どうしてみんな青春のことを過ぎ去ったものだと思ってしまうの、と誰かが呟き、同時に、恋は今この瞬間にしか成り立たないものだ、とも言った
過去に縋れば縋るほど今をふいにしてしまうけれど、未来を変えられるの>>続きを読む
名前に意味が無くなってしまった日から幾星霜、また出会えたのは、きっと名前を取り戻せたから
定規で引いた線のように歪な歌で溢れた街から少しでもはみだすための歌を、最後まで歌い続ける
戻りたい日々や帰りたい場所はポラロイドに張り付いていて、そこには思い出した音や大切な声も混ざっている
夏の匂いの水で濡れた体を、ねっころがって乾かしてはまた濡らした
指を絡めてはほどいて、また絡ませた
この水しぶきの中では、唐変木も朴念仁も忘れ去られる
信じることなんて馬鹿げてると何度も呟いては、重ねた嘘の上に胡座をかいている
でも欲しいものは、その脆さの中にしかなかった
景色がだんだんと見覚えのないものに変わっていって、はじめて思い出す
色んなことを知る前の優しさを取り戻すまで、続いていく
髪留めで空を飛んで、ぬるいビールでみじかい夢をみて、願いごとを星空に投げる
強い雨にさらされて、取り付く島もないままに殻の中で溶け合いながら、でも一つにはなれないことも知っている
傷の舐め合いだと誰か>>続きを読む
頑として腕まくりをしない彼、抱きしめる彼女、レイシストの7卓、妊婦とヘロイン中毒の皿洗い
あの人たちは、キッチンやホール、バックヤードを行き来するカメラから見切れた先でも、動き続けている
掟みたいな料理のために鍋を振るあの人は、血を売って平和を買っている
止まることを知らない愚かな独楽になるための、革命前夜の話
もらったから、返さなきゃいけない
不漁のとき、松明を持った人たち、反復と継承
目に見えるようだったら遅いんです、言葉じゃ届かない、音じゃ追いつけない、すごい速さで走る、それだけ
その速度が、ダンサーの彼女に、シャツの後ろのすそが出ていた彼に、何より母に伝染する、歓び
話したって>>続きを読む
お茶っ葉が水の中を泳ぐように、色とりどりの光の粒が宇宙を漂うように、わたしたちも、小さなひとつずつ
毛虫が蝶になって、では蝶のその先は何になるのか
Mitskiっぽいなと思ったらほんとにMitskiだ>>続きを読む
誠実であるために、単純であるために、幸福であるために、何をすれば良い?
散々喚いて、色々壊して、それで勝手に傷ついて、でもそうじゃなかったら出会えなかったかもしれない
缶コーヒーの重力に逆らえない道化師たちは、海に潜り、空を飛び、陸を走ることでつまらない嘘を見つける
自由を乞う者から自由を問う者へ、そして自由を追う者へと変わっていく
逆さまの肖像画、帰ってきた馬、王様は裸
腰に巻いた布は目隠しになった
繋いだ手が離れ、転がる頭がガイコツになった頃、王冠は錆びている
おしくらまんじゅうのことをレモンしぼりと呼んでいた
レモンになった後(前だったかも)、二人の女に挟まれるのは嫌だ、向かい合っていたい、と彼は言う
「また今度」がないことを分かっているから、言えなかったさよならを今、ここで言う
内緒にすることではなく、話せる人がいないだけ
でも結局最後に残るのは、話さなくてもいい、と思えることなんじゃないか
鉄格子の内側と外側、自分がどちらにいるか知るのは一体いつなのか
あんなことがあったんだよ、の中にまた別の昔話が入るから、スクリーンのこちら側としては、誰に肩入れすれば良いのかもぐらつく
猫は椅子の上で毛づくろいをし、犬は砂の上を走り回る
一本の木は風に吹かれて小さく揺れている
彼女はただ息が止まるまで、太陽と月と一緒に歌い、踊り、眠るだけ
誰も彼女の孤独を奪えない
ぼろ小屋に差し込む光も、森の中の分かれ道も、枝の腕をした雪だるま⛄️も、みな十字架を見せる
十字架に救われることは、十字架を背負うことと同じ
きれいな白と汚い黒が混じり合うことはないけれど、陽と陰はい>>続きを読む
鏡の前に立って、今までの人生が正しかったのかどうか確かめるかのように言葉を発する
破れた写真を縫い合わせてできた恋ばかり追ってしまうような人、アントワーヌ
階段の上り下りが集まって生活となり、生活が集まって人生となる
そのさなかの後悔が、彼に家庭の価値を教える
25年外に出てない彼も、誘惑してくる彼女も、気味悪がられてたあの人も、会うたびに金をせびるあい>>続きを読む
ゆらゆらとゆらめく緑の水面を、舟が滑る
自由の顔をした不自由が、彼女を支配する
囚われの女の彼の10年後、なのかもしれない
あなたを知りたい、知って安心したい
なぜならわからないことはひどく怖いことだから
すべて知ろうとすることが愛だと彼は思っていたけれど、それは愛ではなかった
サビーヌ・ランスランのカットバック
色とりどりの布に包まれたモノクロの心
サビーヌ・ランスランが司る光と影
ときどきりくつにあわないことするのが人間なのよ、ってしずちゃんも言ってた
きっと言葉にならない気持ちにだけ、欺瞞じゃないものが宿る
あたり一面鏡のような場所で、みんな的はずれなことばかり言っている
彼女と同じ場所にいるのに、みんな彼女とは違う景色をみている
口を開けば馬鹿な嘘を吐くだけだから、黙る
靴屋に採用されるくだり何かで見た気が…なんだったっけ。カメラの動線がえげつない。腕を組むカップルの、構える側と絡ませに行く側がふつうとは逆なのが良かった。