R41さんの映画レビュー・感想・評価

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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

5.0

秘密の森の、その向こう

2022年 フランス作品/原題:Petite maman

この作品は謎であり、ファンタジーであり、そして現実だ。
娘・母・祖母の三世代をつなぐ喪失と癒しの物語。
森は、記憶
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フロントライン(2025年製作の映画)

5.0

映画『フロントライン』──人道と不可知の境界で

2025年公開の映画『フロントライン』は、2020年2月、日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」を題材
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ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン(2023年製作の映画)

4.8

人間主義的ヴァンパイアが探すもの──『Humanist Vampire Seeking Suicidal Person』をめぐる死生観

この長いタイトルを直訳すれば、「人間主義的なヴァンパイアが自殺
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好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

4.7

好きにならずにいられない(Fúsi)
──孤独と優しさの閾値をめぐる私的考察

ベルリン国際映画祭やトライベッカ映画祭で賞を受賞したアイスランド映画『好きにならずにいられない』
原題は「Fúsi」、主
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

4.8

ペナルティループ──欲望の代償と人間の成長

海岸で燃える紙片。
その灰の破片に、かすかに見えた「極秘」の文字。
この一瞬が、物語全体を貫く暗い影を象徴している。

『ペナルティループ』は「タイムルー
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ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

4.8

ウィキッド 二人の魔女 ― 魔法とは何か?

「魔法とは何か?」
それは力か、呪いか、それとも私たちの心に潜む希望なのか?

映画『ウィキッド 二人の魔女』は、オズの国の裏側を描く物語だ。
緑の肌を持
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ヘッダ(2025年製作の映画)

4.7

救いと悪夢のあわい──水底に沈む愛の残響

導入

電話のベルが鳴った瞬間、彼女は救われたと思った。
だが、その声の冷たさが、彼女を再び深い闇へと引きずり込む
。華やかなパーティの裏側で、愛と虚栄が交
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先生の白い嘘(2024年製作の映画)

4.9

先生の白い嘘——本心と赦しのあいだで

漫画原作の実写化作品『先生の白い嘘』(2024年)は、性差と暴力、そして「本心」と「嘘」の境界を問いかける重厚な物語である。
この作品は、登場人物の過去や社会的
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アンノウン・ボディーズ(2017年製作の映画)

3.7

アンノウンボディズ


2019年の作品
ベルギーのベストセラー小説が原作
クライムミステリーになると思うが、犯人が誰かと考察しながら見るミステリー要素に主軸が置かれている。
そしてこのミステリーに関
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マニブスの種(2021年製作の映画)

5.0

忘れられた約束と不気味な優しさ──『マニブスの種』批評エッセイ

2022年公開、2021年制作の『マニブスの種』は、コロナ禍の只中で生まれた25分のショート作品である。
物語の中にコロナというのは一
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法廷遊戯(2023年製作の映画)

5.0

いいねをくれた方々ごめんなさい。再度見て、書き直しました。

正義の名を持つ者が選んだ贖罪──映画『法廷遊戯』再鑑賞記

初見レビュー:無辜ゲームの幕開け

映画『法廷遊戯』は、結城馨という青年の父が
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私たちの過ち(2025年製作の映画)

4.3

2025年の作品
スペインのベストセラー小説の映画化
そして、「俺の過ち」 「君の過ち」に続く第3弾がこの作品のようだ。
あくまで恋愛にこだわり抜いた作品
運命というのか、使命というのか、恋愛が成就す
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クレイヴン・ザ・ハンター(2024年製作の映画)

4.7

クレイヴン・ザ・ハンター —— 正義という名の野生

「正義とは何か?」
この問いが、映画『クレイヴン・ザ・ハンター』を貫く一本の棘のように、観る者の胸に刺さり続ける。

本作は、マーベル・ユニバース
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エデン ~楽園の果て~(2024年製作の映画)

4.7

エデン 楽園の果て —— 正しさという幻想の果てに

誰が正しかったのか?この問いが、映画『エデン 楽園の果て』を観る者の胸に、終始重くのしかかる。

実話をもとにしたこの作品は、ガラパゴス諸島の孤島
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美しき棘(2010年製作の映画)

4.9

美しき棘──喪失と再生の17歳

2010年のフランス作品で、時代背景も2010年のようだ。
この作品は、フランスの純文学と呼ぶにふさわしい。
物語は「筋」にあるのではなく、主人公プリュダンスの心の揺
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もしも徳川家康が総理大臣になったら(2024年製作の映画)

4.8

映画レビュー:『もしも徳川家康が総理大臣になったら』

2024年の作品。原作は同名のビジネス小説のようだ。だがこの映画に込められているのは、単なる娯楽ではない。現代日本の行き詰まり、そして人々の「ど
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M3GAN/ミーガン 2.0(2025年製作の映画)

4.6

ミーガン2.0──共進化する人類と機械の寓話
「あなたは昔とは違う。私もよ。」

この一言に、すべてが込められていた。
2025年の映画『ミーガン2.0』は、前作の恐怖と警鐘を引き継ぎながらも、より深
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夏目アラタの結婚(2024年製作の映画)

4.7

2024年に実写化された『夏目アラタの結婚』は、同名のベストセラーコミックを原作とする作品である。
死刑囚との結婚という衝撃的な設定を通じて、人間の本心、制度の意味、そして「結婚」という行為の本質を問
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忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

4.2

呪いと幻想の境界──映画『忌怪島』をめぐる記憶と問い
2023年に公開された映画『忌怪島』は、ホラーというジャンルにバーチャルリアリティの概念を持ち込んだ、ある種の実験的作品である。だがその実験は、最
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あの人が消えた(2024年製作の映画)

4.9

2024年の作品
「小説家になろう」という実際のサイトがあることや「小説版」があることで、この作品は底から来たのかと思っていたが、実際にはこの映画のために作られた脚本がオリジナルだった。
ここにも監督
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ディサピアランス 消えた姉(2019年製作の映画)

4.6

2019年の作品
アメリカンサスペンス・スリラーの典型的な型

これまでも似たような型でいくつもの作品が作られてきたが、その過程で洗練されてテンポの良い飽きのこない作品に仕上がっている。
特に、物語の
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.8

2023年の作品 そしてあのA24が制作したもの。
A24らしいジャンルを超えた挑戦的な映画でありながら、家族やアイデンティティ、選択と可能性といった普遍的なテーマを扱っている。

これを表現するため
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おいしくて泣くとき(2025年製作の映画)

4.6

2025年の作品 同名タイトルの長編小説の実写化
思い描いた夢
または、そこしかないと考えてしまう着地点
でも現実は真逆を突きつけてくる。

この物語は、誰にでもあるそんな出来事に寄り添うように手向け
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違国日記(2023年製作の映画)

4.9

違国日記──「違う国」に生きるということ

2024年の映画『違国日記』は、ヤマシタトモコ原作のコミックをもとにした作品だ。
だが、その語り口は漫画的な誇張や説明を排し、むしろ純文学のような静けさと余
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リアリティ(2023年製作の映画)

4.6

2023年のこの作品は、実録そのものといっていいだろう。
この実際の「出来事」が映画として表現された背景は、主人公のリアリティという名前とその「出来事」に対する是非を、今一度社会に投げかけたかったにほ
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ウォンテッド(2008年製作の映画)

4.7

『ウォンテッド』(2008)レビュー

アメリカのグラフィック・ノベルを原作とした実写映画
アメリカのグラフィック・ノベルを原作とする本作は、納得のいく仕上がりだった。

フリーメーソンを想起させる秘
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ノルウェイの森(2010年製作の映画)

4.6


言わずと知れた村上春樹さんの代表的な小説
2度は読んだと思うが、映画になればそれは、作り手の解釈になる。
そして、小説に心が揺さぶられた場合、映画の解釈に純粋に焦点を当てることもまた難しい。
非常に
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.7

『パール』──サイコとXファクターの交差点に立つ者

A24製作のホラー三部作のひとつ、『パール』時代背景としては最も古く、1918年のスペイン風邪と第一次世界大戦という暗い影がアメリカ全土を覆ってい
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海街奇譚(2019年製作の映画)

4.5


2019年製作の中国映画 日本では2024年1月20日に劇場公開
異常なほど難関な作品 その意味で「ボーは恐れている」を上回っている。
それ故に、最後に字幕で「この劇は回顧だ。回顧は真実と違い脚色で
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プレイ・ダーティー(2025年製作の映画)

4.7

『プレイ・ダーティ』を二つの視点で読む

——整理された批評と直感的レビュー

はじめに

この映画を観たときも、直感的なレビューから書き下ろした。
その後、作品の構造やテーマを整理してみると、また違
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X エックス(2022年製作の映画)

4.6

『X エックス』──ホラーとポルノが交差する場所で

1979年を舞台にした2022年の作品
「マキシーン」の前編であり、あの「ミッドサマー」と同じ映画スタジオA24の作品

名声と富を夢見る若者たち
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あのコはだぁれ?(2024年製作の映画)

4.3

映画『あのコはだぁれ?』レビュー

―ホラーの限界と魂の音―

またしてもやってしまった。ホラーだと知らずに観てしまったが、観たからには最後まで見届けるしかない。

どこかで見たような「家」だと思った
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ターミネーター4(2009年製作の映画)

4.9

今回のレビューは少しだけ狂っています。(要注意です)


魂を持った機械──『ターミネーター4』に見る人間性の可能性

マーカス・ライトという男は、死刑囚として命を終えたはずだった。
だが彼は、サイバ
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ファインド・アウト(2012年製作の映画)

4.5

ファインドアウト


原題名「gone」
2013年の作品
アメリカでは未だに社会問題化している「ミッシング・パーソン」 
毎年約36万人の0~18歳の行方不明が発生しているアメリカだからこそ、この物
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.8

スパイの妻

エッセイ:『スパイの妻』——狂気と正義の狭間で

2020年、黒沢清監督が自身のNHKドラマをセルフリメイクした映画『スパイの妻』は、単なる戦争スリラーではない。
俳優陣はドラマ版と同じ
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真夏の方程式(2013年製作の映画)

5.0

真夏の方程式 

 2013年の作品東野圭吾さんの原作
そしてこの映画はガリレオシリーズの中でも最高傑作だと思う。

物理学者湯川にとって、自然現象や人間の行為を暴くことは可能だが、子どもに対する嫌悪
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