ryoさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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複雑で微妙な人物像、歴史的立ち位置にあるオッペンハイマー、ロスアラモスでマンハッタン計画を率いた原爆の父でありながら完成の際にはバガヴァット・ギーターを引用して悔いてみせ、水爆に反対して赤狩りに遭った>>続きを読む

ハンズ・アップ!(2010年製作の映画)

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“Sans papiers”。サルコジ政権下で抑圧される「紙のない者たち」とその抵抗を、子どもたちの視点から描く。視点(カメラの位置)の低さ、地下室からの革命。二つの異なる記憶、確かに共有したものと、>>続きを読む

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

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与えるのではなく促すこと。統制するのではなく背中を押すこと。壁をつくるのではなく耳を傾けること。感情と速度に任せて裁くのではなく、慮って言葉にすること。映画の主役は、勇猛な戦士でもあったソクラテス、マ>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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人間のflagilityとしなやかさ。PMSとパニック障害と自殺。自転車。洗車。弱さを分かち持つこと。獲得される表情の柔らかさ。
散髪、ユーモアの導入。

町工場のプラネタリウムと「大先輩」。現在の速
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

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画面奥から差し込む四つの窓からの自然光に始まる、光と影によって織られた映像の綾に見惚れ、静謐な親密さで夢のように流れる時間に浸っていたら、あまりに率直な信仰告白が行われて吃驚した。ドライヤー以降に奇跡>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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ハナは余りのナイーブさに面食らったが、彼がずっと「天使」を撮ろうとし続けていることだけは疑えないと思った(距離の詐術に騙されていただけではないのか?)、そしてそれを今回は、例えば光のNina Simo>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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ますます悲劇めいてゆく世界を喜劇として撮りおおせる意志。

感情を感情的に見せず、運動の快楽にほとんど頼らない、ストイックさと言ってもいいオフビートさ。ジャームッシュの引用。ロッカーと色。スーパーマー
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ジョーカー(2019年製作の映画)

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Psycho killer, qu'est-ce que c'est?
ジョーカーの時代、ということをしばしば考える。トランプのアメリカでこういう作品が作られるということ。或るテロリスト、大衆煽動家の
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

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PTAはファントム・スレッドという例外を除いてずっと「アメリカ」を撮ろうとしている。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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《aftersun》には、曖昧で、感傷的で、気まずくて、寂しくて、不器用で、所在なさげで、壊れもののような、二度と戻ってこない時間が流れていた。

麻雀放浪記(1984年製作の映画)

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原作が圧倒的に面白いので観るのをやや躊躇ってきたけど、たとえチンチロや麻雀を知らなくても十分楽しめそうな、いい味の映画になっていた。技術的には粗があろうが、いい画はあるし、面白いものは面白い。和田誠と>>続きを読む

近松物語(1954年製作の映画)

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宮川一夫のカメラの素晴らしさは、映画という媒体の最大の武器は奥行きであるということをよく教えてくれる。
静的な画の続く物語中の数少ない動的なシーンでも(例えばおさん茂兵衛が捕らえられるシーン、その直前
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けんかえれじい(1966年製作の映画)

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清順と中断と笑い。悲歌、音楽。展開の強引さと映画の自由。二・二六事件と北一輝。

舞台とされるのは昭和十年頃。満州事変が昭和六年、ナルプ解体が九年、二・二六事件が十一年、日中開戦が十二年。

“デスパ
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