Hiromasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

5.0

何年かに一本の名作映画ではあるまいか。
執念深い男の話ではなく、「執念だけが報われる」という格言に取り憑かれた男の話。

潜入者(2015年製作の映画)

4.0

スピード感のある編集によってどんどん前に進んでいく感じの映画で、とても面白かった。
潜入捜査官が主人公で、一見、仲間に対する裏切りがテーマなのかなと思うけど、そうでもない。むしろ「演技」の中にどうして
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ルームメイト(2013年製作の映画)

4.5

これは傑作。
映画とはあくまで視覚の体験でしかない。今この瞬間に何が写っているか、次の瞬間に何が写るのか。そしてそこに「現実」が成立するかどうか。このギリギリの緊張感の上にしか「他者への愛」もあり得な
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探偵物語(1983年製作の映画)

3.0

こう言っちゃ悪いけど、当時薬師丸にハマってたのってほんとにしょうもない連中だったんだろうなと思ってしまった。作中の探偵=松田優作の「ガキ相手の仕事をやってる」感のリアリティ笑。
鏡を乗せた車がやってく
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エボリューション(2001年製作の映画)

3.5

宇宙からやって来た単細胞生物があっという間に猿まで進化する、そんで人間並の知性を身につけるのかと思いきや、巨大な単細胞生物になってしまう。あと、アメリカのバカ映画って大体脳筋をバカにする展開な気がする>>続きを読む

ラスト サムライ(2003年製作の映画)

2.5

トムが甲冑を着て出陣し、「陛下」とか言い出す展開はおもしろい。
「ラストサムライ」いかにもアメリカ人が好きそうな寓話だなと思った。

情婦(1957年製作の映画)

4.0

これはよかった。
アガサクリスティ「検察側の証人」が原作でトリック自体も面白いが、話の中心は主人公の老人弁護士に当てられている。この老人の、不屈の精神に涙してしまう映画だ。

七年目の浮気(1955年製作の映画)

2.5

ラブコメというか、わりとシニカルな話だと思う。主人公はしょうもない人間だがそれだけに大して悪いこともしない、みたいな人間観。立川談志はワイルダーが好きだったらしいけど、落語的な笑いとはちょっと違うんじ>>続きを読む

深夜の告白(1944年製作の映画)

3.5

悪女ものかと思ったらそうでもない。その辺の機微がとても面白かった。
EGロビンソンのキャラが良すぎる。
あと、過去と現在とを似たような構図の反復として見せるのがうまい。そしてそれらを貫く細部(たとえば
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アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)

3.5

序盤は早く会社辞めろと言いたくなるだけだが、だんだん主人公が割と筋を通そうとしていたことが見えてくる。
しかしそういうストーリーが良いというよりも、脚本の見事に平仄合ってる感がとても面白い。ガスの臭い
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フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

4.0

電車と車のカーチェイスがすごい。もはや無機質でめちゃくちゃ強力な運動だけがあって、敵、味方どちらが死んでも別にどっちでもよくなってくる。
あと、暖かそうなレストランでマフィアが食事してる場面で、カメラ
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恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

5.0

これは面白かった。吊橋のシーンも面白いが、やむをえない事情で男たちが集まってきてしまう前半はもっと面白い。
フリードキンは「仁義なき戦い」が好きらしいけど、これなんかほとんど本当に深作欣二が撮ったんじ
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さすらいのカウボーイ(1971年製作の映画)

1.5

うーん。そもそも旅に出るか家に住むかという問題設定がどっちでもいいと思う。というか、作者がただのマザコンにしか思えなかった。あと、いちいちオーバーラップするのやめてほしい。

西部魂(1941年製作の映画)

4.0

南部の荒くれ者も、インディアンも「西部魂」に吸収され電信の道は果てもなく続いて行く。西部劇に対するイデオロギー的批判が無意味なのは、西部劇の魅力が「清濁併せ呑む」ことにあるからだ。
電信柱の上で射殺さ
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いっツー THE MOVIE(2014年製作の映画)

2.5

鼠先輩が出てたのをたまたま思い出して、記録。

ゾンビ映画云々は適当感しかなかったが、屋上での長回しに、わりと「映画」の魔法的な力に対する信頼が感じられる作品だった。

サランドラ(1977年製作の映画)

3.5

序盤の、犬を追いかけて岩山を登っていくシーンの粗いつなぎは最高。このサスペンス感こそ映画の醍醐味だと思う。
このシェパード犬が復讐するのも面白くて、同年公開の『サスペリア』と好対照を成す。
『悪魔のい
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サスペリア(1977年製作の映画)

2.5

ドイツを舞台に、魔女の世界が崩壊していくお話。作者なりのキッチュな美意識が一貫しているのは伝わってくるが、面白いかどうか訊かれたらよくわからない。
あと、日本でこの映画に影響受けたのが綾辻行人と吉本ば
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白い指の戯れ(1972年製作の映画)

3.0

伊佐山ひろ子の「白目」。
ここから、『四畳半襖の裏張り』の神代辰巳と『最も危険な遊戯』の村川透が出てきたという意味で重要な作品のひとつ。

戦国ロック 疾風の女たち(1972年製作の映画)

2.5

「国中に香水を降りかけたい」という野望を語る田中真理。この時代にありがちな夕陽をバックに挫折感を歌い上げる映画だが、アクションには無駄がない。

ブロンソン(2008年製作の映画)

3.0

作者の「不器用な男」という主題は良いと思うけど、映画そのものはそんなに面白くなかった。

飾窓の女(1944年製作の映画)

4.5

いやあ、ハリウッド映画ってすごいな…と思った。見始めたらすぐに引き込まれて最後まで見てしまうが、どんな話だったかと訊かれると、妙に疲れ切った中年男の顔しか浮かんでこない。まさに無名の群衆が見た夢を思わ>>続きを読む

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年製作の映画)

3.0

ちょっと長いかな。あと、人生を表現するのはいいけど、「時は流れる」とか「偶然の神秘」というありがちな話で終わってる気がしてしまった。この作品でうまく語れなかった「人生のすばらしさ」は、むしろ次作の『ソ>>続きを読む

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

4.0

外国人が出てきたからかもしれないが、黒沢清はめちゃくちゃポーの小説の影響を受けてるんじゃないかと思った。というか、ポー的な主題を継承してきた映画史があるんだろうけど、とにかくこれを見るとポーが描いた不>>続きを読む

無法松の一生(1958年製作の映画)

3.0

映画として評価するなら、ありもしない「前近代」を無理やり描き出そうとする映画でわりと白けてしまい、そんなに評価できない。ただ泣けるか泣けないかで言うなら、泣ける。無法松のような男の一生は、いまだに私た>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

4.0

傑作。別に金儲けしたかったわけでもなく、かと言って何か理念もなく、ただ好きな子にふられたとかバカに負けたくないとかいう平凡な動機から出発して大きな舞台に出てしまう。そこが、とても面白かった。

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

5.0

イーストウッドの中でも最高傑作ではなかろうか。
何度見ても衝撃的な作品で、自分がものを考えるとき、この『ミスティック・リバー』が出発点になっている。

バージンブルース(1974年製作の映画)

2.5

ポルノかと思ったらそうでもなく、よくわからんやりとりが続く。見てると気が滅入ってくる映画だった。
ただし、野坂昭如が「黒い舟唄」を歌うシーンがあり、そこは見れて良かった。

赤々煉恋(2013年製作の映画)

2.0

さわやかな諦め感を漂わせながら、都会のどうでもいい風景を眺めていく幽霊の土屋太鳳。
別に死んだから諦めたわけでもなく、生前のシーンでも割とそうだった。この透明感はとてもすばらしい。
ただし後半は普通に
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ハリー・ポッターと魔法の歴史(2017年製作の映画)

1.5

ドキュメンタリーらしいが、変な杖職人のおじさんとか出てきてうさんくさかった。

あと、小学校のときハリーポッターにハマって学校で友達と呪文を叫び合っていたのを思い出した。今思い返すと、やはりあの頃スネ
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虹をつかむ男(1996年製作の映画)

3.0

『ニューシネマパラダイス』を見終わって外に出たら、近所の人たちが勢ぞろいしていて「今日の映画。どやった?」と聞いてくる……正直、俺だったら逃げ出してしまうと思う。
ただ、単純な映画愛の押し売りという感
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ファイナル・スコア(2018年製作の映画)

3.5

『ダイハード』のパクリだが、実際ダイハード並みに傑作なので良いと思う。
ただ欠点を言うなら、主人公のキャラが薄い。本作の主人公は死んだ友人の娘を守るために戦うのに対して、ダイハードの刑事にはそんな内面
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ホワット・ライズ・ビニース(2000年製作の映画)

4.0

フレームの中に不気味なものが侵入してくるヒッチコックの手法を繰り返し反復した作品。
しかし、最終的にはゼメキス的な話になる。よくゼメキスは「重力」の作家だと言われるが、本作の風呂シーンにはそれがよく現
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MITARI !(2002年製作の映画)

3.5

「旅」が映画としてフィクション化されていくのには迫力を感じたものの、吉本隆明的な「大衆の原像」とか言い出しそうな気配があって若干引いてしまった。
ただ、友達が「原将人はドゥルーズのシネマを参照している
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世界の中心で、愛をさけぶ(2004年製作の映画)

2.0

そもそも雨でずぶ濡れのおじさんが長澤まさみを回想するという構図がどうかと思ってしまった。あと、いちいち文学的なセリフがうざい。「君の膵臓を食べたい」はこれを改良した作品だと思う。

ただ個人的に、この
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

2.5

うーん…よくできた皮肉だなという感じで、あまり得るものはないかな。同じ題材だと、イーストウッド監督『ハートブレイクリッジ』の方が面白いと思う。

ザ・ウォード/監禁病棟(2010年製作の映画)

4.0

みなさん書いてるけどダンスのシーンが最高すぎる。正直話は凡庸ながら、この数十秒間があるという一点で傑作。実質ゴダール。これが見たくて映画を見てるのだ。