アクセルガツキーさんの映画レビュー・感想・評価

アクセルガツキー

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バービー(2023年製作の映画)

3.2

着想は面白いし、最初は「すごくいい」と思って見ていたのだけど、段々と違和感が立ちこめ色濃くなってくる。

物語の内容から、これが「何も考えず楽しめればOKなエンターテインメント」ではなく、「社会の変化
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.8

ふわぁ…安心する。
描いていることは切実で深刻なのに、やっていることは「バカバカしい」。それが素晴らしい。

たとえば、これって南極まで行く必要ありますか?(行かなくても成立するよね?<原作がそうなの
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.6

多分、みんなが指摘しているであろう
これは「21世紀版・トーキョー天使の歌」。
(みんなって誰だよw)

でもなあ、『ベルリン・天使の歌』あの時代、あの瞬間、ベルリンであの作品を撮ることに、取り替えの
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怪物(2023年製作の映画)

3.1

まず、タイトルが駄目だ。
このタイトルの付け方に作り手の残酷さと利己性が映っていると思う。

何が「怪物」なん? 考えろだと? そういう戯れ言は休み休み言って欲しい。このタイトルによって誤解を生み、結
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

好きな方が読むといけないので…原作小説を(以下、批判します)、上梓された直後に読んだのだけど、正直、吐くような嫌悪感を覚えたことをよく覚えている。

何故かというと、性的マイノリティをはっきりとギミッ
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エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(2015年製作の映画)

3.8

呑気でええなあ…(この頃のアメリカはイケイケやな)
めっちゃ「ホモソーシャル」だけど、大丈夫そ?

…などなどあるが、それでもこの楽天的な雰囲気は悪くない。
これがベストではないけれど、これと現実との
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.9

静かに、当たり前のように、狂っている。
この世界の人物たちが、ではない。作り手が、だ。

動き続ける主人公(ガミ)は、実は動いていない。その存在自体が、まるで世界に向けられたレンズのよう。
そして、そ
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.1

いいですね。いいとこ沢山!

「挫折したからこそ真実を掴む」フランスってこういうのめっちゃ好きだよね?なんか死ぬほど見たぞ?とか、
正統的な《文化》の頂点にいて傷ついた女性を、ある意味で周縁にいる男性
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

題名や宣伝で「パズラー」のような内容を当てこんでいたのですが、想像以上にモラリスティックな話でした。
何故なら、これは一人の少年の成長譚だから。

パズラー(謎解き)でも、法廷劇(法廷での応酬で常識の
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小説家の映画(2022年製作の映画)

4.1

ふにゃにゃ、すごい…

モノクロ×オフビートは、確かに何かに似ている。
実際、僕にはぴたぴたと言い当てられないけれど、ここには「映画的記憶」が横溢していると思う。が、何にも似ていない。

主人公がすぐ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

優しくて、でもままならなくて、やるせなくて、本当はたよるものなんてなくて、まるで細い糸をたぐるようで、切なくって、スッキリするような解決なんてなくて、生きる。
希望を感じる。
生きるってそういうことだ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

素晴らしかった。すごく好きです。

誰だって、自分を自分の思うままに動かせる訳じゃない。
それ以前に、その「自分の思う」という時の自分が、自分という人間のすべてである訳がない。
「人からどう見られてい
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.9

完璧だ。

たおやかに見えて、あまりにも凝縮された3時間。…短すぎる。

30年も休んでいて、一瞬ではるか上空を抜き去って行くなんてズルい…。無論それは冗談としても(別に休んでいた訳じゃないしね)、映
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.8

これ、ずっとシリーズで続くのかな…

何も持たないが故に純粋なヒロインと、それを救おうとする探偵。
立ちはだかる富裕層のエゴ…すでに「型」ができあがっているように見える。

ちょっと謎解き要素が弱まっ
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.0

おもしろい! と、言わざるを得ない笑。

やられた。洒脱だなあ…
あの伏線がこう効いてくるのか(まさか!)
これって映画(映像)でしかできない反転だよなぁ。

なんにも考えず素直に楽しめる。
いや、め
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ひとは物事を「順序立てて」思い出しはしない。
強く印象に残ったことや、小さいけれど引っ掛かったこと、気になっていることやどうでもいいこと、それらをバラバラに思い出す。
あれとあれはこうつながっていたの
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.2

素晴らしい。
二つに分断された民族、国際社会の中でのSOUTH-NORTH KOREA、ソマリアの内戦、国家によって違う人生…こんなに「おもしろい(語弊はあるけど…エキサイティングで深く穿つ)」映画が
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オットーという男(2022年製作の映画)

4.0

特に新しいところはない。
…し、映画としてのチャレンジも特にない。

けど、沁みますね。
さすがに上手い。

何度も出てくるこの題材(Suicide)はいやだな。
だけど引き込まれてみてしまう。

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あしたの少女(2022年製作の映画)

4.7

強く強く、悼んでいる。
静かに静かに、怒っている。
そして、冷静に明晰に、現実と社会と対峙している。

制作者・韓国の映画人に深い敬意を抱く。
ずっと心に残る映画だ。

2時間15分、音楽なし。
現実
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僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

うーん…。

竹田ダニエル氏『世界と私のAtoZ』に描かれる北米のZ世代を映画にしましたって感じの話。…なんて言うと怒られるかな? 怒られると思う。

政治的な発言や発信、活動をする「Z世代」の背景に
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

おもしろい!
さすがにこれは内容書いちゃまずいと思ったけど、作品紹介に書いてあった(ここまで先に書いていいのか…)。
なんとなく「ミツバチのささやき」的な不穏な感じを醸し出しつつ、手持ちを多用し現代的
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.1

やられた…。

マッチョ(で弱肉強食のリヴァイアサン)な世界の隣にある、もう一つの優しい世界線の話のよう。いや、その世界の真ん中で生きられない人物達が辺境で出会い、その邂逅の場に生き場所を作ろうとする
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

何故、「巨匠」カウリスマキが、わざわざ引退を撤回しこの小さな作品を撮ったのか、もしくは撮らなければいけなかったのか?

答えは、開始して3分もたたないうちにはっきりと示される。
ラジオのニュースが、恐
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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

4.6

本当にほんとうにすばらしい。
みれてよかった。
映画館でみたい。
世界水準、一番良い時の香港映画のようなニュアンスもあり、映像も美しく緊張感が途切れない。コロナがなければ、世界的なヒットになっててもお
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

3.0

いかにもセンスが古く、見え透いてしまう。
京成立石はいいね。でも、すごく図式的だ。(これが街を魅力的に描く、ということだろうか?)
松本穂香はすばらしい。
(連投すみません)

桜のような僕の恋人(2022年製作の映画)

2.9

さすがにひどいでしょ。
こんなふうに人の死を扱わないで欲しい。恣意的な死がなければドラマが成立しないみたいだ。
松本穂香はすばらしい。
(知らなさすぎて俳優さん軸を頼るしかない)

恋のいばら(2023年製作の映画)

3.8

結構おもしろい。台詞が上手い。
けど、盛り上がらんなあ、なんともという印象でした。
ドラマとやりたいことが合ってないんじゃないかなぁ…

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)

3.7

内容としては、なんというか…妄想的というか。ただ、30歳というのがいいね。

栴檀は双葉より芳し。

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)

4.0

百本ノックのように、苦行のように修行のように流行ったっぽい邦画をみているのですが、今のところこれが一番おもしろかったです。
すごくパーソナルな「問題」から、ぎりぎり大きな社会的な問題を経由し、再び個人
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.7

とても、
とてもとてもとても素晴らしかった。

これ、演劇なんだよね。
そして、シナリオもその劇作家も書いてるんだよね?
少し奇妙な話だけど、この作品で見失いかけていた演劇の可能性を感じました。本当に
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

4.0

よかったですねぇ…。
ユニセフの映画って、説教っぽいのではと思ったけど、多少そういうところはありつつ遊び心が一杯。ステロタイプのカリカチュアや、人と交流するユーモアがある。この余裕なんだよなあ…文化っ
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

ビル・ナイが良すぎる…
随分モラリスティックな仕上がりになったけど、全部納得できる。抑え、矜持を捨てず、変化が見えないようで確かに変化があり、それでもこぼれ落ちるものが素晴らしい。
ビル・ナイがやるな
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.0

ものすごいハイ・コンセプト、
だけど、結論はものすごくロー・コンテキスト。

製作者のほとんどは「いつか人をあっと言わせるようなハイ・コンセプトの作品を作ってみたい」と思っているものだ。そして、アジア
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

わたし達は分断されている。
ロベール・ブレッソン『バルタザール」を思い出すのは当然のことだけれど、あくまで「濃密な」人間ドラマが描かれる彼の作に対して、ここに描かれる人間達は「薄っぺらく」あっさりと欲
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新喜劇王(2019年製作の映画)

4.7

本当に素晴らしい。
作品の密度としてはオリジナルの方が高いのは当然、香港返還直後に大きな力に抗うように作られた奇跡の作品にはかなわない(かなう訳ない)。あの時は確かに神が降りていた。だけど、20年がた
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