中庭さんの映画レビュー・感想・評価

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ミッドウェイ海戦(1942年製作の映画)

2.7

劇中、唯一心情のナレーションを加えられるのは戦地にいない、一兵士の両親の姿のみだったと記憶している。
白い鳥と爆撃機、双眼鏡を覗き大空を見つめる若い兵士が一つの構図におさめられたショットが登場する。
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帰って来たヨッパライ(1968年製作の映画)

3.3

二台のパトカーがパトランプを点滅させたまま、真っ暗な田舎道の画面奥に配置され、手前側の道沿いにフォーク・クルセイダースの三人がこっそりと隠れているショットが忘れがたく印象的。
緑魔子の乳房は二回目で隠
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死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット(1993年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

国立映画アーカイブにて、35mmフィルムで鑑賞。観客が爆笑していたところまとめ↓

・捕虜が突き落とされる死の穴から人体いくつ分だよと言いたくなる大量の血が噴き出した後、次に落とされるアッシュの方へ振
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わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)

4.1

炭坑からの帰路につく夫たちの行進を一望する低めのカメラ・アイの的確さとダイナミズム。減給の掲示を黙して睨みつける男たちが画面の端々まで配置された素朴かつ力強い集団性の構図。吹雪の一粒一粒と寒風の流れの>>続きを読む

劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟(2012年製作の映画)

1.2

このレビューはネタバレを含みます

ハリウッドが一生懸命に脱構築しようと試みるダークヒーローのステレオタイプを何も恐れず体現し続け、さらに、そう簡単にカウントダウンに乗ってくれなかった一方通行。
魔法少女三人組を抱えるステイル。
宇宙空
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イコライザー2(2018年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

旧友を報復相手と見定めた瞬間、デンゼル・ワシントンと相対するチーム、敵の車、報復相手の家と家族、そして街がゆっくりと湿った風に包まれる。風はラスト・アクションが終る瞬間まで勢いを増し、あの忘れがたい豪>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

2.8

デヴィッド・ロバート・ミッチェルは巧妙に「青春映画」の変奏を繰り返している。しかも今回はハリウッド・ナイトメアの位相を拝借した140分。
自分を自分たらしめる膨大なカルチャーの元締めには、強大かつ「サ
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ザ・キープ(1983年製作の映画)

2.5

異様なまでに長く構成された、駐屯軍が入村し住民たちに訝しがられるあのオープニングがとにかく強烈。曇天から地面へ向けて延々と垂直にパンし続ける画面の異常さは思わず身を乗り出しかねないほどだし、戦車の甲板>>続きを読む

ワンダーストラック(2017年製作の映画)

3.6

あくまでも「サイレント的」な配慮を徹底した回想シークエンスの数々は、音楽の配置や聴取点の移行に並々ならぬ心血が注がれており、見ていてかなり忙しさを覚えるほど。適当に聞き逃していいかと思えるサウンドがな>>続きを読む

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)

1.4

家族三人の崖上のやりとりを結節点とすべく、真相を覆うために、攻防の行方が何度も遅延されながら本筋の物語に繰り返し差し挟まれる。大量の人間を食い荒らす殺人魚や鏡の向こうからやってくる殺人者など、物質的な>>続きを読む

マンハント(2018年製作の映画)

2.8

ラスト・アクションが展開されることとなる研究施設の設計が、カメラが一歩中に入るだけで「この後ジョン・ウーの手ではちゃめちゃに壊滅するんだろうな」と容易に想像できる構造になっていて、素晴らしかった。ブー>>続きを読む

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

再会を果たした二人を背に、子供を連れてゆっくりと外に出た保安官は、玄関先の階段に腰を下ろし、沈痛な面持ちでうなだれる。この二組を映すささやかな平行モンタージュが贅沢だ。寄り添う二人の顔がようやく一つの>>続きを読む

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

2.9

永瀬正敏と工藤夕貴が到着した駅の構内の様子を、高すぎず低すぎずの見事な位置からとらえた俯瞰ショット。
電車の小窓を中央に据えたシンメトリックな男女の構図や、『パターソン』でも頻出するベッド上の二人を真
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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

2.1

カバに捕食されたり、ケーキを食べて爆散したり、ライフが一つ消えるときの演出が思いの外いちいち陰惨。前作の持ち味でもあった、ゲームシステムというものの本質的な残酷さを上手く活かした物語の構成は受け継ぎつ>>続きを読む

ミスミソウ(2017年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

ヒロインが三人のいじめっ子をはじめに手にかける場面。いかにも物語の中心的な役割をこれから担うかのようにカメラを向けられていたはずの少女が片目を潰されるのと同時に幕を開ける一連の殺戮が実に見事な呼吸でま>>続きを読む

ピートと秘密の友達(2016年製作の映画)

3.8

あくまで古典映画の話法に自覚的な、わざとらしく浮いたCGデザインで構成された一頭のドラゴンが、一つ一つがこれしかないと唸らされるショットの上を縦横無尽に羽ばたく。谷の切れ目にある河川の曲がり角で少年と>>続きを読む

インサイダー(1999年製作の映画)

3.9

ホテルのロビーで待ち合わせをして初めてお互いの人相を把握したアル・パチーノとラッセル・クロウが、一言も口を開かず視線を一瞬だけ合わせると同時に外し、暗黙のうちに共有された一本の動線を歩み始め、無言のま>>続きを読む

劇場版 フリクリ オルタナ(2018年製作の映画)

1.4

日本のテレビアニメーションの文脈で紗栄子やらのネタを持ち出されると、異次元のさらに向こうからきた未知の情報が脳内で強引に口語変換させられる感じがあって、すごく乱暴な効力を発動するなと。瞬間的に一番笑っ>>続きを読む

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

1.7

役者の熱演と映画の生理との困難な関係についてあらためて考えさせられた。「魂」を込めた演技の持続というものを信じる立場を表明するなら、それを映画芸術で複製する企みの複雑さを大前提として慎重かつ自省的な切>>続きを読む

オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

焼け爛れた遺骸の眼孔からガラスの義眼がこぼれ落ち、燃え盛る花嫁の哀れな姿に悲嘆する者はただの一人もいない。日々戦闘と隣り合わせでありつつも保たれ続けていた牧歌的な風景のイメージは、たった三人のソルジャ>>続きを読む

ザ・ウォール(2017年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

主人公の意識がブラックアウトする度に、空の色が陰りを帯び、孤独な戦場を包む砂嵐は透明度を増す。時間が経つにつれ戦死した友人の負傷や壁の造形がくっきりと目に見えるようになる演出は、主人公の兵士が陥った悪>>続きを読む

ザ・ウォード/監禁病棟(2010年製作の映画)

3.5

監禁病棟の遊戯室に集まる少女たちが、レコードに針を落として、言葉の一つもなしに仲良く踊るシークェンスの不穏な空虚さは並大抵の演出力で生み出せる類のものではない。劇中、唯一といってよいほど自然な笑顔を見>>続きを読む

ラスト・オブ・モヒカン(1992年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

姉のコーラのきっぱりとした意志の強さに対し、終始気弱なふるまいを見せ続ける妹アリスだが、ウンカスの勇猛な死を見届けたことで別人のように生まれ変わり、誇り高い自死を選ぶその瞬間の演出が素晴らしい。アリス>>続きを読む

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)

3.1

施設内を強襲した火星ゾンビ軍団に対し、四人のサバイバーが二人一組で入れ替わりながら弾が空になるまで撃ち続けては交代を繰り返し、少しずつ出口へ向かって後退していくアクション活劇の贅沢な純然さ。ジェイソン>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.5

自分で誘っておきながら何のためらいもなく「帰る?」と口にする柄本佑のふるまいに他の二人は驚く。そのことで一緒に笑い合いながらも、そんなに変なことかねとでも吐き捨てていそうな達観した表情をする柄本佑の顔>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.4

外へ通じる扉の手前側と向こう側の光量を極端に乖離させて調整された玄関という空間において、彼岸よりの来訪者は麦という青年とヒロインによって画面上で反復される。もちろん怖かったのは、未知なる行動原理を貫い>>続きを読む

30年後の同窓会(2017年製作の映画)

3.5

トラックの煽り運転をきっかけに、ローレンス・フィッシュバーン演ずる神父が自らの狂犬時代を呼び覚まし暴言をまくし立てると、仲間たちがようやく彼に再会できたと言わんばかりに大はしゃぎをする。再会した三人が>>続きを読む

刑事グラハム 凍りついた欲望/レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙(1986年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

巨大な窓ガラスにお互いを映し合い、刑事は全身でそれをぶち破って初めて殺人鬼と相対する。今まさに殺されかかっていた盲目の女は画面からいつのまにか姿を消し、いかにも対峙させられた二人の男は、アクション映画>>続きを読む

君の膵臓をたべたい(2018年製作の映画)

2.3

ここ数年で劇場にて観賞したアニメーション映画の中で一番好みだった(あまりに暴力的な物語構造はさておいて)。
僕が桜並木につながる階段を下りる背後を少女がたどたどしく跳ねながらついていくショットから、そ
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赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道(2010年製作の映画)

2.8

田舎道を行き帰り半するだけで一つのアニメーション映画を成り立たせてしまう、高畑勲の構成力。イマジネーションに溺れているときのアンの寒気がするほど虚ろな表情や、何層ものレイヤーが動き前景の馬車の運動を成>>続きを読む

検察側の罪人(2018年製作の映画)

1.7

このレビューはネタバレを含みます

便器にすがりついて嘔吐し、震える手でハンドガンをかろうじて持つ木村拓哉が、ハイビームに照らされながら前を歩く大倉孝二をゆっくりと追うあの有名なバックショットが良かった。名実共に彼岸に立ったスターの面の>>続きを読む

ALI アリ(2001年製作の映画)

3.3

撮影監督はエマニュエル・ルベツキ。ウィル・スミスの、暴言や正論をまくし立てた後に鼻息を力強く漏らすあの得意の憤慨する表情が、人物造形のためにかなり効果的に用いられている。ボクシングのシークェンスで繰り>>続きを読む

ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

4.1

『かぐや姫の物語』へ至る前の、線の少なさすらも美しく、いかに高畑勲が作画技法の要求を極限まで高めていたかが分かる渾身の一本。輪郭線が途切れ、内部の色味が外に飛び出す色彩表現は今作ですでに開発され、効果>>続きを読む

銀魂(2017年製作の映画)

1.0

福田雄一と堂本剛の奇妙な共犯関係について再考。
感情を排し、自暴自棄にも見える役者たちの虚ろなふるまいの一連を、過ぎ去りきるまで余すことなくとらえる残酷な固定ショットが続く中、監督に全幅の信頼を置いて
>>続きを読む

コラテラル(2004年製作の映画)

4.2

暗殺者のふりさえ成功させてしまい、最終的には自らの暴力的な変化と成長にトム・クルーズを逆に巻き込んでしまうことになる一般人運転手を中期マイケル・マン作品常連のジェイミー・フォックスが感情豊かに演じる。>>続きを読む

スターシップ・トゥルーパーズ(1997年製作の映画)

3.2

バグズの生息する惑星から打ち上げられる青い花火のようなエネルギー弾に毎度なすすべもなく撃ち落とされる宇宙艦たち。限りなくチープかつ露悪的な残虐志向の連続の中、このシークエンスの演出における突き放したよ>>続きを読む

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