政治的思想が強く反映された、ラブロマンスが絡んだ若者たちの珍道中が描かれた作品。
ストーリーを理解することに重きが置かれた作品ではないと感じた。
神代辰巳監督が自由に「映画」と時代を捉え、のびのびとそ>>続きを読む
エネルギーに満ち溢れている歌とダンスのパフォーマンス・スペクタクルショーに圧倒される。
とはいえ、現代社会の闇にも焦点が当てられており、問題提起的側面も強い社会派作品であった。
お恥ずかしながら、ロ>>続きを読む
「自分の殻に閉じこもるな」と言われても、そうするのは防衛本能なんだから殻を破ることってかなり難しい。
さらに最も身近な存在である親から嫌われていると感じていたら、誰も信じることができなくなって殻から出>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
この作品は、クリント・イーストウッドの自省的な作品だと捉えても問題ないだろう。
とはいえわたしはイーストウッドの作品を全てどころか、数本しか観たことがないのにも関わらずこんなことを言うのはおこがましい>>続きを読む
ジョージア映画祭にて鑑賞。
実は数年前に鑑賞の機会があったものの逃してしまったので、今回は満を持して岩波ホールにて観ることができて感無量である。
身分違いの恋を主題にした作品だが、最初から最後まで至>>続きを読む
全寮制の女子大学を舞台に、「自由」の奪われた学生たちと学校の対立が描かれる。
しかしそれは単純な二項対立的な対決ではなく、日本の根強い封建主義体制への批判が根底にある。
先生たちはさまざまな場面で>>続きを読む
まるで聖母マリアのような穏やかな微笑みを浮かべて、どんな患者にも臆せず堂々と、かつ献身的に接するアンナ。
しかし実は彼女は、暗い過去を抱え傷を負っているのだ。
だからこそ彼女は、勤務する病院を「ここが>>続きを読む
宝島というプールなどがあるレジャー施設で繰り広げられる、さまざまな人間模様を画面に収めた作品である。
単なるのほほんとしたヴァカンス映画ではなく、宝島で過ごす人々が抱える思いや自由と規律について、さら>>続きを読む
『フレンチ・ディスパッチ』を劇場で鑑賞したことを契機に、ウェス・アンダーソンの作家性を振り返りたく思い、この作品を約5年ぶりに観てみた。
新作ほどの情報量の氾濫は起こっておらずとも、少女スージーと少>>続きを読む
全ては拳銃好きが招いたこと…。
拳銃に対する異常なほどの執着に、自分自身が逃れられない。
そのことが原因で引き起こされる一連の出来事は悲劇としか言いようがないが、果たしてそれは全て拳銃への異常な愛が原>>続きを読む
小津作品といえば家族というテーマがすぐに思い浮かぶが、とりわけ子供を生き生きと等身大で描くことに長けていることに異論はないだろう。
知らない土地に両親と引っ越してきたばかりの、兄弟である良一と啓二。>>続きを読む
再開発でさらに「文化の街」というイメージが加速している下北沢。
そんな街を舞台に、若者たちが発信しているさまざまな新しい文化を享受しつつ、自分の殻から抜け出すことのできない青という青年を中心に人と街が>>続きを読む
アンデルセンの童話を原作とした作品であり、絵本のようなかわいらしいタッチで描かれる一方、氷や自然の描写が幻想的で美しい。
あたたかな春の風景や人々の心と、雪の女王と彼女の住む冷酷な世界が対比的に表現さ>>続きを読む
倦怠期のカップルの対話が、寂れた港町の美しくも荒涼とした光景を背景に淡々と映し出されていく。
「模様」として浮かび上がるショットは、ときに神秘的で異様にときに残酷にカップルの現実を静かに語りうる。>>続きを読む
巷の雑誌などで取り沙汰される「おしゃれ」映画の定義など正直曖昧だと思うが、この作品こそ真のおしゃれ映画の一つなのではないか。
いかに恋愛事および男女が惹かれ合う過程を、美しい婉曲表現で魅せるかという姿>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
漫画みたいにタイヤを体にくくりつけて走ってトレーニングしたり、血が手に滲むほど握りしめて練習を重ねるなど、スポ根ど真ん中かと思いきや、ホラーな女性の登場で一気に雰囲気が変わるのがこの作品の特徴だろう。>>続きを読む
現代社会の荒波に呑まれながらも、なんとか前を向いて力強く生きていこうとする女性たち。
高校時代は社会の厳しさを目の当たりにする必要はなかったのに、急に放り出されて必死に生きなければならない。
高校>>続きを読む
静の中にたまに垣間見える動的なショットこそ、ウェス・アンダーソンらしさであるとわたしは思っている。
しかし、この作品では彼の新たな境地をその点に見出されたのではないか。
とはいえ、彼の作家性は十分保た>>続きを読む
約四年ぶりに再鑑賞したため、レビューも書き直して投稿。
この作品がこんなにも「ミュージカル」映画であったことは、すっかり自分の記憶から抜け落ちていたようだ。
この作品を「ミュージカル的」と形容し、そ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
美しいジーン・セバーグの狂気に満ちた表情や行動が、自然の描写とリンクするように描かれている作品。
閉鎖的な施設と開かれた自然というのは、実はとても似ているのかもしれない。
のどかな気候で美しい庭園>>続きを読む
マイク・ミルズ監督の少年時代の思い出をなぞらえた半自伝的で年代記的作品。
思春期の息子と母親。なかなか難しい関係性だからこそ、母は彼と歳の近い友人たちに彼の成長を見守ることを頼む。
「男を育てるなら>>続きを読む
幕末から上海事変まで三世代に渡って陸軍と関わってきた一家を描いた、木下お得意の年代記ものである。
この作品は、第二次世界大戦中に陸軍省の依頼を受けて製作されたそう。
そのためプロパガンダ作品であるは>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「伏線」をいかに説明し過ぎずに示すか。つまりは映像でどこまで婉曲表現しきれるかということで、「豊かな」表現だと言えるのではないか。
その点でこの作品は「豊かな」表現に満ちた作品と言えよう。
一つのテー>>続きを読む
あるスペインの村に住む原始的な生活を行っている人々を映したドキュメンタリー作品である。
この作品における芸術的特徴などを言及するより、ブニュエルが伝えたかった現実とその裏にあるメッセージの強さに圧倒さ>>続きを読む
およそ5年ぶりに鑑賞したが、正直自分の率直な感想はまだ変わらない。
とはいえこの作品の名作たるゆえんである、ストレートなストーリーや個性豊かなキャラクター、そして「青春」の見せ方の素晴らしさに改めて感>>続きを読む
「俺たちの商売は?」「殺しだ」
この共通認識のもとで、ある種のハイな状態で行われるのが戦争ではないか。
この作品が強烈な反軍国主義で反戦映画であることは明らかだろう。
軍隊という特殊な組織内で「洗脳」>>続きを読む
今回の寅さんはまさかのお寺住まいを経験する。
帝釈天題経寺の前で掃除をしている源ちゃんはさくらから「門前の小僧習わぬ経を読む」と茶化される。
その「小僧」とは、皮肉にも寅さんにも当てはまるのだ。>>続きを読む
この作品で描かれる「青春」とは、現在の若者が謳歌しているそれでは決してない。刹那的に突っ走る若者たちは、心をすり減らして日々を生きている。
その生き様はタイトルの通り、残酷なのである。
間髪入れず>>続きを読む
これはもう、現実世界を舞台にしたファンタジー映画であると割り切って観たほうが、作品の世界観やメッセージを真正面から余すことなく受け止めることができそうである。
そもそも、どうしても人よりもワンテンポ速>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ホラー映画というほどの恐怖を煽られるわけではないが、背筋が凍るようなラストであった。
前半は荒波にのまれる船を舞台にしているためアクション映画的とも捉えられると思うが、後半からはラブロマンスとスリラー>>続きを読む
10年ぶりのアステアとロジャースの共演作品とのことで、二人のステップを踏む足元から始まる冒頭のショットですでに心をわしづかみにされる。
この黄金コンビなくしてミュージカル映画は語れないと改めて思わせ>>続きを読む
偶然が人と人を結びつけ、それが運命の出会いになることもある。
現実の嫌なことを乗り越えるには想像の力を借りることは有効である。
偶然と想像によってもたらされる奇跡が、日常と人生を豊かにしてくれるのはた>>続きを読む
少年の成長と恋や出会いと別れが、季節の移り変わりとともに鮮やかに描かれる。
また、伝統儀式などの風俗の側面も作品の大きな見どころだろう。
しかしそれ以上に、映像の多彩な見せ方が素晴らしい作品である。>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
この作品も世紀末への不安と恐怖を表したものではないだろうか。
人々の抱える不安感と社会への不信感を「ファイト」することで喪失させようと、主人公の裏の顔つまりは彼の本音が導く。
刺激のない日々への鬱>>続きを読む
田中絹代が監督を務めた作品の一つであり、女性特有の病に冒されていく主人公の視点から語られる。
しかし、主人公と病の対峙だけがただ描かれているのではなく、ある一人の女性の人生そのものが赤裸々かつ繊細に綴>>続きを読む
ここで示されている技術の発達における懸念材料が、現在ではより現実味を帯びたものになっているのではないか。とは言え、そういった点を踏まえて描かれる未来への展望も描かれているため、単に警鐘を鳴らすだけでな>>続きを読む