寂々兵さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

寂々兵

寂々兵

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マージン・コール(2011年製作の映画)

4.1

首切り人がオフィスに大挙して集団解雇を行う序盤からもう不穏すぎて悶絶。残されたUSBから発覚する世界経済崩壊の予兆、清閑な深夜のオフィスに上司、その上司、そのまた上司が続々と集ってくる尋常ならざる緊迫>>続きを読む

スパニッシュ・ホラー・プロジェクト エル・タロット(2006年製作の映画)

2.7

もっとも妖艶だった時期のナタリア・ミヤンと10代少年の禁断のロマンス物。少年の恋する対象が村で迫害されている魔女と思しき女ということで人妻物以上の背徳感があってサイコー。若い男の性欲が倫理観に勝る映画>>続きを読む

変態愛 インセクト/エンジェル&インセクト/背徳の館(1995年製作の映画)

3.9

のっけから穏やかでない貧乏生物学者マーク・ライランス&貴族の娘パッツィ・ケンジットのロマンス、知的な家庭教師クリスティン・スコット・トーマス、大馬鹿息子のダグラス・ヘンシュオール。庭でくつろぐ貴族を襲>>続きを読む

ライトシップ(1985年製作の映画)

3.4

こんな漂流者は嫌だbyロバート・デュヴァル一行、R・ピアースの『ある戦慄』感のあるイヤ密(イヤな密室での攻防)。若き日のウィリアム・フォーサイス演じる偏差値5くらいの脳筋がいい味出してる。万能カード2>>続きを読む

メルシィ!人生(2000年製作の映画)

4.0

リストラ直前のリーマンがゲイを装った途端に万事うまくいくという進研ゼミの漫画みたいなデタラメ話に名優たちが全力で挑んでいて楽しい。フランス人の価値観がさっぱり分からないお陰で映画がどう進んでいくか予測>>続きを読む

愛の地獄(1994年製作の映画)

3.8

ジャケット的にさぞエマニュエル・ベアールが渾身のファム・ファタールを演じてくれるんだろうと期待してたら嫉妬で発狂してるフランソワ・クリュゼを100分間見せられるはめに。恋愛経験の少ない男と恋愛経験の多>>続きを読む

二十歳の死(1991年製作の映画)

2.8

自殺を図った青年の親族が集まっててんやわんやする話だが、ぶっちゃけ他者はどうでもよくて自分のことで精一杯、でも体面のために他者のことも時々気にかけますみたいな余裕のないスタンスが現代日本そのもので震え>>続きを読む

ヌーン・デーモン(2014年製作の映画)

1.1

よくこんなのが遥々海を越えて日本まできたもんだ。他に輸入すべき映画がごまんとあるだろ。とりあえず映像で魅せたいならカメラにもっと金かけろって話だし、劇伴も他の映画で聴いたことのある曲ばかり(つーか許可>>続きを読む

ブラック・ウィークエンド(2013年製作の映画)

2.7

裏のありそうなベテラン弁護士夫妻×新米弁護士夫妻が湖畔の家で過ごす週末という何も起こらない筈がない不穏なシチュエーションが嬉しい。熟妻が新米弁護士にいきなりキスしたり、ベテラン弁護士がエロエロ衣装にド>>続きを読む

ネクソス(2014年製作の映画)

1.4

エモガール気取ってる鼻ピアスのブスがメディアという虚構に踊らされ続けるだけの史上最高に無益な100分間。テレビを覗くとき、テレビもまたこちらを覗いているのだ。撮る阿呆に観る阿呆、どうせ阿呆なら撮らなき>>続きを読む

ALOYS/アロイス(2016年製作の映画)

2.3

窃視趣味の奇人探偵と彼に付きまとう電話越しの女(声だけのファム・ファタール)という序盤に否応なくテンションが上がるも、女の正体が判明する辺りから監督の脳内で完結してるような幻視的モチーフの大洪水でウン>>続きを読む

スノーピアサー(2013年製作の映画)

3.3

『新感染』を観て再見したくなったのがコレ。氷雪地帯を走り続ける列車というシチュエーションが視覚的に大好き。雪の夜に布団にくるまって観たい。レジスタンス活動が始まるまでの無駄のなさ、寓話的な要素を持つ部>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.4

電車の映画だからバス会社の人間を悪人にしまぁすというあんまり深く考えてない感じがモロに出てて素晴らしい。どうかしてるほどの物量で攻めてくる軍人ゾンビが無人駅を滑走する一連のシーンも◎。でも感染して一瞬>>続きを読む

リヴァイアサン(2012年製作の映画)

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深夜のディストピア蟹工船。画面が常に真っ黒でかっこいい。曇天とカモメの親和性に腰を抜かす。ピチピチ跳ねていたお魚さんをザクザク切り裂いて動かなくなるまでを捉えるカメラにフランジュの『獣の血』的アプロー>>続きを読む

マンハント(2018年製作の映画)

2.6

ジョン・ウー節を盛り上げるためだけにキャラクターが動き続ける最狂のカルト。昭和中期みたいな台詞と演出の応酬に役者たちが照れたり楽しんだり演技している中、福山雅治だけが是枝作品と同じ姿勢で演技してるのが>>続きを読む

ピッチの上の女たち(2018年製作の映画)

3.0

史実物としてもフィクションとしても終わってるテキトーさだけど、何となく無下にできない味わい深さがある。どう見てもベルモンドにしか見えないマックス・ブーブリル、バルドーにしか見えないモナ・ヴァルラヴェン>>続きを読む

神よ、お助けを!(2017年製作の映画)

2.8

主役の予審判事が昔の大嫌いな女上司に似てて最悪だったけどそれはさて置き、未だに男社会の法曹界ではこれくらいの性格でないと生き残れないんだろうというのはよく分かる。映画としては本当にただただ3年間密着し>>続きを読む

勤務につけ!(2018年製作の映画)

2.7

クレジットに全裸の指揮者が重なる冒頭の感じから、昨年の『ジャングルの掟』のようなスラップスティック・コメディかと思いきや、死体の第一発見者が一向に進まない取り調べを受ける不条理コメディになり、平凡な死>>続きを読む

フェイク・タトゥー(2017年製作の映画)

3.6

2作連続で年上女と年下男のボーイ・ミーツ・ガール物を引き当てる。見ざる、言わざる、聞かざるの精神で成立する崇高なロマンス、ローズ・マリエ・ペローの陰と脱ぎっぷりに半ば昇天。邂逅から一夜明けて家族のいる>>続きを読む

ギャスパール、結婚式へ行く(2017年製作の映画)

4.2

成り行きでデモ隊に参加した女と実家の動物園へ帰省する男のボーイ・ミーツ・ガール(マダム)、自分を熊だと思い込んだクリスタ・テレ、ドクターフィッシュに湿疹を治してもらう野心家のビッグダディとリアリストの>>続きを読む

日本製少年(1995年製作の映画)

4.0

どん底でのボーイ・ミーツ・ガールがバイオレンスよりもポップに昇華される話は大好物。軽薄ながらもダーティな大沢樹生の色気に、手ぶらで突っ立ってるだけでも発砲してきそうな鈴木一功の佇まい、そして何よりスー>>続きを読む

バンカー・パレス・ホテル(1989年製作の映画)

3.5

世紀末、秘密地下壕に集う政府高官、待てど暮らせど現れない大統領、酸性雨、退廃的建築、奇声みたいな劇伴、アンドロイドの接待、謎の案内人トランティニャン、全然楽しくないめちゃ好みなディストピア。手持ち無沙>>続きを読む

ファントム(1998年製作の映画)

3.1

人っ子ひとりいない田舎町というキング御大を連想する序盤に否応なくテンションが上がる。誰もいないトイレの個室から聞こえる水音、どこからか聞こえる女の悲鳴といった邦ホラー的アプローチに、音でバンバン驚かす>>続きを読む

クランスマン(1974年製作の映画)

3.5

初っ端から集団レイプされる黒人女性、道を歩いていたらちんこを抉り取られて(テレンス・ヤングちんこ切り落とすの好きやな)射殺される黒人青年と、極悪非道な黒人狩りの背景に流れる陽気なソウルミュージック。最>>続きを読む

告白の罠(1981年製作の映画)

3.9

堅物神父のリチャード・バートン。教鞭を務める寄宿制神学校の生徒に殺人を告解され右往左往、かなり後味の悪いミステリでもちろん大好き。誰がどう転ぶかまったく分からないプロットに、目の肥えたミステリファンの>>続きを読む

私の20世紀(1989年製作の映画)

4.1

マッチ売りの双子を幻想世界へ誘うロバ、オリエント急行の車窓、新年を告げる蒸気、オレグ・ヤンコフスキーと螺旋階段、テーブルテニスに興じる貴族、アリスを彷彿とさせるシベリアでの邂逅、二人のドロサ・セグダと>>続きを読む

アンナ・オズ(1996年製作の映画)

3.9

夢と現実の境界が失われていく幻想モノでもちろん大好物。ヴェニスの運河を突き進む船、迷路のような美術館、美術窃盗犯、盲目の男、変態彼氏、中世のようなホテルと満点のモチーフばかり出てくるオープニング。それ>>続きを読む

海燕ホテル・ブルー(2011年製作の映画)

3.4

史実モノから一転、ATG風メランコリックファンタジーな晩年若松孝二。若松映画以外でなかなか見れない怪優地曳豪の名演、意外となかった井浦新のヤクザ役、タンクトップで疾走する爆乳ファム・ファタールの片山瞳>>続きを読む

狼と豚と人間(1964年製作の映画)

3.4

長男三國連太郎、次男高倉健、三男北大路欣也、そんな暑苦しい三兄弟が三千世界のどこにおる(遠藤太津朗談)。仁義シリーズより10年も前なので勢いだけでやってる感もあるけど、ラストの三國連太郎の哀愁が凄くい>>続きを読む

制覇(1982年製作の映画)

3.2

獄中で親分の死を悟り、死んだんかい!親分死んだんかい!百代!言わんかい!親分死んだんかい!と10回くらい繰り返しながらフェードアウトする菅原の文ちゃん、毎度葬儀か盃事のシーンで踏ん反り返ってるだけの丹>>続きを読む

鬼畜大宴会(1997年製作の映画)

3.1

相沢は森恒夫で、このオラついてる雅美は永田洋子だなあと色々考えながら楽しく見れる導入、いちいち高揚するタイトルバック、異様に興奮するブスの貪るようなセックス、中盤以降の観客の表情を体現するかのような闘>>続きを読む

十三通目の手紙(2003年製作の映画)

1.2

学芸会演技の応酬、ミステリのうんちくをペラペラ喋らせる三流推理小説みたいな脚本、論理の御大クイーンの名を出す慢心、数分に及ぶ謎の朗読と自画自賛、まったく意味のない話の脱線(作者のペラペラな主張)、これ>>続きを読む

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)

3.9

人が何かを纏うことで別の何者かになる、自分を客観視する、みたいなテーマ好きだなあアサイヤスは。『イルマ・ヴェップ』『デーモン・ラヴァ―』『アクトレス』に続いて4本目?まあ他のは観てないんだけど。こうい>>続きを読む

ドラスティック・プロジェクト(1998年製作の映画)

3.0

『沈黙の戦艦』でおっぱいダンスしてたエリカ・エレニアックがニット乳をぶんぶん振り回しながら陰謀と戦う精神病院モノ。プレイメイト出身だけどちゃんとこういう役もやってたんだなあという感慨深さ。そういや最近>>続きを読む

パレード(2010年製作の映画)

3.5

小出恵介演じる純朴(!)な大学生が、好意を寄せている先輩の彼女(中村ゆり)に誘惑されるシーンに尽きる。ありがとうございます。内容はさっぱり覚えてないけど、貫地谷しほりの日常コメディみたいな導入からは想>>続きを読む