の加害者遺族と被害者遺族が一室に集められ、事件の記憶を乗り越えるために対話を試みる姿を描いたワンシチュエーションドラマ。

爆弾をかかえているかのような緊張感と、登場人物たちの感情を深く掘り
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戦国自衛隊(1979年製作の映画)

1.8

戦国時代にタイムスリップした自衛隊の男たちを描いたSF時代劇スペクタクル。

戦のシーンは迫力満点だし、ヒューマンドラマもある。
矢野の裏切りや三村の恋などなど。

戦いに取り憑かれた男たちの数奇な運
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