たまにミュージカル映画が苦手だという人がいるが、映画は現実からどれだけ浮いているか、飛躍しているかの勝負であり(リアリスティックなドラマであってもだ)、ミュージカル映画とは、現実にある歌い出したくなる>>続きを読む
私にも妹がいるが、兄妹というのは複雑だ。それぞれ自我があり、お互いに違うんだと思っていても、やはりどこか似ているのが、我慢ならない程、腹立だしく感じる事がある。同性同士の兄弟・姉妹なら、尚更だろう。家>>続きを読む
映画から出てきた、白黒のお姫様というコンセプトが秀逸だ。虚構である映画の本質や、存在する筈がない物を存在するかのように見せる事ができる映画のメリットが活かされている。映画の登場人物が現実に現れるという>>続きを読む
人間が幸福な人生を追求する上で最大の問題は、金のあるなしで人生が決定づけられてしまう事だろう。実際、世の中に金で買えない物は殆どないし、一生働かないで暮らせるだけの金があったら、悩みなどなくなるに違い>>続きを読む
変化する近年のアメリカ映画を象徴するような、一言で言い表すのが難しい作品だ(本作はアメリカ・イギリスの合作)。レイプ・殺人事件そのものではなく、解決しない事件に世論喚起のため、被害者の母親が出した3枚>>続きを読む
私は原作物の映画と聞くだけで、作り手が怠慢な気がして、鑑賞のモチベーションが一段下がってしまう(そんな事を言っていたら、近年では観る映画がなくなってしまうが)。
吉田大八監督は前作でも、三島由紀夫の「>>続きを読む
毎年、アカデミー賞候補と謳った作品が公開される時期だが、「アカデミー賞最有力!」と宣伝された本作は、一部門もノミネートすらされなかった。差し替えが間に合わなかったにしても、優良誤認の問題はないのかと思>>続きを読む
昨年、劇場で観た旧作では、「アルジェの戦い」や「幸福(しあわせ)」等が収穫だったが、今年も早々に、長年観たかった本作を観る事ができた。イエジー・スコリモフスキ監督の原点である、1970年の伝説的作品で>>続きを読む
完全にスルーしていた作品だが、ようやくDVD化された「ヘヴンズ・ストーリー」(2010年)を観ていた時、ウィキペディアで本作が瀬々監督作品と気付き、駆け込みで鑑賞した(私は、こういうパターンが多い)。>>続きを読む
前作はスパイアクション映画の新境地を開いたといえる作品だったが、2年ぶりの新作は、テンポの良いストーリー展開やキレの良いアクション描写はそのままに、舞台がロンドンから世界に広がり、更にスケールアップさ>>続きを読む
中年男が一人で観に行く映画でもないと思ったが、年内は他に観たい作品もなくなり、消去法的に本作を選択した。しかし、劇場で観るのを迷うような作品ではなかった。クオリティ云々ではなく、今年の日本映画で一番、>>続きを読む
昨年「ローグ・ワン」の公開時に、キャリー・フィッシャーが亡くなり、ラストシーンでレイア姫が登場したのに感動すると同時に、生前に撮影済みのエピソード8があるのが救いだと思ったが、もう一年経ったとは早い物>>続きを読む
私がフィルマークスで気になるのは、上映時間が長い事への不満を書く人の多さだ(寝落ちした事を書く人の多さもだが)。上映時間が長ければ長い程、燃えるのが本当の映画ファンであり(笑)、映画において2時間30>>続きを読む
誰もが結末を知っていて、ある意味、壮大にネタバレしている古典的作品をリメイクするとは、どういう事なのか。三つの可能性を考えた。
1.結末が知られている事は承知で、独自の映像表現や演出で勝負する。
2.>>続きを読む
「あゝ、荒野」を観た時にも思ったが、古臭い風景をバックに人間同士のぶつかり合いのドラマを描く上で、デジタル撮影は向かないのではないかと思う。フィルムにある陰影やザラザラした感触が無く、全てがクリアに見>>続きを読む
実際に行った事がないため、私にとってのフィンランドという国のイメージは、カウリスマキ監督の作品が殆ど全てであり、すっかり、不景気で人々は仏頂面、至る所にストリートミュージシャンがいるというイメージにな>>続きを読む
前作の興行成績が振るわなかったからか、四年も間隔が空くとは意外で、監督が「あまちゃん」等の演出で知られる、テレビ出身の吉田監督に変わった事もありどうかと思ったが、探偵と高田の軽妙な掛け合いによるコンビ>>続きを読む
「サザエさん」で描かれる昔ながらの家族が、現在ではリアリティが全く無く、不気味にさえ感じられるように、現代の家族の在り方は多様化し、特に映画で描かれる上では、やや歪な形で複雑な事情が存在しなければ、リ>>続きを読む
私は大人になって考えると恥ずかしい言動が多かった中学生以前の自分を否定しており、そのため当時の同級生達とは現在は交流もなく、当時住んでいた地域にも行きたくないのだが、ニュース番組等テレビで突然、その地>>続きを読む
やはり人間は老いると人生を振り返りたくなるのか、88歳になったホドロフスキー監督の新作は、自叙伝的作品「リアリティのダンス」の続編だった(続編を望む世界中のファンから、クラウド・ファンディングで資金が>>続きを読む
漫画(特に少女漫画)を原作とした映画の多さには、「何故こんな物を映画にするのだろう」と感じる事があるが、魚喃キリコの「南瓜とマヨネーズ」を冨永昌敬監督が映画化と聞いて、期待は高まった。
バンドから脱退>>続きを読む
もしも1980年代以前の人が、突然現代にタイプスリップしたら、一番驚く事は、誰もが携帯端末を持ち、めまぐるしく他人とコミュニケートしている事だろう。かつて電車内に多くいたマンガ雑誌を読んでいる人が殆ど>>続きを読む
映画の一つの有効なアプローチとして、一般的にあまり認知されていない職業にフォーカスして、知られていない仕事ぶりを見せる事があるだろう。未知の世界に観客を引き込む事ができ、どんな仕事にも人が関わる以上あ>>続きを読む
蒼井優は近年、アラサーこじらせ女子的な、複雑な性格設定の役ばかりオファーがあるらしいが、これはまた自己中心的で、情緒不安定で、被害妄想と極度に歪んだ性格の役柄だ。十和子(蒼井優)は、建設会社に勤める1>>続きを読む
「ブレードランナー」の衝撃は、未来を光輝く物ではなく、宇宙開発の労働力としてアンドロイド(レプリカント)を使ったり、地上では飛行する自動車が飛び交うなどテクノロジーが飛躍的に進歩する一方で、日本等外国>>続きを読む
フランスの鬼才・フランソワ・オゾン監督が、エルンスト・ルビッチ監督の「私の殺した男」の原作にもなった戯曲を大胆に翻案した作品。オゾン監督初のモノクロ映画だが、「私の殺した男」よりも、更に多層的なミステ>>続きを読む
<前篇の内容を、結末まで含めて反映しています>
デビュー戦を勝った新次(菅田将暉)と、負けた健二(ヤン・イクチュン)で明暗が分かれた二人の、その後が描かれる。
自分と兄貴分だった劉輝(小林且弥)を暴行>>続きを読む
「猿の惑星」の衝撃は文明批判として、誰もが進化の最終形の絶対的な存在と信じて疑わなかった人類を、知性があり言葉を話し地球を支配する猿との比較で弱い存在として描き、過激に相対化させて見せた事にあった。>>続きを読む
阪本監督の「団地」の次作が、キューバ革命の英雄・チェ・ゲバラと共闘した日系人の実話とは、振れ幅があり過ぎで驚いたが、社会のアウトサイダーに焦点を当て、国際感覚のハードな作品も作って来た阪本監督なら考え>>続きを読む
アウトレイジシリーズの魅力は、登場人物は変わっていくが、世界観が一貫している事だろう。社会的モラルとは無縁の悪人ばかりが登場し、組織やそこで成り上がる自分自身の欲望のため、エゴを剥き出しにした、ぶつか>>続きを読む
2021年の東京オリンピック後を舞台にした、前後篇305分の作品と聞いただけで、映画ファンの血がたぎる。1960年代の設定である寺山修司の小説を、大胆に再構築している。原作も前回の東京オリンピックの後>>続きを読む
近年のアメリカ映画は、静かで行間を読ませるタイプの作品がアカデミー賞を受賞するなど、一昔前から大きく変質していると感じるが、そんな中、伝統的な宇宙開発黎明期をテーマにした作品である。しかし従来の作品と>>続きを読む
これは凄い作品だ。人間誰しも心の拠り所を持っているが、心の拠り所が人間の死という人物像が衝撃である。
亮介(松坂桃李)は、婚約者でもある千絵(清野菜名)他のスタッフと、山奥でカフェを営んでいた。しかし>>続きを読む
エイリアンの一作目は、宇宙(宇宙船)を恐怖の空間として捉えたビジョンや、悪夢を具現化したようなクリーチャー造形で、革新的な作品だったが、まさか数十年経っても、シリーズ作品が作られているとは思わなかった>>続きを読む
これだけ長いタイトルだとチケット売り場で、「奥田民生なんちゃら、一枚」と言う客が出るのではないか。私が楽しみにしている大根監督の新作は、人気サブカル漫画の実写化だったが、観る前はかなり設定・キャスティ>>続きを読む
ホームドラマの第一人者である是枝監督の新作は、新境地とも言える法廷を舞台にした心理サスペンスだった。
日本映画のキャスティングは、集客力が計算でき一定の演技力がある俳優が限られているために、「この俳優>>続きを読む