Ricolaさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

Ricola

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百年恋歌(2005年製作の映画)

3.7

同じ二人の俳優が、異なる3つの時代のカップルを演じる。
その点から、『キートンの恋愛三代記』のような内容を想像してしまったが、もちろん全く違う。

それぞれ二人の社会的地位の違いや、それぞれの恋の異な
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ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

現実の厳しさを目の当たりにしても、希望を見いだせるような心あたたまる作品である。
そして、単なる「感動」作品にとどまらず、この作品は主に「出ること」と「留まること」で構成されている点で興味深い。
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ニューオリンズ(1947年製作の映画)

3.9

ジャズに関して詳しいわけではないので、歴史的背景や曲などについては、この作品を観ながら初めて知ることが多かった。

サッチモやビリー・ホリデイの美声、音楽家たちによる名演奏を楽しむことができる。
それ
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神のゆらぎ(2014年製作の映画)

3.5

心が「ゆらぐ」ということなのか。
神とは本当にいるのだろうか?
いるならこんなことにならなかったのではないかと、疑っても信仰心がそれに待ったをかける。
また、信仰心云々に限らず、人々は「奇跡」を待って
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PASSION(2008年製作の映画)

3.8

濱口監督の修了作品だそうだが、このときから彼はすでに「重心」を意識した作品を作っていたのか!と、興奮冷めやまぬ思いである。

主に大学の同級生間で絡み合う人間関係。その中の一組のカップルを主軸に物語が
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欲望の翼(1990年製作の映画)

3.6

「夢で会おう」って、こんなキザな台詞でもキマるのはレスリー・チャンだからなんだ…。

相変わらず意味を見出す映画ではないことはよくわかる。
ただ俳優たちと技巧的な映像の美しさを堪能すればいいのではない
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走り来る人々(1958年製作の映画)

3.6

推しのシャーリー・マクレーンの誕生日は、嬉しいことにわたし自身の誕生日でもある。ということで、今年の4月24日はこの作品を鑑賞。

この作品では若きシャーリー・マクレーンはもちろん、フランク・シナトラ
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流れる(1956年製作の映画)

3.9

「流れる」ように、しなやかに強く生きる女たち。
この作品は、芸者置屋の芸姑たちの生き様を描いた物語である。


あまりにも豪華な出演者たちの競演が、やはりこの作品の大きな魅力の一つである。
若手からベ
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江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)

3.8

主人公江分利の軽快に語るナレーションを中心に、彼のノリやアニメーションも用いた斬新な演出が楽しい作品だった。
ストーリーにも演出にも、ユーモアが溢れるポップなブラックコメディである。


あからさまに
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嵐ケ丘/嵐が丘(1939年製作の映画)

3.4

お恥ずかしながら原作は未読であるが、大作をたった2時間ほどに収めるのは無理があると思った。
というのは、どうしても細かい心情の変化についての描写などがおざなりになってしまっているように思えたからだ。
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デリカテッセン(1991年製作の映画)

3.6

不気味かわいい世界観に、ハマる人はハマりそうである。
かなりブラックな内容ではあるが、ファンタジー的な要素が強めなので、怖さをわたしはあまり感じなかった。


セピア色…というか砂埃にまみれた世界。レ
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キューティ・ブロンド(2001年製作の映画)

3.7

元気が欲しくて難しいこととか考えたくないときにぴったりの映画だろう。
実際自分には効果てきめんだった。

ポジティブで、それも自分自身を強く信じて前へ進んでいく主人公エルの姿を、誰もが応援したいと思う
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奇跡(1954年製作の映画)

3.7

「信じる者は救われる」と言うけれど、やはり「信じること」は難しいのである…。
それも突然自分の子供が、イエス・キリストの生まれ変わりだなんて言い出したら、そう簡単に信じられるはずもない。

全体的に神
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青い青い海(1935年製作の映画)

3.8

たしかにこの作品のタイトルが、「青い海」というより、「青い青い海」であることに大いに納得がいく。
何とも海の美しさに圧倒される作品である。

三角関係が描かれているので恋のときめきや切なさはもちろんだ
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

3.9

ダイナミックでパワフルな演出と裏腹に、この沢田研二演じる城戸という主人公は虚無感にかられているようだ。
しかし彼の心の内にはふつふつと沸き上がるような、強い思いがあることは間違いない。


ハイジャッ
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チアーズ!(2000年製作の映画)

3.7

スポーツマンシップをテーマに、キラッキラの青春が明るく爽やかに描かれた作品だった。

とにかくキルティン・ダンスト演じる、熱血で素直な主人公のトーランスがかわいすぎる。
この作品の大きな見どころの一つ
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おとぎ話みたい(2014年製作の映画)

3.6

なんともヒリヒリ心が痛くなる作品だった…。
主人公の気持ちが痛いほどわかると同時に、だんだん先生サイドの冷めた思いも自分の中に湧いてきているからだ。

「おとぎ話」に浸っていたい。夢見る高校生のしほ。
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ボビー・フィッシャーを探して(1993年製作の映画)

3.6

子供の才能を伸ばすこと以上に大切なのは、その子供の思いや自由を尊重することだろう。

「第2のボビー・フィッシャー」だと言われ、そのチェスの才能を見込まれた実在の人物を元にした物語である。
あまり大げ
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リリオム(1934年製作の映画)

3.6

原作はハンガリーの戯曲だそうで、この映画はフリッツ・ラングお得意のサスペンス作品ではない。
実際、皮肉の効いたファンタジー作品だった。

若きシャルル・ボワイエ目当てで鑑賞したが、あまり彼の良さが活か
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

4.6

久しぶりに、想像の範疇を超える表現力に圧倒される素晴らしい作品に出会うことができた。

出所した中年男性が、人生を見つめ直しやり直すために出た旅の途中で、不思議な夢の中のような世界へと迷い込む…という
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らせん階段(1946年製作の映画)

4.0

体の不自由な女性ばかりを狙う連続殺人事件が、ある田舎の町で起こる。
閉塞的なお屋敷を舞台に、不可解な行動の人物たちにビクビクしながら、どんどん推理を深めていくのが面白い作品である。


冒頭のクレジッ
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やさしい女(1969年製作の映画)

3.8

まさに「客観的な目」であるカメラの目が、冷徹にこの物語を語る。
この限りなく装飾的な部分を削ぎ落として語るスタイルが、やはり主人公の「罪なき魂」に降りかかる悲劇を際立てているはずである。


動植物や
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人情紙風船(1937年製作の映画)

3.8

市井の人々の暮らしの憂いを、コミカルに、でもどうしようもない現実に対してはそのまま描いた作品。

庶民と殿様などの金持ちの二項対立は、いつまでも解決されないテーマだろう。
理想主義に徹底した作品も作ろ
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

3.7

実在のピアニストの体験を自ら著した本が原作であり、パルム・ドールも受賞した、言わずもがな有名作である。

シュピルマンの壮絶な体験の数々に、開いた口が塞がらない。
収容所に関する作品はよくあるが、この
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(1928年製作の映画)

4.1

なるほど…たしかにこれはサイレント作品の中でも傑作であることに大いに頷ける。


「風」の存在を初めて可視化させた点でも画期的な作品であるそう。
まるで生物かのようにうごめく風は、リリアン・ギッシュ演
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ビタースウィート(2002年製作の映画)

3.5

キュートな二人の主人公だけど、心には黒いものを抱えている…。
若いからこその無謀さと向こう見ずな姿勢は、やはり破滅へ向かう危うさを感じる。


その危うさを表すように、ネオン街や彼女たちの疾走する様を
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一人息子(1936年製作の映画)

3.8

あたたかい人の交流を描きながらも、現実の厳しさを提示してくれる。
親の心子知らず…というわけではないけれど、どうしても親は子が心配なのである。その親の視線に、心が痛む。

母一人子一人で、親の期待を背
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.0

「真実」なんて誰も知る由もない。
それでも人の証言を鵜呑みにして我が物顔で正義を振りかざすというのは、どうなのだろうか。

様々な立場、バックグラウンドを持つ12人の男たちが陪審員を務める。
だからこ
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ハハハ(2010年製作の映画)

3.7

ホン・サンス、やはり斬新な構成と語り口によって観る者に思考を促し飽きさせない…。

この作品では、ムンギョンとチュンシクという二人の男性の会話が主軸となっている。
彼らの会話の様子を白黒の静止画で映し
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

3.7

ある男の「詐欺師」としての人生を、彼自身の回想とともにコミカルに描く。

サッシャ・ギトリ演じる老年の彼によるエピローグで、彼の過去の映像に音や声を吹き込む。
その点でサイレントの名残りを感じるような
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キートンの化物屋敷(1921年製作の映画)

3.7

キートンvsお化け屋敷…それはホラーではなく、もちろんコメディである。

今回はそこまでキートンのアクロバティックさを堪能することはできなかった。
その代わり(?)、彼のとぼけた表情がクロースアップで
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セブン(1995年製作の映画)

3.9

あまりに有名な作品なので観る前にドキドキしていたが、観ている間もドキドキしっぱなしだった…。

最後まで緊張感を保ったまま映画の世界観に入り込んで観ることができ、少し考えさせられるようなサスペンス映画
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恋人(1951年製作の映画)

3.7

結婚前夜に幼なじみとデートをして、お互いに気持ちが通い合う…。
池部良演じる誠一と溌剌とした久慈あさみ演じる京子のデートがとっても楽しい。

「大人もたまには夢が見たいのね」
京子のこの台詞が、彼らの
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

3.8

覗く男と覗かれる女…。
この構図は古典的ハリウッド映画の主軸とも言えるが、でもさすが単にその構図通りのまま終わる作品ではなかった。

暴走する少年と戸惑うも構える年上の女というのは、イエジー・スコリモ
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アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)

3.9

刹那的で享楽的な若者たちを、斬新な演出によってみずみずしく鮮やかに描き出した作品。
青春を全力で謳歌する彼らだけど、そんな華やかな時期にも残酷性を帯びた別れが迫ってくる。


リリアーヌとジュリエット
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おやゆび姫 サンベリーナ(1993年製作の映画)

3.6

クルミの殻で寝ているおやゆび姫のお話に、幼い頃かなりワクワクしていた。
しかしこの映画は初鑑賞…もし当時から観ていたら、きっとビデオテープが壊れるまで観ていたかもしれない。


とっても素直で世間知ら
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