TOSHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

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私は映画を、ジャンルで観る観ないを決める事はないが、「日本映画は観ない」とか、「ミュージカルは苦手」と言う人に会う度に、落胆してきた反動から、日本映画でミュージカルと来れば、何を差し置いても観る事にな>>続きを読む

シークレット・スーパースター(2017年製作の映画)

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新興国の映画を観て感じるのは、素朴さだ。伝統的な人間関係、分かりやすいストーリー、他愛のないユーモア、心情をそのまま歌詞に反映したような楽曲。本作もそんな作風だが、映画ならではの魅力に溢れた作品だった>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

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私はフィルマークスのスコアをつけないが(理由は、旅のおわり世界のはじまりのレヴューに書いた通り)、平均スコアはどうしても目に入ってくる。ハリウッド製のエンターテインメント映画が優勢なフィルマークスで、>>続きを読む

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

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何故これ程、世界大戦をテーマにした映画が、いつまでも作られ続けるのかと言えば、平和な現代にはない、武器を使って殺し合っている時代の劇的な要素に依存しているからだろう。現代や未来にいくらでも描くべきテー>>続きを読む

よこがお(2019年製作の映画)

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日本映画で一番注目している、深田晃司監督の新作である。前作「海を駆ける」の、津波被害で日本と繋がるインドネシアを舞台にしたファンタジーというコンセプトは、チャレンジングで支持できたが、映画としての飛躍>>続きを読む

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

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気になりながら公開時に観る事ができなかったが、レンタル化されていた。
神の恵みの地と呼ばれる、雄大な自然を持つヨークシャー地方。太陽光がなく、どんよりと曇った寒々とした風景が印象的だ。
老いた祖母や病
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天気の子(2019年製作の映画)

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私は表現行為の源となるのは、欲しい物が無い、或いは存在すべき物が存在しないという欠落感だと考えている。それを手に入れる、現出させるために、人は表現に訴えるのだ。「君の名は。」の大ヒットで、物質的には欲>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

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近年で「ラ・ラ・ランド」程、興奮を覚えた映画はない。革新的なカメラワークによるミュージカルシーンの躍動感に加えて、アメリカ映画にはあまりない、切なさが良かった。デイミアン・チャゼル監督は、今後のアメリ>>続きを読む

記者たち~衝撃と畏怖の真実~(2017年製作の映画)

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公開時に見逃した作品だが、上映があったため観賞した。
私がコンセプトに真っ先にダメ出ししたくなるのは、過去の時代を舞台にした映画と、事実に基づく映画だ。映画は何よりも今の時代を描くべきで、事実よりも魅
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

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今年は日本とポーランドの国交100周年という事だが、アウシュビッツ強制収容所という、歴史上の強烈な負の遺産以外には、あまりポーランドの事は知られていない。しかし映画ファンは、アンジェイ・ワイダ監督やロ>>続きを読む

凪待ち(2019年製作の映画)

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いつもアブナイ映画を作る、白石和彌監督が、石巻で新作を撮るとは意外だが、大震災後の東北を舞台にした映画は、積極的に作られるべきで、コンセプトは素直に受け入れられる。一方で、そういった映画に香取慎吾とい>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

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インターネット・SNSで個人の発信力が強まり、新聞の力がかつて程、絶対的なものではなくなったと言っても、重要機関に拠点を置く取材網は強力で、特に記者クラブに加盟していなければままならない、政治取材にお>>続きを読む

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

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私にとっての、21世紀の映画ベストワンは、ラース・フォン・トリアー監督の「メランコリア」であり、新作への期待は高い。
一貫して、鬱病患者のように、社会と相容れない異質な部分を抱えた人間を描いてきた、ト
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旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

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同時期公開の「町田くんの世界」こそ、存在感があったものの、最近の前田敦子はどうでも良いような役柄が多く、大丈夫かと思っていたが、ここにきて主演作の登場だ。しかも監督は、世界のクロサワだ。黒沢清監督が、>>続きを読む

町田くんの世界(2019年製作の映画)

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毎回、クセのある作品を作り、前作「夜空はいつでも最高密度の青色だ」では、詩集の映画化という大胆な試みを行った石井裕也監督だが、今度は少女マンガの映画化だ。また、独特な作品が生まれている。

勉強も運動
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長いお別れ(2019年製作の映画)

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タイトルを聞いて、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説を日本で映画化したのかと思ったが、「長いお別れ」(ロング・グッドバイ)とはアメリカで、少しずつ記憶を失くして行く認知症の事を呼ぶという。残>>続きを読む

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

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「別離」や「セールスマン」には唸らされたが、アスガー・ファルハディ監督は、非英語圏では今や最も新作が楽しみな監督だ。本作はイランを離れ、舞台はスペインである。

冒頭、古い時計台の中で、鳥が羽根をばた
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野獣死すべし(1980年製作の映画)

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今週は劇場に行けなかったため、以前からレヴューしてみたかった本作を。
映画史上のベストワンは何かと訊かれれば、「市民ケーン」と答える。一番好きな映画は何かと訊かれれば、「ロシュフォールの恋人たち」と答
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居眠り磐音(2019年製作の映画)

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勿論、時代劇は日本映画が連綿と受け継いできた伝統芸と言えるが、複雑で深刻な問題が山積みで、人々の価値観が大きく変化している現代に、「よし、次の映画は時代劇で行こう」などと言っているのは、あまりにも呑気>>続きを読む

希望の灯り(2018年製作の映画)

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長年、映画ファンをしていると、新作は必ず観ると決めている監督が増え続け、それを追っかけているだけで、映画にかけられる時間と予算は一杯になってしまう。そのためある意味、監督名で“観なければいけない”映画>>続きを読む

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

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映画は先ずコンセプトでぶっちぎり、方法論で圧倒すべきだが、特にコンセプトや方法論が、突出する訳ではないが、凄いとしか言いようがない映画がある。まさに、そんな作品である。

イタリアの渓谷にある小さな村
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

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毎週レヴューをして、やれ何が傑作だと書いているが、深い部分では冷めているというか、本当に心を揺さぶられる、映画は少ない。久しぶりに、そんな映画に出会えた。

1976年、歌と踊りで人民解放軍の兵士達を
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

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ポップソングの大半が、愛について歌った楽曲であるように、愛をテーマにした映画は多いが、「愛がなんだ」と、愛を否定する映画というのは滅多にない。愛を否定してどんな心境に到達するというのか、興味が湧く。>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

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映画には、二種類ある。ジャン=リュック・ゴダール監督の映画と、それ以外の映画である。それは映画を映像体験と捉えるか、ストーリーや演技によるカタルシスを求めるかの違いでもある。映画は映像表現であり、スト>>続きを読む

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

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評判だけは聞いていた作品だが、30年の時を経て、遂に日本でも観る事ができた。本作観賞のために有給休暇を取ったが、平日の昼の回にも関わらず、立ち見である。ソフトやネットでは観る事ができない、優れた映画を>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

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これは凄い。重くて深い。ポール・シュレイダー監督の構想50年の作品という事だが、集大成的で、監督としての到達点とも言える作品だ。

ニューヨーク州の小さな教会、ファースト・リフォームドを任されているエ
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バイス(2018年製作の映画)

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アメリカ大統領に、従来のイデオロギーや経験則が全く通用しない、予測不可能な危ない人物が就任している現在に、過去の危ない人物、それも大統領ではなく、副大統領を映画で描いても、現実に勝てないだろうと思って>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

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アメリカのメジャー作品のレヴューが続き、マイナーな作品のレヴューがしたくなった事もあり、気になって手が回っていなかった、本作を観賞した。
日本では昔から映画は、洋高邦低で(レヴューの数等を見ても、フィ
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

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また黒人差別が激しかった時代の昔話かと思ったが、最後まで観て驚いた。暗示ではなく直接的に、現代に対して、更に現トランプ政権に対して牙を剥いた映画だった。

冒頭、南北戦争時代を描いた「風と共に去りぬ」
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ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

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冒頭、タイルに水が撒かれ、吹き抜けの四角く空いた部分の水面に空が反射し、飛行機が通過する。その後も撒かれた水が海の波のようになり、タイトルが出る。何の変哲もないようで、観終わってから思い返すと、計算さ>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

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待ってました。クリント・イーストウッドの俳優復帰作である。近年、イーストウッド作品を観る度に感じていた、「これでイーストウッドが主演なら最高なのに」という感覚を、払拭してくれる作品だ。かねてからの発言>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

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黒人(日本語の黒人という言葉に、差別的意味合いはないと考える)への差別が激しかった時代を描く事は、一昔前までは非常に意義のある事だったと思うが、量産される内に、そんな時代を描けば、観客にも受けるし、評>>続きを読む

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

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ハリウッド大作には飛びつかない主義だが、いつも過去を舞台にした作品の発想を批判している者としては、数百年後の未来が舞台と聞けば、観ない訳にはいかないだろう。「時代が変わる、映画が変える。」というコピー>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

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私が求める映画のタイプは、大きく分けて二つだ。一つは、観た事も無いような革新的な映画。もう一つは、ロマンティック、ノスタルジック或いは、センチメンタルな抒情的映画だ。特に過去を舞台にするなら、変に厳し>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

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マンガを原作とした映画の多さにはウンザリしているが、これは楽しみにしていた。本作のコピーは、「邦画史上最大の茶番劇」だ。いいねぇ。悪い意味で映画作りに対して真面目な、日本映画に欠けている感覚だ。

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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

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現代を描く力がない作り手である程、近世の宮廷や貴族の豪華絢爛な建物・衣装のように、歴史の重みや品格に依存した映画を作りたがるようにも思えるが、不条理な作品世界を斬新な手法で描き出してきた、ヨルゴス・ラ>>続きを読む