Ricolaさんの映画レビュー・感想・評価

Ricola

Ricola

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海がきこえる(1993年製作の映画)

3.8

「魔性の女」に振り回される男ふたり。
でもその魔性の本質は、若さゆえの不器用で無知な行動の結果そう見えただけと言えよう。ヒロインの里加子だけでなく、登場人物がそれぞれの正義を持っていて、彼らは世界がこ
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メイジーの瞳(2012年製作の映画)

3.8

大人が見てないと思っていても子供は大人を見ている。子供にはわからないだろうと大人が高をくくっても、子供は察している。静かに見つめ、それを言葉にせずに自分自身の中にその葛藤を抱え込むのだ。

理想主義的
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セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

キラキラの若いアイドルが主演ということで、彼女の魅力を引き出すことはもちろんだが、その引き出し方は多彩である。相米監督の一貫した作家性に基づいて披露される。相米作品でよく散見するモチーフとなる水と火は>>続きを読む

ジェーン・エア(1944年製作の映画)

3.4

原作を読んだことがないので、原作に忠実かどうかまではわからないが、過去の描写などがもう少し詳しくあればより感情移入できたのではないかと思った。

ふたりとも悲しい過去を抱えて生きてきたという点では共通
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ミナ(1993年製作の映画)

3.8

シスターフッドものかと思いきや、意外とそうでもなかった。もちろん2人の女性の友情を描いた物語ではあるが、タイトルの通りどちらかというと「ミナ」の物語なのである。

コンプレックスが強くて自分に自信のな
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ビートルジュース(1988年製作の映画)

3.7

とことんダークな世界でも笑えるし愛おしく思えるというのは、ティム・バートンの力量だろう。死の世界という舞台でも登場人物たちが基本的に明るい性格だというのも、関係している気がする。


死人側の立場を味
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その女を殺せ(1952年製作の映画)

4.5

列車×サスペンスはハズレなしというのは、この作品で改めて強く思った。1時間10分とかなり短めの尺だが、それでここまでさまざまな要素を詰め込み成立しているのが素晴らしい。


原題が''narrow m
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毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

サッシャ・ギトリとミシェル・シモンの組み合わせというだけでワクワクする。「怪物のような男だが不思議な魅力がある」作中で弁護士がそう言うこのセリフは、サッシャ・ギトリが俳優に代弁させた、ミシェル・シモン>>続きを読む

ドント・クライ プリティ・ガールズ!(1970年製作の映画)

3.8

刹那的に生きる若者たちの冒険と現実との闘い。当時ハンガリーは社会的な規制が厳しかったなかで、若者たちにとっては一時的な解放でも意味があったのかもしれない。彼らの思いを、全編にビート・ミュージックを中心>>続きを読む

愛しのアクアマリン(2006年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

こういったティーン向けの映画を定期的に観たくなる。心が洗われて元気がもらえる。童話人魚姫の話が元となっているのは言うまでもないが、恋愛とともに少女たちの友情と成長が中心に描かれている。

真の愛を求め
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ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

3.7

吸い込まれそうな冒頭のシーン。階段が見えないことで浮遊しているように見える。主人公ヴィッキーが楽しそうな表情を見せ、彼女が駆け抜ける足どりをスローモーションで映す。解放感があるようだが、真っ暗な先を進>>続きを読む

歩道の三人女(1932年製作の映画)

3.7

「同じマッチで3人のタバコに火をつければそのうちの1人が死ぬ」というジンクスが元となっている。そのため、運命を共にするとかそういうロマンチックな話ではない。

新聞の記事とともに時代の動向が映される。
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

わがままで嘘つき。でも素直なところもあって自分に正直なこのヒロインは刹那的で無気力で、現代の若者像と捉えられても仕方ない。ただ、彼女はこの作品のファム・ファタールでもある。ファム・ファタールと言っても>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

3.6

シリーズ三部作がひとまず幕を閉じる。この作品では友情、親子愛が特に作品のテーマの中心にあったと思う。


前半に出てくるクリーチャーと後半に登場するクリーチャーが全くタイプが異なる。前半は正直気持ち悪
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おもいでの夏(1970年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

漫画『タッチ』で南ちゃんとカッちゃんが観に行っていた映画で気になった。実際観てみると、中学生が観るにはかなりおませな内容だと思いつつも、思春期の心の揺れを瑞々しく描いているという点では別にそんなことも>>続きを読む

永遠のガビー(1934年製作の映画)

3.8

オフュルス監督の唯一のイタリア作品だそう。美しくもその美貌ゆえに波乱の人生を送った女性の物語。歌手となり大衆のものとなったガブリエラの孤独と愛が描かれる。

厳格な父への反抗心と愛されたいという思いか
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罠にかかったパパとママ(1961年製作の映画)

4.2

リンジー・ローハン主演バージョンが好きで、この作品もずっと観てみたかった。
人形劇のようなオープニングクレジットがかわいすぎて、すでにワクワクが止まらない。オープニングテーマもヘイリー・ミルズが劇中で
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リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

3.5

「最近の子は何を考えてるかわからない」
そんな言葉、いつの時代も言われてきたことではないだろうか。自分の考えてることや感情に自分自身が追いつかず、周りだけでなく当人も困惑するというのは思春期ならではの
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ヒューマン・ポジション(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

穏やかに時間は過ぎていく。愛する人と愛猫と暮らし、好きなものに囲まれてゆっくり過ごす日々は満ち足りている…。プライベートの居場所だけでなくて社会においても居場所を見出そうとするのは全く自然である。何も>>続きを読む

自由の暴力 デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「自由」一見最高の言葉に思えるが、自由とはかなり使い勝手が難しいもので、ときに人を狂わせる。自由は人を解放するが、解放された分伴う責任はすべて当人が背負わなければならない。そして、自由の使い方がわから>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

3.6

前作はスター・ウォーズの世界を紹介するというスタンスが強かった気がしたが、ここから本格的に物語が動き出す。


氷の惑星で繰り広げられる地上戦。帝国軍側の巨大かつ脚の長いロボットに苦戦する。東京ディズ
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奇人たち(1973年製作の映画)

3.7

シュールとしか言いようがないほど、登場人物たちがぶっ飛んでいる。それもそうだ、映画のタイトルが『奇人たち』だから。

主人公の青年は、村で父親と2人暮らし。しかし父親が急死し、父親が村の人たちから借り
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スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

3.6

やっとスター・ウォーズシリーズに足を踏み入れた。すべてはここから始まったのかと感激した。

キャラクターが魅力的なのは言うまでもなく、世界観が他にない完成されたものである点からも、この作品が愛され続け
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

長年住んでいたアメリカから帰ってきた元俳優のサンオク。彼女は久しぶりに妹らと再会し、自分の幼少期に住んでいた家を訪れるなど過去を振り返りつつ、未来への予感を感じる。

ホン・サンス作品で特徴的な演出技
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テオレマ(1968年製作の映画)

3.6

画面はセピア色一色で発する声なども聞こえない冒頭シーン。「明日着く」という電報のショットの後から、急に画面は色付き人物の声や生活音が聞こえるようになる。そう、ある男の訪問が明らかになってかは、カラーの>>続きを読む

星を持つ男(1950年製作の映画)

4.0

こういったキリスト教の視点から語れる道徳的な作品は個人的に好きである。キリスト教の教えを通して人として大切なことを共有して実践する。南北戦争後、南部の小さな町に牧師グレイ(ジョエル・マクリー)がやって>>続きを読む

スウィッチ/素敵な彼女?(1991年製作の映画)

3.5

女遊びが激しいスティーブは女友達から恨みを買って殺される。彼は神様から「女性から愛されれば天国に行ける」と言われ、猶予を与えられ生き返るが、姿かたちがすっかり女性となっており女性としてそのミッションを>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(1985年製作の映画)

3.6

寅さんは今回も恋愛指南に徹する。相手が若すぎるというのはもちろんだが、マドンナを好きな男がいるとわかると彼は譲るというより嬉しくなって応援したくなるのだ。美人に弱いけれど人を出し抜いてやろうという気持>>続きを読む

危険がいっぱい(1964年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アラン・ドロンが亡くなった。映画界きっての色男というとやっぱりアラン・ドロンが1番に浮かぶ。でも意外と爽やかな青年という役より、ひと癖あるような役どころが多い気がする。そしてこの作品のような、悪い男が>>続きを読む

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

さまざまな困難を乗り越えて激動の時代をたくましく生きていく少年の半生が描かれる。彼は母親に捨てられ、厳しい京劇の世界に入りそのトップへと登りつめ、真摯な愛を注ぐものの心は満たされないのだ…。

3時間
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観ようと思いつつもホラーということでビビりすぎてなかなか踏ん切りがつかずにいた作品。正直、思ったほど怖くはなく心にダメージはそこまで受けなかった。でも主人公とともに気味悪さや居心地の悪さにどんど>>続きを読む

赤ちゃんに乾杯!(1985年製作の映画)

3.8

独身貴族でシェアハウスをしている3人の全くタイプの異なる男性。広告代理店勤務のピエール、客室乗務員のジャック、漫画家のミシェル。そんな彼らのもとに突然赤ちゃんが現れたことで生活は一変する。アメリカでリ>>続きを読む

刑事ジョン・ブック/目撃者(1985年製作の映画)

3.6

ほぼインディー・ジョーンズだったといってもいいかもしれない。異文化交流およびそのコミュニティでの女性との恋愛、そしてアクション。スーツを着ていてもハリソン・フォードの粗野なイメージは変わらない。それは>>続きを読む

ひろしま(1953年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あまりに生々しいため、途中で少し具合が悪くなってしまったが、それほどリアルに訴えることに意味があるのだと思う。

戦後のある広島の中学の教室から始まる。
ラジオからながれるゼロの暁を聞きながら虚ろな表
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殺したいほどアイ・ラブ・ユー(1990年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

実際にあった事件をもとにしているそうだがシリアスな雰囲気はほとんどなく、かなりあっけらかんとしたブラックコメディである。不倫している夫を殺そうとするがなかなか死なないという不思議かつホラーな状況に笑え>>続きを読む

オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

シェイクスピア原作をオーソン・ウェルズ監督・主演によって翻案した作品。

人を信じることは純粋な気持ちがあってこそであり、少しでも疑いが生まれると簡単に人間関係は崩れ落ちてしまう。


イアーゴがキャ
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