PERSPECTIVEさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

4.5

COWBOY BEBOP で知られる信本敬子が脚本に入ったためかバタ臭さと勢いづいた軽さが他の作品より目立っていたが、そんなご都合主義ばっかのヨタ話の連続を型に添った物語の多層構造と解釈して自分の範疇>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

5.0

劇中およびそのまた劇中、そして現実世界にまで展開や人物関係の入れ子構造が見事に働いた大傑作。とにかく35mmによって映し出された劇中劇の百花繚乱ぶりは絶景としか言いようがなく、さらに映像の流れだけでは>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.5

古今東西あらゆるサスペンス映画の“型”を再現し続ける愚直さと、最後にそれらを一思いに平らげる豪胆さ。
別軸の話が理不尽に交錯する構造や恐怖と希望の配合具合など、初監督作でありながら自分の特徴を知り尽く
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

5.0

映像(照明の当て方、カメラワークなど全て)が現代的なキレイを通り越してまるで70~80年代の名作洋画のごとく妖艶で、沼に沈むように引き込まれてしまう。こんな領域が邦画にあったとは。

ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

絶 命 勝 利 

テイストを初代および原作に近づけつつ、ゴア描写は維持した結果、シリーズ一暗く、重苦しく、救いのない作品が出来上がった。残虐な暴力を初代のM-60のごとく淡々と放つランボーの姿には、
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ランボー 最後の戦場 エクステンデッド・カット(2008年製作の映画)

4.5

劇場公開版の強みはほぼそのままに、原題の"RAMBO"よろしくランボーのキャラクター描写を強化したバージョン。
登場人物の魅力はほぼ5割増しで話により入り込みやすく、得られるカタルシスもよりすさまじい
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ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)

3.9

20年ぶりの復活で解禁されたゴア描写と、スタローンがひたすら真面目に追求した社会問題が見事にマッチし、強烈なカタルシスを生み出すことに成功している(類似例:ウィンド・リバー)。
反面、社会問題を優先す
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ランボー3/怒りのアフガン(1988年製作の映画)

4.0

はっきり言って前半の出来はシリーズ最低である。キャラクターに味気がなく、ひたすらタリバンの説明に尺を費やしている。でもここをぐっとこらえて観てほしい。後半戦になると、アクションのカット割りやヒロインと>>続きを読む

ランボー/怒りの脱出(1985年製作の映画)

3.6

簡潔に言えばシリアスなコマンドー(こっちが元ネタやぞ)。
様式美の形成といえば聞こえはいいが、前作とそれ以降の作品間の橋渡し的役割に過ぎないのも確か。
しかし名匠による、前作と対照的な明るく暑苦しい映
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ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)

3.8

ランボーにリスペクトを払った映画ということで観たが、それよりも原作の『一人だけの軍隊』に近い、過去の戦争から逃れられない者達による残忍かつ虚しい戦いがひたすら繰り広げられる。始まってすぐの無音から情け>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.8

「近頃なぜか岡本喜八」と思わず言ってしまうぐらいの岡本喜八テイスト。愚の骨頂「ジョジョ・ラビット」とは真逆の意味で「昔の映画のような」音楽とアクションに込めた力の重さには、ただ全面降伏あるのみ。

ジャズ大名(1986年製作の映画)

4.0

戦争を、それに葬られた人々を、生き残って苦しんだ人々を誰よりも真摯に、誰よりも必死に描き続けた岡本喜八が最後にたどり着いた理想郷。時計の隙間から狂気のパレードがハロー!

血と砂(1965年製作の映画)

5.0

戦争がもたらす「死」の前には個性も信条も、隣人への愛も、生きようという意思も、すべてかき消される。その絶望的な力を思う存分、もう嫌だと思うほど、堪能させてもらった。

8 1/2(1963年製作の映画)

4.2

白と黒があり、群衆と孤独があり、過去と未来があって...
キレッキレの映像が怒涛の勢いで目に迫る興奮と、「自分はいったい何を見ているのか」という困惑に混乱するしかない。
しかしその矛盾を解消するどころ
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

5.0

「戦争はいけないとみんな分かっているのにどうしてやってしまうのか?」
と疑問に思ったそこのあなた、常識や理性を塗りつぶす150分ぶっ続けの狂気と熱気のオンパレードが、その答えを教えてくれます。

地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

-

キレイにすればするほど、後付けすればするほど、この映画は未完成であるということがばれてしまう悲哀。

女は女である(1961年製作の映画)

4.7

モノクロからの
スタンダードサイズからの
スクリーン内のおキレイな女性像からの

解放のエネルギーたるや凄まじき

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.3

出来のいいワン・パターン。現実はどうあれ未来はキレイに。

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

5.0

彼はこの世で他の人と一緒に自由に生きたかった。生きられると信じきっていた。彼は気楽な男だった。

しかし神は自由を大地のみに与えていた。そしてその上で生きる人々は矛盾まみれのものとして作り上げてしまっ
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.7

レース映画と思いきやさにあらず。その正体は時代の流れにつぶされる古き良き(とアメリカ人は思っている)アメリカンスピリットの興亡を描いた西部劇であった。
 毎度音にこだわるジェームズ・マンゴールドだけあ
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3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

2.5

各キャラクターの描写はあまりにも表面的で、面倒になったら深掘りする前にさっさと殺してしまう。
間違ってもこれを西部劇と呼んではいけない。西部劇とは時代や場所の設定で”作る”ものではなく、演出の力によっ
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ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005年製作の映画)

4.2

ジェームズ・マンゴールドという人は「役者の顔の撮影と音楽にだけ凝って、全体のつながりに関しては知らん顔」という致命的な悪癖をもつ本当にどうしようもない監督なのだが、今作は音楽を題材にしているだけあって>>続きを読む

コップランド(1997年製作の映画)

3.4

スタローン×デニーロと思いきや実質スタローンのみだった件。
ロッキーというダメ男からキャリアが始まったスタローンだけに今回の純粋だけど覇気のない中年男役もとても様になっていて、スタローン好きとしてはな
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

5.0

あんなにややこのごとく愛しくてしょうがなかった作品が、すっかりいびつに成長してしまった。テンポも崩れ、明瞭さは失せた。しかし引き換えに狂気じみた寛大さを得た。これが引き起こすものは何か?すずさんの物語>>続きを読む

T-34 レジェンド・オブ・ウォー(2018年製作の映画)

4.0

90年代ハリウッドの懐かしき”乱雑さ”と”ロマン”を致死量まで追い求めた、最低最強の娯楽ヴァカ映画。最初から最後までうんざりするほどの既視感とたまんなくなる愛おしさでいっぱいです。

鬼戦車T-34(1964年製作の映画)

1.2

「なんか戦車借りれたからノリで撮りました」的な感じで作ったのかもしれないがそうだとしても全く許す気になれない。意味不明。ふざけんな。
戦車は出てきてもただ走って建造物を壊すのみ。しかもそのシーンも尺の
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

4.4

あらゆる点において追跡者の鑑たるREV-9やそれに対抗する”情に厚い肝っ玉母ちゃん+推しへの感情が強すぎる女サイボーグ+安心と信頼の最古参勢”による筋肉式女子会など、各俳優たちによるキャラクター造形や>>続きを読む

ゾンビ-日本初公開復元版-(1979年製作の映画)

2.0

絶対に真似してはいけないロードショー。昨今問題となっているタレント吹替と同レベルで鑑賞の妨げにしかなっていない編集には昔だから許されるとかいう次元を遥かに超えていた。ただ縦字幕はかなり見やすくてよかっ>>続きを読む

ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版(1978年製作の映画)

4.2

ロメロ版にあったジワジワとした恐怖感や社会批判をゴッソリ削り取り、身軽になったのはいいがつながりがなくなった分無駄な要素が多くなっているのはいただけない。あと音楽が粘っこさに定評があるプログレだという>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

3.6

 「大国アメリカも俺たちの手の中にあったのさ」と嘯く爺様たちの身の上話を延々聞き続ける210分間。同じ長尺ギャングものの「ゴッドファーザー」や「ワンス・アポンアタイム・イン・アメリカ」ではきっちり閉ま>>続きを読む

最後の追跡(2016年製作の映画)

4.5

この映画の主役はテキサスそのもの。そこはまるで西部開拓時代からずっと取り残されたかのように、最上の破壊とカタルシスを与えてくれる銃がものをいう極限空間。その中で生きる人間の、なんというはかなさと美しさ>>続きを読む

NO SMOKING(2019年製作の映画)

3.5

今を自由かつ確実に歩いている細野さんの姿があまりにも非現実的に輝いており、リアルな経路をたどる意味が全く見いだせていない(製作陣も途中でそのことに気づいたのか、星野源氏による経歴解説は途中でブツ切れて>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

この映画自体には何の価値もない。これまで映画のお約束とされた、観た者を特定の感情に誘導する装置がまったくない。あるのは独自性のない使い古しのオマージュと、とても現実的そうな中に紛れているちょっとした破>>続きを読む

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

4.8

明日は華よと銃を持ち、キミは華よとそれに立ち向かう。それを愉しむ見えない兄弟。
「信じる」ということがどれほど恐ろしく、また素晴らしいことなのかを延々思い知らされる。この世に一方的な意味しか持たないも
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