犬たろさんの映画レビュー・感想・評価

犬たろ

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正欲(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

勝ち組負け組
という言葉がある
私はこの言葉が
大嫌いだ

既婚者は勝ち組
独身は負け組
それを聞いて
反発する者もいるが
大半はそうだと
認めている

既婚者だから
幸せな暮らしが
できるわけじゃな
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

座して死を待つ

戯けを抜かすな

生きて抗うのだ

巨大な力を前に

平伏すこと無く

生きて抗うのだ

誰かが言っていた

人生苦楽は付き物

止まない雨はない

明けない夜もない

晴れ間は束の
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

池松壮亮くんを見よってから、ふと思ったんじゃけど、竹野内豊さんと似とりゃあせんか?

ゆったりとした声のトーンというか、ワイルドかつマイルドな口調なんかまさにそれ。

つい先日『唄う六人の女』を鑑賞し
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こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

誰かは云う
あなたといる時の
自分が一番好きだと

母の子壺の中で
十月十日を経て
男として
女として
産声をあげた命

魂の伴侶は
すぐ近くにいる

思慕の念が
日に日に募る

落ち葉を散らせば
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唄う六人の女(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

何だろうこの既視感

そこはかとなく
『アンダー・ザ・シルバーレイク』
のようでもあり
『サイレント・ヒル』
のようでもある

はたまた
『千と千尋の神隠し』
のようでもあり
『となりのトトロ』
のよ
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シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

“ハズレ”は決して生まないと声高に語らずとも、それを内に秘めた断固たる決意は一切揺らぐことのない、傑作を世に送り出し続ける映画会社サーチライト・ピクチャーズが、またしても素晴らしい作品を届けてくれた。>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

拝啓、坪内陽子(二階堂ふみ)さま。

事件後、あなたの姿をお見かけすることができませんでしたが、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

斯く言う私も、半年前までは障害者施設で支援員として従事していた身
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

小説で読んでみたい──。鑑賞後、いの一番に思ったことだ。

非の打ち所がない。画角は素より、シナリオの丁寧さに舌を巻く。物語の終盤はまさに“将棋”の如く、互いに手の内の探り合い、次なる一手の鬩ぎ合いに
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オオカミの家(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

誰かの親になりたい。その思いはどこから、なぜ湧き出てくるのだろう。

誰かと一緒に生活を営みたい。その思いに抗うことから、いつ解放されるのだろう。



政治アレルギーの人とは関わり合えない、意固地な
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(2021年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ワシらはね、なまじ賢くなった生き物、みたいな気でおるけどやぁ、ホンマのところは単なる骨と肉の塊に過ぎんのよ。

言ってみりゃあ、ただの生きる屍なんよ。

ほんで、土の下で眠る屍さえも、這い出たい、蘇り
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メランコリア(2011年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

SF映画は、小難しい内容が伴うのは世の常だ。

しかし、今作ほど速やかに、手短に、物語の起承転結を前以てお知らせしてくれる映画を他に知らない。

上映開始から、ものの数分で事の全貌を明らかにしてくれる
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ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ラース・フォン・トリアー監督。さすが、底意地が悪い。もっと言えば、素直でない。天邪鬼もいいところ。もはや憎たらしいほど愛おしい。そう言わずにはいられない。

ラストシーン。寝床に横たわるジョー(シャル
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ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2 ディレクターズカット完全版』を見届けて思う。

鑑賞済みの映画でありながら、これほどまでにそそられる物語だったのかと面食らう。

唯一無二の至極なセクシュ
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

自己受容──。

これが難しいのよ、本当に。分かっちゃいるけど、どうしても過去にこだわってしまう。バリー(エズラ・ミラー)の気持ちには、共感せずにはいられない。

シャイな現在のバリーと、ヤンチャな過
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アシスタント(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

2023年上半期ベスト10入り確実。

画面アスペクト比が見間違いでなければビスタサイズだったが、もしこれがシネスコサイズだった場合、デヴィッド・フィンチャー作品かと見紛ってしまうほど映像は似て非なる
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』でもそうだったように、本編が始まって現れる制作プロダクションのロゴが、まるで観客へ向けて印篭をつきつけるかのように、スクリーンに威風堂々と現れる。

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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

あのときにはもうすでに、あなたはそうすることを心に決めていたのでしょう。

歳を重ねていくことをやめると──。

あなたと同じ年頃になった今だからこそ、その気持ちを汲み取ることができるようになったと思
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波紋(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

光石研さん、あなたが意図して表現したのか、それとも監督の指示なのかは知る由もありませんが、あなたが醸し出すコメディセンスは抜群だと賞賛せずにはいられません。

勉強会で、他の人たちといっしょに、ぎこち
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

緻密で巧妙な脚本が
物語の半歩先を照らす

観客の私は心導かれる

孤独で傲慢で繊細な
マエストロの狂気的なタクト

観客の私は心踊らされる

身から出た錆が
不協和音をもたらす

偉人たちのレコード
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

家族とは、不思議な結びつきだと、つくづく思う。親は子供の思いを知る由もない。しかし、それは子供もまた然り。

父親は、家族全員をより良い方向へ導くことができる、多大な影響力を持った誇り高い人物にならな
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銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

史実とは異なるところがある、とのことを鑑賞後に知った。史実は、父の政次郎(役所広司)が賢治(菅田将暉)の最期を看取ることはできなかったらしい。

今作の脚本は素晴らしかった。無論、物足りないところは多
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

ショーン・ベイカーさん
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
めちゃくちゃ可愛らしくて
物語もキャラクターも
映像の構図も編集も
非の打ち所がない
全部大好きです

なのに次回作がコレって
もう酷す
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンの前で静座する私の心を、瞬時に鷲掴みして激しく揺さぶる、巧妙なオープニングに感銘を受ける。

とあるオンライン授業。パソコンの分割画面に学生たちの顔が並ぶ中、中央の一画だけが黒塗り、聴こえて
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

まず今回は、どうしても我慢ならないことがあり、愚痴を吐露したいため、思う存分ここに記すので悪しからず──。



隣人を愛せよ。これは自分自身への戒めとして、度々言い聞かせていることのひとつだ。

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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

土日限定でソフィア・コッポラ監督作が上映されることを、土曜日の22:00ごろ、自宅の風呂に浸かっているときに知った瞬間「嘘じゃろ!?マジか!?やらかしとるわぁ〜!!明日は絶対行くわ」と大声で独り言をつ>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

エンドロール中、頭の中で往年のディスコナンバーであるシスター・スレッジ 『We Are Family』の一節が浮かび上がっていたため、ここに引用させていただきます。

We are family
I
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

結論から言って、今作はスピルバーグ監督作品の中でハズレの部類に入れたいのが個人的な感想。

率直に言う。陳腐。しかも、それを狙ってやっていることに、腹が立つほど悔しくてしょうがない。

カメラワークが
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

本編開始早々、美しい海辺の町に佇むエンパイヤ劇場でひとりオープン作業に当たるヒラリー(オリヴィア・コールマン)の、ひとつひとつ丁寧なルーティンワークに早々と落涙し、物語の要所要所は言わずもがな、終盤は>>続きを読む

ベルリン・天使の詩 4K レストア版(1987年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

僕がどれだけ自分本位でどうしようもない駄文の感想文をしたためようと、まるで今作の天使達のように僕の肩にそっと手を置いてくれる、そんな“いいね”をいつもくれる方のベストムービーで首位に君臨している『ベル>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

デイミアン・チャゼル監督が捧げる今作は、今日まで映画を生業として支えてきた全ての者に捧げる渾身の鎮魂歌だ。

そして、今日まで銀幕に魅了されてきた映画及び映画館を愛する全ての者に差し出された警告文ない
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

11の作品の中で最も注目したい、いや、もっと言えばよくぞ締めの一本にこれを持ってきてくれたと、諸手を挙げて称賛したくなる『シャンパン(CHAMPAGNE)』に思いを馳せる。

労働者階級の者たちがどう
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ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

まるでスクリーンの中から手招きされているかのように、僕の好奇心を終始くすぐり続けてくれたこの物語は、男女の夜遊びから始まった。

紫煙を燻らせながらそれを分け合い、互いに相好を崩し、火照った体を寄せて
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞後に、いや、割と早い段階で、Twitterか何かで流れてきた誰かの言葉が心の中でジワーっと浮かんだので、誰が発した言葉なのか知らんけど引用させていただくので悪しからず。



親友って…

『毎日
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンを見つめながら、不思議な現象が表れて驚きと動揺が隠せない。

物語は、9世紀の北欧。壮観な大地を舞台に繰り広げられる復讐劇の背景(スクリーンの中)に何故か、薄らと活字ないし文章が浮かび上がっ
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

光の射す方へ

一心不乱

無我夢中

好きこそ物の上手なれ

光の射す方へ

一生懸命

我武者羅

道は好む所によって安し

光の射す方へ

試行錯誤

学知利行

人間到る処青山あり

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

煩わしさに頭を掻き
時には嫌気が差した
愛娘の些細な反抗と
忘れ難き愛娘の戯れ

母の横顔と眼差し
いつまでも力強く
ひたすら前を向く

必ず見つけ出す
断固たる決意が
母を突き動かす

棍棒を握り締
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