中庭さんの映画レビュー・感想・評価

中庭

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星空(2011年製作の映画)

3.5

テリー・ギリアムの傑作『ローズ・イン・タイドランド』やギレルモ・デル・トロ『パンズ・ラビリンス』、今年あまり話題にならなかったJ・A・ヨバナ『怪物はささやく』と同じように、心に瑕疵を負った成長期の子供>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

4.0

二回目のレイプシーン。
宅配で届いた孫用のベッドを、どこか放心した様子でテーブルの上で転がすイザベル・ユペールの姿と、揺れる器具の足がコトコト音を立てる絶妙な余白の間隙に背後から覆面の男がいつのまにか
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KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)

2.7

吹替版を鑑賞。
ストップ・モーションとそれ以外の表現の境目を見極める能力があれば、自分はおそらくもっと楽しめたのだと思う。
限界や極限が前景化してしまった瞬間にこそアニメーションに命などというものが備
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.9

エル・ファニングの脇と吐瀉物。例えば口から垂れる唾液まじりの液体が街灯に透けて輝くというような、偶発的なエロティックを臆することなく劇中使ってしまう大胆ささえも、まあいっかと思わされてしまう、既視感の>>続きを読む

姿三四郎(1965年製作の映画)

3.3

階段の行き来のみという空間で繰り広げられるメロドラマ。
吹き飛ばされた人体を執拗に追うスローモーション。
観客たちが一斉に仰いでみせる白紙の規則的な揺れと配置。
すすき草原で後から現れる二人が、太陽を
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フランケンウィニー(1984年製作の映画)

2.8

丘の上にそびえるくびれた風車小屋のモチーフは、中期の最高傑作『スリーピー・ホロウ』に全く同じ姿で再登場し、そちらでも物語の終演をもたらす貴重な役割を果たす。
特殊メイクをさせられた犬の撮り方、映し方が
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バットマン リターンズ(1992年製作の映画)

3.1

ペンギン男の地下宮殿を象徴する円形のプールで優雅に泳ぐペンギンたちが、画面の端々に見切れて現れるのが見ていて楽しく、本質的に陰惨な脚本を悲しくはぐらかすのに成功している。
実写版の『ダンボ』が楽しみ。
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アキレスと亀(2008年製作の映画)

2.7

道路の上を何種類もの原色のペンキで染めていく夫婦の様子が、フィックスショットの早送りで提示される。何度も折り返しては軌道がぶれる自転車の残すペンキの跡と、肉体性を奪われていく身体の冷めた捉え方を見て、>>続きを読む

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)

3.1

棺に横たわるモキチの無残な死に顔が、シーンを重ねるごとにあっけなく回復したかのように見えたと思えば、敵味方の攻撃を一手に引き受けてぼろぼろになっていくというこの一連の流れが本当に笑えた。主要人物の中で>>続きを読む

ハンガー(1983年製作の映画)

1.8

急激に白骨化する猿の体が、風化の段階を経る度にびくんびくんと揺れ、次の瞬間にはあっという間に別の状態へ変わっていく。
この映画において老いを象徴するのは肌であり、それを強調するのは明暗のコントラストで
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監督・ばんざい!(2007年製作の映画)

2.7

作中、『菊次郎の夏』をセルフパロディ化してみせる井手らっきょの軽薄な出で立ちと、表皮の質感の強靭な美しさが本当に素晴らしい。
最後、人間たちが棒立ちのまま吹き飛ばされるしょうもなさは、黒沢清の最新作に
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TAKESHIS’(2005年製作の映画)

3.3

発砲音が、ただそこにある形而上的な物質性へと形骸化してしまうほど、何百発と放たれる。北野映画における沖縄の浜辺は全ての暴発する感情を掬い出し、救済を与えることなく、波打ち際の境界を漂わせる。
沖縄住宅
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ヴィンセント(1982年製作の映画)

3.2

モノクロの背景が黒ー白と転じることで内ー外の世界観が切り替わるという表現が、シンプルかつ最良の効能を発揮する。

BROTHER(2000年製作の映画)

4.1

北野映画における暴力性が、真正面から、最も苛烈さを極めた一本で、他作品では見られない人体損壊描写の作り込みに大いに驚かされる。
乱射される銃撃の閃光が生み出す、緩やかなコマ送り効果を用いたギャングたち
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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

最も鮮明に残酷だ、と恐れ慄いたのは、燃えたぎる釜の中にぶち込まれたパイ屋の女主人の視点が、こちらの様子を小窓からうかがう理髪師の眼差しをしかと受け止めたかにみえる簡潔なショット。
役人の死体が頭から叩
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(1963年製作の映画)

3.0

目玉をとられたダンの死体を発見したときの、向きは固定させたまま距離を変えてショットを切り替え、より窪んだ眼孔に注目させるためのクロースアップを挿入する技法は、当時の観客を驚かせただろうなと思う。
川に
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ビバリーヒルズ・コップ2(1987年製作の映画)

2.7

観覧車か何かの乗車型アトラクションの屋根の上をエディ・マーフィが飛び移るのはパート2じゃなかったか…。
多くの男たちの運命が決まる工場地帯を染めるくすんだ赤の画像処理と、決め手の証拠となる土の色味が印
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シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

3.7

場面ごとにスコアでも存在しているのか、と言いたくなるほど完璧に聴こえる画面内外の音のパッケージングが凄まじい一本。
永遠を感じさせるような流れ行く車窓を通して幾重にも重ねられるポートレートが破断寸前ま
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リベンジ(1990年製作の映画)

2.5

非西洋医学の術式を組まれながら瀕死のケビン・コスナーが治療を受ける。
この復讐劇に明確な決着は訪れない。
蓮實重彦のトニー・スコットへの追悼文の中で、たしか唯一名前の出なかった作品がこれだったような笑

座頭市(2003年製作の映画)

3.0

用心棒として雇われた浅野忠信が最初の仕事をやる際、人々をばさばさと切り裂く北野武の殺陣と大きく異なり、血しぶきが上がらなかった。その後の戦闘では上がるようになる。
見開いた瞼の中の目には、およそ地球人
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シザーハンズ(1990年製作の映画)

3.4

スクリーン上で常に鈍く光を反射する黒いハサミの動きや揺れ、薄く鋭利な金属がこすれ合うサウンドが常に緊張感をもたらしていて、エドワードを取り巻く不幸の訪れは明らかなものとして期待されてしまう(トランプタ>>続きを読む

ダーク・シャドウ(2012年製作の映画)

3.5

再建した屋敷を見つめる家族の姿や、同じ宿命を持った愛する二人のエピローグなどを一切廃し、異形のものへ近付こうとした女主治医の骸が目を見開くショットで幕が引かれる。
クロエ・グレース・モレッツの顔面に常
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

4.5

朝日が昇る中、何か別のものへと変わり行く小泉今日子を正面からとらえた長回しのショットは、黒沢映画のどの瞬間にも現れたことのない純全な美しさをたたえるものだった。枯れ葉に包まれる香川照之の姿は後年『クリ>>続きを読む

バットマン(1989年製作の映画)

2.6

『マーズ・アタック!』で光線を浴びて一瞬で骸骨化する人間の発想は、既に今作で実現されていた。ジョーカーの握手による処刑から、その骸を居心地悪く画面内におさめたまま悪行の説明を続ける話法の秀逸さといった>>続きを読む

リアル 完全なる首長竜の日(2013年製作の映画)

4.0

首長竜が海面より浮上する間際の、合成された波のうねりとその危うい不穏さに目をとらわれる。画面上に次々と現れるCG表現の居心地の悪さにどこまでも自覚的な態度を崩さぬ黒沢清は、しかし、宙を浮遊するボールペ>>続きを読む

デイズ・オブ・サンダー(1990年製作の映画)

2.8

とりわけ序盤で頻繁に登場する、ノースカロライナのくすんだ夕焼けと灰色の空がやけに印象深い。
ピットインした車が白煙を上げ、中から憤怒のトム・クルーズが登場した際の、後光を差すようなライティング。
レー
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

3.9

岸本加世子と細川ふみえが素晴らしい存在感で画面におさまっている。この二人を見るために何度も今作を見たくなってしまう。
井手らっきょの身体の無駄なしなやかさと美しさも、終盤の非現実的かつ浮遊感のある空虚
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チャーリーとチョコレート工場(2005年製作の映画)

3.8

実に悪趣味な、子供たちの「処刑」が順々に続く。それを見つめるツアー参加者たちの態度は冷たく、退場する親子の姿を眺めたまま、蛮行を止めようとする素振りも見せはしない。
ウィリー・ウォンカの指示通りに登場
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LOFT ロフト(2005年製作の映画)

3.8

ロバート・ゼメキスの傑作『ホワット・ライズ・ビニース』との類似点が幾つか見受けられる。正体不明の隣人が死体のようなものを運ぶところを家の窓際から目撃する。混乱の原因たる女の亡骸が運命の沼底に眠っている>>続きを読む

ビートルジュース(1988年製作の映画)

2.6

リビングの宙へ舞い上がり、手足をぱたぱたと動かして歌い続けるウィノナ・ライダーが魅力的すぎた。
狭い家屋の中を、大勢が通路ぎゅうぎゅうに一階から上階へ何度も上り下りし続けただけあって、引きの画も相まっ
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トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)

3.7

クリストファー・ウォーケンとデニス・ホッパーの、「もう終わっていることが確定してい」ながらの、上体を揺らさぬ静謐な、顔面のみを用いた一騎打ちのシークエンスが素晴らしかった。

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

3.6

訓練中の安藤政信のアクションをとらえたカメラワークが、直後の試合のショットで反復して繰り返されるという殊更に器用な演出がある。決して感情を豊かにすることなく、金子賢の背中を追っていた時代の安藤政信の寡>>続きを読む

舞踏会のあとの入浴(1897年製作の映画)

2.4

「世界初のポルノ映像」という言葉が伝播する作品。甕から流れ出る液体の色に驚く。

ティム・バートンのコープスブライド(2005年製作の映画)

4.1

新たな夫を迎える死者たちの宴において、背景が完全に真っ暗な状態で続けられる髑髏の戯れとサイケデリックな紋様の嵐は、『ダンボ』に捧げられたオマージュだろうか。
色鮮やかで潔い生者たちの地下世界に対し、い
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天文学者の夢(1898年製作の映画)

3.4

板一枚の月を隔てた視えない向こう側で、世にも奇妙な何事かが起こり続ける。
口からおどり出た子供二人が微笑ましく遊んだ挙句もう一度投げ込まれたり、天文学者の肢体がばらばらになって出てきたり、身体破壊のイ
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月世界旅行(1902年製作の映画)

3.5

月に住む地球外生命体を攻撃すると、フィルムがあっという間に切り替わり、彼らは噴煙を上げて画面から消失してしまう。月に到着した科学者たちが眠りにつくと、まるで彼らの夢が視覚化されたように画面上部の空間で>>続きを読む

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