大鳥涙さんの映画レビュー・感想・評価

大鳥涙

大鳥涙

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

IMAX
広角の画面にキリアン・マーフィーの顔がアップになる。重低音とピントポイントフォーカスは雄弁に心象を語り、アクションものと異なるIMAXの威力を見せつけた。時間軸のパズルはノーラン節の真骨頂
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

記憶を巡ること。それは回想なんて陳腐なものではなく、人生の物語を紡ぐこと。何者にも代え難い、一人の人に与えられる宝物だ。そんな齢を重ねて漸く覚える感慨に、本作は心地よく導いてくれる。
アナのドラマが大
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エゴイスト(2023年製作の映画)

3.0

U-next
あり得る物語を上手い役者が演じて、飽きさせない映画ではある。好きな部類ではないが... 令和時代の作品なんだろう。

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

中世の物語のようであり、ギリシャ神話のようでもあり、でもやっぱりSF映画なんだなあ。サンドワームとバトルシーンの映像と音響に溜飲が下がる。実に壮大な絵巻物だった。IMAXでこんな映画を満喫できる幸せを>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

2.0

これは駄目だな。刹那さこの上ない物語を、薄っぺらい寸劇にしてしまった。
見えないものを映して、それを観るのが映画だと思う。

独立少年合唱団(2000年製作の映画)

4.0

WOWWOW
数十年ぶりに観た。やっぱり好きな作品だ。複雑怪奇な世の中や、一筋縄ではいかない人生といった答えの出ない問いへ、只ひたすらに苦悶するかのよう。初見時と同様、少年たちの歌声が感動的であった。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

AnatomyよりPathology の方が的確な気がする。
別人格の二者の関係は、お互いの心理を思いやって上手く擦り合わせることで調和を保つ。相反する様な境遇でも、良好な関係が成り立つ理由だと思う。
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愛のメモリー(1976年製作の映画)

3.5

U-Next
久しぶりにデ・パルマ初期の作品を鑑賞。
流石に雑なところが多く、青二歳が撮ったかのようなロマンサスペンスだ。技に溺れて... 最近もそうだけどシノプシスの根幹から外れそうになる意匠を、今
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.0

漸く映画館で見ることが出来た。
南へ訪れて少女が癒されていくような展開で、スペイン内戦史を交えた壮大なドラマが見たかったなあ。或いはもっと悲痛な内省的なドラマになっても見応えがあったかな。何れにしても
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スケアクロウ(1973年製作の映画)

3.0

午前十時の映画祭
ラストが如何にも70年代ニューシネマなんだな。ビルモス・ジグモンドのカメラが語りかけてくる感じだった。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

映画館で、伊福部昭さんの音楽に触れることが出来たのは嬉しい。佐々木蔵之介の絶叫は勘弁してほしい。シノプシスが如何にもあざとい。
それにしても、東宝はいつまでゴジラを作るんだろう。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

「ケイコ」には版画の包み込むような奥深さがあった。一方、本作には水彩画の優しいタッチが溢れている。多かれ少なかれ、世の人は苦悩を抱えて生きているのだろうが、その市井の人々の心情を切り取って、暖かく描い>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.0

U-NEXT
何でこれ見逃していたんだろう。不覚だった。川本三郎氏がキネ旬の1位に選んでいたので観ることにした。観て良かった。
川本さんが記していた通り、清貧の清々しい美しさは今の時代に忘れられつつあ
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秋津温泉(1962年製作の映画)

3.5

U-NEXT
流石に林光の🎵が流れすぎ。吉田喜重って、崩れないんだよなあ。そこが大島渚(京大)との違いなのかしら。成島東一郎の画は見事。

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

3.5

三島由紀子は硬質だ。鋭く貫いて容赦ない。「人間はみんな罪人だ」と、過去を飲み込んで生きて行く強さ。自叙的な物語に画面も揺れた。長回しに耐えた役者も見事で、何でこんなに評価が低いんだろう。なかなか見応え>>続きを読む

ある結婚の風景(1974年製作の映画)

4.0

U-NEXT
毎日一話ずつ観ていく豊かな数日間でした。やっぱり夫婦って、熟成して漸く味が出てくるのね。ベルイマンらしい厳しさを随所に秘めて、ラストは静かに落ち着いていく。後のファニーとアレクサンデルに
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

動物の本能と理性の葛藤は、ロブスター以降のランティモス作品で語られてきたテーマだ。感情と道徳も同様で、二律背反は成りたつのが人生であることを、このダークコメディは雄弁に描いた。
R18らしい過激な描写
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

3.5

U-NEXT
奥行きと陰影に富むファスビンダーのモノクロームだった。光と闇が隣り合わせに巣食う世の中だが、ドイツの歴史が物語に絡むとそれが怖立つ。
本作には伝統的なドイツ表現主義を強く感じる。結局ニュ
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.0

Last summer on the way to Munchen
記録を忘れるほど、残念ながらピンと来なかった😓

(1985年製作の映画)

5.0

U-NEXT
大きな映画が観たくなって、久方ぶりに乱を観た。正に壮大な戦国絵巻。描かれた人の世の悲しみに言葉が無い。やはり、一流の映画人が作った掛け値なしの傑作だった。

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.0

アメリカのルーツに迫る意欲作の一つなのだろう。エモーションに欠ける意匠は、物語を動かすエンジンのパワー不足を思わせる。まあA24らしいと言えばそれまでだが、物足りないなあ。あの時代の夜は暗すぎて、デジ>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

3.0

Netflix
ラテンの映画って何時もストレートだなあ。かなりショッキングな逸話でも、気後れせず撮っちゃう。本作の美しい遠景のように、映像に一工夫あるから目を逸らさずに見せることが出来るのかもしれませ
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ローザ・ルクセンブルグ(1985年製作の映画)

3.5

U-NEXT
トロッタ女史による革命家の物語。極めてエキセントリックなローザに眉を顰めつつも、迸る情熱は見るものを圧倒する。旧東ベルリンに今も残るローザルクセンブルク駅は、静かだが荘厳だと感じていた。
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ケス(1969年製作の映画)

4.0

U-NEXT
圧倒的な絶望が少年を包み込む。なのに少年の目は何処か力強く、不屈の闘志を感じる。ケン・ローチ後期の傑作群に繋がる精神が、本作には既に宿っていた。労働者階級の卑屈とそれを打ち破ろうとする次
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.0

音と画が繊細だった。シノプシスに深みは無いけど、料理も含めて美しいから最後まで見せてくれる。
食べることは生きること。
料理って人生も回すのね。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

ロードムービーに回帰した秀作。
様々な人と出会い、交わり、実存の価値が最後の最後に染み染みと伝わってくる。「今は今、今度は今度」と哲学も映像化して、やっぱりWendersはクールだった。

ほつれる(2023年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
揺らぐ女性の心象風景を、大変興味深く観た。舞台劇を映像で切り取ったスタイルは古今東西数多く、その一つになるのかなあ。この監督さんは、イングマール・ベルイマンのよ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5

今年は小品に心奪われた。その千秋楽を飾るかのようなカウリスマキの世界に浸る。
貧しくても、大きく道を外さず、真っ当に生きようとする市民を描いて、心から共感。主人公の決意が身を結ぶラストは、幸福感でいっ
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市子(2023年製作の映画)

3.0

世評は高いが僕には消化不良だった。どうしても「ある男」を思い出す。彼方は大人の映画、こちらは学生さんの作品のようだ。類型的人物像を重ね合わせた主人公が紡ぐ、そのドラマの彫り込みが浅くて、文人主義が根底>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.5

窓口でチケットを買うには、口にするのが憚られる題名だが、中身は見応え十分だった。
独りでは生きていけないのが人間という面倒くさい生き物。けれども相容れない嗜好や信条はある。寛容になって折り合っていくに
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

壮大な絵巻物を楽しんだものの、何だろうこの虚無感は... やっぱりエモーションが無いんだなあ。こういうのを見せられると、やっぱりスコセッシ辺りは映画を探求しているなあと思うのです。

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.0

Amazon Prime Video
貴方には私が側に付いていないといけないのです。前作に通じる不思議な感情で、私には理解困難。土田芳のような儚さがあれば、また違ったのかもしれません。

崖上のスパイ(2021年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
多くの鑑賞者がレビューされている通り、登場人物の顔があまりに似ていて、しかも似たようなダークな色調の服と帽子を被っているものだから、人間関係が混乱して理解できなく
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
スクリーンで見逃していた北欧の小品を、漸く配信で鑑賞出来た。
絶望的な気分が、何時の間にか幸福感に満たされていく人の不思議を描いて、俊逸な作品だと思う。余計な説
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Measures of Men(英題)(2023年製作の映画)

3.5

On the sky from Singapore
ユダヤ人迫害以前のドイツによる、レイシズムの萌芽と展開を描いて、実に考えさせられる作品であった。救いようのない絶望に包まれていくクライマックスまで
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