中庭さんの映画レビュー・感想・評価

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マグノリア(1999年製作の映画)

3.0

神の啓示を信条とする冴えない警察官の男と、なぜか病に臥した父親との対話をかたくなに断る麻薬中毒の女との出会いの唐突さと理不尽さが最も映画的な挿話だった。数ある登場人物の中で、行動原理が終盤まで全く掴め>>続きを読む

パニック・ルーム(2002年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

グーグルマップのように暴力的に画面が拡大・縮小されるショットの多さが気になったものの、ヒッチコックが現代的な機材を手に入れてたら、土管の上に積もった微小な砂や石が振動で震えて落ちるといったような物質の>>続きを読む

マイアミ・バイス(2006年製作の映画)

3.6

湿気った銃声、アーキテクトに色合いを処理されている「途中」の街の灯りを反射した赤い夜空、地域性を剥奪されたロケーション、ベッド・シーンで無感情に流れ出すセクシーな音楽、寒気がするほど表情を作らない役者>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2015「スカイライト」(2014年製作の映画)

3.8

あらゆるイデオロギーに言及する芸術表象の、なかなかに巧みな例を見たという印象。あれだけ罵り合ったビル・ナイとキャリー・マリガンが抱き合う瞬間の居心地の悪さといったらこの上なく、あの感覚を抱かせることこ>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2016「夜中に犬に起こった奇妙な事件」(2012年製作の映画)

1.8

ステージ床に投影された画に合わせて俳優が寝そべり、エスカレーターを降りているように見せるなど、視点のレイヤーが複数にまたがるような作り方がなされる。今回の劇場版ではそのあたりを観客にどう見せているのか>>続きを読む

アバウト・レイ 16歳の決断(2015年製作の映画)

1.4

『パーティーで女の子に話しかけるには』に引き続き、エル・ファニングの脇に大感謝。エル・ファニングの身体性が誘発するセクシュアリティって、映画女優史でいうとどの辺と近いところにあるんだろう?
あと、スケ
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カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

3.5

繰り返し音声のみが抽出される最初の会話が、信じられないほど無限に再生することによってむしろ次第に意味や抽象が剥がれ落ちていくのに対し、ジーン・ハックマンはその空虚な物質性に「真実」なるものを見出そうと>>続きを読む

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)

4.1

ジャン=ピエール・レオと、彼を囲む子供たちの質問会兼昼食会のシークエンスが素晴らしかった。教育という制度そのものへ懐疑的・牽制的な視線を崩さないジャン=ピエール・レオと、「この人なんか変」と思いながら>>続きを読む

レディ・ガイ(2016年製作の映画)

2.5

肉体が男だったころまでをも付け髭をたくわえたミシェル・ロドリゲスが演じていて、あろうことか女性とのベッドシーンまで体を張って演じ切っていたことに嬉しくなる。「本来の自分の体」である裸体を鏡で見つめて咆>>続きを読む

リュミエール!(2016年製作の映画)

3.0

『工場の出口』や『列車の到着』の各地版の比較はありがたかった。カヌーにカメラが乗り込んだ状態でオールを漕ぐ船員が撮られたあの作品のダイナミズムに息を呑んだ。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.7

『テトロ 過去を殺した男』でヴィンセント・ギャロの「弟」を無垢な笑顔と身振りで演じてみせたオールデン・エアエンライクが、まさか若かりしころのハン・ソロという全宇宙不良代表みたいな役をやることになるとは>>続きを読む

コットンクラブ(1984年製作の映画)

3.4

群像劇がカタストロフを決定的に回避する瞬間は、この映画においては、夢を掴んだ黒人ダンサーが商売道具でもある自らの足で、リチャード・ギアに向けられた拳銃をステージから蹴り飛ばしたときに訪れる。後に続く『>>続きを読む

ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

2.6

一人ずつ脳を潰して再起不能にしていくジョン・ウィックの殺人術は、同じ目的に基づいて何度も反復されるにも関わらず視覚的な快楽が損なわれにくい感じがある。『ザ・レイド GOKUDO』を見ていたときには、そ>>続きを読む

大人になれば…(1967年製作の映画)

4.0

一つのショットの中で三角関係が描かれるクラブのシーンでは、まだ深く知り合っていない憧れの女が地上から高く離れた場所で艶めかしく踊り続けており、それに気を取られながら一緒にいる女と話す男が画面手前に配さ>>続きを読む

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)

1.1

奨励さるべき映画の「透明さ」とはまた異質な空虚さがあったように思える。ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を重ね合わせた容疑者たちの横並びの構図にノるのも難しく、ジョニー・デップの遺体の登場を遅延させる編集の>>続きを読む

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

2.6

J・A・バヨナが自らの敷地内(邪気に満ちた巨大な洋館)に恐竜を招き入れた…と感じ入る、後半の密室スペクタクル。スピルバーグの映画において、子供たちが寝室のベッドで眠りに落ちると必ず何か未知の存在がやっ>>続きを読む

グラマー西部を荒らす(1961年製作の映画)

2.4

ネオンサインを映すときの斜めの構図や映し出された文字の固着度そのものへの執着、また密談を交わす男たちを包む暗闇の深度や、ポルノ表現への厳粛な距離感を含め、後のコッポラのフィルモグラフィーを代表するよう>>続きを読む

フィニアンの虹(1968年製作の映画)

2.7

井戸から空へ飛んでいくトミー・スティールの常軌を逸した笑顔の強度がトラウマ的に脳裏に焼きつく笑
積まれた木箱や荷物によって作られた高低差をいともたやすくミュージカルの言語表現に組み込み、まるで自由に上
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テトロ 過去を殺した男(2009年製作の映画)

4.3

交通事故の不意を突くショック演出の鋭さは、速めのモンタージュと切断された音響効果により見事に設計されたものだった。これには黒沢清も敵わないんじゃないか。テトロの住む部屋の、さらに奥の部屋へ通ずる擦りガ>>続きを読む

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

3.9

無軌道に動くカメラが不躾にとらえる「大女優」の破滅的な生き様が、感情的な演技とは何かという命題そのものを生きながらにして引き受けたかのようにみえるジーナ・ローランスの(自己言及的なものともまた異なった>>続きを読む

ブロンド少女は過激に美しく(2009年製作の映画)

3.4

偶然にも列車で隣同士に乗り合わせた男と女は、フェイクの回想形式で話を続けながら、全く目線を合わせようとしない。向かいの窓に現れた金髪の「少女」が持つ団扇に描かれた、豪気さを欠いた華奢な龍?のデザインが>>続きを読む

燃える惑星 大宇宙基地(1960年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

宇宙へ飛び立ってからの発狂しそうなほど閉塞的な画つなぎと、地上のあらゆるショットの自然さと豪華さが交互に配置される。
何度も現れるコックピットの椅子倒しのギミックを俯瞰するキャメラの構図により、画面上
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ニューヨーク・ストーリー(1989年製作の映画)

3.3

ゾイがホテル強盗に遭うシークェンスで、床に這いつくばる使用人に抱くように守られたときに、キャメラが大胆に斜めの動きと奥行きの展開を見せてくれて、やはりコッポラに軍配が上がるなと。
スピルバーグ映画に頻
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フィラデルフィア物語(1940年製作の映画)

3.0

玄関で勢いよくゲイリー・グラントに床に叩きつけられたキャサリン・ヘップバーンの、次のショットでのあっけらかんとした復活がなんとも痛快。だから、高台からプールに飛び込む彼女をゆっくりと見つめるショットの>>続きを読む

オーソン・ウェルズのフォルスタッフ(1966年製作の映画)

3.7

五世の着任を耳にしたフォルスタッフが宿の上階で歓喜の台詞を高らかに吐くショットでのカメラの当たり前のような低さにため息が出る。まるでその事実と美学を強調するかのように、長回しの終盤でオーソン・ウェルズ>>続きを読む

雨のなかの女(1969年製作の映画)

4.0

はじめから撹乱された女性像を担わされた主人公が、投げやりに抱こうとした男の性年齢が未熟だったことにより、いっそう自己イメージを混乱させられてしまうという凄まじい映画。
鏡を使った未遂のベッドシーンの長
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タッカー(1988年製作の映画)

4.5

コッポラのフィルモグラフィでとりわけストーリーテリングが簡潔かつ、失われしアメリカを映し出す映画の在り方という問題に対し無理なく的確な解答を示してのけた巧みな一本。
一枚の写真から得られる情報を最大限
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勝手にしやがれ!! 英雄計画(1996年製作の映画)

3.9

電柱に額をぶつけ倒れ込む寺島進、上手すぎ(いやあれ当たってるか?)。背の低さに議員のスーツがかっちりとハマっていた。
放物線を描く花火の軌道と音、近さに酔いしれながら右側へフレームアウトする二人の支え
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勝手にしやがれ!! 成金計画(1996年製作の映画)

4.0

海に落ちて水面を漂う人間の頭上に、致命的な大きさのオブジェが落下して生死を分けるというオマージュは様々な映画で繰り返され続けてきたが、ここまで遠くからキャメラを向けるようなことはほとんど無かったんじゃ>>続きを読む

打鐘(ジャン)~男たちの激情~(1994年製作の映画)

3.5

黒沢清は競輪で既にスクリーンプロセスをやってた。知らなかった。スタート前に車輪をはめるあの一本の装置と、カチャッという音がスローモーションで静かに連なる演出が心憎い。
漕ぐ感覚を日常的に忘れぬためのあ
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海盗り-下北半島・浜関根(1984年製作の映画)

3.6

一見、当事者たちに介入して、争いから離れた、人間個人の生活に根ざした生ける声をゆっくりと撮っているように見えるけれどもそれは誤解で、土本のまれびととしての自覚はインタビュアーとしての自らの言動や、登場>>続きを読む

勝手にしやがれ!! 逆転計画(1996年製作の映画)

3.2

一作目に続き、哀川翔の恋心がタバコ屋の女に向けられ、結局は女が「悪」のイメージ、ギャンブルの魂を目覚めさせることによってあえなく破綻するのだが、それは決して彼を落ち込ませる事態にはならず、このシリーズ>>続きを読む

893(ヤクザ)タクシー(1994年製作の映画)

3.5

ムショを出た豊原功補の歩く道があんなに鬱蒼とした森の中なのは笑えるし、画面の中に登場するおそらくよごみが詰まっていることはないであろう乾燥したごみ袋と段ボールの山にはしばらくすると必ず誰かが突っ込んで>>続きを読む

フェアリー・テール・シアター/フランシスフォードコッポラのリップヴァンウィンクル(1985年製作の映画)

3.0

20年の眠りから覚めた自らの風貌と周囲の変化に愕然としたハリー・ディーン・スタントンが、朽ちた家の前で愛用の椅子に腰掛け、夕日か何か得体の知れない真っ赤な光に包まれながら再びゆっくりと眠りにつくように>>続きを読む

勝手にしやがれ!! 黄金計画(1996年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

『ドッペルゲンガー』でも反復された、立ち人形とトラックによる乾いた轢死に息を飲む。背後から丁寧に射殺された諏訪太郎の身体の運動は、『シンドラーのリスト』でナチスにたて突いて無残に撃ち殺されたあの聡明な>>続きを読む

娼婦ケティ(1976年製作の映画)

2.6

ヴァーホーヴェンの初期オランダ時代で最も無垢なアイコンだったんじゃ。客を取り始める前のモニク・ヴァン・デ・ヴェン。
姉妹揃って老人に買われるという現実味のない体験をするときに天井の鏡とそこに写る光景を
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