津軽系こけしさんの映画レビュー・感想・評価

津軽系こけし

津軽系こけし

処刑人(1999年製作の映画)

4.3

狂犬の法


我らは審判者なり

【ひょうきんこそアメリカ映画の渋さ】
タランティーノ作品とガイリッチー作品を足して2で割ったような作風。90年代アメリカ映画特有のひょうきんな言葉付きと、イケてる狂人
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.2

壮大で可愛らしい映像叙事詩


【突発的な企画始動】
交通事故で亡くなった男がなんとも愛らしいゴーストとなって妻の待つ家へと帰るという、さもパトリックスウェイジでも出てきそうなあらすじの今作は実のとこ
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山椒大夫(1954年製作の映画)

4.5

善の怨念


【溝口健二監督作品初観賞】
ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を授かり、日本映画黄金期の無類ぶりを象徴する作品(と言われているらしい)。
最近ようやく50年代日本映画に手を出した私からする
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エスター(2009年製作の映画)

4.7

狭間の悪魔


【実は初見じゃない】
友達に痛恨のネタバレを食らった作品。私の好きな要素がふんだんに盛り込まれているだけに、この感動を初見で味わえないことが心底腹立たしい。この悔しさと共に、今作を氷下
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インスタント沼(2009年製作の映画)

4.1

無駄に洗練された無駄のない無駄な映画


【あらすじ】
いい感じにしょうもない映画。
ーー河童を探しに行った母がなにやら手紙を残していたよう。その手紙によるとどうやら私には本当の父親がいるらしい。河童
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ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

4.0

医療系のリング


【あらすじ】
出所不明の死体を解剖してゆく親子が、死体の謎に迫るごとにホラーの応酬に苛まれる密室ホラー映画。

【グロいけどグロくない】
死体の謎に迫るシーンは、リアルな解剖シーン
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.9

牙は優しさを抱く


汚いガーディアンズ
前作の悪いところを添削し尽くしたような続編。ちょっと題材が題材だから、これを続編と名打つのはズルい気もしなくもないが、我が落涙に免じて許してやろう。

ベトナ
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.5

愛こそ


あらゆるもののはじまり
映画史で最も功績を残した作品として今なお有識者たちの議論を絶やさない。

スクリューボールコメディの定義化はもちろん、コロンビアピクチャーズを大成し、トーキー映画の
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アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)

3.8

あのささやきを聞かせて


絶対に相容れることのない愛情、レオンが不器用でいかに弱いか知っている視聴者だからこそ、この歪な愛が悲壮的に映る。

導入、不気味に劇伴がささやきながらレオンが斧を手にするシ
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スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.6

君の夢になれるなら


ライミ版スパイダーマン1は私が初めて劇場で鑑賞した映画。そしてこの2は、「グエムル」「ジュラシックパーク」に次ぐ私の感性の育ての親である。幼少の折には、オクタビアス博士のアーム
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ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.6

この足が、教えてくれた


ドリュー・バリモア初監督作
エレンペイジ愛好家界隈では「JUNO」に次いで彼女のキュートさ絶頂期を象徴する作品と謳われる。かくいう私も、その由緒あるエレンペイジストの1人で
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MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

3.1

サメブランドは、金儲けじゃない


ハゲちょびんvsメガロドン
「ジョーズ」という衝撃的な作品の登場以来、愛すべき二番煎じ達が我こそはと果敢に己の”サメ”を表現してきた。彼らのサメは、時に宙を舞い、時
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晩春(1949年製作の映画)

4.3

拾遺補闕


幸せを育てなさい
小津安二郎監督作品を満を辞して初鑑賞。くすっと笑わされるやり取りと、奥行きを活かした印象的なカット、そして父と娘の感動的なストーリーに涙ちょちょぎれます。ラストの笠智衆
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パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.9

パンがなんだ


私は平気
今泉力哉監督の恋愛映画。初恋相手との2度目の逢瀬を前に、ふみは己の人生を巡ってゆく。「愛がなんだ」のような許容と解放の話ではあるものの、えぐるような痛みなど取り払ったほんわ
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.4

そんな日を想って、日々を行こう


主人公の顔がナスみたいで愛着湧かなかったけど、22は可愛いからすこすこのすこ。ピクサー産の死後の世界を題材とする作品といえば「リメンバーミー」を真っ先に思い出すが、
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アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

3.9

そうはならんやろ・ザムービー


シュルレアリスムの萌芽。
さあ、どう切り口を飾るか。この映画、なんのこっちゃわけの分からない作品ではあるが、第一次世界大戦が及ぼした芸術運動、シュルレアリスムの源流、
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

4.1

オペラなんて嫌いだ


アナザーデイオブサン
カトリーヌ・ドヌーブが、愛人の不在と結婚の狭間で揺れる女性を演じた出世作。ジャックドュミ監督による無類の色彩感覚が世界観を染め上げ、充実した視覚体験を堪能
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.6

きみのルールがゲームを制す


名探偵ボンド、ドーナツを愛す
古典派ミステリーの黄金方程式を踏襲しつつも、現代にも通じる怒涛の展開で攻め込むことで、ジャンル賛美ものとして最高峰の出来栄えに固まった。終
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ソーセージ・パーティー(2016年製作の映画)

3.4

人類の明日が心配になった


なにか生命に対する狂気を感じます。
地獄のような下品のひっきりなし。喋る食品たちが消費者たちに復讐を果たすストーリー。宗教やマイノリティの風刺などコンプラを粉砕しながらブ
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サイコ(1960年製作の映画)

4.4

狂気に沈めろ


不朽の名作
60年代の頭を張るホラー映画の金字塔。現代サブカルにて今なおオマージュを残す破格の知名度で、もはやヒッチコック監督の名前を飛び抜けて、ブランドとして1人歩きを始めた伝説的
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その夜の侍(2012年製作の映画)

4.1

死別にはじまる恋物語ッ!!


ナイフを添えて
「葛城事件」の赤堀雅秋氏が監督・脚本を務めた復讐物語、妻を殺され復讐に曇る男の人生を描く。「葛城事件」以前の作品ではあるが、投影されている精神はよく似て
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メン・イン・ブラック3(2012年製作の映画)

4.5

古い友達を紹介するよ


間違いなくシリーズ史上最高傑作。バディモノとして最高の着地、SF的なカタルシスもありつつ、コメディの語り口は決して揺るがない構え。こういう娯楽映画のナンバリングはあまり良い印
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ライフ(2017年製作の映画)

3.7

人類の終了をお知らせします


宇宙空間を舞台に繰り広げられる怪物との密室攻防スリラー。しかし、宇宙が舞台だからといってSFの風味など期待するのはとんだ間違いだと思う。なぜなら今作の楽しさは限りなくコ
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ホビット 決戦のゆくえ(2014年製作の映画)

4.2

指輪物語、ここにあり


LOTRシリーズのスピンオフ「ホビット」三部作が最終章。相変わらずの長尺ぶりを構えて財宝めぐる攻防戦を、てんこ盛りのCGと悪夢的物量で駆け抜ける。

LOTRの最終章といえば
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ホビット 竜に奪われた王国(2013年製作の映画)

4.3

ドラゴンに胸躍る


我の名は炎、我の名は死
指輪物語を派生する映画化の中では1番好きかも。もちろんビルボの活躍ぶりや、レゴラスの戦闘シーン、驚異的CGも魅力的だが、私の童心は〈スマウグ〉の色気に引っ
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.5

映画って、青春だ


これはちょっとDVD買うかも
こんなに純粋で、こんなにむき出しな映画魂だ、雄叫びをあげねば映画好きの名が廃るぜ。青春漫画にありがちな登場キャラと人間模様、それが全て”映画が好き”
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.6

千里の道は一冊のノートから


干し草のバケモノ
アッバスキアロスタミ作品初鑑賞。なんだか体が軽くなるようなコメディ。友達のノートを届けるべく、あっちこっちと珍道中する少年の話。せっかく辿り着いたと思
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サニー/32(2018年製作の映画)

3.5

匿名は人を救わぬ……か?


白石和彌監督作品の中でもかなり異彩を放っている作品。リリーフランキー、ピエール瀧という”ブッコミ”コンビが抜擢されているにも関わらず、聴衆の反応はなんだか心許ない。確かに
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26世紀青年(2006年製作の映画)

3.8

賢い?そんなの知るか


野党に関しては今と大差ない
冷凍保存された男女が目覚めた世界は26世紀、人類のIQが急速に降下して”バカ”がそこら中に溢れるコメディディストピア。本当にバカばかりなのだけどそ
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朝が来る(2020年製作の映画)

4.7

どうか、光がさすように


私はこの映画を観て、これこそ現代日本に必要な作品だと深く思った。今回の”駄文”は、レビューというよりも今作を受けて綴るわたし個人によった感情文である。この映画の繊細さと奥深
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ホビット 思いがけない冒険(2012年製作の映画)

3.8

最初から鷲使ってくれ


精巧な特殊メイクと、舞台考証、物量によって映像史に飛躍的視覚表現をもたらした「ロードオブザリング」、そのスピンオフたる「ホビット」。

J・R・R・トールキンの原作順でいえば
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メアリーの総て(2017年製作の映画)

4.1

創作の魂


映画、小説、ひいては物語創作史において怪奇ジャンルの偉業となった「フランケンシュタイン」。その作者メアリーシェリーの半生を綴る歴史映画。

後に「カリガリ博士」をはじめとしたドイツ表現主
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淵に立つ(2016年製作の映画)

4.3

罪はどこか


前々から気にはなっていたものの封を切れずにいた一作。家族の関係に土足で踏み入るヤサカ(浅野忠信)の風柄は、「冷たい熱帯魚」や「クリーピー」の諸々を思わせる。しかしその2作と比べ薬物や暴
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あの頃。(2021年製作の映画)

4.8

楽しくて何も見えねえ


推しと仲間は推せるときに推せ
まずい。「愛がなんだ」で人生観をそっと撫でられ、今作で前代未聞の号泣をさせられたことで、私はもはや今泉力哉作品から逃れられない体にされてしまった
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

4.7

暗闇の魔力


ドイツ表現主義誕生の背景には、戦争に負けたドイツ国民の空虚さや不安が映されている。そのドイツ表現主義の大きな出発点となった今作「カリガリ博士」にも、彼らの漠然とした不安感が投影されてい
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翔んで埼玉(2018年製作の映画)

4.4

郷土愛がなんだ


忘れ去られた栃木ちゃん
完全にエンディングソングにもっていかれた感は否めないが、風俗的な地域格差を自虐する斬り込み隊長ぶりは、なかなかに愛らしいところがある。物語的終結を踏み越えて
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