原作は評判になったテッド・チャンの「あなたの人生の物語」。昔読んだ本だ。この「メッセージ」を観て、「あれ? 違うんじゃないの?」ともう一度原作を読んでみた。
もちろん、映画は原作から離れて構わない>>続きを読む
「かわいいネコ」映像のドキュメンタリーなのかと思って観に行ったらさにあらず。イスタンブールという古都に住む人とネコとの共生関係を描いた作品で、イスラムの人たちの「相互扶助」の精神がネコを媒介として美>>続きを読む
戦国時代を舞台にした冒険フィクションなのだけれども、登場人物をかなり少なくしぼったことで、それぞれの人物の役割分担、個性がうまく活かされていると思う。狂言回しに勇敢でもない欲の皮のつっぱった農民二人>>続きを読む
五十才にして「若年性アルツハイマー症」を発症した言語学者の、発症後の生活を淡々と描いた作品だが‥‥。
あくまでもヒロインの視点から、症状が進行していくさまを淡々と描いていく。まずは講義でちょっとし>>続きを読む
今どきウェスタンというのも珍しいのだけれども、このウェスタンはデンマークとイギリス、そして南アフリカとの合作映画。そういう、本家アメリカ製ウェスタンではないというところで、脚本も練りに練ったものにな>>続きを読む
主人公の教授は、ディートリッヒに会うまでは人を愛することも知らない堅物だったわけだから、彼女に出会って人を愛することを学び、その愛が裏切られることも体験したのは、人間として良かったんじゃないのかな。>>続きを読む
コロンバイン高校での乱射事件に材をとった、意欲的な方法で製作された作品。高校に通う複数の生徒らのそれぞれの視点から、時間軸も重複させながら<惨劇>への経過を追ってみせる。そこにはいわゆる「ドラマ」の>>続きを読む
黄色いフィルターを画面の半分だけにかませたり、黄緑色を画面いっぱいにあふれさせたり、独特の色づかいを感じさせられ、「砂漠の中のオアシス」というイメージが立ち上がる気がする。特に前半の妙にてれ〜っと、>>続きを読む
ティム・バートンのゴシック趣味とファンタジーとがうまく合体した傑作、だろうか。絵に描いたようなパステル・カラーの建物が並ぶ町並みは、これは当然この映画用にセットでつくったのだろうと思っていたら、じっ>>続きを読む
「インヒアレント・ヴァイス」のジャズ版というか、ピンチョンもポール・トーマス・アンダーソンも、この「ロング・グッドバイ」は参考にしているところが大きんじゃなかっただろうか。主人公のエリオット・グール>>続きを読む
まったく内容を知らないで観る映画で、わたしは「スターズ」とかの単語も出てくるし、てっきりSF作品だと思ってしまっていた。‥‥ちがうじゃん。まさに「ハリウッド・スター」の「スターズ」という意味だった。>>続きを読む
冒頭からしばらくは「これはデヴィッド・フィンチャーあたりが撮りそうな雰囲気だな」とか思って、ちょっとワクワクしながら観ていたのだけれども、だんだんに演出の上で何かが足りないという感覚になってくる。そ>>続きを読む
原作は田原総一朗のノンフィクションだったらしく、そこからミステリーを紡ぎ上げてドラマにしたのがこの作品。
ある女のヒモだった男(原田芳雄)が、その女が故郷の福島で心中死したと聞き、彼女が自分との>>続きを読む
若い女の子がレイプされて‥‥みたいな概略は知っていて、観ていてもつまりはその親による復讐譚なのかと思っていたのだけれども、ラストの3分ほどの展開にノックアウトされてしまった。「神よ!なぜ黙って見てお>>続きを読む
いきなり人間の尻が突き出されて糞をひり、それをすくい取ったヤツが顔にその糞をなすりつける。「ゲゲゲ!」というオープニングで、とにかくは舞台は地球ではないらしい。地球よりも八百年ぐらい遅れた文化の星に>>続きを読む
ラストの葬儀の場面で流されるトランペットの音が印象的なのだけれども、音の感じからもアメリカの葬儀ではポピュラーに使われる曲なんだろうかと思っていたのだけれども、これがそうではなく、クレジットで確認し>>続きを読む
トータル4時間の映像が、あとになってじわ〜っと攻めてくる。人間が、ある土地で「生活する」、ということを視覚と聴覚から体感。「リアリティ」とはこのことか、と思う。「戦慄」、という言葉もある。とにかくはち>>続きを読む
実際に起きた日本人ジャーナリスト人質殺害事件を受けて観てみた。
‥‥たしかにサスペンスはあるけれども、なんともセンティメンタルな、あまりお上手ではない演出にはがっかりした。
とにかくはイラン側の>>続きを読む
冒頭はいきなり、思いっきり素人っぽいレビュー舞台の様子が映されて、その舞台のバックの暗幕に「Titicut Follies」と書かれているのが読める。これはその施設の慰労会か何かで、その慰労会が「T>>続きを読む
第一作が東京がゴジラに襲われたから今回は大阪というわけで、たしか次の「キングコング対ゴジラ」が名古屋が舞台だったと思うから、ゴジラの諸国漫遊モードが始まったというわけだろうか。ただ、前作の「水爆の災>>続きを読む
たしかに衝撃的でショッキングなストーリーではあり、映像もまた力強いのだけれども、結局すべての映像はストーリーを語るために利用されているだけ、という印象を持ってしまう。
映画というものの、その映像は>>続きを読む
とにかくはまず、この一本の作品の中に、いろいろなトーンの演出が詰め込まれているという魅力がある。
まずは導入部でのエイミー(ロザムンド・パイク)がいなくなったニック(ベン・アフレック)周辺の動きの>>続きを読む
映画技術的な冒険にもあふれた作品。冒頭のレミーがホテルに到着するところから、エレヴェーターに乗って部屋へ行くまでが長回しのワンカットだったりして、「どうやって撮ったんだろう」とか感心してしまう。
>>続きを読む
ようやく初見。日本にこんなにエネルギーにあふれ、しかも遊び心満載の映画が存在していたことに驚き。しかもそのエネルギーと遊び心が見事に調和しているというか、ただただ見入ってしまう。ジュリーも菅原文太も>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
久しぶりの再見。観始めてすぐに、「これって、二重人格ストーリーなんじゃないのか?」って思ってしまう。つまり、中砂(原田芳雄)は、主人公の青地(藤田敏八)の分身なのだろうと。青地のかなりスクエアな処世>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
あ、これは全部アダムの妄想ね、みたいに観ていた。実際の彼は奥さんも彼女もいないし、大学教授でもない。何もないアパートで自堕落に一人暮らししているんだろう。まずは彼女がいるという妄想に取り憑かれている>>続きを読む
冒頭の映像、そしてリゲッティを意識したような音楽からも、「2001年宇宙の旅」を思い浮かべてしまう。そういう意味ではこれは逆転した「スター・チャイルド」のストーリーというか、その生成ではなく、壊れて>>続きを読む
とにかくはまず、絵があんまりきれいじゃなかった。主人公も「2001年宇宙の旅」のボーマン船長を200倍ぐらいマヌケ面にしたような顔してたし。
まあ、あまりに理詰めに攻めてもなんだからと、唐突に「愛>>続きを読む
舞台は60年代初頭のニューヨークで、そこのライブハウスで活動するフォーク・シンガーが主人公。ほとんどホームレスで、友人知人宅を行き来してソファーに寝かしてもらう生活。やることなすことうまく行かず、ま>>続きを読む
映画というものに、エモーショナルなパワーを仮託出来ると考えるのが、このドキュメンタリーの主役のアレハンドロ・ホドロフスキーの立場だとすれば、このドキュメンタリーの監督のフランク・パビッチという人物も>>続きを読む
ここでの「病棟」とは、精神病棟のこと。収容患者にはさまざまな症状の患者がいるらしく、中には単に政治的な陳情行為を行なったために収容されている者もいるという。つまりは、どんな理由であれ「精神異常」とい>>続きを読む
流氷の浮かぶ海の、その極寒を予測させられる流氷の間の海から、若い女性が流氷の上に這い上がって来る。画面の右に「私の男」とのタイトルが映されて、この映画は始まる。タイトルシーンからの連鎖のように、夜の>>続きを読む
撮影時には当時の広島市民九万人が撮影に協力し、エキストラ出演もされている。被災当時の惨状を体験されている方々が、「当時はこんなだったのだ」と訴えようとされる気持ちに圧倒されるし、そうやって再現された>>続きを読む
‥‥例えば、吉増剛造などの(と書きながら吉増剛造の詩は良くは知らないのだけれども)長大な現代詩長篇を映像化したような作品といえばいいのか。まさに全世界を、昭和が終わろうとする大阪に突き立てられた虚>>続きを読む
すばらしい作品だった。イーストウッド監督も、「これが言いたい!」というような重苦しさから解放されたのか、とにかくは「映画」というものを創る楽しさを満喫している印象で、その「楽しさ」が、バッチリと観客>>続きを読む