Hiromasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

(1949年製作の映画)

3.0

ボクシングの観客たちの、「無防備」な表情の面白さ。悲劇は、盗み見られた表情=心理によって構成されている。「リアル」な時間進行はこのことと関連しているが、その作意とは別に、ゆったりと引き延ばされた映画的>>続きを読む

セブン(1995年製作の映画)

5.0

最後、モーガンフリーマンが言っていた。「ヘミングウェイは『この世界は最高だ。戦う価値がある』といった。この言葉の後半だけはたしかに正しい」と。
映画は異常な殺人犯を追跡するサスペンスだが、一方で、「世
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ダグの特別な一日(2009年製作の映画)

3.0

「カールじいさん」に出演していたダグが、元の主人と仲間たちを裏切るまでの話。
何も考えてないお人好しのバカに見えても、裏切るときは裏切るのだという厳粛な事実が描かれている。

晴れ ときどき くもり(2009年製作の映画)

3.5

「カールじいさん」のDVDについていた付録作品。祝福されずに生まれる生命を、ハリネズミや電気ウナギとして表象している。あまりの完成度に、「ディズニーって凄いな」という感想が真っ先に浮かんでしまう。

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)

3.0

子供時代に見たことを忘れていて、また見てしまった。
妻に先立たれ、暴走老人扱いされたカールおじさんが、風船で空に飛び立つ映像は美しい。だが、それだけの話ではない。むしろもうひとりの暴走老人との戦いを通
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雲のように風のように(1990年製作の映画)

3.5

フェミニズム的には問題含みだが、ノンシャランな魅力があって面白かった。しかし、ドアを開けたら大の字で寝てた女の子を、もっと活躍させるべきだったろう。

ロスト・シティZ 失われた黄金都市(2016年製作の映画)

4.0

あまりにも素晴らしいラストショット。まさにこの作品の続編が「アドアストラ」であろう。

ゲーム(1997年製作の映画)

4.5

すべてが「見せかけ」でしかないという、ペラペラの映像が良い。あと、オチが最高すぎて笑ってしまう。主人公は冒険の末にひとつの現実を受け入れるのだ。

ハイ・シエラ(1941年製作の映画)

3.5

ベテランのギャングと若者たちの関係を描いた作品かと思いきや、女に甘いボギーの物語だった。どこ行ってもついて来る犬がかわいいが、主人公自体女にかわいがられるだけの犬であり、その点ユーモラス。
そして、ク
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アイアン・ホース(1924年製作の映画)

4.0

鉄道(アイアンホース)敷設をテーマにした建国神話。冒頭に「これは叙事詩である」という字幕が出たが、映画による叙事詩なるものがあるとしたらまさにこんな作品だろう。この作品が与える感動は「ドラマ」「映像美>>続きを読む

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.5

たまたま昨日図書館で借りてきたのがこの2本だったから比較するだけだが、「サムサッカー」が人生の「肯定」に至るプロセスを描いた作品だとしたら、「キッズリターン」にそのようなゴールはない。しかし、この作品>>続きを読む

サムサッカー(2005年製作の映画)

3.5

人々の「弱い小動物」としての姿がだんだん見えて来る作品で、とてもいい映画だと思った。しかしその中でキアヌの、こいつだけは何か違う感がすごい。

堕靡泥の星 美少女狩り(1979年製作の映画)

3.0

主人公はヒトラーに影響を受けたらしいが、「反権力・反大衆」を標榜するこの男はインテリにはよくいるタイプだろう。地下室で女を殺す時、わざわざ別の部屋に知り合いを呼んでパーティを開いたのはアリバイ作りのた>>続きを読む

ポセイドン・アドベンチャー(1972年製作の映画)

4.5

花やしきのびっくりハウスを思い出させる作品だった。特におばさんが潜水するシーンには胸を打たれる傑作。

昼下りの決斗(1962年製作の映画)

3.5

一見西部劇のテンプレ的なキャラしか出てこないように見えるが、だんだん彼らに奥行きがあることが見えて来る。まずその点でいい映画だと思う。そして、さまざまなアングルからのショットを組み合わせた決闘シーンが>>続きを読む

壁あつき部屋(1956年製作の映画)

2.5

レポートのために鑑賞。
せっかく外出を許されたのに、キャラメル一箱だけ買って帰ってくるというのはリアルかもしれないが非常に陰鬱な気持ちになった。

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.5

モンタージュとは何か。この映画に出てくる、肉に群がったウジ虫の映像はすごい。ぶら下がった一見ふつうの肉の映像があり、そのあとに、それをクローズアップしたウジ虫の映像が来る。この見えないものが見える瞬間>>続きを読む

僕だけの先生~らせんのゆがみ~(2016年製作の映画)

3.0

トラウマによる愛と性欲の話で、一見、どろどろとした情念を描いているように見えるが、そうでもないんじゃないかと。人物のアクションの動機ははっきりしていて、キモい奴はキモいがそれにはちゃんと理由があるとい>>続きを読む

ブルースチール(1990年製作の映画)

3.5

女刑事が殺人犯の男に「俺と似ている」と言われてつきまとわれるが、刑事の方は「そんなこと知るか」と拳銃をぶっ放す。しかしあまり爽快感はない。女版ダーティハリーという実験作だろうか。

レールズ&タイズ(2007年製作の映画)

4.0

これを見て涙を流さない人は悪人ではないだろうか。
最初はあまりにもウェットなストーリーと演出に辟易したが、少年が家にやってきてから、それぞれに罪と傷を抱えた人たちが並んで生きる姿が浮かび上がってくる。
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怒りの葡萄(1940年製作の映画)

3.5

フォードの映画には二つの意味でのリアリズムがある。
まず、検問されたとき、「病気の老人がいるんです」と言ってぐったりしたおばあちゃんを見せる。だが、その時すでにおばあちゃんは亡くなっていたことが後で判
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妻の秘蜜~夕暮れてなお~(2016年製作の映画)

3.5

冒頭、寝ぼけた老人が冷蔵庫の引き出しを開けておしっこしようとするシーンから始まるが、このときの「俺は何を見てるんだろうか…?」というめまいの感覚は快感に近い。気持ち悪い爺さんを気持ち悪いままで肯定する>>続きを読む

死への逃避行(1983年製作の映画)

4.5

イザベルアジャーニを娘だと思い込んで延々と尾行するおじさんが良い。この人はいつも独り言を言っていて、近くにいた関係ない人がそれに反応しても、全く動揺せずに独り言とも返事ともつかないセリフをしゃべり続け>>続きを読む

人生とんぼ返り(1955年製作の映画)

2.0

森繁の演技がくさすぎる。
しかし国定忠治と段平を重ねるシーンは良い。ストーリー的には森繁のアクションを左幸子が媒介して河津清三郎が再現するということになるわけだが、その一回性において、そのときそこにい
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ムーラン(1998年製作の映画)

4.0

単に男たちがザコいというだけの話では、と思ったが、とにかくムーランの活躍に熱くなれる作品だった。べらべらしゃべりまくるドラゴンが面白くて笑えるところもよかった。

永遠の僕たち(2011年製作の映画)

2.0

ある種の特権を与えられることに対してが全く屈託がないので、ちょっとたじろいだ。こんなに素直に撮っていいのかと。むしろ異様な印象を受ける作品だった。

ハリーの災難(1955年製作の映画)

5.0

正直ヒッチコックの笑いのツボは理解不能だが、とにかく、このきれいな女性が訳のわからないことを延々としゃべっているのは非常に良い。
そして絵が売れたとき、金を要求するのではなく、友達の欲しいものを一人ず
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

5.0

大人が子供に何かしてあげるとき、同時に大人も子供から何かを受け取っている。そういう作用反作用の関係が丁寧に描かれた映画だと思った。天使がヒラヒラと正雄の鈴の上に降りてくる、正直安っぽいCG合成シーンが>>続きを読む

スパイ・ゲーム(2001年製作の映画)

4.0

正直、詰めが甘い脚本だなと思った。レッドフォードが「ディナー作戦開始」と言っても、会議室の男たちは「奥さんに冗談を言ってるのだろう」としか反応しない。この人たちは、あまりにも勘が鈍すぎるか、あるいはわ>>続きを読む

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(2010年製作の映画)

3.5

フィクションをあの手この手で持続させようとすること自体がすばらしいなと思わされる作品。終盤の染谷のモノローグがあまりにも小沢健二笑。

ゲド戦記(2006年製作の映画)

1.5

内なる悪と戦う少年の求道的なストーリーだが、あらかじめ正解がわかってしまっている退屈さがあった。

トゥー・ラバーズ(2008年製作の映画)

5.0

これは面白い。あまりにもポジティブな結末で、背筋に感動が走った。本命の女をあきらめて好きでもない女を適当にだます最低男の話だと思ってる人が結構いるが、それは違うのではないか。一つの像に収斂しない他者や>>続きを読む

キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

2.0

まあだいたいどんな話かわかってしまうのでわりと退屈だった。ムダなスローモーションとか多いし…。冒頭から日本刀が出てきて笑えたが。正直、映画館で見なくて正解だったなと思ってしまった。

タイトロープ(1984年製作の映画)

3.0

レイプ犯を追いかけるうちにだんだん犯人に似てくるというストーリーだが、結局イーストウッドが女性の言いなりになるのが好きだという性癖を暴露しているだけではないだろうか。
「ローハイド」の頃から山田宏一に
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今夜、ロマンス劇場で(2018年製作の映画)

5.0

綾瀬はるかが容赦なく暴力的で笑ってしまった。しかも、これが加藤剛の遺作……。