だびーさんの映画レビュー・感想・評価

だびー

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アイアンクロー(2023年製作の映画)

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もっと苛烈で強権的な父親としてのホルト・マッキャラニーを見たかったし、そう作れたと思う。あくまでドラマとして考えた場合、息子の誰かがフリッツを殺すべき。だが、現実ではそうなってない。それが家族であり呪>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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WKW『2046』のような映画をイメージしていたけれど、より現実的で、それ故に生々しい。ある程度歳を取ったら、誰しも似たような経験はあるし、忘れられない人はいるのでは。再会と再度の別れ、その対照的な2>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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結果的に、日本での公開に時間が掛かったのは良かったと思う。事前の地ならし無しに公開したら、とんでもない反発が起こった気がする。それこそオッペンハイマーが戦後に予期せぬ方向から刺されたように。

チェー
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

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評判から岡田将生劇場なのかと思ったらそうでもなく、どちらかと言えば羽村仁成劇場だった。ほぼ全ての展開が想像の域を越えるものでなく、エンディングに流れる倖田來未(何で?)とタイトルの謎の毛筆が気になって>>続きを読む

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

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Slowlyでのセッション等はまるでアルトマンの群像劇のよう、と思っていたら、池松壮亮のインタビュー読んでやはりと納得。過去と現在の混線の結果生まれるスラップスティックな不条理劇から舞台はあの「狭間」>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

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3DCGの場面とそれ以外でアニメーションの動きに差がありすぎるのが難点。全く違う映画的文法が同じ映画の中で衝突してる感じ。ただ家で配信で見た時ほどの違和感はなく、石若駿のドラムは劇場で聞くと最高だ。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

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彼は人生が映画になったのか、それとも映画を人生にしたのか。失った時間、いなくなった人、思い起こされない記憶、寂れた砂浜、見向きもされない記憶媒体としてのフィルム。映画の向こうの、更にその向こうから迫っ>>続きを読む

子連れ狼 三途の川の乳母車(1972年製作の映画)

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冒頭の街道でのスローモーションとか終盤の砂丘とか、マカロニを意識してるのだろうか。三途の川の乳母車ってどういう意味かと思ったら…なるほど結構直球だ。

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる(1972年製作の映画)

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乳母車、結構な便利ツールで笑った。若山富三郎の殺陣がお見事過ぎる。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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これぞ"不適切にもほどがある!"と表現すべきなのだろうか。著作の荒唐無稽な出版劇の裏で、主人公達が送る「人生」が生々しく見えるが、彼らへの視線もバイアスが入ってないと言い切れないのが、この映画の語り口>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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経験や事実とされるものの不確かさを、家族の1人でありながらも視覚を奪われたダニエルを通して追体験させているのだろうか。子供は大人や親の事をよく見ていると、実体験から知っている。だからこそ苦痛に満ちた時>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

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何せシャマランなので、どこかでひっくり返るか、とんでもない角度から刺されると思っていたら、そのまま終わった(原作があると知り納得)。居なくなってしまった人を忘れまいとするラストシーンはしみじみ良かった>>続きを読む

Shall we ダンス?(1996年製作の映画)

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役所広司は感情を爆発させるより、内に秘めた(しかし完全に隠せてはいない)役柄が抜群に似合う。エリートである舞がダンスフロアを(物理的にも)見下すところから、自分の意思でパートナーを選び踊るまで、って書>>続きを読む

ハムレット・ゴーズ・ビジネス(1987年製作の映画)

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シェイクスピアの翻案であるけど重くはならず、しかし軽くもなく。今まで観てきたカウリスマキ作品の中では最も幻想的で、参照元があれば知りたい。カティ・オウティネンのバスタブでの自殺シーン、絶品。

バービー(2023年製作の映画)

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冒頭で弁護士バービーが「言論の自由」を述べるシーン、パレスチナで行われている虐殺を黙殺するハリウッドを見てしまうと極めてグロテスク。もういっそのことバービーランドに『ファイト・クラブ』のプロジェクト・>>続きを読む

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

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プレーが頻繁に止まるバレーという競技、止まれないフォーマットである映画には不向きでは、という感想。だからこそ烏野vs音駒というよりは、孤爪研磨というキャラにスポットを当てた映画になったのかな。ただスク>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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山添が1歩踏み出す瞬間、陽に照らされながら街を駆けるシーンは、16ミリフィルムならではの美しさ。もうそこで映画としては終わっても良いくらいだと思ったが、その後の藤沢と山添が共作した移動式プラネタリウム>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

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初めて劇場で観たのが2005~2006年辺り、昔すぎて記憶が定かでない…。しかしこの映画が4Kレストア、IMAXで観れるとは。初めて観た時の記憶や感情、感傷を想い出しつつ、レストアされた映像のクリアさ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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ドラマ部分の小っ恥ずかしさは日本語が分かれば殆どの人が感じるとは思うんだけど、字幕だと少しマイルドになるのだろうか(『ドライブ・マイ・カー』は字幕が素晴らしかったと聞く)。コテコテの人情ドラマさえ切り>>続きを読む

白い花びら(1998年製作の映画)

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童話のような物語から、最終的にはアンジェイ・ワイダの『灰とダイヤモンド』を思わせるような破滅的なエンディングへ。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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渋谷のトイレじゃなかったらお金が出なかったのかな、という複雑な気持ち。それでもヴェンダースがスタンダードで撮ってみせた東京は、実態がどうであれ、とても美しく見える。Nina SimoneのFeelin>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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登場人物の関係性やセクシャリティをおそらく敢えてはっきり描いてないのが心地いい。あのくらい別に普通だよ、と言われているよう。誰も居なくなった南銀座を彷徨い、紅の和訳(※自分でも何を書いてるのか不明)を>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

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Boxセット購入にて再見。大体の場所で「二度と来るな」と言われるレニングラード・カウボーイズ。ニューオリンズでの葬列→逮捕→勾留→釈放の流れが素晴らし過ぎる。カントリーミュージックの歌詞に「集団農場」>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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地べたを這いつくばるような生活でも人間としての尊厳を忘れないような、少し遠くの地で起こっている殺戮に少なからぬ怒りを感じられるような、高潔な人間に私もなりたい。別にリッチな生活でなくても、映画と音楽と>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

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カウリスマキの厭世的な視点は大好きなんだけど、この作品はイマイチ乗り切れず、それが何故なのかが自分でもよく分からない。一種のサスペンス映画として、ヒッチコックへの目配せがあちこちに(舞台がイギリスだか>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

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戦争を生き延びた大人が「人ではあるがどこか人ではない」という中、あの子供だけが真っ直ぐ直向きに、誰かのために生き、働いている。ここには間違いなく未来に向けられた希望がある。しかし塚本晋也ですら、ここま>>続きを読む

(2023年製作の映画)

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秀吉・秀長・官兵衛の笑おうにも笑えないやり取りが肝だと思っていて、ああいう奴らはふざける一方で策謀を巡らせ、殺し合いを扇動し、そして気にも留めない。王様は裸に見えるけど、王の前では庶民や配下の者はなす>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

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「京都いうのは、この洛中だけですわ」からの「アンタ実家宇治やんなあ」で爆笑。現代最高の男優の1人である岡田将生を最終的にマネキン扱いするの、豪腕としか言いようがない。出てくる場所のほぼ全てに思い入れが>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

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誰かに対して、「はみ出し者」「孤独者」「悪魔」というレッテルを貼る事の残酷さ。それが実際に孤独に苦しむ人間だったなら、数少ない庇護者を失い、頼れる他者がいない人間なら尚更だ。終盤に鏡に映る自分にキスを>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

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復讐そのものはそれほど重要ではなく、復讐という行為を通じて殺し屋の中で何が変わったのか。「計画通りにやれ」「予測しろ、即興はよせ」と言い聞かせつつも、最後のクライアントへ辿り着くチャプターなど、完全に>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

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ジェイムズ・エルロイが暗黒のLA4部作で描いてみせたような、アメリカにおける「白人の悪」。手段を選ばずオセージ族の命を奪いながら、自身は平気で神に祈ってみせるヘイルはその典型。ここまで悪辣な役を演じた>>続きを読む

(2023年製作の映画)

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上っ面だけを流れていく台詞に取ってつけたように加えられる優生思想やナチスという言葉、マンションの管理人のようなカリカチュアされたキャラクター、失われる命と対比させるためだけに生まれる新たな命、等々。実>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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前作『パラベラム』を観た時は「色々と盛り過ぎじゃね?」と思ったんだけど、逆だった。まさか更に火力を上げるのが最適解だったとは…。台詞が必要ない程のアクション濃度。もし千葉真一が存命だったら大阪コンチネ>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

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映画的な快楽に乏しいというか、やはりワンシチュエーションで出来る事には限りがある。時代設定も上手く機能していたとは思えないけど、アメリカでは違った受け止められ方なのだろうか。残虐な描写には耐性があるけ>>続きを読む

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