マクガフィンさんの映画レビュー・感想・評価 - 35ページ目

アガサ・クリスティー ねじれた家(2017年製作の映画)

3.1

大富豪の家長のパワーと金に支配されたり翻弄されていた、一癖ある怪しい一族達。死してなお影響力ある家長や、全員に殺害の動機と犯行殺害があるような仕立て方は、アガサ・クリスティならではに。巨大で複雑な屋敷>>続きを読む

映画 賭ケグルイ(2019年製作の映画)

3.3

TVドラマ同様、徹底的なギャンブルによる弱肉強食の学園を舞台に、敗者は人間としての尊厳や人間性までを否定されるディストピア世界の設定に興味津々に。学園内でのワンシチュエーションや、大人が一切出てこない>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.8

好きな男のために、全てを犠牲にして尽くし続けるヒロイン・テルコの言動が痛々し過ぎる。だが、救いようのないアホさなのに、ポップなキャラと語り口で上手く中和していることが巧みで、愛おしくも。日常の断片やと>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

3.0

アベンジャーズを見ると、MCUシリーズで、スパイダーマンやアントマンが好きなことは、かなりのライト層なことが良く分かる。

元々の世界観やベクトルが違う、ヒーロー達の大集合にワクワクしなく、各々の個性
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こどもしょくどう(2017年製作の映画)

3.6

主人公(藤本哉汰)の幼なじみ(浅川蓮)のイジメへの傍観する贖罪と受動的な自分への脱皮がプロセスになっているが、困った子に手を差し伸べるシンプルな子供の視点が良い。また、子供世界に焦点を絞ることで、何故>>続きを読む

内回りの二人(2018年製作の映画)

2.6

渋谷からの一夜歩きのファンタジー系映画。冒頭の背景の移ろいは良く、マイルドな夢幻的な世界観に誘い込みたいことは理解できる。しかし、一方的な偶然の再会や、会話がスタートする切っ掛けがストーカーまがいのシ>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

3.2

広大な大地のロケーション、豪華なセットやキャストの多さは、邦画では中々ないスケールの大きさが良く、丁寧な作りは感心することに。しかし、テンポも丁寧過ぎて、前半の早い段階で物語が完結どころか、たいして進>>続きを読む

バースデー・ワンダーランド(2019年製作の映画)

3.3

水不足をテーマとし、受動的なヒロインが導かれるように異世界に行き奇想天外な冒険譚と成長譚は、シンプルで王道的なプロットに。ヒロインに足りない特徴を持つ、好奇心旺盛でアグレッシブな大人の女も効果的で、ヒ>>続きを読む

シャザム!(2019年製作の映画)

3.3

DCユニバースお馴染みのシリアスさやダークなテイストから、コミカルをふんだんに挟む明るいテイストのチェンジに好感で、相性も良い。字幕鑑賞。

スーパーマンをカッコ悪くしたバトルスーツだが、作品のテイス
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空の瞳とカタツムリ(2018年製作の映画)

3.4

潔癖症で処女の女と、一回限りで男となら誰とでも寝る女と、男・三浦貴大との三角関係だが、ディティールが濃い女二人を中心にしたGL的な関係が良い。

いびつな危うさや、言動のギャップや矛盾を体現しながら男
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無限ファンデーション(2018年製作の映画)

3.4

瑞々しさと若さ故の哀しみのバランスが良く、淡く耽美的でエモーショナルに。即興ならではの言動や空気感のリアルな緊迫感。南沙良の学校内と校外と家庭での会話の対比や演技の違いが良く、家庭での居心地の良さが伝>>続きを読む

いつか輝いていた彼女は(2018年製作の映画)

3.1

ジェラシーが充満する閉鎖的な空間で、女性同士のベクトルのパワーや方角や、依存先の相違からくる相互関係のすれ違い。相手を見下したり、蔑むことで自己肯定感を満たすエゴが痛々しい。

称賛とジェラシーの対比
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月極オトコトモダチ(2018年製作の映画)

3.6

大人の男女間に友情は存在するのかというコンセプトは、男と女を相対的な位置ベクトルの力や方角の調整でなら可能かもしれないが、ルームメイトの女の子が加われば、ベクトルの起点が増えたり、違う力に引っ張られた>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

3.0

女性蔑視と階級格差ある社会での、過酷な日常を切り取り、市民の内面を炙り出す。
何気ない日常を映した長回しが常に示唆的で、淡々と進む中で人間の側面を良く捉えている。それとモノクロ映像と日常音が相まったか
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レゴ(R)ムービー2(2019年製作の映画)

2.8

ファーストデーに普段見ない映画を見ようと、レゴシリーズ映画を初鑑賞。字幕で鑑賞したかったが、都合上で吹き替え版鑑賞。

テンポが速く、セリフ量やオマージュが多くて、アイテムや背景もどんどん変わるテンコ
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多十郎殉愛記(2019年製作の映画)

3.1

幕末という激動の時代に反するような、剣豪だが刀を抜く気が全く無い、主人公・高良健吾の飄々とした佇まいの中の虚無感が際立つ。絵や書に向かう情念のたゆたゆさが良い。また、古臭い女性像や演出も疑問だが、ヒロ>>続きを読む

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)

3.1

如何にも一癖アリそうな無骨な表情の米国潜水艦長で主人公のG・バトラーは、過去の悲惨な任務がトラウマ的で、その教訓と実績がある叩き上げの非エリート。しかし、その設定はあまり関係なく、雰囲気重視に。米の作>>続きを読む

JK☆ROCK(2019年製作の映画)

3.0

結末に呼応する冒頭の音楽、偶然な出会い、「あー」と指を差す再開など、ベタで予定調和な青春音楽映画に。序盤の西村まさ彦の竹中直人のような大仰演技に頭が痛くなるが、後半に出番が少なくなることが幸いに。>>続きを読む

ハロウィン(2018年製作の映画)

3.1

設定は、いつターミネーターが来るか分からない「ターミネーター2」で、祖母はT2のサラコナー状態。祖母は、自宅を要塞化し、武器を揃えて、射撃訓練に励む期間は40年。40年前は斬新だっただろうが、今となっ>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.6

時を遡ることを逆手にし、韓国の負の歴史に翻弄された主人公が、負のスパイラルに抗えない数奇な運命が徐々に炙り出される構成に胸が痛む。4Kレストア・デジタルリマスター版を鑑賞。

時を経ても心の傷は癒さな
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ザ・プレイス 運命の交差点(2017年製作の映画)

3.0

カフェ店内のワンシチュエーションで、最近トレンドなアプローチの仕方の創意工夫で独自な世界観を編み出し、会話と設定の余白の繋がりを紡ぐのだが。良質なワンシチュエーション映画を立て続けに見ていたので、1・>>続きを読む

バイス(2018年製作の映画)

2.8

ディック・チェイニーの無口で口下手でビジュアルも良くないが、ホワイトハウスを牛耳る影の支配者的な存在と、その対照的な口達者の才色兼備な妻により、背後でチェイニーの尻を叩いたり・褒めたりし、手のひらで転>>続きを読む

私の20世紀(1989年製作の映画)

3.4

一見、取っつきにくく、独りよがりなシーンもあるが、長編デビュー作特有の〈力み〉なことや、そこに柔らかさも含むので許容範囲に。

生き別れた双子の姉妹を、20世紀のノスタルジーや「マッチ売りの少女」と「
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岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.1

※一部汚い表現があります

序盤から情念を表す手ブレ映像。また、部屋の汚さや食事の作法で底辺の人間を表し、兄と妹が全く似ていないことも邦画アルアルに。兄が仕事を辞める前後で、兄妹の飢え以外のシュチュエ
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麻雀放浪記2020(2019年製作の映画)

2.6

B級テイストなのに、内向きなネタとアイロニーとブラックジュークが空回りし、「サニー/32」とは違う、突拍子もない演出では面白味も感じなく、ひたすら内向きな映画に。原作既読。

胡散臭い役者の配置に花を
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バンブルビー(2018年製作の映画)

3.3

バンブルビーの造形の曲線美がロボットなのに柔らかく感じることが良く、アニメのような柔らかいモーションがCGの硬さを中和しすることに感心する。それ同様な、コミカルを挟む明るいテイストも好感。

カーチェ
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スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.1

アメコミ・テイストのメリハリある絵柄や独自な質感を充分に活かし、アニメならではのカラフルな色彩に、スピーディーさやコミック調的マイルドさを取り入れて、メリハリあるダイナミズムな演出にのめり込む。

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まく子(2019年製作の映画)

3.5

主人公のサトシ(山﨑光)の思春期の悩みを抱える普遍性とコズエ(新音)の温泉街に馴染めなそうな違和感の対比が効果的に。身長差も同様。原作未読。

思春期の少年の心の機微と身体の変化は大人になるプロセスだ
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あの日のオルガン(2019年製作の映画)

3.4

状況を冷静に見極めて、熱い決意と正しい理論のもとに保育園児の集団疎開を決行することに感心しきりに。国では手が届かない問題の背景が効果的で、戦争の悲惨さと同時に、何かと自己責任がまかり通る現代社会の警報>>続きを読む

ダンボ(2019年製作の映画)

2.9

身体的なハンデを持つ人間とゾウの各々の親子の再開や再生を基軸に、マイノリティ・身体障害者・動物が関わる見世物小屋の拝金主義な人間の強欲がテーマに。動物愛護先進国による最先端と思われる歴史観や動物愛護視>>続きを読む

きばいやんせ!私(2019年製作の映画)

3.0

仕事も人生もどん詰まり状況で、何かが見つかるかもと過去の思い出にすがり、様々な人に触れ合うことで自己省察し、次第に仕事や人生のことを改める成長譚は、何てことないプロットだが、鹿児島の背景の美しさが良く>>続きを読む

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)

3.5

スタイリッシュなUK青春譚かと思いきや、想像以上な高濃度に。イギリス北部の地方の背景が効果的で、自発的なパッションの強さがトレンドの転機になり、次第に渦を巻き起こすようなアツさが興味深い。

一連のシ
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劇場版『えいがのおそ松さん』(2019年製作の映画)

3.1

鉄筋コンクリートの建物に挟まれた、築40年以上の木造住宅で、20歳を過ぎても6人ともに童貞でニート。アニメとはいえ凄い設定だが、そんな様々な悲哀を打ち消す作品のテイストやバイタリティが凄い。TVアニメ>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.4

行き着いた感じもするサスペンスだが、ワンシチュエーション・音声のみのやり取りで追体験させ、高濃度なサスペンスに仕上げたことに感心する。最近のトレンド的な、アプローチの仕方の創意工夫で独自な世界観を編み>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

2.9

重くなりそうな人種差別がテーマだが、黒人刑事が囮捜査のため電話で白人になりすますことをメタ的にし、アイロニカルとシニカルの絶妙な狭間にコミカルを含んで、社会性とエンタメ性をミックスさせたことに感心する>>続きを読む

君は月夜に光り輝く(2019年製作の映画)

3.4

不治の病で余命幾許もないヒロイン・少女に振り回される、受動的な主人公・少年のボーイ・ミーツ・ガール的な展開に既視感が漂うが、突然の姉の死により喪失している、少年に〈死〉が纏わり付いている背景が効果的に>>続きを読む