だびーさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

レイクサイド マーダーケース(2004年製作の映画)

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不倫してるという点を除けば並木って映画の中では1番真っ当な人間なんだよな。そして最後にそれを捨てて夫になり、父になる…。途中で名探偵と化する並木は間違いなくミステリーというジャンルを意識して撮ったと思>>続きを読む

ジョウブレイカー/ドント・ブレイク・ダウン(2019年製作の映画)

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80年代のパンク/ハードコアを始点とした音楽が90年代に「オルタナティブ」として資本に取り込まれた時代の犠牲者。フガジのような強固な意志や思想を誰しもが持ち合わせている訳ではない。

椿三十郎(1962年製作の映画)

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新文芸坐にて4Kデジタルリマスター版。何度観ても至高の娯楽活劇。ラストの「殺し合い」に目を奪われがちだけど、中盤の斬りまくる三船も寒気を覚えるほど圧巻。

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

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とにかくありったけのアイデアを詰め込んだという印象。1本の長編映画というよりは短編集に近いような(なので映画全体の連続性を求めるのはおそらく誤り)。流れるようにガンガン変わっていく舞台装置を眺めるだけ>>続きを読む

カナリア(2004年製作の映画)

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自分達を見放した社会からのエクソダス(もしくは社会の拒絶の方が近いかもしれない)、という結論は必然だと思うけど、あの後で彼らが幸せに生きていくビジョンが全く浮かばない。塩田明彦もそれは間違いなく分かっ>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

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今作と『ジョーカー』におけるウェイン家の扱い、滅茶苦茶面白い。確かにひたすら善良で理不尽にもチンピラの凶弾に倒れる大富豪、マスクを被った自警団よりも非現実的だ。ただただヤバいポール・ダノ(なんせマスク>>続きを読む

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)

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彼がいないという圧倒的な不在感は、その人が存在した何よりの証拠。それは苦しいような、尊いような。クレジットにはHONZIの名もある。居なくなってしまった人達を刻みつけようという強い意志。そして一度別れ>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

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「階層」や「階級」を単に人を縛る「呪い」の装置として描く事で、とても普遍的な物語になっているように思える(階級間闘争は少なくともこの映画のテーマではない)。タクシーから降りて自分の足で歩く事で、ようや>>続きを読む

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

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自由に生きた代償としての埋まらない孤独や不安。「ギリシャに1人でバカンス」という設定から正体のよく分からない大家族、管理人のエド・ハリスに至るまでひたすらに不穏。人間の過去を掘り下げる行為自体がホラー>>続きを読む

原子力戦争 Lost Love(1978年製作の映画)

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プロットが荒唐無稽であると書きたいところだけど、そうとも言い切れない2011年以降の本邦の状況。そして福一へのゲリラ撮影。現実と非現実の境界が限りなくぼやける、つまりこれも一つの現実。佐藤慶と戸浦六宏>>続きを読む

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)

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この映画の設定(シベリア出兵だから1910年代くらいか)の数十年後、おりんの生まれた土地には無数の原子力発電所が建つ。冒頭の冬の日本海に象徴されるような、そうした日本における「不毛の地」の物語。あの土>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

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高校生が純粋に自分達の卒業を祝っているのに対して、主人公達はそれだけではない感情を抱えながらも教え子の卒業を祝福していて、この単純ではない重層的な感情を抱える事が歳を取るという事なのではないか。ラスト>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

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オスカー獲った監督による詩的な映像表現があっても、それでも突き詰めれば妙なスーツを着た超人的キャラクターが戦う映画で、この「スーパーヒーロー映画」という強固な型を破るには至ってはいない。そしてどれだけ>>続きを読む

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

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仕事と地元=確実な未来を捨て、仲間がくれたボロボロの車でスカイラーの居る西海岸=不確実な未来へ一歩踏み出す。車は動き続け、最後はエンドロール共にスクリーンの向こう側に消えていく。何度観ても完璧なエンデ>>続きを読む

処刑の島(1966年製作の映画)

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復讐というよりは断罪の映画ではないか。そしてその対象は毛沼のような自分で自分を罰しているような人間ではなく、むしろ校長先生のような傍観者に対して。三郎の「黙って見てればいいんだ」という突き放したような>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

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あまりにも穏やか、もっと言えば無防備。『運び屋』にすらあったイーストウッド流の外連味も放棄し、メキシコの荒野を彷徨った先で新しい生き方を見つけた男の姿がそこにあるのみ。『グラントリノ』から13年経って>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「ヘルズ・キッチンの悪魔」が出てきた瞬間が個人的な最高到達点。ここまでやったならハリー・オズボーン(ジェームズ・フランコの方)も呼べばよいのにと思ったけど、ハリー・オズボーン2(デイン・デハーン)も来>>続きを読む

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)

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改めて見返すと中島先輩のユニコーン「素晴らしい日々」、これがヤバい。出会いの後に必ず訪れる別れ、一つのバンドの終わりがこの時点で示唆されている。「終わらない」かのように思えるモラトリアムを封じ込めたこ>>続きを読む

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

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この映画はかなり愛されてる印象なのだけど、離婚や失業や気温みたいな比較的あり得るポイントでキレつつ、その後のアクションが非現実的なのがいいバランスなのかなと思ったり。D-フェンスがバズーカ構えた瞬間に>>続きを読む

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

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「文脈(コンテクスト)」は何かと聞かれてグッドソンが応答するシーンは現実には珍しくもなんとも無くて、自明に思える事ですら世の中的にはそうではない事は実に多い。映画のような出来事が、リアルな世界で本当に>>続きを読む

エニイ・ギブン・サンデー(1999年製作の映画)

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冗談抜きに史上最高のスポーツ映画だと思う。勝利と敗北を決める1インチのために命を賭ける男達の物語。60歳でこんなに怒鳴り散らせるのはアル・パチーノだけ。

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

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今扱うべきテーマとその不正義をきっちり描きながら、その不条理さや不確かさ故に迫力と緊張がいや増す壮絶な決闘が最後に待ち構えているという映画の構成、思わず身を乗り出す。80歳超えてこれを撮って完成させる>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

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笑えなかったというか、笑えるところなんてなかったというか、そもそもアダム・マッケイが笑わそうとして作ったのかも疑問というか。誇張はあるけど、これ今の現実そのままじゃんと。だからこそ、この映画の中で困難>>続きを読む

キャッシュトラック(2021年製作の映画)

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あんなに周りから恐れられるくらいに権力があるなら、もっとスマートに無駄なく復讐出来たのでは…?久しぶりにジョシュ・ハートネット見れたのはなんか良かった(昔の面影が残ってる)。

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

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グロ描写とかパンイチのピースメイカーとか、「ああこれはディズニーはやらせてくれないですね」というものが詰まった映画。で、結局あの槍なんだったの?

アップグレード(2018年製作の映画)

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今作は、リー・ワネルからのロボット社会への警告なのです。

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

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Netflixのリメイク鑑賞前に。基本的にワンシチュエーションものが好きでないのと、主人公が電話で会話するだけ=幾らでも観客にミスリーディングさせられる設定なのが引っかかるというか卑怯かなと。デンマー>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

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ドレスを仕立てられない=貧しい暮らしという描写を見て「ああ、これはオレに向けられた映画ではないな」と興醒めした思いでいたら終盤のメタフィクション的展開がそこに追い討ちをかけて、どっちらけになったまま鑑>>続きを読む

アメリカン・ヴァルハラ(2017年製作の映画)

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このバンド編成(ジョシュ・オムとマット・ヘルダースがいる)のイギーのライブ見たかったな、という感想だけが出てくる。上半身裸で客席にダイブする68歳(当時)、率直に言ってイカれてる。

L.A.大捜査線/狼たちの街(1985年製作の映画)

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80年代の映画は大抵音楽がどうしようもなくて今作もそれは同じなのだけど、カーチェイス以降の完全に「正気では作れない」ような展開から、そういうのはどうでもよくなる。フリードキンはやはり狂人だとしか思えな>>続きを読む

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

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デカい事をして世界を変えようと目論んで、行為の結果として変わったのはむしろ自分達の方だったと。ジリジリと追い詰められていく感じが堪らない。

WXIII 機動警察パトレイバー(2001年製作の映画)

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原作は未読。マッドサイエンティストとそれが生み出した怪物、という古典的なストーリーの中にレイバーを違和感なく登場させていて関心。13号とレイバーが格闘する中、舞台で流れる「子守唄」。出色の出来。

カリートの道(1993年製作の映画)

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冒頭を見るまでもなく、カリートのような男が最後まで逃げ切る事は出来ない。どれだけ早く走っても最後には死に追いつかれる。辿り着けないからこそ概念として存在する楽園、恋人に残した最小限の僅かばかりの金、ド>>続きを読む

モータルコンバット(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

最終的には「モータルコンバット」は行われずに個別に戦ってる何でもあり状態で、一体何のための大会だと笑ってしまった。あと真田広之が4000年も恨んでればそりゃあ火くらいは出せるようになるよね…。