国家運輸安全委員会による公聴会が開かれた。果たして機長の判断は正しかったのか。シミュレーションは条件を替えて何回行なっても、ラガーディア空港に引き返すか、最寄の地方空港に着陸することが正論だった。>>続きを読む
女は言った「何故私を尾けたの?」「あなたを守るためさ」男は軽く言い返すと女を見つめた。女は目を反らすと離れていった。
女には夫がいた。夫は男が女に近づいて話しかけるのを見ていた。夫は女を軽く見ていた>>続きを読む
「彼と結婚してはだめだ」「何故?」「彼が違う男なら僕は引き下がる。だけど彼は他人とは親密になれない男なんだ。女性を理解していない。彼にとって君は絵のように眺めて所有するだけなんだ。飾り物なんだよ、>>続きを読む
まるで落語の人情噺のようだ。そう、八さん熊さんだ。
2人は護送兵の役を嫌々引き受けた。
「ひっひっひっ。」「2日で済む仕事を7日間も与えられた。それも7日分の手当てだ。早く済ませて、あとを楽しもうぜ。>>続きを読む
父と息子はようやくネブラスカにある会社にたどり着いた。あの100万ドルに当選した手紙を送った会社だ。ウディ(B。ダーン)は黙ってドアを開け、受付の女性に言った。「当選した100万ドルを貰いに来た。」そ>>続きを読む
幸せな生活を送っていた。突然、最愛の夫を失った。2人の幼子と借金を残して。
彼女(S.フィールド)は育児と家事しかできなかった。何の知識も無かった。銀行が取り立てにきた。家を売ったらどうですか、奥さ>>続きを読む
そう、すべてが終わった。予定通りにね。安らかな笑顔だった。
ズーッと苦い思い出だったが、これでやっとカタをつけたんだ。
そう言っているように思えた。
自分だったらうまく締めくくれるだろうかと思った。>>続きを読む
ふさぎこんだトトに、アルフレードは諭すように言った。
「トト、人には従うべき星がある。村を出るんだ。毎日暮らしている場所が世界の中心に思える。帰ってくるのはずっと先でいい。家族とも故郷ともまた会える。>>続きを読む
皆が固唾を飲む中、いつものように陪審員は立ち上がり、評決の結果を述べた。現実的損害賠償金として15万ドルの支払いを命じる。さらに懲罰的損害賠償として5000万ドルの支払いを命じる。
しかし、まもなく>>続きを読む
「スティーブンスさん、私、求婚されたのです。でも迷っています。返事に迷っています。その事を言っておきたくて。」
「わかりました。」
「スティーブンスさん、長い間一緒に働いてきてそれだけ?」
「ですから>>続きを読む
若いふたりの新聞記者(R.レッドフォード、D.ホフマン)は身の危険を感じ始めていた。とにかく上の指示を仰ごう。
”なぜ電話しない。”
呼び鈴で叩き起こされた編集主幹は機嫌が悪かった。
”危険なんです>>続きを読む
ああ、これが憧れのサンマルコ広場なのね。
一心に8ミリカメラを回わす彼女(K.ヘップバーン)。彼女に興味を覚えた男性(R.ブラツィ)が座っている。彼は彼女のしなやかで形のいい足首を見て、更に興味が募>>続きを読む
はやし立てた者たちを告発できるか。
そそのかす犯罪、教唆の罪。
この作品は、ある方向を向いている。女性の、女性による、女性のための闘い。被害者の女性を女性医師が観て、女性監察員がいて、そして女性検>>続きを読む
ベルリンにはソビエトが駐留していた。西側の監視所からジッと見つめる男たち。やがてひとりの男が待ちきれないように表に出た。寒い。そして暗い。不安な旋律が流れ始めた。何もかもが暗かった。東西の境界線を見つ>>続きを読む
この物語の果てには何があるのだろう。この家族に何か不穏な兆候が起こるのではないかと思っていた。思った通り。母の嘆き。父の落胆は計り知れない。それが家族というものだから。
彼は言う。私は新しい旅立ちが>>続きを読む
昔の恋愛映画はこれでいい。こうでなきゃ。もう60年も前の作品。当時は美男美女カップルの大流行で、ストーリーは似たり寄ったり。でもきれいな景色、音楽そして美男美女。何も言うことは無い映画の王道なのです。>>続きを読む
脚本家の倉本聰 が高倉健のために書いたという作品。滑り出しが篠田正浩の乾いた花に酷似していたが、そんなことはどうでもよかった。もう何回も見ているが、どういうわけか健さんが藤田進演じる組頭と、しみじみと>>続きを読む
拾い物とは、こういう映画をいう。
ところで、美人から愛を告白されたらどうする。
G.フォード演じる主人公は、これをきっぱり断わる。彼女は恩ある上司が愛する女性だからだ。彼は規律を守る。亡き父の言い>>続きを読む
この作品、「侍力」から言うと本当に新鮮だったのが、あのか細い宮口が演じた久蔵が見事な侍を表現したこと。寡黙で、穏やかで、ひとたび剣をもつと、切れ味鋭く、一太刀で相手を制する。誰もが憧れる真の侍の姿だっ>>続きを読む
黒沢が書いて、市川が撮り、役所が演じる周五郎時代劇。誰だって見たくなる。出だしはテンポもよかったが、途中から雲行きが怪しくなった。
役所が立ち話をしている横を素知らぬ顔で素通りする鶴太郎。「彼を信用>>続きを読む
50年前に米国のTV界で驚異的な視聴率を上げたドラマの映画化。当時はそれこそその時間帯は風呂屋(?)もガラガラだったとか。それからというもの、捕まりそうで捕まらないストーリーが大流行。結局犯人は・・・>>続きを読む
「幸福な人間を不幸にすることは、不幸な人間にとってなかなか面白いことなんですよ」
人間の根底にある醜さというものを黒澤明はここで暴露する。
「君はそんなに不幸だったのかね?」
「今更どんなに不幸だ>>続きを読む
全編に流れるD.グルーシンのピアノ。静かで煙るような大都会の夜。そしてナイトクラブのステージを渡り歩く男二人と女。
いいなあ。こういうの。何より脚本がいい。いちばん好きな映画だ。
互いに惹かれあい>>続きを読む
何も死なせることはないと思った。いやこの脚本のことだけど
小津の作品ってこんなものかと思った。何か浮ついていて、
見る者をどこに連れて行くつもりだったのかいまだにわからない。
その理由は家族設定に無>>続きを読む
この映画は最後の10分だけでいい。(他にも数々あるが・・)
A.パチーノの演説だけで十分である。
彼は校長の一方的な線引きにみるみる怒りをあらわにした。
全校生徒の集まる懲罰委員会でこう反論した>>続きを読む
吉田松陰のいき様を絵柄として観たかった。
彼と獄囚たちとの出会いや高須久との触れ合い、また有隣はどのように描かれていたのかに興味があった。
この作品は野山獄での松蔭を高須久の目を通して描いたものだ>>続きを読む
プリンストン大はエリート学生たち、特に数学分野の優れた天才たちの巣窟である。
なかでも主人公は変わり者で有名だったらしいが、全米、いや全世界から集まった優秀な学生たちとの交流はさぞ魅力的なものであっ>>続きを読む
観ていくうちに緊張するほどのめりこんだ。
単なるリーガルサスペンスとは違って徐々に深みに嵌(はま)っていった。
法治国家アメリカの複雑怪奇な病巣に真正面から突っ込んでいった作品だ。
民主主義はす>>続きを読む
お、おい、よせ。何するんだ。J.ギャバンの目がそう言った。
金縛りにあったA.ドロンが窮余の一策でしたことは。
9分9厘成功した犯罪。しかし最後で思わぬことが。
このモノクロームな映画は洒落たジ>>続きを読む
是枝監督はいつも家族を見つめる。家族の一人一人を見つめて、その中にある絆を探し出しては、鮮やかに写しだしている。
この作品のテーマはなんだろうと思った。
長女の綾瀬はるかの気持ちを通じて、家族に対>>続きを読む
VERDICTとは評決のこと。たまにはストレートな日本語訳もいいね。
監督は法廷劇には定評のあるS.ルメット。この映画で彼は陪審員制度の本場アメリカにおいても廃れつつある正義(JUSTICE)を問い>>続きを読む
この映画は決して娯楽作品ではない。
ソマリアの海賊退治だけを描いた硬派な作品だが、何か特別なメッセージを某国や周辺国に突きつけたような匂いがした。一人の米国民救出のために、米国政府は一丸となって軍隊>>続きを読む
個人的に好きなポリティカル・サスペンスなので高得点とした。
突端(とっぱな)に、突然とクライムに叩き込まれた。深夜、街中での殺人。2人目は目撃者ゆえに被害者となった。そして続いて起こる地下鉄駅での殺>>続きを読む
J.ギャバンが刑務所にA.ドロンを訪ねた場面。二人は眼だけで演技した。その間10秒。一言も無くJ.ギャバンの眼が語る。「あれほど注意したのに」。A.ドロンの眼が答える。眼に涙があふれ出る。「・・・・す>>続きを読む
見終わった後、何とも言えない虚無感が漂った。空しいとは違うが、満ち足りたとは言えない。だが、いくつかの鮮烈なシーンが脳裏に焼き付いている。
通りすがりの若い男を見つめては、「美男子だわ」と何気なくA>>続きを読む
女一人と男二人が成立する映画は何故か好きである。
男同士の固い友情は、女が立ち入る隙がないという意味からで、けっして同性愛とは違う。男は女を守ってあげなければならない、という共通した男の矜持のような>>続きを読む