FrankTannockさんの映画レビュー・感想・評価

FrankTannock

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

きっとこの人は大きく傷つけられ、
その傷を抱えながらも少しずつ
自分の生活と他者との付き合い方を獲得していったのだろう。
ニーナシモンが空や川に自分の気持ちを託し、自由を謳った瞬間に彼の真意が画面に映
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バビロン(2021年製作の映画)

4.7

圧巻だった。
ハリウッド黄金期の熱狂を今作ほど感覚に訴える形で表現している作品は少ない。
しかし同時に、狂乱の最中にいた人間が潮時を迎え、時代の影に消えていく寂しさも今作は描いている。
映画の上映が終
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

ウォンカーウェイとウォシャウスキー姉妹の思念体を引っこ抜いてLSDと混ぜたような作品。ディルドとアナルプラグが繋ぐ宇宙の扉に感動。
ふざけたこと言ってるようで、根底には性善説を真面目に描いていて、近年
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「自然ドキュメンタリーにステロイドと爆薬を」
池袋IMAXで鑑賞。
映像はめちゃめちゃ凄い。この映画のおかげで後世の作品は水や炎の粒子まで現実のとおりに映像化できるようになった。カメラまで開発しちゃっ
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

世界観よし、ドラマ性よしのいい作品だと思ったけど、どこか走りきらない印象を受けた。
主人公が災害遺児で、扉を締めたいという動機はわかる。しかし、もう一方のイケメンとの人間ドラマがしっくりこない。

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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.7

正直な感想として、容疑者Xにあった人間描写や真夏の方程式にあった抜群の撮影と比べると本作は見劣る。
撮影も編集も、若い印象。
ただ北村一輝の演技はすごくよかった。
彼が作中でくたびれて、やつれていく姿
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灼熱の魂 デジタル・リマスター版(2010年製作の映画)

5.0

この映画を語るとき、どんな言葉で表現したらいいのかわからない。生涯、観続ける作品だと思う。

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

4.0

脳筋神様とその元カノが叫ぶヤギ達と旅する傑作ロードムービー
あのヤギを飼いたい

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.8

エンタメを極める
ノスタルジックなリブートにならず、奇をてらった作品にもしない、正面一点突破の作品。
この先数十年にわたって空撮映像のベンチマークになるのではないかと思わせるほどのカットの連続。
60
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ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)

5.0

絵と音が混じり合うリズム感が好き
感覚的に躍動する世界とロジカルに構築されたストーリーから生まれる没入感が素晴らしいです

his(2020年製作の映画)

1.5

並べればいいってもんじゃない。
ゲイカップルを用意して、彼らが案の定現代日本社会で苦労するわけだけど
彼らが直面する壁も、出会う人間も、見出す将来も、ひどく一般化されていていた。
個人の現場を深める物
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.6

構造を楽しむ映画
ダンケルクにおいても感じたことだけれど、クリストファーノーランは作品を追うごとに物語の構造そのものに力点を置くようになった。
言い換えれば、人物設計や人間ドラマも、その「構造」を支え
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

5.0

この作品を観てから2週間、未だに作品を思い返す。それだけ、この映画から受け取ったものが大きかったのだと思う。母親の放った生きることへの強い眼差し、そして憎しみの連鎖を断ち切るその姿に心を突き動かされた>>続きを読む

海獣の子供(2018年製作の映画)

4.2

「大事な事は言葉にならない」
大切な人との思い出や、心に沈んだ子守唄、体を包む海流、頬を撫でる風の感覚
この映画はその部分を描きたかったのではないのかと感じた。
だからこそ、主人公が対面する世界には理
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

まぎれもない傑作だと感じます。
ただ、この作品を観て、その根底にある感情を自分の中に入れてしまっていいのか、未だにわからないです。
手放しでジョーカーとなった主人公を受け入れていいのか。その前に考えな
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.8

一流の映画を観た。
画面を構成するあらゆる要素が、派手な現代映画に肥えた目にも鮮明に映る。それだけの説得力を備えた作品はそう多くないように思えた。
時代の移ろいに激しく翻弄され、それでも最後の皇帝とし
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

4.2

シン・ゴジラとは違うけれど、これもゴジラというテーマへの1つのアプローチだと思う。特に平成シリーズを見て育った世代としてはハリウッドがこうして怪獣戦記を作ってくれたことに感謝。
日本の特撮界を築き上げ
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バラカ(1993年製作の映画)

5.0

圧倒的な描写が100分間連なる
世界を映す鏡としての映画だった
説明も無ければ、はっきりとした価値基準もない
きっと観た人の数だけ、それぞれの受け取り方があるのだと思う

自分なりにこの映画から感じた
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彼岸花(1958年製作の映画)

4.3

かつて日本人が持っていた様々な所作を、最も美しく捉えることができた人の一人が小津安二郎だったのだなあ、とこの作品を見て思いました

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.6

成田IMAXにて鑑賞
ライブエイドでの怒涛のパフォーマンスから暗転、そして最後のshow must go on で震えた

切腹(1962年製作の映画)

4.5

仲代達也の眼力、死を見据え形式主義に陥った体制を丸裸にするような視線が印象的でした
ただ畳の上に腰を据えているだけなのに、この上ない存在感が発揮されている
カメラワークも秀逸、動きは少ないけれどどのカ
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さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

4.2

円熟が核にある映画
銀行強盗も、並行して描かれる恋愛も、若い頃から抱えている大事な部分だけ残して、老齢と供に深化していた。
人生を振り返る時期に入った男女のプラトニックな関わり合いがとても綺麗でした。
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.3

「間」の映画
地表と宇宙、大気と真空、仕事と家庭、他者と自己、そして月と地球

あらゆる局面でこのような二項対立と、それなの合間を行き来する過程が描かれる
大気を抜け宇宙空間に放出される瞬間や、宇宙船
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Samsara(原題)(2011年製作の映画)

5.0

おそらくこの映画に使われたワンシーンでも他の作品で使われていれば、その作品を決定づけるカットになってしまうと思う。
それだけ撮影が圧倒的。もし「世界を写した映画」があるとすればこの作品になるのかもしれ
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おくりびと(2008年製作の映画)

4.3

納棺師として、亡き父の旅支度をする最後のカットが印象的でした。涙を流しながらも仕事を貫く姿勢は清く美しく映っていました。生きている身として、亡くなった人に正面から向き合う事が誠意ある対話と言えるのでは>>続きを読む

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007年製作の映画)

4.0

家庭のバランスや、父母との距離感に、主人公と似た部分があるせいか、とても惹かれました
ただ、髪を切っているお母さんの写真、息子にはどう映ったのか、作中に少しでいいから出して欲しかったです

機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

5.0

雪景色に染まった東京と、浮かび上がってくる南雲さんの表情が本当に好きです
数ある押井映画の中でも一人の女性をメインとした芯のある心象演出と現代社会においてもなお色褪せない脚本に圧倒されました

奇跡(2011年製作の映画)

3.8

憧れや願いを持った子供たちを淡々と映す姿勢は凄く好きです。無責任に円満で終わらず、子供達が持っている熱量そのものを捉えることに力を入れたことで作品に太い軸が生まれた気がします。

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

4.5

21世紀SF映画枠としてはかなり上位に食い込んできそうな作品
世界観の組み立て方が映画の教科書に出てきそうなくらい上手い。これでもかというくらいに荒廃がリアルに進んだセットに、コントラストと色を抑えた
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ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)

2.9

何者かになりたかったけれど、結局くすんだ現在を歩んでいる人たちの話
「レディーバード」と「勝手に震えてろ」を混ぜた感じ

東京に憧れる地方の人間のダサさと、かつてそういった憧れを抱いて東京に出たが夢破
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ドライヴ(2011年製作の映画)

4.8

デジタル時代が生んだ新しいフィルムノワール
撮影と音の使い方がすごく綺麗
浅い被写界深度にネオンが照らす肌色が美しい

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

5.0

2001年宇宙の旅から更に深いところへ潜り込んだような作品。宇宙的視点から少年の成長、母性、そして死の需要までをほとんどセリフなしで映像言語だけで表現する離れ業。
撮影のエマニュエルルベツキの一つの到
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デッドプール2(2018年製作の映画)

4.0

前作より良くも悪くもスケールアップした、という印象。シニカルなギャグに含まれる数々の時事的な引用。
現代の北米をよく捉えていると思いました。

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