Kientopp552さんの映画レビュー・感想・評価

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リリーのすべて(2015年製作の映画)

3.0

 Lili Elbeが亡くなる同年の1931年に、自身の自叙伝が『Fra mand til kvinde男から女へ』という題名でデンマーク語で出版されている。その翌年には、ドイツ語訳が彼女が亡くなった>>続きを読む

十戒(1956年製作の映画)

3.0

 本作は、旧約聖書の『Exodus 出エジプト記』をハリウッド的に映画化したものであるが、エジプトでのロケーション撮影も行なわれ、撮影機材がMitchell VistaVisionカメラで、撮影素材が>>続きを読む

ロミー・シュナイダー ~その光と影~(2018年製作の映画)

4.0

 シュナイダーがドイツ語圏の映画界で著名になったのは、1955年作のオーストリア映画『プリンセス シシー』(ドイツ語原題は『Sissi』で、「スィスィー」と発音したところ)でであった。彼女が、バイエル>>続きを読む

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

3.0

 2005年公開の『バットマン ビギンズ』の作品を以って、共同脚本家も兼ねた監督のChr.ノーランは、それまでの、バットマン・シリーズの、ポップアート的ではあるが、コミックを出自とするストーリーの幼稚>>続きを読む

パーフェクト・センス(2011年製作の映画)

3.0

 本作、製作国が多彩である:英国、デンマーク、スウェーデン、そしてアイルランドである。制作年が、2011年で、制作面から言えば、未だ英国がEUから抜け出ていなっかった、「古き良き」時代の作品とも言える>>続きを読む

忍びの者(1962年製作の映画)

3.0

 本作の原作を書いたのが、村上知義である。筆者が思っていたのは、この「大衆作家」の作品、ただの「娯楽」小説と思っていたのであるが、こちらを調べてみると、本作の原作が1960年の作品で、しかも、これが、>>続きを読む

第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)

3.0

 元々ユダヤ系オーストリア人であった、コメディー映画監督B.ワイルダー(ドイツ語読みではヴィルダー)が、第二次世界大戦中にオーストリアにあった最大の戦争捕虜収容所を舞台にして撮った作品である。戦争捕虜>>続きを読む

Ares(英題)(2016年製作の映画)

3.0

 本作のストーリーは、近未来・ディストピーSFで、時代設定は、2035年である。本作の制作が2016年であるので、これは、約20年後の、将に来るべき「将来」である。場所は、おフランス製SFであるので、>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

 演歌歌手の石川さゆりが、イギリスのバンドThe Animalsがフォーク・ロック調で歌って1964年にヒットさせた『The House of the Rising Sun』を日本語訳で、しかも、自称>>続きを読む

デイブレイカー(2009年製作の映画)

2.0

 グローバル・プレイヤーとしての製薬・生命維持産業がその社会を支配しているというプロットは、SF映画でよく聞く話しで何も目新しくない。ただ、それが、社会の多数派を占める吸血鬼人間に、人血を供給するとい>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

3.0

 恐らく、J.ルノワールが50年代に撮った最良の作品は、『草上の朝食』(1959年作)であろうが、自分の父、有名な印象派の画家ピェール=オギュスト・ルノワールの南フランスにあった別荘で撮影した、この田>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

3.0

 アメリカ合衆国のフィルム・スクール出身で、いわゆる「ニュー・ハリウッド世代」の代表的な映画監督の一人に数えられるのが、1940年生まれのBrian De Palmaブライアン・デ・パルマ監督である。>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

 村上の原作では、主人公は、妻と寝ていた高槻という若い俳優と、銀座の夜のバーを幾度か訪れて、友達になってしまうのであるが、本作では、原作と異なって暴力性向がある高槻とは、自分の妻を寝取ったのではないか>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

1.0

 M.ギブソンは、2004年に、自らが共同製作し、共同で脚本も書き、監督した作品『パッション(受難)』を発表したが、この作品は、史実に忠実に、登場人物がアラム語、ラテン語、ヘブライ語を話すという、興味>>続きを読む

ヒルズ・ハブ・アイズ(2006年製作の映画)

3.0

 本作は、1977年作のホラー映画『The Hills Have Eyes』(邦題は『サランドラ』で、これは、四大精霊の一つで、火の精霊と言われる「サラマンドル」の名称から「マ」を取り去り、「ル」を「>>続きを読む

ジェミニマン(2019年製作の映画)

2.0

 「Gemini man」、つまり、「双子座の男」とは、中々思わせぶりのタイトルで気が利いているのではあるが、このつまらない近未来SF・アクション映画を、あの台湾出身のアン・リー監督が撮っているとは信>>続きを読む

ボッカチオ'70(1962年製作の映画)

4.0

 題名の中にある「ボッカチオ」は、14世紀イタリアの小説家であり、例の有名な『デカメロン(十日物語)』の作者である。散文文学作品『デカメロン』は、フィレンツェに発生したペストを避けて、その郊外に逃れて>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

2.0

 少なくとも初めの方のストーリー設定は、どこかで観たような気がする。あれは、ひょっとして、「ターミネーター」であろうか。人類対マシーンの「生存闘争」、ロスアンジェルスでの核爆発、デストピアのセッティン>>続きを読む

殺人者は我々の中にいる(1946年製作の映画)

4.0

 本作の撮影作業は、1946年3月16日から同じ年の8月まで続いた。(この撮影中の5月に、のちのDDRの映画会社となるDEFAが設立される。)撮影の一部は、バーベルスベルクにあったスタジオなどでの室内>>続きを読む

リクルート(2003年製作の映画)

1.0

 ストーリー展開は、一応、「どんでん返しに接ぐどんでん返し」を狙っているのであるが、話しの結末は、最初から想像が付いてしまう、全くのつまらない展開で、しょうもない映画である。

 しかも、ストーリー展
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遥かなる大地へ(1992年製作の映画)

1.0

 本作の制作が1992年で、日本での上映も同じ年の夏である。ということは、日本のバブル経済がはじける直前のことである。そして、バブル経済とは、日本経済が、「ものづくり」の経済ではなく、土地投機に血道を>>続きを読む

エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略(2015年製作の映画)

3.0

デンマーク軍・銀輪部隊 奮戦する

 1940年4月8日夜から9日の早朝に掛けてのことである。デンマーク領のユトランド半島の南東部、つまり、バルト海に接している地域にある、デンマーク軍・ユトランド師団
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廃墟の群盗(1948年製作の映画)

5.0

 この異色の西部劇の原案は、W.シェークスピアの作品『テムペスト(大嵐)』を土台に自由に翻案したものであると言う。こう言われて、なるほどと思い当たる部分がある。なぜなら、映画の始めの銀行強盗の場面、騎>>続きを読む

噂の二人(1961年製作の映画)

5.0

 1961年上映の本作の原作は、女流劇作家Lillian Hellmanによる舞台劇『The Children's Hour』(1934年作)であり、本作の脚本も、最初は彼女が書いていた。ただ、同年に>>続きを読む

ミッドウェイ ~運命の海~(2019年製作の映画)

2.0

 本作の主人公Norman Francis Vandivierヴァンディヴィエー(名前からして、フランス系アメリカ人か)は、1942年6月4日(日本時間では、21時間の時差があるので5日)、太平洋戦争>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

3.0

 ヴィジランテものである本作シリーズは、第一作で『タクシー・ドライバー』的ストーリーを軸にした展開であったものが、今回の第二作目では、一部の批評ではあまり新しみがないストーリーであると言われているのに>>続きを読む

シャンボンの背中(2009年製作の映画)

3.0

 「直球、ストライク!」、この映画の、内容ではなく、ある「恋」の顛末を語る、その語り口を一言で綴るなら、こう言えるかもしれない。本作は、男の感情の動きを男の視線でエゴイスティックに描いているからである>>続きを読む

タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

2.0

 本作の主人公Tyler Rakeが元所属していた組織SASR(「特殊空挺連隊」)は、実は、日本と、間接的ではあるが、関係がある組織である。

 体ががっちりし、胸板の厚い主人公Tyler Rakeは
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TENET テネット(2020年製作の映画)

5.0

 アメリカUSAの反ナチ・プロパガンダ映画『カサブランカ』のラストシーンを覚えている方は、本作のラストシーン直前のプロットが、『カサブランカ』へのオマージュであることが直観できるであろう!『カサブラ>>続きを読む

冷たい心臓(1950年製作の映画)

4.0

 今は存在しない「ドイツ民主共和国DDR」の映画会社だったDEFA(デーファ)が製作した児童映画第一作目で、DEFA製作の最初のカラー作品でもある。その後のDEFA製作の、一連の児童映画作品の嚆矢を飾>>続きを読む

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

4.0

 2007年作の本作は、SF味を無くした『ほしのこえ』(2002年作)であり、恋の物語りとしての『言の葉の庭』(2013年作)への展開の前提となる作品と位置づけられる。
 
 本作は、オムニバス形式で
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君の名は。(2016年製作の映画)

3.0

 46分の長さの中編アニメ『言の葉の庭』(2013年作)で「大人のアニメ」への展開を予想させた新海アニメ・ワールドは、次の三年後の長編アニメ『君の名は。』で方向を変える。神道主義者になった新海は、それ>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

 中編アニメ『言の葉の庭』(2013年作)で大人のアニメへの展開を予想させた新海アニメ・ワールドは、次の、長編アニメ『君の名は。』(2016年作)以降、『天気の子』(2019年作)を経て、本作(202>>続きを読む

言の葉の庭(2013年製作の映画)

4.0

 恋の物語りとしてのセッティングとしては、大人びた高校一年の男子生徒と、同じ高校で古文を担当する、27歳の女性教員という取り合わせは、余りに無理があるのではないか。その違和感を抑え込むために、筆者は、>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

3.0

 新海アニメ・ワールドの一つの特徴は、それが写真ではないかと、もう一度目を凝らす、写実的なアニメーション作画の精緻さである。それは、自然の風景や都市景観によく表現されるのであるが、この効果は、雨が降っ>>続きを読む

昼下りの情事(1957年製作の映画)

3.0

 本作は、果たして、「コメディー」なのか、或いは、コメディーであるとして、成功しているであろうか。喜劇は、悲劇を演ずるよりも、格段に難しいことを念頭に入れても、本作には、笑える部分がいくらかはあるには>>続きを読む