まっつさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

プラットフォーム(2019年製作の映画)

2.3

こういう理不尽グロテスクものは大好物ですよ。全体の構造を何も把握できないまま希望を託すの、象徴的ですね〜パンナコッタを食べたくなったしドン・キホーテを読まねば!という使命感に駆られました

スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020年製作の映画)

2.1

どこにも女性の逆境がある。1910年代よりこっち、アクション現場においても男女は平等でなかったし今もそう。「実力を証明し続けなければならない」の一言が重い。

ミッドナイト・ファミリー(2019年製作の映画)

2.4

救急救命士として働く家族を追ったドキュメンタリー。舞台となるメキシコシティは人口900万人に対し公共の救急車が45台未満のため、私営救急車の需要が高い。食い扶持のために現場に向かう他の救急車とどちらが>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

3.0

富と引き換えに最も欲しいものが手から滑り落ちていく物語構成こそ王道だけど、割と変な作りの作品なのでは。まず最初のマーチ社によるニュース映像がめっちゃ長いし、時代の技術を考えたらとんでもない特撮を多用し>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

1.3

DVDにて鑑賞。
泣いた。確かに泣いたよ。だけど「個人が集団に吸収される物語」というのはよくよく振り返るとあまりいい気持ちのしない構造でもあり……複雑である。心を動かされてしまったからこそ、本作の評価
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

2.4

見る/見られるをめぐる物語であった。ラスト、我々はある登場人物の視点と同化する。その美しさよ。

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.0

退屈さの象徴のようだった「散らかったものを拾い上げる」動作や口笛が吹ける/吹けないの差が「失くしたものを取り戻す」モチーフに自然と繋がっていく。久しぶりにここまでわざとらしい映画を観たな……いや好きな>>続きを読む

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

2.2

あれだけ忌み嫌っていたはずの「あなたのためなんだ」という言葉を自分も放ってしまう場面が辛い。大切であるがために相手の自由を奪うのは、はたして「大切にしている」と言えるのか。環境破壊などのテーマも織り交>>続きを読む

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

2.9

DVDにて鑑賞。
今年観た映画の中でも飛び抜けたザ・娯楽作だったな。この映画の前日に食べたのにもうチキンを食いたい。あとみんな実はすごいのに初っ端の体たらくはなんなんだ。そしてその「実はすごい」という
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異端の鳥(2019年製作の映画)

2.7

文明が進んでもやることは同じ。それが最悪の形で表れた、第二次世界大戦下の物語。正直劇中で描かれる地獄の大半に「こんなモンじゃないでしょ」とは思った。しかし大事なのは、ユダヤ人の虐殺には一般市民やソ連軍>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

2.4

映像によってひっくり返される、その連なりだけでできた映画。聡子は都合2度ひっくり返る。ひっくり返るたびに日本の様相は悪化の一途を辿るが、勇作への愛は深まっていく。執拗な映像の挿入、および山中貞雄監督作>>続きを読む

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒(2019年製作の映画)

2.9

物語そのものは『インディ・ジョーンズ レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に影響を受けたという監督の言葉にもあるように、王道な冒険譚。なんだけど、ストップモーションアニメってだけでなんでこんなにワクワ>>続きを読む

ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)

3.2

4K HDR版をドルビーシネマで鑑賞。

初ドルビーシネマだったんですが『黒がクッキリ見える』というよりは『眩しい場面がより眩しく感じる』場面の方が多かったです。火薬などで火花が散るシーンが多いので、
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

2.2

IMAXにて鑑賞。

輪郭線の存在は二次元特有の快楽、輪郭線が動くのはアニメーション特有の快楽。Gペンの筆致を残した輪郭線がTVシリーズ以上に躍動しているのがよかった。『かぐや姫の物語』をも彷彿とさせ
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ザ・ハント(2020年製作の映画)

3.1

ゴア描写に耐えられる人限定にはなるけど「私が正しいに決まってる」という一言に引っかかりを感じる人には是非観てほしい。そして引っかかりを感じる人ほど、どういう立場の人間がこのフレーズを発するかがわかった>>続きを読む

カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

1.1

この間『ディス・イズ・イングランド』を観たため、80年代イギリスで起こったパキ・ウォッシュを理解した状態で鑑賞したのはよかった。実話を基にした作品でこんなことを言うのは特に心苦しいのですが、ジャベドみ>>続きを読む

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

1.7

母の捻れた愛情、同性愛に対する偏見、執拗に繰り返されるスローモーションやだんだんピントが合っていく演出。グザヴィエ・ドラン監督作品は熱心に追っているわけじゃない(『たかが世界の終わり』を鑑賞した程度)>>続きを読む

ディス・イズ・イングランド(2006年製作の映画)

2.9

DVDにて鑑賞。

青春時代を当時のポップミュージックで彩る映画は数多い。私が観測している中でも『トレインスポッティング』『ノーザン・ソウル』『mid90s』などが挙げられる(少なすぎでは?)。ただ本
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ロニートとエスティ 彼女たちの選択(2017年製作の映画)

2.3

DVDにて鑑賞。

舞台はイギリス・ロンドン北部。ユダヤ教の「超正統派(ウルトラオーソドックス)」コミュニティにおける同性愛への抑圧、およびセックスが「務め」とされる慣習から、彼女たちがどうにか抜け道
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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

2.8

ドキュメンタリーは嘘をつく。カメラに映る人物は、より良く映るように見せるし、より良く真実を伝えもする。事実、本作は72年までの言わば「モータウン全盛期」を切り取った作品で、ジャクソン5がレーベルを離れ>>続きを読む

BURN THE WITCH(2020年製作の映画)

1.2

Filmarksにおける私のアイコンは自分で描いたイラストで、画風に一番影響を受けたのは久保帯人、という立ち位置です。『BLEACH』自体を熱心に追っていたか?と言われると口ごもってしまうけど、原作の>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.9

「いつも笑顔でいる奴が、いつも笑顔でいるワケがない」というのが私の持論。本作はまさに、彼らが笑顔の裏でどんな経験をしているのかをまざまざと映し出していく。そうして明るみになったものは全くもって笑えるも>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

2.1

たとえそれがパシりであっても、憧れの世界に受け入れられたことは嬉しい。そうした居場所の暖かさと有害さをないまぜにした作品だった。青春はいつか終わる。美談でないことの方が多い。だけど何度でも繰り返せる。>>続きを読む

人生は小説よりも奇なり(2014年製作の映画)

2.8

人と人とが暮らすというのはとても難しい。主演の2人は幸せの絶頂にいたかと思えばすぐに引き離され、静かに苦境を強いられ、そして再び結ばれることのないまま物語は終わる。だがラストシーン、愛は循環する。ジョ>>続きを読む

ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)

2.6

フランキーに迫る死やパートナーシップを巡る感情など、コントロールできないものについての映画だった。Filmarksのレヴューにおいて「何も起きない映画」と呼ぶ人を見受けたがとんでもない。確かに展開は地>>続きを読む

ザ・ベビーシッター ~キラークイーン~(2020年製作の映画)

2.5

中盤から小出しにはなっていたものの、まんま『ターミネーター2』の構図であることがクライマックスでようやくわかる。マックG、相当恨んでますね当時のこと……筋書きは前作とほぼ同じなので、作る必然性こそない>>続きを読む

人数の町(2020年製作の映画)

2.6

自分達が何に加担させられているのか。何の片棒を担がされているのか。その中身は明らかにならないが、実際の私達も割とそういう感じかも。優れた現代社会の批評、もしくはおちょくり。あの町が何のために存在してい>>続きを読む

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

2.9

「エントロピーの増大」を理解したいなら、この映画の平手友梨奈こそ格好の素材になるだろう。『TENET』ではなく。そういった皮肉を言うのも憚られるほど、人が壊れていく様を140分見せつけられる。こんなに>>続きを読む