寂々兵さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

寂々兵

寂々兵

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プレイヤー(2012年製作の映画)

3.0

フランスのイケ親父たちが浮気をして人生破滅したり意外とうまくいったりとまあしょうもない話なんだが、何となく無下にできないのは第8話くらいの『浮気男 友の会』が傑作だったから。キベルラン演じるセラピスト>>続きを読む

悪の華(2003年製作の映画)

4.3

漆黒の木々のアップに始まり、純白の屋敷へ、薄暗い邸内へ、再び純白の扉へ…と庭から邸内を突き進んでいくカメラに恍惚としていたら蹲る女と男の死体。わあ、シャブロルのブルジョワ・ミステリが始まるんだなあとう>>続きを読む

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇(1995年製作の映画)

3.9

社会的弱者だった二人の女が「出会ってしまった」ことで必然的に事件が起こる話は大好きで、特にコレなんかはアルトマンの『三人の女』みたい。もっともビジュアルはあちらの方が100倍強烈だが、こちらも不穏ぶり>>続きを読む

ジョンベネ殺害事件の謎(2017年製作の映画)

3.4

ジョンベネが殺害された町の住民たちによるフェイク・ドキュメンタリーだが、演者たちが聞いてもいないのに犯人像を推理し始めたり、自分の性被害体験を語り始めたりと奔放すぎて笑える。署長役に応募したオッサンな>>続きを読む

ザ・ワン・アイ・ラブ(2014年製作の映画)

3.9

平凡な夫婦のいざこざとカフカ的不条理が混在した傑作。いや怪作。確信めいたことを小出しにしながら、結局はジャンル物のフィクションとして突き放すチャーリー・マクダウェルの意地の悪さ。どこからどう見てもホラ>>続きを読む

大いなる沈黙へ ーグランド・シャルトルーズ修道院(2005年製作の映画)

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世界一厳粛なグランド・シャルトルーズ修道院で日々礼拝・瞑想・学問のみを行う修道士が満を持して放つ台詞「今の人達には生きる目的がない」いやはや永劫この境地には辿り付けそうもない。

暗殺(2015年製作の映画)

2.9

『10人の泥棒たち』もそうだが長い。せっかく面白い題材の活劇なのに余計なキャラと余計な要素をぶち込んで猥雑にして140分って勘弁してくれ。韓国人キャストの日本語が酷いのはまあ仕方ないんだが、なぜ「満子>>続きを読む

モルグ 屍体消失(1994年製作の映画)

3.4

90年代に日本でも海外でもよくあった「好奇心旺盛な女の子とアンニュイな青年が厄介なことに首を突っ込むゾ」系のよくできたスリラーで面白かったのだが、このセンシティブな題材からは想像もつかないユーモラスな>>続きを読む

最後通告(1998年製作の映画)

3.7

フレディ・M・ムーラーのダウナー物。少年少女集団失踪事件から現代社会の暗部が浮き彫りになる寓話的ファンタジーということで『ハーメルンの笛吹き男』みたいな話だと思っていたのだが思いのほか陰謀的な社会派ス>>続きを読む

紅の豚(1992年製作の映画)

4.6

ジブリのみならず邦画の中でもトップクラス。男と女、大人と子供、母国と外国、シリアスとコミカル、静と動、理想と現実というあらゆる相反する価値観がここまで混在していて、それでいて優しいなんて反則もいいとこ>>続きを読む

ポストマン・ブルース(1997年製作の映画)

3.6

大杉漣のベストアクト。浜辺で子供の頃使ってた水鉄砲を掘り起こして、拳銃と見比べて泣く…そんなシーンどうやったら思いつくんだ?(泣)堤真一は最近のコメディやアクションでの大仰な演技はあまり好きじゃないの>>続きを読む

At the terrace テラスにて(2016年製作の映画)

4.1

「100%富裕層向け映画」と言うことだが貧困の20代関西代表みたいなツラをした俺でも楽しめるのか?という杞憂も吹っ飛ぶ傑作すぎて肋骨が粉々に砕け散った。破顔一笑の90分。言葉で紡いだこの傑作を陳腐な言>>続きを読む

ザ・ラスト・ウェーブ(1977年製作の映画)

3.8

アボリジニの殺人と終末への脅威が交錯する話で、不穏なスリラーを漁っていた時期に観たのだがこれがなかなか面白い。ジェフ・ニコルズの『テイクシェルター』に影響を与えたらしいのだがそちらは未見なのでそれはさ>>続きを読む

ドロメ 男子篇(2016年製作の映画)

3.4

『女子編』に続いて。こちらの方がホラーとしてもコメディとしても画面的にも豊潤で良かった。あちらでは辛気臭い顔芸を連発していた小関裕太への憐みだけで90分持たせるという力技。オカンの空手が8段とかいう5>>続きを読む

ドロメ 女子篇(2016年製作の映画)

3.2

伝承ホラーにまつわる女教師失踪事件でキャーキャー言ってたJKたちが、いつの間にかゴスロリメイドを身にまとって段ボールで作った刀で化け物退治をするという話で、何だこれ?基本的に学芸会みたいなノリで時々俺>>続きを読む

殺戮にいたる山岳(2016年製作の映画)

2.5

山に執着して彷徨しているジジイVS金脈を発見した猟師たちの戦いだが、いくら相手が多人数とは言え初めて山に入った猟師たちから地形に精通したジジイが逃げ隠れするだけというのはさすがに萎える。ジジイの凄さや>>続きを読む

サマードレス(1996年製作の映画)

3.8

LGBT映画は妙に説教くさかったり登場人物が苦悩していたり差別と闘っているものが多いが、俺はもっとあっけらかんとして各々が勝手に楽しんでいる様を見せつけてくれる方が良いと常々思っている。最近は「LGB>>続きを読む

海をみる(1996年製作の映画)

3.3

中篇映画史上トップクラスのトラウマ映画。マリナ・ドゥ・ヴァンが画面に映っているときのヒリヒリ感とオゾン式倦怠感の居心地の悪さ。なおこのサイトのジャケ画像は同収録の『サマードレス』のものなので注意。

アウトサイダー(2018年製作の映画)

2.9

ジャレッド・レトが日本のヤクザを演じたという話題性だけだった。同房になった男と兄弟盃を交わす、自殺を装って監房から脱出を図る、終盤の殺しのカットバックなんかは『仁義なき戦い』を見て学びました感満載だっ>>続きを読む

恐怖の振子(1961年製作の映画)

3.8

原作ポー、監督コーマン、脚本マシスン、主演プライスという鉄壁にも程がある年代モノの怪奇ホラーで期待通りの面白さ。白々しいほどの断崖絶壁と古城、悪魔的にゴシックな内装、俗悪趣味極まる中世の拷問器具、サイ>>続きを読む

三度目の殺人(2017年製作の映画)

2.8

結局は登場人物がベラベラ喋って簡単に主張が揺らいで問題提起して終わるいつもの邦画だった。体感時間は4時間くらい。福山のキャラブレすぎ。演技合戦(役所広司と斉藤由貴)とやらは良かったと思うが、面会室での>>続きを読む

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編(2008年製作の映画)

2.8

ジャック・メスリーヌの生涯を逐一丁寧にたっぷりと描いてくれているわけだが、ただただメスリーヌが犯した犯罪を紙芝居のように淡々と見せてくれるだけで、アルジェリアの亡霊に苦しめられている筈の彼がその辺のチ>>続きを読む

柔らかい殻(1990年製作の映画)

3.3

てっきりヴィゴ・モーテンセンが子供のころに体験した不思議な出来事を回想している(=主人公が子供のころのヴィゴ)ものだと思っていたので、そのままの世界線で途中から普通にヴィゴが出てきて笑ってしまった。と>>続きを読む

台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.0

過去に囚われた理想主義の男と未来に生きたい現実主義の女をヤンが材に取ったらそりゃあこうなるよねという当然の如き傑作。この映画の断片的な部分がそれぞれ『カップルズ』『恐怖分子』『恋愛時代』へ繋がっていく>>続きを読む

アヴァ(2017年製作の映画)

4.3

ろくにあらすじも読まず、視力が低下していく少女の感動話かなんかだと思って敬遠していたのだが、全然違ったどころか大傑作すぎて軽くショックを受けた。始終不穏な劇伴、生き地獄のような独白、生命力の化身みたい>>続きを読む

夏が終わる前に(2017年製作の映画)

2.4

BSの何ちゃら紀行みたいにオッサン3人が私的な話をしながらダラダラと旅してるだけで、ロードムービーというよりもドキュメンタリーに近い。オフビートの面を被りつつも核心をついてますよ感を唐突に出してくる終>>続きを読む

スワッガー(2016年製作の映画)

3.0

意外と興味深く見れた。特に各々の恋愛観を語り出すあたり。ミッキーマウスをケチョンケチョンにこき下ろす女の子の今後が心配。

クラッシュ・テスト(2017年製作の映画)

3.8

あまり期待してなかったのだが凄く良かった。特にカザフスタン兵士との邂逅~丘に立つまでのシークエンスの最大瞬間風速は今年のmyfff随一かもしれない。散々不安を煽っておいて救い上げる演出はアウグストの『>>続きを読む

ロックンロール(2017年製作の映画)

3.7

ダサい中年との烙印を押されてショックを受けたギョーム・カネが脱・ダサ中年を掲げてロックに目覚めたり薬をキめたりとダサさに拍車をかけていく。グザヴィエ・ドラン映画の出演が決まってはしゃぐマリオン、レア・>>続きを読む

婚礼(2016年製作の映画)

3.2

宗教や文化の違い(主に中東や西アジア)を観客に提示する人生辛いよ系の映画は正直なところ見ていてダルい。中絶する胎児について周りの人間が「これは赤ちゃんではない」「医療用廃棄物として処理される」と言って>>続きを読む

ウィリー ナンバー1(2016年製作の映画)

3.5

周りに理解されないからと言って無関係の人に当たり散らすダウン症の青年を「天使」と形容する気持ち悪い価値観を押し付けてくる『八日目』なるゴミ映画があるが、それと比べるとこの映画は適応障害のウィリーを美化>>続きを読む

パリ、ピガール広場(2016年製作の映画)

2.6

今年のmyfffで一番楽しみにしていたのだが普通につまらん。

ジャングルの掟(2016年製作の映画)

4.1

面白すぎて全身がもげた。まるでサイレント時代の喜劇俳優が現代に蘇って文明の進化に大はしゃぎしているよう。お偉方が僻地に物を作ろうと机の上で画策している一方で現場ではあらゆる物(人体までも)が破壊されて>>続きを読む

ヴィクトリア(2016年製作の映画)

2.9

どうしようもない男たちからの依頼が殺到してシングルマザー弁護士がパニックになるという話だが、コメディの体裁をとりながらもバーホーヴェンの『エル』のように限界を迎えた女性が人生を再構築する生真面目なドラ>>続きを読む

森の奥深くで(2016年製作の映画)

3.3

エッグルストンの『ロング・ウィークエンド』的な不条理な大自然の脅威みたいな映画かと思っていたが、俺は眠らないんだと嘯く父、あれは本物のパパじゃないと囁く子供たち、異形の男、塗りつぶされた写真と精神的・>>続きを読む

1:54(2016年製作の映画)

3.5

学校でいじめを受けているゲイの少年が陸上競技でいじめっ子を見返すというLGBTのスポコン物で、2016年製作とは思えない題材の陳腐さに序盤は鼻ほじりながら見ていたのだが、大衆の中での活躍、異性との接近>>続きを読む