マクガフィンさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

21世紀の女の子(2018年製作の映画)

2.7

今作のように、テーマやモチーフが似ている短編を集めてオムニバスと呼ぶことに抵抗がある。DVD鑑賞。
コンセプトに若手の登竜門的要素があるかと思いきや、意外とキャリアがある監督や女優たちに驚く。所々に見
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狂武蔵(2020年製作の映画)

1.9

全く命のやり取りをしているとは思えない、77分間のワンカット・殺陣シーンがワンパターンの冗長で退屈。ワンカットなのでリアリズムを追求したと思うのだが、本気で斬り掛らないので刀で軽くブロックでき、木刀の>>続きを読む

真夏の方程式(2013年製作の映画)

3.5

夏休みの楽しさと夏休みが終わる残暑の過ぎ行くノスタルジアと重なる、事件と少年の哀しさ。少年とのひと夏の交流が微笑ましく、〈ペットボトルロケット〉のパートは重くなりがちなミステリーの息抜きにもなるが、そ>>続きを読む

おかあさんの被爆ピアノ(2020年製作の映画)

3.0

就職前に将来について漠然とした大学生・ヒロインが自身のルーツを辿り、シュチュエーションの移り変わりと共に被爆に影響された人生を送った祖母や母親のことを知りながら、自身の成長に。

時折、被爆二世の差別
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思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

3.2

主役4人の演技や演出が良く、浜辺美波の居場所が無い故に道化的キャラを演じたこと事態に傷つくこと。福本莉子の少しずつ情念の解放と前に進むことと並行して、みるみる綺麗になっていくこと。北村匠海の心の奥底>>続きを読む

(2020年製作の映画)

3.3

時代とシュチュエーションの変遷とともに波乱の半生を描き、エモの押し付けや感情が高ぶるシーンもあるが、強度ある演出でも菅田・小松菜奈・成田凌の演技がブレないことが作品を引き締める。

中盤以降に群像劇な
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弱虫ペダル(2020年製作の映画)

3.1

仲間やサポートしてくれる人達と切磋琢磨しリレー形式で繋ぐスポコン形式が熱く、個性的なキャラやコミカルを挟んだりしたむさ苦しさの息抜きが良い。「スラムダンク」並みに進展が遅いが、抑揚をつけながらシンプル>>続きを読む

ぐらんぶる(2019年製作の映画)

3.4

恐らく、ギャグマンガ原作の良い所を抑えながら吟味され、さわやかさをキープしつつ、突き抜けたパワーでアゲアゲでノリノリなB級テイストに感心も。役者への演出も良く、実写映画を心得た英勉監督の手腕が冴える。>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の新恐竜(2020年製作の映画)

2.7

のび太の写し鏡のような恐竜は、人間に都合が良いリアクションに終始し、ポケモンのようなデフォルメで苦笑。地面に転落する前触れを何度もリフレインされる諄いシーンに辟易し、後の飛躍もエモの押し付けにしか感じ>>続きを読む

女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。 前編 入る?(2015年製作の映画)

2.7

JC女子トイレのワンシチュエーション。JCのガールズトークを女清掃員の心の声のナレーションでツッコむので、緩さはあるが会話の兼ね合いの良さや、「セトウツミ」のようなシュールな「間」の可笑しさやが足りな>>続きを読む

トカレフ(1994年製作の映画)

3.9

乾いた空虚なテイストでテンポが良いのは好みだが、繋ぎの繊細な箇所も省いているので分かりにくく、プロットの整合性も疑問。それでも徐々に贅肉を削いでいき、剥き出しになる骨のように男達と女の3人にスポットを>>続きを読む

ライブリポート(2019年製作の映画)

2.8

ユーチューバーと停職中の警察官の利害関係の中で、お互いの目的の為に手を組む、B級的なバディ展開する設定に。設定の割にはコミカルが足りないし、ご都合主義もあるし、物足りなさもあるし、堅苦しさもある。それ>>続きを読む

グランド・ジャーニー(2019年製作の映画)

3.1

何処までが実話か知らないし、堅実な物語と演出のリアルさはあるが、実際に起こったこととは理解しがたい。それでも、小さな生命に触れることでの気持ちの移り変わり、健気に付いていく鳥の可愛さ、懸命に羽ばたく鳥>>続きを読む

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

2.9

高校生達の肥大化する鬱憤が今にも破裂しそうで、閉鎖間際のショッピングモール・給水塔・廃講堂の教室・非常階段のようなドライな情景は雰囲気はあるが、抽象的な演出や個々の掘り起こしが甘いのでリアルさが足りな>>続きを読む

さんかく(2010年製作の映画)

3.2

愛の純粋な行動とストーカーの対比は、自分では気がつかないが客観的に見ると痛い行動に。被害者が加害者になったり、職場や家に押し掛けることの伝染は滑稽だが、ストーカーの被害にあった者からすると笑えないく、>>続きを読む

いつくしみふかき(2019年製作の映画)

3.2

仏教的な因果とキリスト教的な癒し、親子の因果関係、加害者家族が背負う苦悩、裏切りによる因果応報、血縁と地縁、改心の可能性と方法などのモチーフは多様で重厚に。如何にも劇団出身のような大仰な演出もあるが韓>>続きを読む

デンジャー・クロース 極限着弾(2019年製作の映画)

3.1

ベドナム戦争を題材にし、米軍ではなく豪軍にスポットを当てることが斬新。「ロングタンの戦い」を知らないどころかオーストラリアも介入していたとは。

ドラマ要素を少しは加えていると思うが、等身大で描かれる
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のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

3.4

将来に希望や意味も見いだせない高校生達がヒロインの一途な頑張りに感化されて、枝割れする波及効果を描くことが良く、人と人との繋がりや自分の心の中にある素直さを育む影響力が微笑ましい。原作未読。

ボルダ
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コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020年製作の映画)

3.0

会話の兼ね合いの良さや、ウキウキで楽しさが溢れるテイストもシリーズならで、雲一つない絶景の青空やマレーシアの豪華なシュチュエーションの見栄えが映画版の良さに。しかし、コンゲーム要素やどんでん返しの薄さ>>続きを読む

海底47m 古代マヤの死の迷宮(2019年製作の映画)

3.5

マヤの海底遺跡でサメに襲われるパニック映画ならB級やZ級映画をイメージするが、重層的な選択肢や前触れや伏線を張りめぐらませる丁寧なシークエンスで、堅実な作りに感心する。

海底では砂が舞うと視界が失う
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ステップ(2020年製作の映画)

3.4

男手一つで幼い娘を育て、父娘が健気に生きていく10年間の軌跡を描くと辛気臭くなりそうだが、子役の白鳥玉季と中野翠咲の可愛さでテイストを中和することが良い。作中の女の子の感受性の鋭さが、実際に大人の要望>>続きを読む

悪人伝(2018年製作の映画)

3.3

韓国ノワール特有でグイグイと作品に引き込むが、エンタメ寄りに抑えられてるとはいえ、暴力描写のディティールが痛々しく、暗くて過度に重厚な演出もあり、胸やけすることも。バブリー的なライトアップ夜景をこれ見>>続きを読む

今日から俺は!! 劇場版(2020年製作の映画)

3.2

会話の兼ね合いの良さ、個性的だが愛くるしいキャラ達、ギャグマンガを基軸とするが乱闘シーンなどの大事な時には本気を出すギャップなど、原作の良いところを堅実に抑えているのだが。主要キャラと吉田鋼太郎のコミ>>続きを読む

かしこい狗は、吠えずに笑う(2013年製作の映画)

3.3

JKの閉塞感が漂うドラマかと思いきや、ホラー・テイストに変わるので驚く。中二病的な関係性から、次第に崩れていき、想いの強度がすれ違う偏愛は、与える強さと求める強さの掛け違いのように。肥大化するエゴ、思>>続きを読む

モヒカン故郷に帰る(2016年製作の映画)

3.5

主人公・松田龍平のデスメタルバンド「断末魔」のライブに始まり、父親の断末魔での幕引き。死の対極である生の誕生、作中はその間の生を、緩やかなテイストや情景の中にハートフルさやコミカルさを交え、独特なスタ>>続きを読む

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

3.4

会社を解雇されたが家族に言えない父親の悲哀は、自分で作り上げた、ちっぽけな父親の威厳を守るためのエゴか。個々の秘密を持ち合わせ、些細なすれ違いで、脆くも崩れていく家族は、お互いのことを良く知らない関係>>続きを読む

濡れた壷(1976年製作の映画)

3.7

PTSDで機能不全でギャンブル狂の父・東大受験を繰り返す浪人の弟・娘の旦那と駆け落ちして帰ってきた母、各々が飄々とした中にガチな駄目さを醸し出すキャスト勢が凄い。それ達を支えるために、代償として壷を封>>続きを読む

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.3

兄自身の怪我と彼女の妊娠と父の押し付けと過度なプレッシャー。情動が繊細に描かれるが、機敏な心情を画像のトーン・画角の変化や、心拍を刺激するサウンドによる表現は濃度密度に。只、凡庸なプロットに比べて画像>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.0

やはり、ジブリアニメはスペクタクルでスケールの大きい作品がシンプルに楽しく、映画館で鑑賞すると格別に。意識したわけではないが鑑賞の順番が良くて「ナウシカ」のディティールの掘り起こしが多く、特に無言のオ>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.0

大事件をモチーフにしているが、サスペンス調でダイナミックな演出の中にコミカルで中和するテイストのバランスが良く、グイグイと引き込まれる。重厚だが重過ぎないことがポイントに。ボンテールならではの、雨と土>>続きを読む

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.6

アニメならではの圧倒的な疾走感やダイナミックさが突出している。狂気的にすら感じる緻密な背景、退廃的な背景に破壊力がある終末観、何処まで広がるかわらない壮大な世界観。それらの膨大な数のセル画を積み上げる>>続きを読む

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.0

摩訶不思議な神々の世界へ迷い込んでしまい、過酷な環境下に放り込まれた少女が世間の荒波に揉まれたときに、生きる力を取り戻していくことと、その活力の波及効果で大人への影響を描く。辛い労働解放を名前を取り戻>>続きを読む

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.4

雨や霧や曇天の中でのNYの個性的でカルチャーが漂う街並み。ジャズを情景とし、ティモシー・シャラメが髪を濡らしながら、うろうろ歩くたゆたうした姿は、お洒落さと美しさが映える。行き違いやらすれ違いやらの運>>続きを読む

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

2.5

母親と息子の共依存というより、息子の母親への依存へ。普通ではない親子の生活だが、親子にとっては生活は困窮しているが日常なのでは。そんな日常の何気無いことや楽しいこともあるはずだが、それらを全く描かない>>続きを読む

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.9

収拾不能な荒廃した世界の中での、文化の発展と自然破壊による人類の存亡のテーマを基軸とし、環境問題・戦争や覇権・権力紛争、民族問題、宗教や思想、破壊兵器、生態系や外来種などのテーマを含有しつつ、リアルと>>続きを読む

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

4.2

時代に取り残されたようなシュチュエーションの閉塞感。ヒロインと大阪のドヤ街の気怠く退廃的な背景により、モノクロ映像の陰影が映える。アンニュイなテイストに刹那主義的な生活が極まるが、そんな環境下における>>続きを読む