中庭さんの映画レビュー・感想・評価

中庭

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母なる証明(2009年製作の映画)

2.5

全てを終わらせた後の母の内ももが夕日に染みる中すべすべすぎて、色々とそれどころではなくなる。

ベンツのサイドミラー壊しのくだりで、奥から走り寄る二人を待ち構えるカメラがコーナーを曲がってパンし止まっ
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ブラックブック(2006年製作の映画)

2.9

陰毛を金髪に染めながら股ぐらを全開にして椅子に座るカリス・ファン・ハウテンの全身が、鏡越しにほぼ正面に近い構図からありありと映し出される。
インスリンとチョコレートをめぐる攻防戦のあと、悠然とベランダ
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ジャック(1996年製作の映画)

3.7

産気づいた母親が担架で分娩室へ運ばれるときに現れるラメ入りの真っ赤なハイヒール、靴紐が片側だけいつも解けているジャックのスニーカー。
スニーカーの底の赤い光は、いつも必ず点滅し続けるわけではなく、電池
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(1951年製作の映画)

3.6

時おり挿し挟まれる現地民の日常を記録したフッテージの扱い方。フィクションとして扱うには他の文脈を持ちすぎている、それ自体の存在が奇跡のような美しい映像の断片が、違和感を拭い去ることなく堂々とシーンの繋>>続きを読む

彼女について私が知っている二、三の事柄(1966年製作の映画)

4.4

シークエンスごとの口語の持ち主となる人物たちは、役割を演じつつもショット内の規定位置に到着すると、演技を唐突に中断してカメラ目線となり、視線を外すことなくスピーチを開始する。
このお膳立てのもとに並べ
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羊の木(2018年製作の映画)

1.6

のろろ祭の酒席のシークエンスの緊張感はただならぬものがあった。北村一輝が祭列を離れて逆方向へ歩き出すとき、カメラが全身をとらえるような引きのショットを据えているのも見たかった。中村有志がまともな役をつ>>続きを読む

卒業白書(1983年製作の映画)

3.1

ポール・ブリックマンはこれと『メン・ドント・リーブ』しか撮っておらず、数本の脚本に専念しただけ。
レベッカ・デモーネイが現れ、照明の全てが狂う。ベッド・シーンが始まるときに庭へつながる窓が開け放たれて
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軽蔑(1963年製作の映画)

3.7

空虚かつビビットなカラーリングが施されたリゾート地において、男女のすれ違いの場は階段の上下運動を介して複雑に構築され、スクリーンの隅に現れる真っ青な海面が視点の座標軸上の消失点をラジカルにぼやかす。階>>続きを読む

8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンいっぱいに俳優の手で撮影された携帯電話の画素数の低い「ホームビデオ」が登場するだけで、目頭が熱くなった。それが圧倒的な物質量を伴って未来の恋人に届けられるという仕掛けがある種のサスペンス性を>>続きを読む

ハネムーン・キラーズ(1970年製作の映画)

3.5

あまりにも狂った劇伴と、透明度の高いモノクロの映像の純粋なモンタージュが呪術的に噛み合った凄まじい一作。いつか劇場で見たい。

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣(1985年製作の映画)

3.5

これほど極端なエログロの近代史劇ロマネスク・フィルムが他にあるか、というほど容赦なき一本。ここまでやられると“実現したかどうか”、それだけが作家性の問題なのかもという気さえしてくる。
炸裂して跡形もな
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デトロイト(2017年製作の映画)

2.1

ウィル・ポールターがにやけるときの口許の決まり、口角の上げ方に注目。あれほど嫌悪感を抱かせる口の動きはそう見られない。
ジョン・ボイエガ演ずる警備員の座りが悪く、目撃者としての立ち位置を守るわけでもな
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T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

1.7

精神的に別の世界へ突入するとき、ユアン・マクレガー演じるレントンは必ず個室トイレの中で決断を迫られる。ジムの柱に設置された鏡を使った印象的なオープニングや(ビートに合わせてサブリミナル的にイメージ・シ>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

2.7

敵をねじ伏せる、ヘッドショットのために頭部をねじり出す、一〜二発至近距離から撃ち込み再起不能にする、リロードをてばやく済ませる、次の敵との距離を測る、武器を変える、スニークする。キアヌ・リーブスの見事>>続きを読む

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

3.4

サトゥルナの前後に揺れる生首を見て、『病院坂の首縊りの家』を思い出した。切り口の鮮血と、顔面の血の気のなさが似ている気がする。
最も不条理さを覚えるのは、男たちの諦めの早さと(ふるまいから逐一読み取る
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

2.2

仲間の逃亡のために、自爆を覚悟で大トカゲの前に立ちはだかった兵士が泣き顔を見せた次の瞬間、大トカゲが知性を働かせて兵士を捕食せず、尻尾の振り切りで対岸へ吹き飛ばして孤独に爆死させる。無残に死ぬ登場人物>>続きを読む

ラ・ピラート(1984年製作の映画)

3.5

死神と囁かれる少女の顔面をとらえるときにのみ、エモーショナルなクロースアップなどのカメラ・アイが導入される。
各ホテルの客室にある壁紙の滑らかな表面と光沢が美しい。
主要5人以外の人間はほとんど画面か
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ショーガール(1995年製作の映画)

2.3

『ポール・ヴァーホーヴェン / トリック』前半のドキュメンタリーパートにおいてもハリウッド時代のフィルモグラフィーから黙殺されている映画。
楽屋内の慌ただしい人間模様を映し取る長回しが度々登場。今作に
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小さな兵隊(1960年製作の映画)

3.1

拷問の時間経過の表現が、一枚の窓枠ほどのサイズまで寄ったカメラが建物の外観を左から右へゆるやかにパンする映像を挟み込むことで形作られている。
磨き上げられた黒い車のボディに夜の光が反射し、何者かの手に
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ポール・ヴァーホーヴェン トリック(2012年製作の映画)

3.3

後先の不明瞭な中で役作りを続けた俳優たちのふるまいのシークエンスごとの些細なズレが、登場する変人たちの「分からなさ」を補強するために上手く用いられている。と納得しておく。

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

長髪を肩に撫で付け、常に焦りいらだつジョン・トラヴォルタのこれしかないという輪郭と目線、佇まい。顔面のクロースアップを余儀なくされる他の人物たちに対し、常に全身が入り込むような距離感で画面に収まり、逡>>続きを読む

リング(1998年製作の映画)

2.9

ビデオを見た後電話のこなかった真田広之が街中のベンチに座っていると、雑踏の音がふと遠のき、一人の女のハイヒールが地面を鳴らす音が線状に響き始める。不安げな顔に、意味のつかめないナレーションが被さり(「>>続きを読む

美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

4.5

夜明けまでベッドに戻らなかった夫を案じ、嫌な予感をも覚え始めている妻リズがアトリエに入り、完成間近の絵を目の当たりにして不安を確信に変えた瞬間、フレンホーフェルはうめき声をあげて覚醒しかける。起きぬけ>>続きを読む

肉体の悪魔(1986年製作の映画)

4.3

赤い屋根の上で泣き叫ぶ精神不調の黒人女と、ただ視線を交えるだけで情動を交感してしまう下着姿のマルーシュカ・デートメルス。それを窓際で見つめる青年フェデリコ・ピッツァリスの前髪が風の凪ぎに合わせてふわり>>続きを読む

フランケンウィニー(2012年製作の映画)

3.5

主人公の少年を出し抜こうとした悪童たちには大したペナルティが課されないのに対し、なんとなくその場にいただけのオカルト趣味の少女の飼い猫が無残にも犠牲となる。あげくスパーキーを窮地に追い込む邪悪な敵役に>>続きを読む

氷の微笑(1992年製作の映画)

3.6

ポール・ヴァーホーベンの映画においてはしばしば、視線の先にあるもの、誰かしらの思惑が反映される物体・物象をとらえたインサートショットが、露骨に、観客の欲望にあっけなく応えるかたちで限りなく下品に呈示さ>>続きを読む

姿三四郎(1943年製作の映画)

3.3

階段の行き来のみという空間で繰り広げられるメロドラマ。
吹き飛ばされた人体を執拗に追うスローモーション。
観客たちが一斉に仰いでみせる白紙の規則的な揺れと配置。
すすき草原で後から現れる二人が、太陽を
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續姿三四郎(1945年製作の映画)

2.7

勝負に負けてうなだれる檜垣兄弟の弟演ずる河野秋武が、眠りにつく三四郎の寝首をかこうと刃物を持つ。カメラは手に持った刃物を焦点に据え、河野の震える顔をとらえたかと思うと、視線を下げて訝しげな表情を浮かべ>>続きを読む

ウィッチ(2015年製作の映画)

1.5

魔女裁判の血塗られた「記録」が引きつける浅ましい欲望に抗うことをやめ、むしろ全力で原罪に加担する方向へ舵を切った現代ホラー。焚き火を囲んで踊り狂う裸の女たちの具体化されたイメージと、それに破顔して近寄>>続きを読む

ピーウィーの大冒険(1985年製作の映画)

3.3

ワーナー所有の撮影スタジオ内を自転車で爆走し、あらゆるジャンルの映画内世界を横断していくピーウィーの活躍ぶりが痛快。最後にはドライブインシアターの上映を邪魔するかたちで退場するというオチもくだらなくて>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

2.4

自らの死期を語る幽霊のナレーションが、物語の中心となる時代の過去としてのイメージを複雑に多層化させる。あの期間こそが重要だったのか、何かの基点となる瞬間に彩られていた美しい日々だったのか、もしくは過ぎ>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

2.9

礼装を纏うことでより際立つスティーヴ・カレルの首のすわりの良い短さと、椅子に座りこちらを向いたまま話し続けるブレイク・ライヴリーの表情の固さ(実はきわめて柔らかな)がたまらなくよかった。物語の中心とな>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

グザヴィエ・ドランの作品を「歌謡映画」だと評する者がいる。各国での上映形態が気になるが、今作の日本版ではたしかに劇中歌に必ずスーパーが付き、どれもがそのシーン前後の主人公の心情を歌っているかのような印>>続きを読む

エヴォリューション(2015年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

一緒に鑑賞したツレと同じく、「母」の女が少年に背中の吸盤を触らせるくだりが最もグロテスクに感じた。
「解答」が提示された後は全てが遠慮なしに画面いっぱいに映し出されるが、そこに至るまでのいわば「ヒント
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キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

登場するもののあらゆる行動の原理を直接的な暴力とポーカーフェイスの組み合わせで過剰に示し続けることによって爆裂的な吸引力を生み出していた前作と打って変わり、ハリーの目にしか映らない蝶々のイメージや特に>>続きを読む

キングスマン(2015年製作の映画)

3.7

母の愛人である無法者の男の手下共が自宅まで押し寄せたときに、パルクールの技をもって階下まであっという間に舞い降りてしまうタロン・エガートンの身のこなしに衝撃を受けた。まるでスポーツ中継のような俯瞰視点>>続きを読む

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