Ricolaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Ricola

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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.5

ビルが乱立している街。広告やネオンがうるさい街。それが東京である。
言葉も文化も全くわからない東京に、観光目的ではなく訪れた若い女性と中年男性の、友情とも恋愛とも言いがたい絆が芽生える。

日本人とし
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25日・最初の日(1968年製作の映画)

3.5

ロシア革命の「最初の日」を題材にした作品。
怒りに満ちた民衆、逃げ隠れする支配階級の者たち。そんな彼らの思いがストレートかつ力強く表出されると同時に、アートとして昇華もされている。


切り絵のような
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おかあさん(1952年製作の映画)

3.9

娘の視点から語られるおかあさん。
おかあさんのすべてを知っているわけではないけれど、夫や子どもを思い、自らを犠牲にして家族にすべてを捧げてきたことは事実である。


田中絹代演じるおかあさんは、厳しく
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ベートーベン(1992年製作の映画)

3.6

大型犬が偶然、犬を欲しがっていた子どもたちのいる家に迷い込んできた!
彼をベートーベンと名付け、愛情を注いでかわいがるが、彼の世話をするのはほとんど父親。家族のために稼いで、さらに犬の世話もしているの
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大恋愛(1969年製作の映画)

3.9

もはや可愛ささえ感じられる、おじさんの妄想暴走映画。
妻との変わり映えしない結婚生活にマンネリを感じていた中年の男の目の前に突然美少女が現れたら…?
なんとか彼女とお近づきになれないかと、彼はありとあ
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.8

ピエール・エテックス版『トラフィック』といったところだろうか。
とはいえ、ジャック・タチの『トラフィック』との共通点は、作品のテーマが交通渋滞という点くらいではある気がする。
タチが車や車の並びなどと
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女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

3.7

とてもロマンチックだけど、辛口で現実的。
そんなピエール・エテックスの情熱と冷静という二面性を発見できる。

主人公の男は女性から好かれても逃げてしまう。でも、テレビで偶然観ていた歌手の女性に一目惚れ
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破局(1961年製作の映画)

3.8

タイトルから想像するような悲しい作品では全くなく、むしろずっとクスクス笑ってしまう短編コメディ作品だった。

愛する恋人からの別れの手紙に悲しむ間もなく、手紙を書くのに手こずってしまうからだ。
万年筆
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

自然界や宗教などが絡んだ、もっと複雑な背景のある作品だと期待して観始めたが、正直わりと単純なストーリーなんだなとある意味呆気にとられた。
羊から生まれた半分羊で半分人間の不思議な生き物を、羊飼いの夫婦
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ドラゴンへの道(1972年製作の映画)

3.5

ブルース・リーの華麗かつ野生的なアクション技を堪能できる。
次々と敵を軽々となぎ倒していくさまは、観ていて爽快な気分になる。

この作品は、彼のそんな神業と言っても過言ではないアクションの魅力が、余す
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

3.8

フランソワ・トリュフォーが絶賛していたことで知った、『ヨーヨー』。
卒論を書いたときにこの作品をトリュフォー経由で知り、ずっと観てみたいと思っていた。そんな思いのある作品を劇場で鑑賞できるなんて、感無
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健康でさえあれば(1966年製作の映画)

3.6

言葉なんてなくても通じる、サイレント映画時代のコメディのようである。
そんなピエール・エテックスの魔法にやはり吸い込まれた。

ジャック・タチのようなマヌケさが貫かれているが、エテックスの場合、自分自
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絶好調(1965年製作の映画)

3.7

初ピエール・エテックスにお目にかかったのが、タイミングなどもあってこの作品となった。(『健康でさえあれば』と同時上映)
ジャック・タチの助監督を務めていただけあり、タチ要素を随所に感じられる。
エテッ
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リッチー・リッチ(1994年製作の映画)

3.6

この作品は、主演のマコーレー・カルキンの代表作『ホーム・アローン』シリーズのように、子供たちが中心となって悪い大人たちをとっちめるストーリーである。
そのため、この作品も安心して楽しく観られる作品だっ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

「目を澄ませて」というタイトルの一部の通り、観ていると自ずと感覚が研ぎ澄まされてくる作品である。
なぜならこの作品において、我々が映画を「見ること」「聞くこと」が無理することなく最大限まですることが促
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ナイルの娘(1987年製作の映画)

3.7

若者たちの孤独と刹那が渦巻く夜の台湾。
少女シャオヤンの孤独と不安、そして青春の一部が切り取られた作品である。

街を人生を彷徨う若者たちの思いが、夜に浮かぶ頼りない光とともに表出されているのだ。
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男はつらいよ 寅次郎子守唄(1974年製作の映画)

3.6

またまた寅さんは突然帰ってきて、それも思いもよらぬ「お土産」と一緒に帰ってくるものだから、とらやの皆は当然パニックになる。


今回は佐賀を旅する寅さん。
オープニングで綺麗な川の流れるショットがいく
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ポーラー・エクスプレス(2004年製作の映画)

3.5

約5年ぶりに再鑑賞。
子どもの頃にクリスマス・イブの夜にワクワクしていた気持ちを思い出す。

少年少女たちの、クリスマス・イブの一夜の冒険物語。
次々と目まぐるしくハプニングが起こる。
ジェットコース
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ミッキーのクリスマスキャロル(1983年製作の映画)

3.7

クリスマス映画といえば…というか、クリスマスの物語といえばこの『クリスマス・キャロル』ではないだろうか。
何度も映画化されているこの名作に、さまざまなディズニーキャラクターたちが登場する。それぞれの役
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.6

日本および武士道に傾倒する殺し屋の男。彼はどこかの組織に属することはないが、イタリア系のマフィアの幹部のひとりから殺しを依頼されている。
彼とはまさに「御恩と奉公」の関係で結ばれているのだ。

武士道
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ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

息着く間もないサイコサスペンス。
約2時間半という長尺にもかかわらず、あっという間に時間が過ぎたように感じた。
この作品が紹介される際に、エイミーという人物がたびたび「悪女」だと言及されているのを目に
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偽大学生(1960年製作の映画)

4.0

何が悪なのか。そんな単純な話ではない。
皆が体裁やプライドなど気にして自分だけを守ろうとする。何かを悪と決めつけることが、自己を守り抜こうとするのに最も簡単ではあるが、正義を見失ってしまい人としての道
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ベルファスト(2021年製作の映画)

3.6

美しい北アイルランドの街並みが鮮やかなカラーで映し出される。現代の街並みだろう、まるで観光案内映像のように、街の景色や数々の観光名所らしき場所が次々と提示される。
その映像の延長線上にある、どこかの塀
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冬の旅(1985年製作の映画)

4.1

ボロボロの格好をしているにもかかわらず、絵画のように美しい死に顔。
朝発見されたこの人物は、この村でひとり旅をしていた女性だった。
彼女がこのような結末に至った過程が、彼女と道中で出会った人たちの証言
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劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

3.6

いい意味でTVドラマ版とノリや内容に大きな違いがなく、またシロさんとケンジ、おなじみの仲間たちに会えて嬉しくなった。

価値観の相違やお互いを思い合うがゆえのすれ違いなど、二人の関係性に少しぐらつきは
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河内カルメン(1966年製作の映画)

3.6

悲壮感が漂っても仕方ないような主人公の境遇であるはずなのに、コミカルであっけらかんとした明るさが常にある。
それは主人公の逞しさと前向きな姿勢ならず、作品のコメディタッチの演出にもある。

純粋無垢な
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救命艇(1944年製作の映画)

3.8

サスペンスの巨匠ヒッチコックによる、第二次世界大戦中に作られた作品である。
狭い救命艇の中のみで繰り広げられるサスペンス作品であり、ヒッチコック作品として見ても異色である。

大海原に浮かんでいる小さ
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ライムライト(1952年製作の映画)

4.1

チャップリンとキートンの共演が見られるとのことで、ずっとずっと温めて残しておいたこの作品を、映画館で観ることができたのはとても感慨深い。
この作品は、現代でも尚愛されているチャップリンが、自身の人生を
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セルヴィアム 私は仕える(2022年製作の映画)

3.0

日本では信仰は自由であり、どの宗教を信じてもいいとされている。
日本に限らずだが、世界中において、何を信仰するか、または何も信仰しないこと、そして信仰深いかどうかという点で、人々は自分の価値観を無意識
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

自ら命を断った親友の遺骨を奪って旅に出るという、なかなか衝撃的な筋書きである。この旅は、トモヨ(永野芽郁)が亡き友マリコ(奈緒)に代わって行う「復讐劇」であり、トモヨが自分自身およびマリコとマリコとの>>続きを読む

揺れる大地(1948年製作の映画)

3.9

シチリアの漁村のある一家の悲劇が描かれた作品である。その顛末が映し出されるが、彼らの感情や心境をクロースアップするというより、ただ眼の前で起こる出来事を我々に見せているだけなのである。

作品の時代・
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.6

自分以外の家族は全員耳が聞こえない。
主人公のルビーはそんな家庭に育ったため、家族の「外部」との通訳は彼女がずっと担ってきた。
漁師として働く父と兄を早朝から手伝ってから学校へ行く日々。
ルビーはこの
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愛怨峡(1937年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

トルストイの『復活』を下敷きに描かれた作品。
主人公のふみが、一人の男に翻弄されながらも逞しく生きていく姿が描かれた物語。
溝口といえばの長回しのショットで捉えられた人物と視線の動き、人間関係の描写が
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怪人現る(1928年製作の映画)

3.7

夢に出てきそうな風貌と予測のつかぬ動きで観客をも惑わす怪人。
お屋敷に突然現れた神出鬼没な怪人の起こすその奇行の目的がわからない。
そんな困った怪人問題を解決するために、お屋敷の主は警察ではなくなぜか
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たまご割れすぎ問題(1926年製作の映画)

3.8

サイレント映画時代のコメディ俳優というとチャップリンやキートンが真っ先に挙がるだろうが、チャーリー・バワーズという存在を我々は忘れてはならない。
バワーズの奇天烈でファンタジーな世界観には、童心にかえ
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

フランスはヴァカンス映画大国だと個人的には思っている。
『ぼくの伯父さんの休暇』や『アデュー・フィリピーヌ』、イヴ・ロベール監督の『プロヴァンス物語』シリーズなど…。
フランス人は昔から夏のヴァカンス
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