Ricolaさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

Ricola

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乾いた花(1964年製作の映画)

3.6

ストーリーや登場人物からはもちろん、コントラストの強さからも、殴られたような感覚を受ける作品だった。
ただそういった力強さだけでなく、どこか憂いを感じるのは主人公の二人からであるのだろう。


自暴自
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8

「家とは心の中にあるもの」
主人公ファーン(フランシス・マクドーマン)の短期バイト先の同僚が見せてくれた、エアロスミスの歌の歌詞のタトゥー。
まさにこの言葉こそ、この作品のテーマと言えそうである。
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.0

ホン・サンスという映画監督は、ある状況を反復させること、およびその演出によって、我々に観察することと思考することを促すタイプの監督であると、わたしは思っている。

この作品においても「反復」は至るとこ
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モーリス(1987年製作の映画)

3.6

同性愛が犯罪として扱われていた時代のイギリスにおける、ある青年の愛の芽生えと成長を描いた作品。
学校や上流社会の閉鎖的空間に、愛のあり方をなぞらえることで、どちらの問題をもアイロニックに提示していた。
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.0

主に静止画の連続によって構成された、異色のSF作品。
なめらかに動く映像で表す「普通」の映画とは違って、やはり異質で歪な印象を受ける。
でもそのスタイルが、この作品の主題自体を示すのに最適なのかもしれ
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大都会/ビッグ・シティ(1963年製作の映画)

3.8

当時のインド社会の根強い古い考えにさいなまれる中で、女性の自立心は芽生え、強くたくましく成長していく。

小道具の使われ方や主人公アロティの夫の視点などによって、ストーリーの解像度がより上がっているよ
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ハイスクール・ミュージカル2(2007年製作の映画)

3.7

小学生のときドハマリしていて、3は当時映画館で観に行ったが、2だけはなぜかちゃんと観たことがなかった。

ストーリーは王道展開で、やはりこれといった予想外のことは起こらないので気持ちを楽にしたまま観て
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愛のお荷物(1955年製作の映画)

3.8

戦後の第一次ベビーブームも伴い、どんどん人口が増えていた日本。
政治への皮肉もまぜながら、人口増加問題について問うドタバタコメディ。

お腹の中の小さな命は、それぞれの事情によって「お荷物」にもなりう
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

3.7

異国の地で、女に振り回され破滅の道に導かれる男。
シャンパンの注がれる泡から海の白い波へと、自然に彼を思い出に誘うのだ。


ヒロインのクロチルドの登場シーンにおいてもそうだが、暗闇の中で現れる彼女が
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天国の日々(1978年製作の映画)

3.5

大恐慌時代のアメリカを舞台に、欲望が渦巻く愛憎劇が、大自然の美しい映像とともに映し出される。


この作品においてやはり映像美は言及せざるをえない。
夕焼けの中、空はまだ明るいけども地面はもう暗い、そ
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山の郵便配達(1999年製作の映画)

3.8

父の仕事を引き継ぐ息子。
長旅を通じて、お互いの知らなかった部分を知っていき絆を深めていく。

子どもの頃からお父さんと過ごす時間があまりなくて、微妙な距離があったが、父の仕事の大変さを身を以て実感し
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アレックス・ストレンジラブ(2018年製作の映画)

3.6

高校生のアレックス・トゥルーラブは動物オタクで生徒会長。それに趣味の合う素敵なガールフレンドもいる。
だけど偶然パーティーで出会ったエリオットが心の底では気になっている…。

彼にとっては「ストレンジ
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断崖(1941年製作の映画)

3.6

こんなケイリー・グラント、見たことない!
紳士だったりお茶目だったり…そういった役柄のイメージが強かったため、この作品でのジョージという「ダメ男」の役柄には驚かされるばかりだった。


スラスラと嘘が
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銀座カンカン娘(1949年製作の映画)

3.9

明るくて楽しい、ハリウッドのミュージカル映画のようなノリでありながら、歌手の笠置シヅ子、コメディアンの岸井明
に落語家の5代目古今亭志ん生という、各ジャンルから豪華な顔ぶれとなっているのも面白い。
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愛の昼下がり(1972年製作の映画)

4.1

午後はなんだか誰かといたい…そんな満たされぬある男の思いが幻想を呼び寄せる。
ロメールらしい鮮やかな色づかいや、男女の心情の違いを巧みに描く点はもちろん、繰り返されるモチーフの組み込まれ方が特に印象的
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モンフォーコンの農婦(1968年製作の映画)

3.5

淡い光が差し込むが少し薄暗さを感じるような映像で、主人公の女性によるナレーションが語られる中、淡々と農婦の生活と人生が映し出される。


重いものを運ぶなどの重労働をこなし、子どもを学校へ見送り、農業
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妖精たちの森(1971年製作の映画)

3.2

『ゴッドファーザー』直前の作品のマーロン・ブランド観たさに鑑賞したが、こんなにも気持ち悪い役を演じていたとは…笑

長閑な田園風景にたたずむ美しい屋敷が舞台であるが、閉鎖的空間でクイントという使用人の
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東京画(1985年製作の映画)

3.8

「最も日本的だが世界に通ずる」という小津作品を通して、自分自身や両親を見つめると語るヴィム・ヴェンダース。

彼の小津に対する熱狂ぶりと敬意をひしひしと感じるとともに、1980年代の頃の「失われし」部
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ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

3.7

相変わらずオフビートなロード・ムービーともとらえることができそうな、オムニバス作品。
3話から成っているが、メンフィスのあるホテルにおいて同じ時間も共有しており、ストーリーや人間関係が絡み合うのが面白
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早春(1956年製作の映画)

3.9

不倫がテーマではあるものの、サラリーマンの生活や高度経済成長期の日本を皮肉った、冷徹な視点がこの作品の中心にあるように感じた。


住宅地から蒲田駅へとぞろぞろ歩いていく会社員たち、駅のホームで並んで
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

3.8

こちらも小津の大ファンである、アッバス・キアロスタミの作品。
4年ほど前に授業で鑑賞したが、良さを理解できなかったので、再挑戦してみた。

主人公の少年アハマッドを含め子どもたちには、映画の撮影である
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.7

コロンバスという街の美しい建築物などを、固定カメラで正面から映すことで、絵画的なショットを構成する。
また、隙間をとらえたり、配色の意識など、小津への愛とオマージュで溢れた作品である。


その熱烈な
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黒水仙(1946年製作の映画)

3.5

デボラ・カー演じる、特に信仰心の強いシスター・クローダーが周囲に翻弄されていく。
インドで生活をするシスターたちが、ある館で学校を開くことを依頼されるが、クローダー(デボラ・カー)や他のシスターたちの
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.8

4年前に初めて鑑賞したが、再鑑賞したので投稿し直し。

ジャック・ドゥミの色鮮やかなおとぎ話のような世界観と、現実的なストーリー展開というそのバランスが絶妙である。
「恋で死ぬのは映画の中だけよ」とい
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マネキン(1987年製作の映画)

3.5

アメリカンドリームならぬ、マネキンドリーム?
80年代を代表するアイドル俳優のアンドリュー・マッカーシーの魅力が満載の作品。作品全体の雰囲気や軽いノリは、この時代らしいもので、それはそれで楽しい。
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おばあちゃんの家(2002年製作の映画)

3.8

おばあちゃんにとって孫という存在が唯一無二であるように、孫にとってのおばあちゃんもそうであるはず。
だけど、なかなかおばあちゃんの大きな愛情に気づくことができない孫もいる。


孫のサンウはおばあちゃ
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

数年前に観て全く理解できなかったこの作品を、改めて鑑賞。  
「理解」できたかとは言い切れないが、この映画の素晴らしさにはやっと気づくことができたと思う…。


まずはやはり言及したいのは、衝撃的と形
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荒野の決闘(1946年製作の映画)

3.7

アクションシーンはもちろん、友情や恋愛などの要素も絡み合ったストーリー展開が楽しい。
アクションシーンの緊張感と、人間関係の細やかさの緩急が良い作品だった。


高く広がる空の美しさ。モノクロ映像であ
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ラ・ブーム(1980年製作の映画)

3.5

ソフィー・マルソーの自然体の可愛さ。13歳らしい、大人への成長に少し傾いてきた子供という時期らしい、あどけなさと危うさを併せ持っている。

パリに引っ越してきたヴィック(ソフィー・マルソー)とその家族
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ガタカ(1997年製作の映画)

3.7

優性遺伝子かどうかで決めつけられる人生…。
努力による可能性は認められないことの残酷さを目の当たりにした。


徹底的な「武装」と細心の注意を払うことによって、主人公のヴィンセント(イーサン・ホーク)
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.6

牧瀬里穂のアイドル映画であると思うが、それだけに甘んじていないのがよくわかる。

牧瀬里穂のフレッシュさなどの魅力を中心に、彼女を支えるような演技の中井貴一の手腕が光る作品であると感じた。


それか
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(1961年製作の映画)

4.2

「愛の不毛三部作」の一つであるこの作品。
愛はずっと同質ではないし、お互いの相手に対する思いが一致すること、もしくは思いを保つのは難しいということが描かれている。


高いビルからゆっくり降りていくオ
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.8

およそ4年ぶりに再鑑賞したので、レビューも書き直し。

この作品は、「面白い」「面白くない」で片付けるべき作品ではないとつくづく思う。
そう、これは実験映画だと言い切っても良さそうである。


それま
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シンプルメン(1992年製作の映画)

3.6

真面目な大学生の弟デニスとチンピラの兄ビル。
互いに仲がいいわけでもなく、二人ともお金がないけれど、行方不明の父親を探す旅へと一緒に出る。

「オシャレ」と一言で形容するのは簡単だが、ハル・ハートリー
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キートンの西部成金/キートンのゴー・ウェスト!(1925年製作の映画)

4.0

セブンチャンスではたくさんの女性に追いかけられるキートンであったが、この作品でキートンは…牛に追いかけられる笑
ある意味この点ではセルフオマージュともとれそうであるが、この作品では東から西へ(タイトル
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静かなる決闘(1949年製作の映画)

3.7

「純潔なのに穢れている体」
主人公の放ったこの言葉に、特にギュッと胸が締めつけられた。

手術中に梅毒にかかってしまった若き医師の藤崎恭二を三船敏郎が演じている。彼の葛藤はもちろん、彼の人間性がもたら
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