16歳のあの夏から数年経ち、みんな大学生になってそれぞれ違う大学に進み、高校のときと違っていつも一緒に行動しない時間のほうが長くなっていた。
それでも彼女たちの絆は強固なものであることに変わりない。>>続きを読む
衝動が抑えきれない。それは体の内側から湧き上がってくるものであって、頭ではわかっていても止められない。もはやそれは病気なのである。
勢いよく走る機関車が冒頭長く映し出される。機関車の駆け抜ける音にハ>>続きを読む
高校生の親友4人は、背も体型も異なるのになぜか皆にぴったりという不思議なジーンズに出会う。そのジーンズは、夏休みの間彼女たちの間を行き来し、彼女たちの経験や思い出がそこに刻まれていく。
幼馴染でず>>続きを読む
モルモン教徒たちと旅芸人たち。価値観が全然違う人たちでの大移動に、二人の流れ者が護衛としてついて行く。派手なアクションなどはないが、雄大な大地と複数のコミュニティ間での友情や恋などが描かれている見ごた>>続きを読む
よく聞く「丁寧な暮らし」とは一体何なんだろうか。そういう風に表するのは自由であるが、その本質をこの作品で観た気がする。
近所の女性がホウキで落ち葉掃除をしている。その音で目覚める。カセットテープで音楽>>続きを読む
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くだらないことでずっと楽しめるような仲良し4人組だったのに、急にそのうちの1人が亡くなってしまった。その現実を受け止めきれない男たち。ホモソーシャル的な結びつきの脆さといったそんな単純な話なだけではな>>続きを読む
2023年12月12日は、小津安二郎の生誕120年目であり没後60年目という記念すべき日なので、やはり小津作品を観たくなった。
家族について描いた作品であるが、決してほのぼのとしたホームドラマとは言え>>続きを読む
職を失うこともお金がないことももちろん不幸だけど、心だけが貧しくないことが不幸中の幸いどころか、希望の道筋となる。
久しぶりに帰ってきたカウリスマキは、いい意味で変わっていなかった。
現代社会は進歩し>>続きを読む
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綺麗事ではなく、真実の愛を観た。
何としてでも愛する人を放したくない者による常軌を逸脱した行動が、自分自身の欲だけではなく真実の愛へと導いたからだ。
老人の愛妾として長年囚われの身であったお兼(若尾>>続きを読む
子どもは保護されるべき対象だが、だからといってすべての脅威から大人が常に盾になるべきとは限らない。彼らのためにも自分の殻から一歩踏み出す後押しをする必要があるだろう。
母親を亡くしてからやりたい放題>>続きを読む
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『招かれざる客』の裏バージョンのような作品。裏というのは、皮肉や人間の闇の部分をもってそう表してみた。
白人の女性ローズの恋人は黒人のクリスという青年。ローズは家族に彼を紹介しようと、実家に彼を招く…>>続きを読む
人生なんて世の中なんて、真実ばかりで構成されているとは限らない。そういった事態はマイナスに捉えられやすいと思うが、嘘も方便というように、その方がいい場合もあるようだ。
筋書き全てがご都合主義だけど、こ>>続きを読む
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一見ただのデパートに社内恋愛している男女と見えるが、実は前科者たちに社会復帰および更生への手助けとなるようにと、社長が雇ったうちのふたりなのだ…。彼女は自身の経歴を知られることを恐れながら男と付き合い>>続きを読む
今回は最初から叶わぬ恋だというのは、だれの目から見ても明らかである。寅さんのその淡い想いは、優しさとなって相手に届く。
丸の内の証券会社でバリバリ働く男とひょんなことから知り合いになる。彼は寅さん>>続きを読む
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巨大お菓子メーカーの勝ち抜き戦略とそれにまんまと踊らされる人々。
「現代の人間は考えないんです」
だからこそ、テレビや新聞、宣伝カーなどの生活圏内に宣伝を大量に流し人々の脳内に刷り込ませることに企業は>>続きを読む
相変わらず色彩豊かだが統一感のあるセットや小道具やキャラクターは素敵だが、最近のウェス・アンダーソン作品は迷走しているように感じてしまう。
優しくてシュールなおとぎ話といった物語のスタイルは変わらな>>続きを読む
ディズニースタジオ創立100周年を記念して配信されたこの作品。
それぞれのキャラクターの特性や性格が活かされていて、作品はもちろん時代の垣根を越えて繋がる彼らを見て胸がいっぱいになった。
集合写真を>>続きを読む
白人のローラと黒人のアニー。宿無しのアニーとその娘を泊めたことから、共同生活が始まる。10年以上に渡る彼女たちの友情が、それぞれの娘の関係とともに描かれる。
最初はどちらもシングルマザーで一見立場>>続きを読む
まだ幼さ残る主人公のマリー。彼女が恋をしたのは年上のフロリアーヌ。マリーの心を揺さぶる彼女は、小悪魔なのか…。
マリーは見つめることしかできない。
男の人に呼び出されるフロリアーヌを、男の人とキス>>続きを読む
ロアルド・ダール短編作品とウェス・アンダーソンのコラボ。
突拍子もない不思議な世界を色鮮やかに表現するウェス・アンダーソンの手腕はさすがであるが、ただそれだけになっているように感じてしまった。
お金>>続きを読む
小津安二郎の『東京物語』はこの作品からインスピレーションを得て作ったそうで、たしかに家族のなかで疎外感を感じる老夫婦について描かれている。
ただ『東京物語』と比較すると、この作品では特に老夫婦の間の愛>>続きを読む
あまりに有名なのでもはや敬遠さえしていた。良くも悪くも予想を超えるものではなかったけれど、気軽に楽しく観ることのできる娯楽作品であることは間違いない。
ストーリー設定とキャラクター、そしてノリのいいテ>>続きを読む
我々が寝ているときに見る夢の世界は実に不思議である。自分の好きなように夢を見れたらどんなに楽しいだろうと思うこともある。夢を操作できたなら?他人が見る夢に入り込めたなら?夢が現実に侵食してきたなら…?>>続きを読む
コロニーから脱出した少女マリアが行き着いた先は、オオカミの住む家だった…。
ストーリー云々というより、演出の特異さが軸となっている作品なのは明らかであり、その気持ち悪さに驚かされるという意味でも、ホ>>続きを読む
『オオカミの家』と同時上映の短編作品。
チリで、100年以上前のフィルムが見つかった…。それは世界初のストップモーションアニメ作品だった。(設定の話)
ある少女が何やら死者の骨を操り始める。
骨たち>>続きを読む
寅さんが誰にも好かれ、人の心をがっしりと掴むのは、彼の愛嬌はもちろん、フラットな接し方なのではないかと、この作品を観て改めて感じた。
都はるみが今回のマドンナ。
京はるみという役を演じているが、彼女>>続きを読む
フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』のように、監督自身が少年時代を描いた作品。
祖母との生活の穏やかさ、実の母親と恋人との生活での息苦しさと、思春期へ突入するもどかしさなどが、同情や共感>>続きを読む
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大司教暗殺事件ということだが、宗教色はたいして強くはなく、単純に「人」の恐ろしさが描かれる法廷サスペンス作品だった。
被告人アーロン(エドワード・ノートン)の二面性(というか彼の場合は病気だが)に限>>続きを読む
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天性の悪魔。厄病神にしてはたちが悪すぎるほど、自分の都合しか考えていない。
そんな悪魔でも神に祈ることはある。それで彼女は一時的に神に試されたのかもしれない…と思うほどだ。
ただ、神からの試練を受けた>>続きを読む
2つの短編『楽しい川辺』と『スリーピー・ホロウの伝説』によるオムニバス作品。全く毛色の違うストーリー2本仕立てである。
『楽しい川辺』は、教訓じみたところのある作品である。主人公のトード氏は派手好>>続きを読む
嘘偽りない月は女を照らす。彼女をまっすぐ見つめている。いくら人に嘘をつくことができても、その眩しさには耐えきれない。
サマセット・モームの『手紙』が原作であり、秘密を抱える女性レスリーをベティ・デイ>>続きを読む
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2017年公開時に劇場での鑑賞以来の鑑賞。
当時この映画の歌に特にどハマリした印象が強かったが、改めて見直してみると、古き良き映画作品へのオマージュで溢れた作品であり、どのシーンがどこの映画からと言う>>続きを読む
気だるさを常に漂わせている女。
ただ時間を潰すように生きているようだ。
世界も人生もどうでもいいと言うように、ひたすら時間が過ぎていくのを待つように生きている。
部屋から何もかもなくしてしまう。>>続きを読む
「東京人間っていう言葉が好きで、なんだか無責任な感じがしてそれがいい」
自分の言葉で日本語も英語も紡ぎ出す山本耀司。洋服のデザイナーとしての彼だけではない、彼の思考にまで少し触れたように感じる。>>続きを読む
いっけなーい!結婚式間に合わない!なカップル。それぞれ急いで準備してなんとか式に間に合ってめでたしめでたし…から、物語は始まる。
それから5年後…
「長年わたしはあなたを暖める毛布だった」
「愛が消え>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
いつ爆発するかわからない。いつもニコニコしている人ほど怒ったときが怖いというのは、そういったゆえんだろう。
内に秘めて堪らえているバリー(アダム・サンドラー)。
姉たちの干渉や揶揄にうんざりし、本当>>続きを読む