Hiromasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

魔人ドラキュラ(1931年製作の映画)

4.5

一瞬たりとも目を離せない緊張感に満ちた映画(さすがに昼間の場面は弛緩しているが、そうでもないとこちらがもたない)。トーキー初期の『魔人ドラキュラ』の中の無音の時間には、無数の予感をはらんだ本当に豊かな>>続きを読む

ナポレオン・ダイナマイト/バス男(2004年製作の映画)

2.5

正直キモい人たちだな以上の感想が持てずに見ていたが、最後まで見ると意外といい作品だと思った。これは、気持ち悪い奴が気持ち悪くなくなる話ではなく、気持ち悪い人間であるからこそ良いダンスを踊ることができた>>続きを読む

手錠 ロスト・ヴァージン やみつき援助交際(2002年製作の映画)

4.5

最近GYAOで見たピンク映画の中で一番好きな作品。気付いたら朝になってた、という時間感覚の、虚無感や不安や後悔を含めての魅力がここにある。無意味なセックスやおしゃべりの時間も、その無意味さにも関わらず>>続きを読む

スターマン/愛・宇宙はるかに(1984年製作の映画)

5.0

黒沢清『散歩する侵略者』と比べると、あまりにも偏差値の低い脚本だと思った。しかし素晴らしい。これを見ると、映画は脚本で決まるもんではないんだなと思う。スターマンというが要するにただの人間の男であって、>>続きを読む

痙攣(2004年製作の映画)

3.0

特にどこがよかったということはないけど、つらい時にもとりあえず何も考えず見れて、一人で部屋の天井見てるよりいい時間が過ごせたな、と思えるタイプの映画。

PARKS パークス(2016年製作の映画)

3.5

いろいろ「ズレてる」印象を受ける映画だが、もちろんズレていることは全く悪いことではない。
向かい合っての会話という形を取らない、時空を超えた人と人の交流が描かれていて感動する。この映画がゴダール的だと
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チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

3.0

けっこう面白かったが、孤独に年越ししていたかわいそうな男が最後には報われるというストーリーは凡庸かな。

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

5.0

本当に俺の「支えになっている」ものについてはあまり語りたくない。遺失物ボックスがあってよかった。

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

5.0

ここしばらく見た映画の中で、私の感覚では最も映画的な映画。やはり私は想像力を刺激される映画が好きなんだと思う。スピルバーグの『マイノリティリポート』とこれは映画館のスクリーンで見たい。

名前のない女たち ~うそつき女~(2018年製作の映画)

4.0

「うそつき女」というタイトルだが、この映画に出てくる人たちはみんな、むしろ生身の本性を露わにしている(ような演技をしている)。傑作。ファミレスのシーンで泣いてしまった。ホストが反原発・護憲デモをやって>>続きを読む

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)

4.5

フェリーニの、フェラーリを乗り回す話は最高ですね。車のヘッドライトに照らし出されたものがペラペラの平面に見える夢みたいな感覚。冒頭の西部劇談義は謎だった。他の二篇もポー原作だからかとても面白かった。ロ>>続きを読む

感染列島(2008年製作の映画)

4.0

この映画は本当にいい映画だと思う。なぜかあまり評価されてないのは、この映画に結論がないからではないか。しかしそこが良いところだと思う。全体的に良いが、特に少年の人工呼吸器を外して別の患者に付け替えたの>>続きを読む

嘆きのテレーズ(1952年製作の映画)

1.0

凡庸さによる破滅を描いた悲しいストーリーだが、映画的には正直ひたすら退屈。列車、尾行、階段、猫などが平板にストーリー進行に奉仕するだけで役目を終えている。これに比べると、トリュフォーの映画はやっぱりす>>続きを読む

アイアンマン(2008年製作の映画)

3.5

スーツを手作りする点も含めて、ある種の幼児性を肯定する魅力的な映画だと思う。天才発明家が「死の商人」と呼ばれて反省する話だが、どんな反省かと言うと、自分がヒーローになって悪い奴をぶっ殺せばいいと気づい>>続きを読む

トーキョー×エロティカ(2001年製作の映画)

3.5

私たちの生の稀薄さを、映画の断片性の中で痛切に感じさせる傑作。ここに解決策はないが、真摯にそれを問いかけた作品で胸を打つ。
昨日俺が入っている劇団で検討した企画書にあった一節。「〈枠〉という無機質の額
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Another アナザー(2011年製作の映画)

3.5

原作にあった、記録そのものが幻覚の一つの形態でしかないという魅力的な世界観こそここにはないものの、Jホラーの手法はこの作品のノスタルジックな感覚にマッチしている(幽霊みたいな橋本愛が、渡り廊下を渡った>>続きを読む

団地の奥さん、同窓会に行く(2004年製作の映画)

2.0

ユーモラスな作品だった。しかし、全体的に同業者及びファン向けの作品という感じがして、あまり好きになれなかった。

SEX配達人 おんな届けます/宙ぶらりん/弁当屋の人妻(2003年製作の映画)

4.0

大傑作だった。人間がコマではなく生きている作品。雑な話になるが、大体ピンク映画というのはセックスという行為について登場人物がどう認識してるのかがあいまいになっていて、ある種、動物的な無感覚状態になって>>続きを読む

ペッティング・レズ 性感帯(1993年製作の映画)

3.5

俳優は男女ともに魅力がないのが魅力という感じだった。最低限の構図的な美意識のほかは何のこだわりもないかのような、異様に淡々とした語り口が良い。集合写真を撮るところはそのピークだった。あと、脱獄した女が>>続きを読む

ゴダールの決別(1993年製作の映画)

5.0

『勝手に逃げろ』『探偵』『決別』あたりは、見ると何が言いたいのかさっぱりわからないが、個人的なツボにあたる映画。とにかくずっと面白い。水着の女が水から出てきてこちらに向かってなんか言った瞬間、急にピア>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

2.0

死んだ妻がくれた犬を殺されて復讐するという重い話かと思いきや、スカスカな内容であった。
パンパンと軽く撃ち殺してるように見えるが、ひとりずつ確実に死ぬように急所に当たるまでちゃんと撃っていて、その点に
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ダーティハリー5(1988年製作の映画)

2.0

最終作だが、ホラーオタクという犯人のキャラがしょぼく、ハリーもただの厄介なじいさんとしか思えなかった。今作で急に出てきたマスコミもハリーの敵ではなかったわけである(このテーマは『リチャードジュエル』に>>続きを読む

トワイライトQ(1987年製作の映画)

4.0

『時の結び目』、これはセルアニメが必ず持つ「静止」した時間に積極的な意味を持たせている作品だろう、その点に感動した。
『迷宮物件』汗くさそうな部屋がとても臭そうで、よかった。関係ないが俺も最近毎日素麺
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スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年製作の映画)

3.0

『スカイ・クロラ』は、声優によるアクションを伴わない発話というアニメの特性を積極的に生かした作品だと思った。実体と切り離されたセリフによって簡単に代理表象されるリアリティという点で神代辰巳のアフレコ映>>続きを読む

たまもの(2004年製作の映画)

3.5

三島由紀夫みたいな感想になってしまうが、ギリシア悲劇のような必然性を感じられる傑作で、画面の展開にまったく疑問を挟む余地がない。女2人が海辺に行くラストも明るくて好きだった。

裏切り者(2000年製作の映画)

4.0

これほど人間の孤独を感じさせる作品も珍しい。主人公の性的関係を途中まで伏せておくのが上手いと思った。称賛されているライティングだが、心象風景や何かの象徴ではなく、人物の内面と徹底して切り離されたものと>>続きを読む

ファンシイダンス(1989年製作の映画)

3.0

浮世から切り離された聖域など存在しないというストーリーと、小津に学んだファンタジー的な画面(褌と鳩、障子破り)とが相まって、単純に観客に消費されない作品になっている。そして、仏教のことはまだよくわから>>続きを読む

卒業(1967年製作の映画)

2.5

村上龍の『限りなく透明に近いブルー』が出たとき田辺聖子は「ええんちゃう?文章、どこもおかしいとこあらへんしね」という感想を言ったそうで、笑ってしまったが、『卒業』もそういう感想を言いたくなる作品ではあ>>続きを読む

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

2.5

正直長すぎて続きを見たくないが、いい作品だと思った。あの老人が、なんでも知ってるように見えて、けっこう観客側に伝わってる情報を知らなかったりするのが面白い。選ばれし主人公が運と勘の力で勝利してく話にな>>続きを読む

モガンボ(1953年製作の映画)

3.0

あたりまえだが猛獣の映像と俳優の映像は別々に撮られてるわけで、全体的に統一感がなくなっているのだが、その中に時々はっとするほど美しいショットがある。序盤の夕日や、仔象にバナナをねだられて転ぶエヴァ・ガ>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

3.5

これはよかった。まあ最初はスパイダーマンかわいそうと思うし割とイライラするが、結局「仮面」と共に「大いなる責任」を引き受ける話になるのですばらしい。特にスパイダーマンが復活した瞬間、編集長が「スパイダ>>続きを読む

ダーティハリー4(1983年製作の映画)

5.0

これまでは殺人犯を問答無用で殺していたダーティハリーだが、今回の犯人はソンドラ・ロックなので庇ってあげるというすばらしい公私混同作品。
ユニコーンの角という伏線をやたら強調するのとか、これ見よがしなテ
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夢の丘(2019年製作の映画)

3.0

怖かった。理由はわからないがフェンスの網目とか何でもないものが不気味に見えてきて、世界の豊かさを感じる。

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.5

冒頭のメリーゴーランドは本当にすばらしい。これは「奥村さんのお茄子」のうどんフィルム。
トムクルーズの腕のアラームが鳴って撃つのをやめるところでは普通に感動したが、そのあと局長が自殺したのは人間の意志
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スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.0

面白かったが、ちょっと間延びしてる感があった。というか、ムダな爆発が多すぎて笑う。

これがロシヤだ/カメラを持った男(1929年製作の映画)

5.0

冒頭の字幕にもあったが、「映画言語」というのは自然に存在するのではなくて、機械的に組み立てられる一つのメカニズムであるということがよくわかる。
あと、非人間的なカメラが逆説的に帯びるユーモアがここには
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