中庭さんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

中庭

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台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.2

ロー・アングルで二人の居室のリビングを水平にとらえたショット。画面中央にテーブルがあり、視線を合わさぬ二人を照らすライトが二人の間、真上にあるが、その光の及ぶ範囲と及ばない範囲の境目が奥の壁に一直線で>>続きを読む

スペル(2009年製作の映画)

4.2

サム・ライミ印のホラー・ガジェット集大成、と言いたくなるほど極まった怖さと汚さ。老人の肉体、身体性をどんな発想をすればあそこまで弄べるのか。これがゼロ年代に作られた貴重さ。

オズ はじまりの戦い(2013年製作の映画)

3.5

モノクロのスタンダードサイズを用いた懐古的な演出の全てが周到で説得力があるからか、様々な作家が思い付きで手を出して無残な結果を残してきたスクリーンサイズの移行という飛び道具が違和感なく受け入れられる。

おとぎ話みたい(2014年製作の映画)

1.4

卒業式を抜け出した趣里が、広い長方形のかたちをひたプールサイドを直線的に移動する。孤独さとの対比を直接的に演出する平行モンタージュなど使わずに軌道を追い続けてほしかったけど、その後の屋上での激しいダン>>続きを読む

シンプル・プラン(1998年製作の映画)

3.5

物語の終息の仕方が抜群。破滅的な解放すら約束されない肩透かし。ビル・パクストンの空虚な丸い瞳が沈黙と嘘の応酬の中、雄弁さを保ち続ける。コックピットの遺骸を貪るカラスの登場にハッとさせられる。ブリジット>>続きを読む

クイック&デッド(1995年製作の映画)

3.3

年の差演出皆無でいけしゃあしゃあとディカプリオを抱くシャロン・ストーンったらない。心臓に風穴の開いたシルエットが、西部劇に強引に持ち込まれたライミ印のトリッキーな発想で、脳裏に焼き付く。

スパイダーマン3(2007年製作の映画)

2.5

6部作のシリーズを手がける予定だったとサム・ライミが何かのインタビューで語っているのを見て、残念に思ったのを覚えている。サンドマンへ非情な攻撃を加えるときに、下水管のボルトが一つ外れて飛ぶごとにサンド>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

3.6

サム・ライミ版シリーズで一番好き。敵の「触手」の数の多さにも由来するが、画面上のキャラクターたちの身体的な動きが前作より明らかに増しているにも関わらず、やけに説得力のある目まぐるしさという印象が唸らせ>>続きを読む

ダークマン(1990年製作の映画)

4.2

噂に違わぬ完成度。くらくらするほど純粋な運動の視覚的快楽を味わえるダーク・ヒーローもの。アクション演出がとにかく冴えてるし、影や闇に乗じて文字通り飛び出してくるダークマンの存在感といったら。

死霊のはらわた II(1987年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

1のエンディングの後、まさか吹っ飛ばされて木にぶつかって目を回す笑いに繋げられると公開当時誰が想像してただろうか。シリーズの中継地点としてやけに巧みな自己破壊。
ガジェット装着の極端に細かくすばやいク
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ラブ・オブ・ザ・ゲーム(1999年製作の映画)

3.7

テレビ中継の規模と日常風景の差異から生まれるあらゆる視覚的効果に全力を注いだ贅沢さ。スーパースターの内的世界の単なる追体験かと思いきや、全く感情を読ませない突き放し方も、ケビン・コスナーが見事に自己表>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

4.9

平成映画でもゼロ年代映画のくくりでもナンバーワンに近いほど好きな現代映画。皮肉の効いた、語ることの非常に困難な美と異様な心地良さに溢れた恋愛もの。どの時代どんな場所にいる若者も、心と体がばらばらになっ>>続きを読む

スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.3

いたるところで目に入る粘糸の素朴な美術に惚れ惚れ。建物間を飛び回れることに気付いたピーターが手首から糸を排出するシークェンスなんて、よく見ると安いビニール紐みたいな見た目をしてる。そのまま看板に激突す>>続きを読む

ギフト(2000年製作の映画)

4.0

一見主体性のないように見える霊媒体質のヒロイン、ケイト・ブランシェットの能力もいまいちよく分からないまま、事件がどんどん複雑化していく。サム・ライミが引き算的な演出を突き詰めた意欲作。めちゃくちゃ面白>>続きを読む

死霊のはらわた(1981年製作の映画)

3.3

魔の物の巣食う森の中を地を這って突進する手作りステディカムによるカメラと、その視界から一所懸命に逃げ惑う若者たち。夜のペンションを飛び出した女子大生はついに森に捕らえられ、とうとう蔦に強姦まで受けてし>>続きを読む

Unnamed Road(2019年製作の映画)

2.5

自販機や歩道橋、ビルの窓に反射して映り込む建造物や交差点、看板などが主役としてカメラが向けられていて、その表面を役者たちがさまよい歩く。前の職場の先輩のコネで新しい会社に勤めたみずほがすでにその会社の>>続きを読む

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

2.6

二人目の子供を産んだことへの自省的な言及はほとんど避けられている。神の意志と母の論理が同一化したような語りに違和感を覚えた部分もあった。
自分の子供が生への執着と無縁な姿で動いている様子と、他人の子供
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La France contre les robots(原題)(2020年製作の映画)

3.8

意訳を載せてくれた方がいる。ありがたい。
世界システムとしての民主主義とテクノロジーの、現代における倒錯した関係を語る男。男が語りながら湖畔を歩く後ろ姿を、青く薄暗い時間帯と陽射しの明るい時間帯で反復
>>続きを読む

アバター(2009年製作の映画)

3.0

現実とパンドラの生活を行き来する主人公が境界線を蹂躙されかけるシーン全般、ミシェル・ロドリゲスが戦闘機を翻して飛び出してくるところ、等々盛り上がる演出が多数。『レディ・プレイヤー1』への影響を考えずに>>続きを読む

ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

3.1

ジェシー・アイゼンバーグに尻を突き出して襲いかかるゾーイ・ドゥイッチ最高。たった10年前ぐらいでブームが止まっていてもここまで文化が違うという設定も愉快。自分と似たキャラクター同士が生死を分かつバトル>>続きを読む

守護教師(2018年製作の映画)

1.4

このレビューはネタバレを含みます

背広を着ないマ・ドンソクが、硬派な敵と組み手を交わすのでなく、サイコパスやその家族と対峙するという、イメージの捻れをサスペンスへ持ち込んだ意欲作。敵が想像以上に小さく、町全体の陰謀を示唆する演出と噛み>>続きを読む

トゥルーライズ(1994年製作の映画)

2.7

自分が秘密を抱えているにも関わらず不倫疑惑の妻を尋問し、あげく卑猥なポールダンスを強制させて淫靡な本性をあらわにしてやろうというこの映画のメロドラマの感性はことごとく壊れたものだと言わざるを得ないが、>>続きを読む

殺人魚フライングキラー(1981年製作の映画)

1.5

キャメロンは一体どんだけ水中撮影に入れあげているんだと感心しつつデビュー作を見たら、まさかB級ホラーのオープニングの体で水中ベッドシーンから始まってしまう映画だった。“Genogenesis”から今作>>続きを読む

ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密(2003年製作の映画)

2.2

沈没し数年後には崩れてしまうと言われているタイタニック号の船内や甲板に、当時の乗客の亡霊を重ね合わせる。とんでもない発想だが、公開当時3D版を劇場で見られなかったのが悔やまれる。亡霊たちの演出のために>>続きを読む

タイタニック(1997年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

綿密なリサーチに基づき再現される巨大客船の沈没と、その上で小さく混乱する人間たちの生死を分かつ行動の行く末を、無情な対比で配置した一大スペクタクル巨編。メロドラマに振り切ったキャメロンの歴史的ヒット作>>続きを読む

初恋(2020年製作の映画)

2.5

窪田正孝の小さく、さもすると怯えているようにも写る目の作りが良い。何かを諦めたような下向きの視線よりも、想像だにしなかった真実を告げられておどおどと泳ぐ視線の方が具体的に言って魅力がある。強靭な肉体と>>続きを読む

アビス/完全版(1993年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

数あるキャメロンの巨編においても、だいぶおかしなことになっている。スピルバーグ『フック』のような混乱があり、監督自身はこれが最も撮りたかったんじゃないだろうかという想像を誘導する力強さがある。人類の未>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.6

あらゆるショットが自死への衝動に囚われており、その緩慢さに周囲の者たちが次々と引き摺り込まれては消えていく。燃え盛る自動車と真っ黒な煙の向こうに見える穏やかな沖縄の海の水平線を、この映画以外の映像で見>>続きを読む

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)

1.7

クライマックスのビルを覆う水の塊のモーションが良い。局部的にうねり、波しぶきを作り、凪を作って人間たちの道を緩やかに示す。燃えてるものは水で覆えば鎮火できるという、単純な想像に裏打ちされたリアリティの>>続きを読む

キャプテン・ウルフ(2005年製作の映画)

1.8

ヴィン・ディーゼルの顔ってこんなに柔らかそうな感じだったか。子育て用品を武器と同じように全身へセットする細かいモンタージュが愉快。

地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.4

109シネマズ菖蒲にてIMAX鑑賞。軍用ヘリの羽音が劇場内を飛び回り、爆音が局所的に炸裂して全身を震わせる。極上の音響体験。映画そのものの強度が強く、アトラクション化されたところで本質に変わりなく感じ>>続きを読む

エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ(2005年製作の映画)

1.7

キャメロンの狂った価値観を直に見つめることのできる貴重な一本。冒険家としての勇姿をカメラの前で自己演出するキャメロンの目が真剣すぎて言葉を失う。いつかはこういう世界に人類代表で出会いたい、というどうや>>続きを読む

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

やたら危機的な状況に陥らないなと思って見ていたら油断した。脚本でこんなに驚いたの久しぶり。子供がスクリーン上ではっきり死んでみせる映画を何本か思い返す。『ジョン・カーペンターの要塞警察』、『タイタニッ>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

最後、フローレンス・ピュー絶対笑うなよ、せめて微笑んだりもするなよと思いながら見てたらしっかりスローモーションで救済された表情に。精神療法と映画言説の最も短絡的な接合。ハンマーで粉々にされる老人の顔面>>続きを読む

アカマタの歌 海南小記序説/西表島・古見(1973年製作の映画)

3.5

国立映画アーカイブにて『神屋原の馬』と併映につき鑑賞。『神屋原の馬』が35mm、『海南小記序説』が16mmの上映。「神屋原」と書いてカベールと読む。
闇の中から祭祀にのぞむユタの姿が朧げに登場し、言葉
>>続きを読む

ジャックは一体何をした?(2017年製作の映画)

3.0

猿と人間の口角のぶっきらぼうな合成。シンプルな末広がりを見せる構成の律儀さが愉快。