大鳥涙さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

大鳥涙

大鳥涙

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戦争と女の顔(2019年製作の映画)

3.5

どこまでも重苦しく救済の光が見えない悲劇に、怫鬱とした気分で映画館を出た。現在のロシアがオーバーラップする。只ひたすら暗い。民族性は遺伝子に書き込まれていくのかも...
作風は違うが炎628を想起した
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.5

原作物を映画化するのが得意の原田作品。今作は成功だったなあ。
エンタメに徹して、ノワール+アクションを描いて、率直に面白かった。肩で風切って映画館を出るのは、今の息苦しい世の中で何と嬉しいことか。「ホ
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.0

脚本は面白い。おそらく原作が良いのだろう。しかし演出は陳腐で、既視感満載の画とカメラワーク、眼を覆いたくなるようなショッキング映像を繋げているだけ。観客は爪が剥がれる映像を見たいわけではないと思う。そ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021年製作の映画)

3.5

この舌を噛みそうな名前の監督は、前作「心と体と」を観てからちょっと注目していた。案の定今作も、映画ならではの表現で、フィルムの質感の中に曖昧な男と女の関わりを描き、なかなか見応えのある作品であった。摘>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

横道世之介のテイストを予感して観に行ったら、刹那さは消されて、思いの外ファンタジーに寄っていた。天真爛漫を絵に描いてような主人公が、周りに支えられ励まされ幸福に包まれていくとともに、周囲の人々も幸せを>>続きを読む

グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

3.0

タランティーノばりのクライムサスペンスなのだが、何処かウェットなところは日本を感じる。大森と北野の違いは、そのウェット感をシンプルに表現できているか否かだと思った。
社会性を持たせようと詰め込み過ぎな
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.0

On the sky to IST
荒唐無稽なキングスマン。気品に欠けていたので減点。
ラスプーチンは期待以上の怪僧だった。

ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

3.5

On the sky to IST
見逃していたので、機内とはいえ早々に鑑賞できて嬉しい。
今作の根底に根付くヒューマニティーには、張芸謀ならではの優しさが溢れる。文革はドラマチックに過ぎるが、彼が撮
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.5

On the sky to IST
息が詰まる様な閉塞感が、ダイアナの心象を伝えている。ほぼ神経症と言える人の心理を、画と音楽にしようとする試み。ちょっと一本調子なのが残念だな。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.0

好評なので、封切り間も無くに鑑賞。
何とも不穏な恐怖を感じるジョーダン・ピールらしい作品で、ジャンルも単一に括られるものではないかな。一方、結構こけおどし的な中身に長時間も相まって、観終わって疲労感が
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ルシアンの青春(1973年製作の映画)

3.5

スターチャンネルex
先の見えない暗闇で、何の希望も持てず無為に生きる青年が、その無機質な姿を僅かながら変えることで堕ちてゆく。賢く振る舞おうとしたようには見えず、何かに導かれるままに行動した結果だっ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.5

倫理観が異なるのでとても共感は出来ないものの、主人公の不安定な気持ちの持ちようは、伝わって来たように思う。周りから生かされている人生の不思議に気がついたようで、でもやっぱり自己本位だったり。
北欧らし
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.0

クルド難民が不法に日本で暮らす悲劇を描いて、実に切ないドラマのはずが、何処か瑞々しい気持ちの良さを感じる。ティーンエイジャー達の前進しようと見つめる眼差しが、その原動力で、本作品の魅力だ。現在の日本で>>続きを読む

鬼火(1963年製作の映画)

3.5

スターチャンネルex
日曜日の朝からこんなものを観てしまった。虚無と焦燥感に包まれるモーリス・ロネ。ルイ・マルは何時もラストに余韻を残す。今作も鮮やかに終わった。

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
国家の嘘を正面から暴いて、面白いドキュメンタリーだった。一人称で語らない国家権力など、信じられる筈もない。これはルーマニアだけの話ではなく、今の日本にだって、多か
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セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)

3.5

Amazon Prim Video
英国では高評価だった怪作。エクソシストのようで、奇跡の海のようで、仮面ペルソナのようでと、次々と映画の記憶が甦る。宗教の欺瞞が社会問題化して久しい昨今、狂信から悪魔
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あなたと過ごした日に(2020年製作の映画)

3.0

ある家族のドラマ。全くピリッとせず、凡庸であった。あの大袈裟なクライマックスを見せられては興醒めだな。医師としてマクロな視点で人々に尽くす姿が、社会の安定に繋がらないのが、失礼を承知で記せばいかにもラ>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.0

Netflix
荒唐無稽とも言えるアクション大作を配信で、65型のdisplayで観る。映画ファンとしてこれで良いのだろうか?と自問しながらも、一気に観た。何も心に残らないが、世の喧騒を忘れて楽しむ。
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.5

富める者から奪い取る。
人を侮ってはいけない。嫉妬心は人の心の奥底に眠り、ふっと目を覚ます。世の中は僅かな富裕層と中間層と、でも多くは多かれ少なかれ虐げられ、我慢して生きている人が作っている。我慢の向
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浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

3.0

WOWOW
映画好きなら面白く観れる部分も多いが、全体としてはあざとさと先が見える脚本が残念だった。時間軸の入れ替えや、笑いの要素は私にはつまらなく、もっと正々堂々と撮れば良いじゃんと思ってしまった。
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コンプリシティ/優しい共犯(2018年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
法を犯しても守るべきものはあるということ。
異国で触れる優しさが、人生を変える。僕も少なからず経験した。
蕎麦を打つ無心に、日本人の美徳を感じた。こんな人でありた
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.5

人の死は即物的だ。だからこそ尊厳を持って周囲は見守らなければならない。本作はそんな真っ当な倫理観を描いて、現代社会へ警鐘を促した。
親子愛のような、事更にウェットな関係性を盛り込まなかった点に、何度か
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ディア・ドクター(2009年製作の映画)

4.0

日本映画NET
久しぶりの鑑賞。
何度も観ているはずなのに、作劇の面白さに見入ってしまう。西川美和の物語は、ドラマを縁取る枠造りに妙があると思う。
他者を信じることの大切さを教えてくれる映画。

親密さ(2012年製作の映画)

4.0

日本映画NET
感情が言葉を支配した時に、人と人との関係が一気に崩壊する。その様と、一方でゆっくりと再生されていく二人の心の結びつきを描いて素晴らしい作品だった。後者の描写が映画ならではのリズムで、夜
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.0

緩いなあ。人を結びつけるコンテンツは無限だから、こういうのもある。でも僕は特に共感出来ずに終わった。僕みたいな客には、虚しさが残っちゃうね。
今年は良いシャシンがないなあ。

ナワリヌイ(2022年製作の映画)

3.0

世評が高く期待したが、ドキュ作品の標準枠に収まるものだった。
プーチンやロシア国家が悪なのは周知されたこと。もっと掴みどころのない、何か得体の知れない魔物のような存在を描き出して欲しかった。
ワクチン
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破戒(2022年製作の映画)

3.5

この100年で変わったことと、変わららないことが、朧げながら見えたような気がする。マスコミは、現代は不寛容な社会と書き立てるけど、本当にそうだろうか?僕は確実に人類は進化して、世の中は包容力を身に付け>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

3.5

オープニングから独創的で、一目でラーマン作品と判る。私はあのマシンガンカットとメリーゴーランドの様なカメラワークが苦手だが、他の作家に出来るかと言えばそうでもないように思う。
孤独なプレスリーのクライ
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奇跡の丘(1964年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
スクリーンで観れず、66型TVで鑑賞。
イエスをまるで革命の闘士の様に描き、共産主義への賛美を盛りこんだ物語になっている。結局は力の支配に命を奪われるのだが、その
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峠 最後のサムライ(2020年製作の映画)

3.0

小泉堯史監督のセンチメンタリズムが空回りしたとしか思えない。生真面目だが、面白くない。そもそも説教臭くて、道徳の勉強しに劇場で金払ってるわけじゃないんだから。一流のスタッフ、キャストで司馬遼太郎を撮っ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.5

PTAはアルトマンの後継者と言われた時期もあった。流麗なカメラがちょっと鼻につく本作は、物足りなさも... それでも、フッと心が揺れる瞬間を捉えて、その辺りのジャリ映画とは別格だと思うけど。多分、予定>>続きを読む

if もしも・・・(1968年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
これは面白いよ。何でこれまで見逃していたんだろう。
英国らしいアイロニックな物語で、度肝を抜かれるクライマックスも見事だった。
後にマルコム・マクダウェルは「時計
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

身を潜め社会の裏側で生きる人々を描いて、是枝監督の真骨頂が発揮された作品。叫ばれて久しい共生の本意を博愛に見出し、それが裏社会で生まれてくる点に、人の世の不思議を感じる。果たして日本で
共生は成り立つ
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天城越え(1983年製作の映画)

3.5

WOWOW
何十年ぶりの再鑑賞。田中裕子の独特な魅力が発揮された清張ドラマで、アップの画が、彼女が併せ持つ艶っぽさと幼さを見事に捉えていた。ネチネチした演出は飽きが来たけど...

シチズンフォー スノーデンの暴露(2014年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
観る者に告発する声を送るドキュメンタリー映画だった。スノーデンの人となりが分かったのことが収穫。サスペンスフルに描いて飽きさせない面白さは、アメリカらしいのかな。
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

幸せとは、自由で無限の可能性があること。多様性が認められ、何人にも抑圧されない人生。アミンとは比較すべくもないが、自分自身も今様々な圧力に辟易としていることもあって、鑑賞中は絶え間なく’幸せ’について>>続きを読む