髙さんの映画レビュー・感想・評価

髙

フード(1993年製作の映画)

5.0

保存/輸送技術によって多様化した食事のあり方をブレックファースト、ランチ、ディナーという様式として違ったレイヤーから捉えて描く大傑作。皮肉も感じるけれど、それがうまい、とかいうよりも、単純に世界がすご>>続きを読む

ダウンサイド・アップ(2016年製作の映画)

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テンポや色味、ユーモアセンスがロイアンダーソン的でとてもよく、造形、リアクション、かなり理想的。
描きたいことのためだけに完結した論理で、その不合理が笑い/不安になる。

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

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デヴィッドを目指しながら、デヴィッドを目指してはならない状況に引き裂かれる息子。
私は私、属性で見ないでくれというブランドンの嗚咽が聞こえる。
アイデンティティ確立のこじれが個人主義的な方に噴出してし
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

2転3転する良い倒叙サスペンスだった。
脚本の力がそのままに伝わる。
なんかの杯を受け取るほど優秀な子が貧困ゆえに折れゆく現実、金が足りないならという選択。
アメリカ軍基地、軍拡の抱える、恐れる未来か
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

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人と共に観たので、完璧に向き合ったのかと言われると、厳しい。
ヴェルクマイスターハーモニーもサタンタンゴも、巨大な視点から生まれる虚しさと、でも生きてるししょうがないという人々の浅ましさと逞しさ(とい
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日の丸~寺山修司40年目の挑発~(2022年製作の映画)

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映画自体の製作者自身に収束していく感じが答えを考えるのにはうるさいけれど、真面目に難しいことに向き合っていて身の引き締まる思いはする。
1967年当時に答えた人々リンクするような作りになっているが、本
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

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永遠の秩序を求めて絶望する?
冒頭、太陽系の動きの再現は端的に物語全体を示唆していて震えた。
新鮮な空気を入れますよ、のところの本当に鼻が透き通る感じとか、太陽は永遠、見世物は見た?▶太陽に向かって歩
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黄金時代(1930年製作の映画)

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イメージの魅力はアンダルシアの犬に劣る。
恋愛映画なのだけど、トイレからマグマの映像に移り恍惚とするシーンはだりっぽさ満載で良かった。

陸地にて(1944年製作の映画)

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何にも還元できない、分からん。
マンレイっぽいと思ったくらい。

女神の継承(2021年製作の映画)

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面白くないです。
手法の効果が見事に裏返るイマイチな出来。白石晃士の方が数枚上手。
モキュメンタリーという体裁をとるなら、それを徹底しなければ至る所に突っかかりが生まれてしまう。没入感のための装置が没
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午後の網目(1943年製作の映画)

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ホルモンの包丁ハサミカッターナイフドスキリを思い出すイメージの変遷。
自然に反復はあり得ないので、それだけでどきっとする良さはある。

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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広い。そして面白い。
一作目よりも各陣営の目的が明確で主人公の人間関係に恋愛要素が加わり、sfアクションとドラマの良さ両方が楽しめる。
戦闘や世界を描く圧倒的な映像と劇伴に人間関係や内情の変化の細やか
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

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脚本は二転三転して展開もスピーディで一作目に劣らず面白い。
かなり間が空いたので前作との確かな比較ができないが、何か新しいことをしているなというふうには思わなかった。
画面を映すことでできる小ネタはあ
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

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楽しかったけど、こういう映画だよなというのは超えない。
「犬が死なない」にどこかサメ映画的なノリを感じてしまう。
殺し方、生き抜き方が楽しい映画で、それがしっかり新鮮だった。

14歳の栞(2021年製作の映画)

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あの日あの時のあの人の隙間が埋まっていくような体験というよりも、当時の自分の視野が狭すぎるがゆえに、出てくる人たち各々に自身の影をみるという体験だった。まぁそれさえもカメラに映されていたけれど。
だか
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ハロー!ブランニューワールド(2020年製作の映画)

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MONDAYSへのアイデア。
タイムループが単なるギミックではなく退屈な日常の比喩になるという構造に気づけるのがすごい気がする、他にあったかな?
あと、ツイてないなぁ程度の不運に落ち込む人にグッときて
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劇場版 あしたのジョー2(1981年製作の映画)

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ほぼ総集編だが、音楽やセリフが差し替えられている(違う声優?)箇所も多い。
思い出される名シーンの数々が全て見られないのは仕方ないとして、総集編を劇場版と謳うのは謎。
良いものぶつ切りでもまだ良さがあ
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ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター(1993年製作の映画)

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良かった。
喋るのを辞めた、と同時に抵抗するロバを映すとか、犬が指を舐めるタイミングとか、とにかくセリフと演出が全編にわたって緻密で感服。
音楽も良く、zooでマイケル・ナイマンを嫌いにならないでよか
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ZOO(1985年製作の映画)

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生と死を司る結合。
構図、白と黒、双子、身体、人間と動物など様々な対称を通して鏡向かいの存在の相互補完性を語り、生と死の境界を曖昧にする試み。

どうにか考えて出てきたのがこのくらいで、正直よく分か
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デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975年製作の映画)

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新人類の象徴、臓器の変容。
クローネンバーグらしいゾンビ映画解釈であると共に、最新作まで貫徹しているクローネンバーグの性癖に敬服せざるを得ない。まぁでも確かに、人間という形を保ったまま新人類へと移行す
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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

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何か足りない、どこか落ち着かない。
だから動きつづける、というのは非常に力強いのだけどパワフルに描かれていなくて、当然でしょ、という静かさ。
え?歩かないの?と、足を止める自分に真顔で声をかけてくる感
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ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

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伝統が時代によって変化を要請されるとき、正直どうするべきとは決め難い。
劇中では祭りの規則が差別意図とほとんど同化していくが、実際のところ、(発端はどうであれ)ここに差別意図を見出すのは過剰な気がしな
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仮面ライダー THE NEXT(2007年製作の映画)

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当時、トラウマになったのを覚えている。
見返してみるとそれもあってか、ホラー部分はなかなか良いと感じる。
デザイナー、衣装は異常に良い仕事をしていると思う。
他はもう。。。。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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真実の作り方。
社会的真実において体験者の主観よりも合理的に見えて分かりやすい想像上の客観が優遇される。
何が真実か不明なときに必要なのは、最終的には曖昧なまま決断を下すこと、というのは千葉雅也も書い
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絶対の愛(2006年製作の映画)

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展開に無理があれば描いていることに納得もいかない、アイデア先行の駄作だと思う。
愛の本質はそこじゃない、と言いたいのは分かるけど整形大国化問題を引き合いに出すとちょっとズレているように感じる。
社会的
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ピアニスト(2001年製作の映画)

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愛とは厳格な調律と頭で理解する中年女の、性愛との邂逅。
過剰に情緒を排したトイレでの射精ゲーム、涙なんて排泄でしょうという態度、また、排泄が管理から逸脱した自分を綺麗にする手段という感覚、笑った。
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(2005年製作の映画)

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外は欲望のままに手を出し、中では結婚までプラトニックを貫く(たとえそれがグルーミングであっても)相思相愛がある。どうしても、何かを踏みつけて生きていかなければならない私たちの幸せ。これは一つの究極だけ>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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長ぇ。
約10年時を共にしたシリーズの完結という感慨はややあれど、名前のない男は長く引っ張る敵としては魅力に欠けるし、初っ端の演説もラジオの演出もダサいと思ってしまうし、自身の趣向の変化を感じた。
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

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さよならだけが人生だ(だから全部忘れたい)

さよならだけが人生ならば また来る春はなんだろう
になる過程。
ギリシャの奇妙な波、という括りがいったいどういう基準のものなのか不明だが、アッテンバーグ
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心霊写真(2004年製作の映画)

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jホラー的という言葉が昨今のjホラーを鑑みると侮辱になっているのではと考えてしまうけれど、ビジュアルや演出に呪怨感がありなかなか良かった。
事故のシーンで挟まれるカットに無駄が多かったり、なんとなくあ
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